窓ガラスの飛散防止フィルムとは?効果や防犯フィルムとの違いを解説
地震や台風などの災害が発生すると、窓ガラスが割れて破片が飛び散ることで被害が拡大してしまう場合があります。また、災害以外でも窓ガラスが割れて飛散し、破片で怪我をしたり、家財を傷つけたりなどの経験をお持ちの方もいらっしゃるかもしれません。
この記事では、窓ガラス用の飛散防止フィルムの効果や、用途に適したフィルムの種類について紹介します。飛散防止フィルムを選ぶ際にぜひお役立てください。
目次
飛散防止フィルムとは?
窓ガラス用の飛散防止フィルムとは、防犯フィルムのことではなくガラスが割れた際に破片の飛び散りを防止するフィルムのことです。窓ガラスが割れて破片が飛び散ると、少し触れるだけでも鋭利な先端で怪我をしたり、家具を傷つけたりするおそれがあります。
飛散防止フィルムは破れにくい素材で作られており、強力な粘着剤で窓に貼り付けるため、ガラスが割れたときに破片を吸着し、飛散するのを防止できます。また、破片が飛び散りにくくなることで、怪我や家具の損傷といった被害のリスク低減にも役立ちます。
防犯フィルムとの違い
飛散防止フィルムと似た製品に「防犯フィルム」があります。こちらも窓ガラスに貼って万一の事態に備えるものですが、飛散防止フィルムと防犯フィルムでは目的が異なります。
飛散防止フィルムは、割れそのものを防ぐというより「割れたガラスの破片を周囲に飛散させないこと」が主な目的です。災害などにより窓ガラスが割れた際に、ガラスの破片が飛び散り、怪我などにつながることを防止するために設置されます。ガラスが割れること自体を防ぐものではないため、飛散防止フィルムを貼っていれば、ガラスに衝撃が加わっても割れにくくなるわけではない点には注意が必要です。
一方で、防犯フィルムは空き巣や不審者がガラスを割って侵入することを防止するためのフィルムです。破れにくく穴を開けにくいフィルムを窓に貼ることで、ガラスに穴を開けさせないようにすることが目的となっています。強い衝撃にも耐えられるように厚みのある製品が多く、中には厚さ200ミクロンほどもあるフィルムもあります。
窓ガラスの飛散防止フィルムの効果
続いては、飛散防止フィルムを窓ガラスに貼ることで得られる効果やメリットをご紹介します。
窓ガラスが割れた際の破片の飛び散り防止
飛散防止フィルムに用いられているのは、破れにくいポリエステル素材です。強力な粘着剤でガラスに貼り付けるため、強風などで万一ガラスが割れても、細かい破片が周囲に飛び散ることを防ぎます。
ガラスが割れて破片が飛散すると、その時点でガラスに接触して怪我をするだけでなく、床に落ちていた破片で怪我をしてしまうことがあります。それらも飛散防止フィルムを貼ることで防止が期待できるでしょう。
地震や災害対策
飛散防止フィルムは、地震や災害対策にも効果を発揮します。地震や災害でガラスが破損した際の飛散を防ぐことで、怪我の防止につながるためです。さらに、災害後に片付けに入る際、飛散したガラスの破片を踏んで怪我をするなどの二次災害を防ぐ効果も期待できます。
目隠し効果
飛散防止フィルムの中には、特殊な加工や着色で目隠しとして使えるものもあります。窓に貼ることで外から室内が見えにくくなり、プライバシーを守る効果が得られます。
紫外線防止効果
飛散防止フィルムにはUVカット機能をプラスした製品もあります。紫外線防止機能付きのフィルムを選べば、多量の紫外線が室内に差し込むことを防止できます。紫外線は日焼けや皮膚の老化を引き起こすだけでなく、室内の家具や壁紙などの劣化・退色を招く原因ともいわれます。室内でもUVカットを意識したいけれど、カーテンなどで暗くしたくないという場合には、紫外線防止機能付きのフィルムが役立つでしょう。
断熱効果
熱を遮る機能を持ち、室内の冷暖房効率を高められる飛散防止フィルムもあります。断熱効果のある飛散防止フィルムを選ぶことで、夏は冷房の効率をアップし、冬は暖房で得た熱を外に逃がしにくくなります。また暖房を多用する時期に発生しやすい、窓ガラスの結露を軽減する効果もあります。
汚れの防止
ガラスも長年使用していれば、表面の汚れやくすみが気になってきます。フィルムを貼っておくことで、汚れの付着を防げます。賃貸住宅にお住まいの方であれば、退去時の原状回復もスムーズです。ただし、その際に接着剤が強力すぎると剥がれにくいことがあるため、賃貸住宅のガラスに貼る場合はキレイに剥がせるタイプのフィルムを選定しましょう。
防犯効果
先ほど解説したとおり、飛散防止フィルムは、厳密には防犯フィルムとは性質や目的が異なるものです。しかし、不審者が侵入を試みてガラスに穴を開けようとしたとき、1度叩いてフィルムが貼られていることに気づくと犯行を諦める可能性もあります。防犯フィルムのように穴開け対策に特化した機能は備えていないものの、多少の抑止効果にはなり得ると考えて良いでしょう。
よりセキュリティを強化したい場合は、ホームセキュリティの導入もおすすめです。ALSOKのホームセキュリティであれば、不審者の侵入をいち早く検知し、適切に対処できます。
飛散防止フィルムの種類と費用
飛散防止フィルムには、貼るガラスの特徴や目的に合わせた種類があります。それによって価格帯も変わるため、施工を検討する場合には事前に見積もりを取って選定すると良いでしょう。
飛散防止フィルムの種類
飛散防止フィルムには、「内貼り用」と「外貼り用」の2種類があります。内貼り用は室内のガラス面に、外貼り用は室外のガラス面に貼り付けるタイプです。飛散防止フィルムはガラスが室内に飛び散るのを防ぐ目的で設置するため、一般的には内貼り用が推奨されます。
ただし、窓の近くに棚などを設置しており、内貼り用のフィルムを貼るのが難しい場合は、外貼り用のフィルムを使うようにしましょう。気を付けたいのは、内貼り用のフィルムを間違えて室外に貼ってしまわないことです。内貼り用のフィルムは耐候性の面で屋外での使用に適していない場合があり、フィルムの劣化を早めてしまう可能性があります。
飛散防止フィルムの施工費用
飛散防止フィルムを窓ガラスに貼る際、DIYでは気泡やシワが入ってしまったり、カットを失敗して隙間ができてしまったりする可能性があります。飛散防止フィルムの効果を最大化するためにも、施工時には基本的に専門会社に依頼するのがおすすめです。
施工費用の相場は、窓ガラス1箇所(壁面1面分)のみに貼る場合は10万円以内で収められるケースが多いです。しかし、一戸建て住宅のすべての窓ガラスに貼るとなれば、数十万円ほどかかると考えられます。決して安い金額ではなく、やり直しも難しい作業ですので、ご自宅の窓ガラスや要望に応じて最適な施工をお願いしましょう。
飛散防止フィルムの選び方
飛散防止フィルムには、厚みや付加機能などが異なるさまざまな製品があります。以下でご紹介する選び方を参考にして、ご自宅に最適な飛散防止フィルムを選定しましょう。
フィルムの厚みで選ぶ
飛散防止フィルムには、さまざまな厚さのものが揃っています。一般的なご家庭の窓ガラスのサイズであれば、多く出回っている「50ミクロン厚」のタイプで大抵は問題ありません。しかし、1辺が2メートル以上の大判ガラスに貼る場合、通常の厚みのフィルムでは十分な飛散防止効果が得られない可能性があります。大判のガラスには、「100ミクロン厚」などの製品を選ぶと良いでしょう。
また昨今の台風被害などの影響により、お住まいの地域によってはより強力な効果をお求めの場合もあると思います。近年ではその要望に応えるため、より飛散防止効果の高い「200ミクロン厚」などのタイプも用意されています。台風被害に不安を感じている方は、極厚タイプを選ぶのもおすすめです。
フィルムの付加機能で選ぶ
飛散防止フィルムとひと口でいっても、飛散防止効果以外のさまざまな付加機能を設けたものも数多くあります。先にご紹介した「UVカット機能」や「目隠し機能」、「遮熱・断熱」などが代表的な付加機能です。必要に応じて付加機能を備えたフィルムを選ぶことで、より快適に室内で過ごせるでしょう。
JIS規格に適合したフィルムを選ぶ
飛散防止フィルムは、一度貼ったら長く使うことを想定して選ぶことが大切です。厳しい基準をクリアし、安心して使用できる「JIS規格」に適合した製品を選ぶと、安心でしょう。
JIS規格適合品かどうかを見分ける方法としては、日本ウインドウ・フィルム工業会発行の「JIS A 5759適合品ラベル」の有無で判断することがおすすめです。
貼るガラスに合わせて選ぶ
すりガラスや模様入りデザインガラスのような凹凸のあるガラスには、「特殊ガラス対応フィルム」が適しています。非対応のフィルムを貼ると、日光の熱を吸収したフィルム部分と日に当たらない部分の温度差により「熱割れ」という現象を起こし、窓ガラスが破損するおそれがあるため注意しましょう。
飛散防止フィルムを貼る際の注意点
飛散防止フィルムの効果を最大限に生かすため、貼る際にいくつか気を付けたいことがあります。
ガラスの熱割れに注意する
飛散防止フィルムを貼ると、設置面のガラスに太陽の熱が集まり、サッシ周辺などの日が当たらない部分と温度差が生じて熱割れを引き起こすおそれがあります。特に、色の濃いフィルムを貼る場合は、太陽の熱が集中しやすいため注意が必要です。熱割れが心配な場合は、熱を溜めにくい白っぽいフィルムや透明なフィルムがおすすめです。
また、先ほど解説したとおり、すりガラスなど凹凸のあるガラスは、特殊ガラス対応フィルムでないと熱割れしやすくなります。ガラスに凹凸がある場合は、必ず特殊ガラス対応フィルムを選びましょう。
フィルムの耐用年数を把握する
飛散防止フィルムは、使われている材質などによって耐用年数が異なります。フィルムは劣化することもあるため、耐用年数を過ぎたら交換するようにしましょう。
一般的な窓ガラスの飛散防止フィルムは、10~15年で交換が必要です。これはあくまでも目安のため、フィルムの種類によっては10年以下で効果が低下するものもあれば、15年以上利用できるものもあります。また、内貼り用のフィルムを外に貼るなど、使い方を間違えた場合も短期間での劣化につながります。利用する飛散防止フィルムの耐用年数をしっかりと確認した上で、正しい場所に正しい方法で設置しましょう。
フィルムによっては貼り方が難しい場合がある
飛散防止フィルムを貼る際に必要な道具(ヘラ、カッター、霧吹きなど)は、基本的に自分でも揃えられます。しかし、糊で貼る粘着タイプのフィルムは貼り直しができず難しい作業になります。飛散防止効果を最大化するためにも、専門の業者へ依頼することをおすすめします。
侵入窃盗対策としてホームセキュリティも検討しましょう
フィルムをガラスに貼って防災・防犯対策を試みても、侵入を100%防げるとはいえません。フィルムの施工をご検討中であれば、ホームセキュリティサービスを組み合わせて防災・防犯対策をさらに強化することもおすすめです。
ALSOKのホームセキュリティ「HOME ALSOK Connect」は、「セルフセキュリティ」と「オンラインセキュリティ」の2種類からお選びいただけます。
セルフセキュリティは、お手頃価格でホームセキュリティを実現でき、緊急時はALSOKの依頼駆けつけが利用できます。
オンラインセキュリティは、異常発生時に自動でALSOKが駆けつけます。さらに帰宅時にはスマートフォンを持っているだけで警備を自動解除し、外出時もワンタッチで警備を開始する便利な機能も活用できます。防犯カメラとアプリ連携ができるので、外出中でもリアルタイムで映像を確認することができます。
また、ALSOKのホームセキュリティは、外出中だけではなく在宅中も警備をセットできるため、就寝中や一人での在宅時にも安心です。在宅中の安全も守りたい場合は、ホームセキュリティの導入がおすすめです。
地震や災害が発生すると、窓ガラスが割れる以外にも断水や停電、火災などが発生する可能性があります。万一の事態にも落ち着いて対応するには、事前の備えが重要です。
ALSOKでは、非常食や簡易トイレ、粉末消火器など、地震や災害に備えるさまざまな商品をご用意しています。特に、食料品は気づかないうちに賞味期限が切れてしまっているケースもあります。この機会に自宅の災害対策用品を見直し、新しいものを買い足してはいかがでしょうか。
おわりに
窓ガラスに飛散防止フィルムを貼ることで、ガラス破損時の破片の飛散による怪我を防止できます。台風や地震などによるガラス破損の不安がある場合は、備えておくと万一のとき困らないでしょう。
ただし、飛散防止フィルムは、防犯フィルムと同等の防犯効果が得られるわけではありません。優先する目的に応じて貼るフィルムを選定することが大切です。
フィルムを貼ることでガラスが割られるまでの時間を稼ぎやすくなりますが、不審者の侵入を完全に防げるわけではありません。時間をかけて窓ガラスを割られたり、無施錠の隙をついて窓や玄関から侵入されたりするリスクへの対処としては不十分です。自宅の防犯をより強化するなら、ホームセキュリティの導入なども併せて検討すると良いでしょう。