火災保険の相場は?一戸建て・マンション・賃貸の目安や費用の抑え方
火災保険とは、万一の事態による損害があった際に住宅やその家財などを補償する保険です。名称は「火災保険」ですが、風災や水災などの自然災害による被害も補償してくれるため、仮に火災に遭わなかったとしても「備えておいて良かった」と思えることがあるかもしれません。住宅を購入する方の多くが万一の備えとして火災保険に加入しますが、何かとお金がかかるタイミングのため、保険料を少しでも抑えたいという方も多いでしょう。
そこでこの記事では、一戸建て・マンション・賃貸別に火災保険の相場や火災保険料を決める基準をご紹介します。
目次
火災保険料の相場
新築一戸建ての購入時に火災保険に加入する場合、保険料の相場はどのようになっているのでしょうか。火災保険料は、建物の構造や所在地、延べ床面積、補償内容など、さまざまな要素で決まります。住宅ごとに料金が異なることから、相場はいくらと断言することは難しいとされています。
ここでは、火災保険料の建物ごとの目安について解説します。
一戸建ての場合
木造が多い一戸建て住宅は、マンションよりも火災保険料が高く設定されている傾向にあります。これは、コンクリート造や鉄骨造が多いマンションよりも、木造一戸建ては耐火性能が低いと判断されるためです。火災などが発生した際の損害が大きいと考えられることから、木造の一戸建ては保険料が高めに設定されています。また、一戸建ての場合、建物全体が火災保険の対象となることも保険料が高くなりやすい理由のひとつです。
マンションの場合
マンションは、鉄筋コンクリートや鉄骨・鉄筋コンクリート造が多く、耐火性能が高いのが特徴です。そのため、一戸建てよりも火災保険料は安価に設定されています。ただし、築年数が経過していると、災害によって建物が損害を受けやすいと判断され、保険料は割高となります。
賃貸住宅の場合
賃貸住宅の借主が火災保険に加入する場合、一戸建てであってもマンションであっても、築年数は保険料にほとんど影響しません。賃貸用の火災保険は、建物内にある借主が所有している家財が補償の対象となるため、築年数による違いがないとされています。また、持ち家と比較して、火災保険料も低い傾向にあります。
2024年10月の火災保険料改定について
損害保険会社が加盟している損害保険料率算出機構は2023年6月、火災保険の参考純率を全国平均で13%引き上げたことを発表しました。参考純率は、各保険会社が火災保険料を決める際のベースとなる数値のことです。参考純率が引き上げられたことを受け、2024年10月から多くの保険会社で火災保険料の改定を行っています。
火災保険料を決める基準
火災保険料は「純保険料」と「付加保険料」の2つで構成されます。純保険料は、火災などが発生したときに契約者に支払われる保険金の原資です。損害保険料率算出機構が算出する参考純率は、純保険料を決める際に使用されます。一方、付加保険料は保険会社の運営コストや利益などに充てる保険料です。一定の基準に則っていれば各保険会社が独自に定めることができ、会社ごとに保険料が異なる要因となっています。
純保険料と付加保険料を合わせることで決まる火災保険料ですが、どのような要素で金額が変動するのでしょうか。ここでは、火災保険料を決める基準をご紹介します。
建物の構造
コンクリート造や木造などの建物構造は、火災保険料の評価に影響します。構造区分の詳細は下記のとおりです。
火災保険料に影響する建物の構造 | |
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M構造 | 鉄筋コンクリート造のマンションなど |
T構造 | 鉄骨造や省令準耐火建物に該当する2✕4構造の一戸建てなど |
H構造 | 木造の一戸建てなど |
M構造がマンション構造、T構造がコンクリート造・鉄骨造などの耐火構造、H構造が木造などの非耐火構造と考えると良いでしょう。M構造がもっとも保険料が低くなり、T構造、H構造の順で保険料が高くなる傾向にあります。
建物の所在地
地域によっても、火災保険料は変わります。台風・大雨被害や雪害のリスクが高いと判断されるエリアの家は、保険料が高めになることがあります。
延べ床面積
延べ床面積は、建物各階の床面積を合計したものを指します。建物の延べ床面積が大きいほど、災害に遭った際の被害も大きくなると考えられるため、火災保険料が高くなる可能性があります。ただし、ロフトやバルコニーは、延べ床面積に含まれません。
契約年数
保険契約の年数(満期までの年数)は保険期間とも呼ばれ、現状は1年から5年契約までが選べます。
多くの保険会社は、長期契約かつ一括払いを選択することで保険料が割安になるプランを提供していますが、長期契約には支払時の負担が大きい、補償内容の定期的な見直しの機会がないなどのデメリットも存在します。火災保険の契約年数を決める際は、長期契約と短期契約のメリット・デメリットを比較したうえで決定しましょう。
補償内容・特約の範囲
火災保険料は、どのような損害までカバーするかによっても変動します。例えば、火災や落雷、風災などを基本補償としているプランで盗難や破損、水災などによる損害まで補償してもらう場合は、保険料が上がります。また、第三者に対する損害賠償を補償する「個人賠償責任」や、火災が発生した場合の延焼先に対する補償に利用できる「類焼損害」などの特約を付ける場合も保険料は高くなります。
支払い方法
火災保険料の支払い方法は、月払い・年払い・一括払いから選択できるのが一般的です。多くの保険会社では、一括払いでまとめて支払ったほうが料金が割安になります。
火災保険の補償対象と範囲
火災保険で補償されるものは多岐にわたります。ここでは、火災保険の補償対象と範囲を解説します。
火災保険の補償対象
火災保険は火災、落雷、破裂、爆発に加え風災、雪害、水災、破損による損害、騒擾等による損害、盗難など、まざまな損害が補償の対象となっています。
地震は火災保険の補償対象ではない
火災保険は、さまざまな損害が補償の対象となっていますが、地震や噴火による損害は補償対象ではありません。火災や津波によって損害を受けた場合でも、それらの発生原因が地震および噴火であれば火災保険の補償対象外となってしまうことが挙げられます。
このために、地震・噴火またはこれらによる津波を原因とする損害に対応した「地震保険」があります。万一の火災の他、地震や噴火、津波のリスクが懸念されるようであれば、同時に地震保険にも加入しておきましょう。地震保険は、条件が同一であれば保険会社に関係なく保険料は同じです。
なお、現状は住宅ローンを組む際に地震保険の加入は義務付けられていないため、任意で選定する必要があります。
火災保険の補償範囲
火災保険は、プランによって損害を受けた住宅そのもの以外も補償対象とすることができます。おもに以下3つのパターンで補償対象物を選ぶことができるため、じっくり検討して補償対象を選択しましょう。
- 住宅の建物部分の損害のみを補償するプラン
- 住宅内外の家財に関する補償を行うプラン
- 住宅の建物部分も、それ以外の家財も補償するプラン
火災保険料を抑えるポイント
火災保険料は損害の補償を考えれば決して高いものではありませんが、万一の際に必要な補償をしっかり受けられることが前提で節約する方法があれば損はありません。火災保険の費用を賢く抑えるポイントについても見ていきましょう。
補償内容を絞る
必要のない特約を沢山付帯していれば、その分保険料は割高になってしまいます。ご自宅に起こり得る「万一」を想定し、必要と思われる適正な補償内容で契約をしましょう。
複数の保険会社から見積もりを取る
民間保険会社による保険や団体による共済など、さまざまな火災保険・火災共済があります。保険商品によっても保険料は異なりますから、1社/1団体だけではなく複数から見積もりを取り、慎重に比較検討しながら契約先を決めましょう。
保険料を一括で支払う
同じ条件の保険であっても、保険料を一括で支払うプランと月額など分割で支払うプランが用意されていることが一般的です。この場合は、一括払いを選定したほうが支払う保険料をお得にできます。
契約期間を長期にする
1年契約と5年契約では、一般的に5年契約にしたほうが保険料の総支払額は安くなります。保険料が値上げした場合でも、契約期間内は契約時の保険料率が適用されるため、保険料の値上げを回避することが可能です。
保険会社の割引を活用する
火災保険料の負担を抑えるには、保険会社が提供している割引を活用するのもおすすめです。例えば、Web申し込みによる割引や新築割引、建物築浅割引などの制度があります。保険会社によって内容や割引率は異なるため、事前に確認してから申し込みましょう。
マイホームの購入時に火災保険の加入は必須?
法律上、火災保険への加入は義務付けられていません。しかし、マイホームを持っている方のほとんどは、火災保険に加入しています。その理由は、住宅ローンを契約する際に金融機関から万が一の備えとして火災保険に加入することを勧められるからです。中古住宅の購入でも、住宅ローンを利用する場合は新築と同様にほとんどの方が火災保険に加入します。一戸建て住宅で火災保険に加入しないケースは、親族などから住宅の譲渡・贈与を受けた場合や、住宅ローンを組まずに家を購入した場合に限られるでしょう。ただしそのようなケースであっても、万一に備えて火災保険に加入しておいたほうが良いにこしたことはありません。
日本の火災発生状況
以下は、2014年~2023年の10年間における火災発生件数の推移をグラフ化したものです。
火災発生件数自体は、2023年は38,659件となっており、2014年の43,741件と比較すると減少傾向にあります。また、住宅が含まれる「建物火災」の発生件数は、2014年の23,641件と2023年の20,968件を比べると減ってはいますが、増減を繰り返している状況です。火災発生件数の半数以上を建物火災が占めていることから、火災保険への加入は万一のときの備えとして重要であることがわかります。
火災保険加入のタイミング
マイホームの購入にあわせて火災保険に加入する場合は、基本的に住宅を引き渡す日までに契約が済んでいれば問題ありません。しかし引き渡し日の前後は何かと忙しくなるため、引き渡しの半月前ころまでには加入を済ませておくと良いでしょう。注文住宅を購入する場合は期間に余裕を持って計画できますが、建売住宅や完成済みの住宅の場合は期間に余裕がない場合もあるため、早めに準備をしましょう。
マイホームにホームセキュリティを導入して火災による被害を未然に防ごう
マイホーム購入時は、火災などの損害に備えて火災保険に加入するのが一般的です。
しかし、損害を受けてしまう事態を未然に防ぐことができればなお良いでしょう。ご家族や家財の安全安心のためには、ホームセキュリティの導入がおすすめです。
ALSOKのホームセキュリティは、不審者の侵入だけではなく「火災」も監視。「セルフセキュリティ」と「オンラインセキュリティ」の2種類から選択できます。
セルフセキュリティでは、お手頃価格でホームセキュリティを実現でき、火災発生時などもしものときにはガードマンの依頼駆けつけが利用可能です。
オンラインセキュリティでは、設置したセンサーが火災の発生や侵入などの異常を感知すると即座にALSOKに通報。ガードマンが駆けつけます。さらに、スマートフォンを持っているだけで簡単に警備のオン・オフが可能なスマホゲートもご用意。火災に限らず空き巣などの被害防止にも役立ちます。
また、在宅中も警備をセットできるので、就寝中や一人での在宅時にも安心です。
まとめ
火災保険に加入していても万一の事態による損害はできるだけ抑えておきたいものです。損害を受けてしまったときの備えに加え、損害を未然に防ぐための備えも万全にしましょう。
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