ルーターとは?モデムとの違いや選び方のポイント【初心者必見】
昨今は余暇の過ごし方も多様になり、ご家庭内で動画配信などを楽しむ方も多くなっています。その流れで、インターネットに接続する機会や時間が増えたという方も多いのではないでしょうか。これまでスマートフォンの携帯電話回線によるインターネット環境で十分だった方が、自宅に専用のインターネット回線を設けようか検討している場合もあるでしょう。また、すでにご自宅用の接続機器を長く使っている方の場合、そろそろ機器を新調して性能を上げたいと思われているかもしれません。
今回は、自宅でのインターネット利用に欠かせない接続機器「ルーター」について、モデムやハブとの違いや選び方のポイントなどについてご紹介します。
目次
ルーターとは
ルーターとは、パソコンをはじめとする複数のデジタル機器を、1つの回線でインターネットへつなぐために必要となる接続機器です。現在ではテレビやゲーム機などさまざまな家電がデジタル化され、それらを同時にインターネットへ接続する必要が出てきています。しかし、モデム(アナログ信号とデジタル信号を変換する装置)から直接ハブ(複数の端末を接続するための装置)と接続して2台以上つなぎ分けた場合には、同時にインターネットへの接続ができなくなります。なぜなら、インターネットの接続にはつなぐ機器1台ずつにIPアドレスが必要であるものの、プロバイダは一般的に1契約につき1つのIPアドレスになるため、モデム(ONU)につなぐことができるのは機器1台のみになるのです。
そこで、2台以上の機器をインターネットにつなぐために、ルーターが必要となります。ルーターが複数のデバイスにIPアドレスを振り分けるため、インターネットへの接続が可能になるのです。
また、ルーターは複数台接続して稼働させること以外に、接続している機器のIPアドレスを外部にさらさない効果もあります。そのため、家にあるパソコン1台だけをインターネットに接続できれば十分という場合でも、ルーターを設置することで自宅パソコンへのサイバー攻撃の防止にもつながります。
ルーターの種類
ルーターには、ケーブルで接続する有線タイプのルーターと、Wi-Fiルーターと呼ばれる無線タイプの2種類があります。また、Wi-Fiルーターには固定回線ではなく携帯電話回線などの電波を受信して通信を行うタイプもあり、ホームルーター・モバイルルーターの2種類があります。
【有線ルーター】
有線ルーターは、パソコンやテレビ、ゲーム機などのデジタル機器を「LANケーブル」と呼ばれる線でインターネットに接続するルーターです。購入時の価格が低めで、ケーブルで直接接続しているため回線速度が速く、安定した接続状況を維持できるメリットがあります。その一方で、LANケーブルの差込口がついていないなど、線を用いないワイヤレス接続(Wi-Fi)にしか対応していないデジタル機器は、自宅のインターネット回線に接続することは難しくなります。
【無線ルーター(Wi-Fiルーター)】
無線ルーターはWi-Fiルーターとも呼ばれ、線(ケーブル)を使わず無線電波によってインターネット回線へ接続できるルーターです。パソコンやテレビ、ゲーム機をはじめ、ワイヤレス接続対応のプリンターやスマートフォン、タブレットなどを、Wi-Fiルーターの無線電波によってインターネット回線に接続します。自宅でスマートフォンを使用する際、携帯電話用の通信回線を使わずにインターネットへ接続できるため、スマートフォンのデータ通信量を節約することができます。その反面、Wi-Fiルーターの購入価格は高めですし、状況によっては通信状態が有線よりも不安定になる場合があります。
【ホームルーター】
ホームルーターとは、ご自宅やオフィスなど決まった場所で使うことを想定して作られているルーターを指し「据え置き型ルーター」とも呼ばれます。スマートフォンと同じ通信回線を使用するため、回線工事が不要で、コンセントにルーター機器を差すだけでインターネットを利用することができます。初期設定も簡単なものが多いため、高齢の方や初心者の方など、通信機器に慣れていない方にはおすすめのルーターです。
【モバイルルーター】
モバイルルーターとは、外に持ち出しての使用を想定した小型で軽量な携帯タイプのルーターで、「モバイルWi-Fi」「ポケット型Wi-Fi」とも呼ばれます。モバイルルーターはスマートフォンと同じ4GLTE回線などを使用するため、モデム(ONU)がなくてもインターネットに接続できます。
外出先や移動時などでも、モバイルルーターがあると手軽にインターネット回線に接続できます。
モデム(ONU)やハブとの違いは?
デジタル機器をインターネットに接続する際、ルーターと同時に用いられる機器に「モデム(ONU)」や「ハブ」があります。これらは形状もルーターとよく似ている場合があり、見た目だけでは区別が難しいという方も多いでしょう。
ここでは、モデム(ONU)やハブといった接続機器の概要をご説明し、それらとルーターの違いについてもご紹介します。
モデム(ONU)とは
モデムとは、電話回線を使ってインターネットに接続する際に必要な機器のことで、アナログ信号とデジタル信号を相互変換する機器を指します。電話回線のアナログ信号のままではインターネットに接続できないため、デジタル信号への変換が必要なのです。近年では、電話回線ではなく光回線が主流となったため、光回線の変換装置である「ONU」のことをモデムと呼ぶことが多くなっています。
ただし、集合住宅などで用いられている「VDSL」という接続方式では、デジタルの光回線とアナログの電話回線を併用しているため、現在でもモデムが必要となる場合があります。
モデム(ONU)とルーターの違い
モデム(ONU)は「回線の信号を変換する装置」、ルーターは「デジタル機器をインターネットに接続する装置」という違いがあります。仮に形状が似ていたとしても、それぞれが持つ役割は大きく異なっているのです。
なお、モバイルWi-Fiルーターや据え置き型のホームルーターと呼ばれるタイプは、モバイル回線を使用するためモデム(ONU)は必要ありません。固定回線であればルーターを使用する際はモデム(ONU)への接続が必須ですが、ルーターとモデム(ONU)の機能が一体化したルーター機能付きモデム(ONU)や、モデム(ONU)一体型のルーターもあります。
ハブとは
ルーターに外観上の特徴がとても良く似た機器に「ハブ」があります。ハブとは、ルーターでインターネット接続が可能なデジタル機器の数を増やすための装置です。ハブには機器をインターネットに接続する機能はないため、ハブは必ずルーターと一緒に使用します。
ハブとルーターの違い
ハブはルーターに形状が良く似ており、ハブとルーターは必ず一緒に使用する必要があるとご説明しました。それでは、ハブとルーターにはどのような違いがあるのでしょうか。
ハブのはたらきを電源コンセントに例えてみます。壁に備わるコンセントが2口しかなければ、本来は2つの電化製品しか使用できません。しかし、テーブルタップを使用すればたくさんの電化製品が使えます。インターネット接続において、テーブルタップの役割を果たしているのがハブと考えると分かりやすいでしょう。
ルーターのなかでも「無線タイプ(Wi-Fiルーター)」の場合には、複数のLANケーブルが接続可能となっているものがあります。これらは、ルーターにハブの機能が付属している「ハブ一体型のルーター」といえます。
無線ルーターの選び方のポイント
ルーターには大きく分けて有線タイプと無線タイプがあり、製品によって性能も異なります。最近は複数のデジタル機器をインターネットへつなぐ方が多いため、ここではご自宅に合った無線ルーターの選び方をご紹介します。
建物の形状や間取りに合わせて選ぶ
建物のタイプによって、選ぶ無線ルーターの種類も異なります。自宅が戸建て住宅か、ファミリータイプのマンションか、あるいはワンルームの賃貸物件かで、求められる性能も変わってきます。建物のタイプや間取りを考慮し、合ったルーターを選ぶ必要があるでしょう。
無線ルーターを選ぶ際は、製品の箱や商品説明に書かれている想定使用環境をチェックして選定しましょう。「一戸建て(2階建て)向け」「マンション(2LDK)向け」「ワンルーム向け」など、使用に適した建物の形状や間取りが記載されていることが一般的です。
なお、想定使用環境は「家の真ん中」に無線ルーターを設置している状態を指すことが多いです。このため、実際には部屋の隅に無線ルーターを配置して隣の部屋でパソコンを使用するなどの場合、無線ルーターとデジタル機器の距離が遠くなることがあります。また、無線ルーターを設置した部屋と使用する部屋の階数が異なる場合、ルーターの電波を届ける性能が低ければ接続が不安定になる可能性もあるでしょう。安定した接続状況を確保するためには、可能であれば「1LDKのマンション住まいだが、2LDK以上向けを選ぶ」といったように、若干性能に余裕を持たせて選ぶことがおすすめです。
接続機器台数に合わせて選ぶ
自宅で何台のデジタル機器と同時に接続する可能性があるかを確かめ、それに合わせて無線ルーターを選びましょう。商品説明や外箱に「同時に接続できる機器の台数の上限」が記載されていますので、自宅のデジタル機器の台数に合わせて選定しましょう。この場合も、接続可能台数に余裕があると通信速度などが安定するため、最小限で選ぶよりは性能にある程度余裕を持たせて選ぶと良いでしょう。
通信速度で選ぶ
無線ルーターの通信速度は、通信規格の違いによって変わります。現在の最新規格は「Wi-Fi6」と呼ばれる「IEEE802.11ax(11ax)」ですが、2024年にはさらに新しい通信規格「Wi-Fi7」と呼ばれる「IEEE802.11be」の普及が進むとみられています。規格が新しいほど最大通信速度が上がり、インターネット接続が快適になるという特徴があります。また、通信速度が速い規格の無線ルーターは、部屋の中の障害物や電波の干渉に強くなるメリットもあります。
ルーターのセキュリティ対策の必要性
家庭用のルーターを経由し、サイバー攻撃が実行される可能性があることをご存じでしょうか。サイバー攻撃の被害は、有名企業や官庁だけの話ではありません。実は、家庭で使うインターネット環境にもリスクが潜んでいるのです。
家庭用のインターネット環境がサイバー攻撃の被害に遭った事例として、ネットワークカメラが乗っ取られたことが原因だったケースがあります。また、インターネット経由でデジタル機器が乗っ取られ、所有者や家族等になりすまして不正利用されることもあります。
このような事態の要因の1つとして想定されるのは、ルーターの接続を管理するIDやパスワードが、第三者に推測されやすいものだったことでしょう。IDやパスワードを推測されにくいものとするなどの適正な管理に加え、セキュリティサービスを導入するなどの対策を行い、サイバー攻撃の被害を防止しましょう。
もちろん、サイバーセキュリティ対策と同様に、ご自宅のセキュリティリスクに対する備えも欠かせません。ALSOKでは、万一の火災や侵入などの緊急時に備えておける「ホームセキュリティ」をご提供しています。
簡単な設置と操作で、もしもの緊急時にも24時間体制でガードマンが駆けつけます。一戸建てやマンション向けセキュリティはもちろん、1人暮らしの方向けのプランもご用意。サイバー攻撃の被害に備えるとともに、ご自宅のセキュリティ対策も考えてみてはいかがでしょうか。
まとめ
ルーターは、インターネット接続に欠かせないパソコンなどの周辺機器の1つです。しかし近年では、一般家庭に設置されたWi-Fiルーターのセキュリティリスクを狙ったサイバー攻撃の被害も発生しています。
大切なデータや個人情報を守るために、適切なセキュリティ対策を行いましょう。また、それをきっかけにご自宅全般のセキュリティ対策も見直してみてはいかがでしょうか。