初心者必読!登山での歩き方や事故を防ぐための注意点について

スポーツ 2023.09.29更新(2021.07.27公開)
初心者必読!登山での歩き方や事故を防ぐための注意点について

登山での遭難事故と聞くと、険しい山や厳しい状況下の冬山などでの事故を想像するかもしれません。しかし、登山初心者の方が低い山に登るケースでも、さまざまな事故が発生するおそれがあります。

この記事では、初心者の方が登山に挑戦するにあたって気をつけるべき事故のリスクや、登山時の安全な歩き方の基本についてご紹介します。

登山での事故に油断は禁物!

登山をするときは、「低い山だから」「登るのが楽そうだから」と慢心することは禁物です。気軽に登れると紹介されている山であっても、事故への備えと対処法ができていて、初めて登山を楽しめるものと考えましょう。

以下は、2017年から2022年までの6年間に発生した山岳遭難事故における、遭難者の目的別構成比をグラフにしたものです。

目的別の山岳遭難者数

出典:警察庁「令和3年における山岳遭難の概況」
警察庁「令和4年における山岳遭難の概況」

山菜採りやスキーなどにおける遭難事故と比較しても、登山による遭難が多く、6年間すべてにおいて2,000件を超えている状況です。山岳を訪れるあらゆるケースの中でも、登山による遭難リスクの高さが際立っています。

初心者が登山するときに気をつけたい事故

初心者が登山するときに気をつけたい事故

ここでは初心者の方が登山をするにあたり、事故の予防策と動けなくなったときの対処法をご紹介します。

足に肉刺(マメ)

意外に多い登山中のトラブルに、靴擦れや歩き過ぎなどで足にマメを作ってしまうケースがあります。靴擦れを予測し、事前に足にテーピングを施す方法が得策です。マメができやすいくるぶしやかかと、親指・小指の外側をテープで覆いましょう。それでもマメができたときのために、クッションパッドつき絆創膏を携行し、道中に違和感を覚えたらすぐに使用しましょう。

捻挫

登山中に捻挫する原因のひとつは運動不足です。捻挫を避けるには、日ごろから体力作りに努めることが大切です。登山の前にはよくストレッチをして、関節の可動域を広げることで足首の捻挫を予防できます。

また、登山中の捻挫に備えアイシング用のスプレーや固定用のタオル・テーピングなどを携行し、異変を感じたらすぐ処置しましょう。捻挫した状態で靴を脱ぐと、再度履く際、足が腫れた状態で靴を履けなくなることがあるため、足を固定する場合は靴を脱がずに行ってください。

道迷い

道に迷う事態を避けるため、事前に必ず登山コースを調べておき、地図を持って出かけましょう。また登山中も地図で自分たちの居場所を確認しながら歩くことが大切です。
道が分からないと感じたら、まずは歩くのをやめることが第一です。どうにかしようと歩き回るうちにますます迷う可能性もあり、体力も消耗するためです。落ち着いて地図を確認し、もとの来た道へ戻れると分かった場合のみ、全員で引き返しましょう。

下るか登るかの判断に迷った場合は、下るのではなく登る方が得策です。登山道はピークや尾根にあることが多いということと、高所へ行けば見通しが良くなり、現在位置が分かりやすくなるということです。また、沢沿いに下っていくと簡単に下山できそうなイメージがありますが、滝や崖に行く手を阻まれ、降りようとして大怪我を負う事故が多く発生していますので、登山道である場合を除き、沢沿いに進むことは避けた方が良いでしょう。

滑落

滑落事故予防のために大事なのは、無理をしないこと。道中に危険箇所の少ないルートを選び、体力を過信せず単独行動を避けることも大切です。

滑落が発生した場合、すぐ救助できる状況なら同行者が落ち着いて救助しましょう。自分たちで救助が困難な場合は、無理せず携帯電話を使うか山小屋などへ行って、救助依頼をします。その際には「事故発生場所・時刻、事故に遭った人の状況、氏名、年齢、自分の連絡先、他参加者の状況と予定」を冷静に伝えましょう。

転倒

転倒事故は、難易度の低い登山でも頻繁に起こります。救急セットを携行し、転んだときの怪我に備えてください。雨で滑るケースも多いため、雨のときは特に慎重に歩きましょう。
転倒して切り傷や擦り傷をつくった際は、傷口を洗い流して応急処置をします。歩行に支障がある場合は他参加者が肩を貸すなどし、すぐに下山して医療機関で処置を受けてください。

落石、落雷事故

落石事故は予測が難しいものです。事前に崖下や岩場のルートを極力含まない山を選定するという回避の方法もありますが、突然の落石に備えるために、ヘルメットを着用して登りましょう。低い山の場合、ヘルメットは大げさに感じるかもしれませんが、落石だけでなく滑落・転倒した際に頭部を保護するために活躍します。

雷は遠くで音が聞こえたら落雷の危険があるため、すみやかに避難行動に移りましょう。山小屋に避難することが最善ですが、無ければ十分に張り出した岩の陰、洞窟の奥(窒息に注意)窪地など周りより低い場所に逃げ、しゃがんで通り過ぎるのを待つことが無難です。その際、木からは4m以上、人との距離も4m以上の間隔を空けてください。(雷発生時の避難場所は事前に地図等で確認しておきましょう。)ただ、建物等に避難しない限り、一時的な対応に過ぎません。雷の発生が少しでも予想されたなら迷うことなく、登山を中止しましょう。

高山病

高い山に登るにつれて気圧が低くなり酸素が薄れるため、体内の酸素が不足して頭痛や吐き気、倦怠感や睡眠障害などの症状が現れる場合があります。これを高山病といいます。高山病を防ぐには、標高差の少ないコースを選定する、登山中や休憩中にはなるべく深く呼吸をする、水分をしっかり摂るなどの予防が重要です。
頭痛や吐き気を感じたら、それ以上登らない決断を早めにして下山しましょう。

熱中症・低体温症

熱中症や低体温症を事前に予防するためには、無理な計画や行動を控えることです。登山中も重ね着をして暑ければ脱ぎ、寒ければ着て体温調節をすることが重要。もちろん、脱水状態にならないようこまめに水分を補給しましょう。

歩行スピードの遅れは熱中症のサインといわれています。仲間内で必ず声をかけあい、体のだるさを訴えたら水分を摂らせて日陰で休憩し、下山を検討しましょう。一方で雨に濡れて寒さで体の震えを感じたら、雨や風が当たらない場所で濡れた服を新しいものに着替えます。寝袋や温飲料で体を温めながら栄養を摂って回復を待ち、下山を検討しましょう。

登山の歩き方

登山では、どのような歩き方が体力消耗を防ぎ事故予防につなげられるのでしょうか。ここでは登山時の基本の歩き方をご紹介します。

登りのポイント

登る際はつい地面を見て猫背になりがちです。上体を起こして視線を前にまっすぐ歩きましょう。腕は振るより、リュックの肩ひもを持つようにすると疲労を低減させることができ、視線も前に固定できます。トレッキングポールを活用して、疲れを低減する方法も有効です。

下りのポイント

山を下るとき、つま先やかかとに体重を偏らせると疲労を早めてしまいます。足の裏全体で歩くことを心がけ、歩行スピードを抑えながら歩きましょう。下りの場合も腕は振らずに歩くと姿勢が安定し疲労を防げます。

登山での事故を防ぐには

登山での事故を防ぐには
  1. 必ず登山経験のある同行者と登り、道中の単独行動は控えましょう。
  2. 参加者の健康状態と気象予報を確かめ、直前であっても不安を感じたら登山を中止しましょう。
  3. 家族・知人・山岳会の人たちへ行き先と連絡先を伝えておきましょう。
  4. 無理のない登山計画を立てましょう。
  5. 地図・ヘルメット・ヘッドライトなど安全にかかわる装備や持ち物を必ず準備しましょう。
  6. 下山時にも多くの事故が起こっていますので、自宅へ帰るまで油断せず行動しましょう。

長時間の外出時は自宅の防犯対策をしよう

登山や旅行に出かける場合、長時間自宅を空けることになります。その際には、留守になるご自宅の防犯にも気を配る必要があるでしょう。ALSOKでは、留守中のご自宅をしっかりガードするホームセキュリティをご提供しています。不審者の侵入を感知した場合、ガードマンがご自宅に駆けつけ迅速に対応します。
登山やアウトドアなどで自宅を空けることが多い方は、ぜひご検討ください。

まとめ

遭難のリスクを考え、低い山で安全に登山を楽しもうと計画している初心者の方も多いでしょう。しかし、どんなに低くても簡単に登れる山はないと考え、油断することなく万一への備えを整えておくことが大切です。登山中は家を長時間留守にすることを想定し、ご自宅のセキュリティ強化も忘れずに。

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