侵入窃盗の傾向と防犯対策~警察庁発表の統計データより~
住宅を購入した方、住宅をリフォームした方、住宅の購入・リフォームを考えている方、近隣で発生した空き巣被害の情報を耳にした方においては、「どんな住宅が空き巣被害のターゲットになりやすいのか」「なぜそういった住宅が狙われるのか」ということを気にされるのではないでしょうか。ここでは警察庁発表の最新データから、侵入窃盗の傾向をみてみましょう。
目次
減少続く侵入窃盗の認知件数
警察庁の統計によると、2012年の侵入窃盗の認知件数は115,328件でしたが、2022年においては36,588件であり、10年間で認知件数が約3分の1になっていることが分かります。
発生場所別でみると、2022年には侵入窃盗の認知件数全体の45.2%にあたる16,524件の侵入窃盗が「住宅」で発生していました。このデータに基づくと、約32分に1件のペースで住宅への侵入窃盗被害が発生している計算になります。
狙われやすい一戸建住宅
警察庁による「住宅形態別侵入窃盗認知件数の割合」を見てみると、一戸建住宅の割合は全体の約7割以上を占めており、最も被害に遭いやすいことがわかります。次いで多いのが3階建て以下の共同住宅で17.3%、その次が4階建て以上の共同住宅で9.6%となっています。3階建て以下の共同住宅と比較しても一戸建ては約4倍以上の被害が発生しており、いかに一戸建住宅が侵入窃盗の被害に遭いやすいかが分かるでしょう。
空き巣が全体の6割だが、その1/3は在宅時に
「空き巣」「忍込み」「居空き」が侵入窃盗の代表的な手口です。
「空き巣」は留守宅に侵入する手口、「忍込み」は夜間家人が就寝中に侵入する手口、「居空き」は家人が在宅中に気づかれないように侵入する手口を意味しています。
住宅で発生した侵入窃盗の手口割合(2022年)をみると、空き巣が63.9%、忍込みが25.2%、居空きが5.3%となっています。
ここで注目すべきなのは、住宅で発生した侵入窃盗のうち約3割は大胆にも家人が在宅中に侵入しているということです。
「居空き」は家族が集まってひとつの部屋で食事をしているときや、主婦が洗濯物を干しているときなどが狙われやすいとされています。たとえ在宅中であっても目の届きにくい部屋や扉は必ず施錠するよう習慣付けましょう。
無施錠の窓やドアからの侵入が約半数
住宅への侵入窃盗の侵入方法別認知件数をみてみると、鍵の閉め忘れである「無締り」がもっとも多く46.8%と全体の約半数を占めています。
次いで多いのが「ガラス破り」で26.2%となっています。ピッキングやサムターン回しなどの、いわゆる「施錠開け」の手口は対策されたドアや錠が増えたことで年々減少しており、8.0%にとどまりました。
侵入窃盗犯は「カギをかけ忘れている窓はないか」「周囲に気づかれずに破ることのできる窓はないか」という視点からターゲットを物色するといわれています。またゴミ出しなどで「すぐ戻るから」と油断して施錠しなかったことから侵入されるというケースも少なくありません。
侵入窃盗犯から家族と自宅を守るには常に高い防犯意識を持って施錠を徹底するとともに、防犯フィルムや補助錠、警報ブザーなどの対策を施しておくことが重要です。フェンス、塀、柵、垣根、庭木、植栽などで死角が発生している場合には、防犯という観点からは、可能な限り死角となっている箇所を減らすようにすることが望ましいと言えます。
住宅の形態によって変わる空き巣の侵入手口
住宅の形態によって侵入口や侵入手段の傾向に違いがあります。下図は2022年における住宅に対する空き巣の侵入口・侵入手段について、住宅の形態ごとにグラフにしたものです。
一戸建住宅では「窓」から「ガラス破り」の手口で侵入した例が非常に多くなっていることがわかります。
4階建以上の共同住宅においては「表出入口」の「無締り」による空き巣被害が多くなっていることがわかります。中高層マンションなどでは、ゴミ捨てや短時間の買い物などのときに玄関扉を施錠しない住宅が空き巣の被害に遭っています。
中高層マンションであっても「窓」から「ガラス破り」の手口で侵入されたケースは少なくありません。高層階を狙う侵入窃盗犯は、屋上や非常階段などからベランダに侵入し、ベランダ伝いに隣の住戸に移動して、犯行に及ぶことがあります。マンションではベランダが周囲からの死角になっているケースが多く、ガラス破りを行うのに好都合な環境であることも被害が拡大する要因となっています。
また、「合鍵」を使って「表出入口」から侵入するようなケースも多く発生しています。鍵を厳重に管理することはもちろん、住所がわかるものと一緒に持ち歩かない、鍵番号が他人から見えないようにしておく、などの配慮をしておきましょう。自宅の鍵の写真を不用意にSNSに投稿したことが原因で複製されて被害にあったというケースもありますので、鍵の写真などはむやみに撮らないようにした方が賢明です。
以下に自宅を守る防犯対策の基本をまとめてみました。
一戸建て住戸・共同住宅共通の防犯対策の基本
- 窓と扉は必ず施錠する
- 補助錠や防犯フィルム、警報ブザーなどを配置して侵入されにくい環境を作る
- 住所がわかるものを鍵と一緒に持ち歩かない
- 鍵番号は他人から見られないようにする
- 賃貸住宅や中古住宅は、鍵が交換されていることを確認し、補助錠を設置する
共同住宅全体の防犯対策の基本
- 屋上入口の扉を施錠し、簡単に立ち入ることのできないよう管理する
- 想定される窃盗犯の動線上に防犯カメラを設置する
- 共用部分からベランダに飛び移れそうな箇所には忍び返しや有刺鉄線などを設置する
空き巣対策にはホームセキュリティの導入を
以上、最新の統計データを基に侵入窃盗の傾向をみてきました。
全般的にみると、窓のガラス破りによる侵入、玄関の施錠開けによる侵入、無施錠の玄関からの侵入などが多く発生しており、注意が必要だと考えられます。
「補助錠」を設置したり、ガラスに防犯フィルムを貼るなどしたりすることで、空き巣等のリスクを低減することができます。
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