台風に強い家ってどんな家?風害・水害に強い家の特徴とは
地震や火山噴火など、自然災害に見舞われる機会の多い日本。台風による風害・水害もそのひとつです。特に近年は、大型台風による被害が増加しています。家の新築や購入を検討中の方であれば、雨や風の被害を受けにくく、台風に強い家づくりについてお考えのことでしょう。この記事では、台風による家屋の被害や、台風に強い家の特徴についてご紹介します。
台風の際に家はどのくらい被害を受ける?
台風によって受ける被害で真っ先に連想するものの1つに、強風による風害が挙げられます。以下は、風の強さと速さが住宅やビルなどの建造物に及ぼす影響を表にまとめたものです。
風の強さ | 平均風速 | 瞬間風速の目安 | 建造物への影響 |
---|---|---|---|
やや強い風 | 10~15m/s | ~20m/s | 雨どいの揺れを感じる |
強い風 | 15~20m/s | ~30m/s | 雨戸・シャッターの揺れ 屋根瓦やかやぶき屋根のめくれ |
非常に強い風 | 20~30m/s | ~40m/s | 屋根瓦やかやぶき屋根が飛散する恐れ ビニールハウスが破れる恐れ 固定されていない小屋などの転倒 |
猛烈な風 | 30~35m/s | ~50m/s | 固定不十分な金属屋根材の剥がれ 養生不十分な仮設足場が崩れる恐れ |
35~40m/s | ~60m/s | 壁材などの外装材が剥がれて飛散する恐れ | |
40m/s~ | 60m/s~ | 家屋の倒壊や鉄筋建造物の変形が危ぶまれる |
台風予報でよく耳にする「最大瞬間風速30m/s(メートル毎秒)」ほどでも、屋根材が破損することがあります。さらに、最大瞬間風速が30m/sを越え、平均風速20 m/s以上の台風の場合、屋根材が飛散したり、固定されていない小屋や物置が倒れたりする恐れがあることが分かります。
またそれ以上の風速になると、十分に固定されていないものは簡単に飛散したり崩れてしまったりする恐れがあります。強風の予報が出ているときには、台風が接近する前に家の周辺の片付けや養生を行っておかなければなりません。
台風が私たちに及ぼす被害は、風害だけではありません。大雨にともなう水害も、多数発生しています。台風による水害には河川の氾濫などによる家屋の床下・床上浸水の他、土砂崩れによる被害も含まれます。
台風の通り道とも呼ばれる日本に暮らす私たちにとって、大雨や強風による被害を受けにくい「台風に強い家づくり」を考えることは、もはや必須と言っても良いでしょう。
台風に強い家の特徴は?
どのような特徴を備えていれば、台風による被害を抑えることが可能になるのでしょうか。ここでは、台風による大雨や強風に強いとされる家がもつ、おもな特徴についてご紹介します。
台風に強い立地条件
台風に強い家に住むには、どこに建てるかという立地条件も重要です。
障害物のない海沿いの土地は、内陸部よりも強い風速が確認されています。海沿いの場合は台風による高波や高潮による災害が発生する可能性もあります。
また、海だけでなく土地の近くに河川がある場合は、大雨によって河川が増水する危険性もあるでしょう。
傾斜が急な山が近くにある土地については、台風による大雨の影響からがけ崩れや土石流、地すべりなどの土砂災害が起きる可能性があります。
地形が平坦ではなく高低差があるかも確認してみましょう。周辺よりも低い土地は、大雨が降ると水が集まりやすく、地盤が弱くなっていることがあります。
家を建てる土地や今住んでいる土地の災害リスクについては、ハザードマップを確認してみましょう。
コンクリートか木造か
台風の雨や風に強い住宅と聞くと、軽い木造よりも重量のあるコンクリート造の住宅を連想する方が多いと思います。鉄筋コンクリート構造(RC構造)は、コンクリートと鉄筋を組み合わせることでより強度が上がるため、台風による強風に強いだけでなく、耐震・耐火性能も高いといわれています。
しかし、木造の住宅は台風の被害を受けやすいと一概に判断することは早計です。台風が毎年何度も接近する南西諸島にも強風に負けない木造住宅があるように、枠組壁工法(ツーバイフォー工法)や、耐震構法SE構法と呼ばれる方法など、台風や地震などの外力に強い構造に沿って建築することで影響を減らせるのです。
台風に強い屋根材を選定する
台風による被害を受けやすい家の箇所として、屋根部分が挙げられます。台風に強い家を建てるなら、飛散・破損を防ぐための素材や構造が選定された屋根材を選びましょう。
防災瓦
瓦の1枚1枚を噛み合わせて施工することで、強風や地震などで瓦が飛ばされたり、落ちにくい構造の屋根瓦です。
金属屋根
ガルバリウム鋼板屋根、ジンカリウム鋼板屋根など、金属製の屋根材です。金属屋根は1㎡あたり5kg前後と瓦屋根よりも軽量で飛ばされやすいので、施工をしっかりしなければなりませんが、不浸透性がある(液体が浸透しない)ため降雨による雨漏りの危険性は少ないといえます。屋根として防水性能を高めるには確かな施工、施工精度が必須条件です。軽量で燃えないため、耐震性・耐火性も高い屋根材です。地震の際、家屋は重心が高い位置にあると大きく揺れが発生します。軽い屋根材であれば重心が低くなり、揺れの減少が期待できるのです。
アスファルトシングル
「シングル」とも呼ばれ、ガラス繊維を板状にして砂粒などでコーティングした素材の屋根です。軽量なため剥がれないよう確実に施工する必要がありますが、金属屋根と同様に防水性には優れるため、雨漏りに強い屋根を実現できます。
ガラス繊維で補強した「ファイバーグラスシングル」という種類であれば防火認定が適用されています。
台風に強い外壁材・外装材を選ぶ
屋根だけでなく、外壁も台風の被害を受けやすい箇所です。台風に比較的強い外壁材・外装材を選定することで、万一の際にも被害を抑えられる可能性があります。
タイル
昔ながらの外装材として知られるタイルですが、強度が高いためキズがつきにくく、飛来物による損害も発生しにくい特徴があります。剥がれや浮きが生じないように接着剤等の高い施工精度が必要です。
金属系サイディング
ガルバリウム鋼板などの表面材料と、断熱効果のある板を裏打ち材として成形されたもので、軽量で断熱性・耐久性に優れています。ひび割れの心配もなく強度が高いため、台風に強い屋根材といえるでしょう。防水性の高い材質ですが錆びやすいため、定期的な塗装メンテナンスが必要です。
窓の台風対策
台風で突風が吹くと、窓に被害が及ぶ場合があります。強風で窓が壊れてしまわないよう、シャッター雨戸を設置したり、強化ガラスを選定したりするなどあらかじめ備えましょう。
定期的な点検や適したメンテナンスを行う
屋根・外壁・窓のいずれについても、災害に強い材質を選ぶだけでなく定期的な点検や適したメンテナンスを行うことが重要です。台風の時には、ベランダや庭などに飛びそうなものを置かないようにしましょう。
台風による被害は、屋根材や外壁材の経年劣化が影響することもあります。メンテナンスのタイミングは材質によって違うため、確認の上で行いましょう。メンテナンスの際には、上記でご紹介した屋根材・外壁材へのリフォームも検討できると良いでしょう。
台風対策は日ごろの備えから
台風は発生を事前に予測できる災害です。言い換えれば、適した備えと早めの避難によって、被害を抑えられる可能性がより高いということです。日ごろから、台風が来たらどう行動するかをご家族で話し合っておき、避難時に必要となる水や食料、防災用品などを適宜持ち出せるようあらかじめ用意しましょう。
防災グッズを常備しよう
防災グッズはさまざまな場所で購入できますが、防犯・防災に関するノウハウを熟知した警備会社のALSOKでも、ご家庭での備蓄に最適な災害対策用品をご用意しています。
またALSOKでは、ご自宅の防犯・防災対策をさらに強化できる個人住宅用ホームセキュリティをご提供しています。平時の不審者・侵入者に備えた防犯対策ができ、さらに災害時の緊急通報にも役立ちます。新築住宅を建てる際には、設置も簡単で費用もリーズナブルなALSOKのホームセキュリティをぜひご検討ください。
まとめ
近年は、これまで台風災害をあまり想定していなかった地域でも、豪雨や強風の被害に見舞われる事態が発生するようになりました。これからは地域を問わず、万一の豪雨や強風に備えた住まいづくりが必要になるでしょう。
台風の被害を抑えるためには、家づくりだけでなく日ごろの備えも重要です。この機会にご自宅でできる台風対策をいま一度意識し、必要な備えを見直してみてはいかがでしょうか。
監修者プロフィール
一級建築士
宇山 達彦
東京理科大学理工学研究科建築学修了、2014年〜2019年 大和ハウス工業株式会社建築事業部にて設計士として勤務、現職は城北冶金工業株式会社 役員として勤務。令和3年 一級建築士資格取得。
現在はクラウドソーシングにて建築関連業務を行う傍ら、地域に根ざしたデザインを大切にした建築デザイン集団を企画、活動している。