レイプドラッグとは?危険性や被害を防止する方法を紹介
薬物の入った飲料などで相手の意識を混濁させ、無理に性行為に及ぶレイプドラッグ被害は後を断ちません。
国や警察からもたびたび注意喚起されている犯罪なので、日頃から被害を防止するための対策を講じておくことが大切です。
また、万一被害に遭ってしまった場合、どのように対処すべきかも事前に確認しておきましょう。
本記事では、レイプドラッグの基礎知識や事例、被害件数の推移、被害を防ぐ方法、被害に遭った場合の対処法について解説します。
目次
レイプドラッグによる事件や社会状況
レイプドラッグはその性質上、表沙汰になることが少ないため、他人事のように感じている方も多いでしょう。しかし、その被害は決して少なくなく、身近なところで起こり得る犯罪として認識されています。まずはレイプドラッグがどのようなものであり、どういった被害が報告されているのか、基本的な知識や社会的な状況を押さえておきましょう。
レイプドラッグとは?
レイプドラッグとは、飲み物などに混入させて相手の意識や抵抗力を奪った上で性的暴行(レイプ)する目的で用いられる薬物の総称です。ベンゾジアゼピン系の睡眠薬を用いるケースが多いですが、抗不安薬や覚醒剤などが使用される場合もあります。
レイプドラッグによる事件
レイプドラッグによる事件は場所やシチュエーションを問わず横行しています。例えば、大学サークルの飲み会で先輩にお酒を勧められ、断れずに飲んでいたらいつの間にか強烈な眠気に襲われ、気付いたら複数の人にわいせつな行為をされていたという事例があります。また、カラオケでお手洗いに行った後、残っていたドリンクを飲んだら意識がもうろうとして、同席していた人から体を触られたという事例も報告されています。
知らないうちに飲み物に混入されるケースが多いですが、中には「よく効く頭痛薬だから」と薬物そのものを渡され、信じて飲んだら気分が悪くなって抵抗できないままレイプされたというケースも報告されています。
レイプドラッグに関する社会状況
レイプドラッグによる被害拡大を防止するため、内閣府は内部部局の一つである男女共同参画局を通じて薬物やアルコールなどを使用した性犯罪・性暴力に関する被害事例や相談窓口などを紹介するホームページを立ち上げています。
また、警察では注意喚起に加え、薬物を飲まされていないかどうかを短時間で判定できる簡易検査キットを導入するなどの対策を行っています。
レイプドラッグはアルコールに混ぜられるケースが多く、被害者は「お酒を飲み過ぎたのかもしれない」と自責の念に駆られることも少なくありません。簡易検査キットを用いればこうした被害者の心理的負担の軽減につながると考えられています。
レイプドラッグを含む不同意性交等の件数推移
レイプドラッグを含む不同意性交等の認知件数は、2022年1~11月では1,517件、2023年1~11月は2,407件で、6割ほど増加しています。不同意性交等の犯罪が急増したというよりも、2023年に刑法が改正され、強制性交罪と準強制性交罪、強制わいせつ罪と準強制わいせつ罪がそれぞれ統合されて罪が成立する要件が見直されたこと。内閣府や警察の主導の下、被害を申告しやすい環境が整ってきていることなどが認知件数の増加につながったと考えられています。
ただ、認知されていない件数も考慮すると、依然として不同意性交等の犯罪が多いことに変わりはなく、被害防止策は必須とされています。
レイプドラッグによる被害を防止する方法
レイプドラッグによる被害を防ぐには、日頃の意識や行動を見直し、自衛する必要があります。不審なものを口にしないのが基本ですが、アルコールの影響で判断力が鈍ったり、その場の雰囲気に流されたりすると、つい警戒の意識が緩んでしまうこともあります。
万一の場合を考え、誤った行動を取ってしまった場合の対処法もチェックしておきましょう。
他人から渡された薬を飲まない
レイプドラッグとして用いられる睡眠薬や抗不安剤は、一見しただけでは頭痛薬や風邪薬などと見分けが付きません。「自分もよく使っている頭痛薬だから」と言われても、他人から渡された薬物を安易に口にするのは避けた方が無難です。
うっかり服用してしまった場合は、薬の効果が現れる前にその場から離れるか、「体調が悪いから家族に迎えに来てもらう」などと言って信頼できる人に助けを求めましょう。
飲み物を残したまま席を離れない
「さっきまで飲んでいて何もなかったから」という安心感から、残した飲み物には抵抗なく口を付けてしまいがちですが、離席している間に薬物を混入されるケースは少なくありません。トイレなどで席を立つときは、目の前にある飲み物はなるべく空にすることを心掛けましょう。
どうしても飲みきれない、あるいはうっかり飲み残したまま席を立ってしまった場合は、残した飲料には手を付けず、新しいドリンクを注文した方が安心です。
不審な感じがある場合は飲み物を取り換える
席を離れていなくても、少しよそ見をしている間に薬を盛られる可能性はゼロではありません。特に、その場にいる複数人が共謀している場合、一人が気を引いている間に他の人が薬を混入することもあります。少しの間、飲み物から目を離した場合は、グラスの表面や飲料の中に不審な粉末が付着・沈殿していないか、目視で確認した方がよいでしょう。
飲料を口にした後に味や匂いに違和感を覚えた場合は、口実を設けてその場から離れるか、店の人に味・匂いに違和感を覚えたことを伝えて助けを求めることで対処します。
密室になることを避ける
カラオケボックスや居酒屋の個室など人目に付かない場所ではレイプドラッグの被害が横行しやすい傾向にあります。初対面の人と意気投合すると、「二次会でカラオケに行こう」と誘われるがまま行動を共にしてしまいがちですが、気を許したところを狙われる可能性もあるので要注意です。
その場合はあらかじめ断るのがベストですが、雰囲気に流されて付いて行ってしまった場合は、店員にさりげなく助けを求めたり、「今から家族に迎えに来てもらう」などと言って牽制したりするとよいでしょう。
ペットボトルなどは未開封であることを確認する
サークルの集まりなどで複数ある飲み物の中から自由に手に取るシチュエーションのときは、フタのあるペットボトルや缶ジュースなど薬物を混入しにくいものを選ぶことが大切です。
ただ、ペットボトルの場合は一度開封して再び栓をすることが可能なので、他人から手渡された場合は、未開封であるかどうかを必ず確認しましょう。開封済みのペットボトルを手にしてしまった場合は手を付けず、未開封の新しいものと交換すると安心です。
もしレイプドラッグの被害に遭ったらどうする?
どれほど気を付けていても、レイプドラッグの被害に遭ってしまうリスクを完全に抑えることは困難です。
被害に遭うとご自分を責めたり、泣き寝入りしたりしてしまいがちですが、非があるのは加害者の方です。ご自分の心や尊厳を守るためにはどのように行動すべきか、どこに相談すべきかをあらかじめ確認しておきましょう。
相談窓口に連絡する
国や自治体は性犯罪の被害に遭った方を対象とした相談窓口を設置しています。一人で悩んだり苦しんだりせず、被害に遭ったら信頼できる窓口に相談しましょう。もちろんプライバシーは保護されるので安心して利用できます。代表的な相談窓口には以下のようなものがあります。
- 警察(性犯罪被害相談電話共通番号):#8103
- ワンストップ支援センター:
- 携帯電話、NTTアナログ固定電話:#8891
- NTTひかり電話(以下の地域除く):0120-8891-77
- 宮城県内:0120-556-460
- 埼玉県内:0120-31-8341
- 高知県内:0120-835-350
出典:『薬物やアルコールなどを使用した性犯罪・性暴力に関して』
出典:『性犯罪・性暴力被害者のためのワンストップ支援センター』
衣服や食器などを洗わずに残しておく
被害に遭ったときに着用していた衣服や、使用していた食器はなるべく洗わず、証拠として残しておきましょう。レイプドラッグは不同意性交等罪と呼ばれる犯罪に該当するため、立件されれば加害者側を処罰できます。
ただ、立件には薬物を摂取させられたことを証明する証拠が必要不可欠です。被害時の衣服や食器は物的証拠になり得るので、なるべく当時の状態のままで保管し、速やかに警察に提出しましょう。
レイプドラッグの危険性をしっかりと認識しておこう!
レイプドラッグはわずかな隙を狙って飲み物に混入され、意識や抵抗力を奪う恐ろしい薬物です。
お酒がある場所に限らず、ソフトドリンクなどに混入されたり、頭痛薬などと称されて渡されたりすることもあるので、他人から与えられた飲み物や薬品には口を付けない。飲み物を残したまま離席しないなど、日常生活で自衛することが大切です。
ただ、いくら自衛していてもリスクをゼロにすることはできないので、万一の場合を考慮し、緊急時に助けを求められる対策を講じておくことをおすすめします。
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