スキミングとは?手口や防止方法を詳しく解説

防犯 2024.03.25
スキミング

キャッシュレス決済が普及している現代において、クレジットカードの不正利用被害は数年前に比べて著しく増加しています。
不正利用の手口は複数ありますが、中でも昔からあるスキミングによる不正利用は後を断たず、その手口も複雑化しています。
スキミングによる不正利用の被害を防ぐには、その手口を正しく理解した上で、適切な対策を講じることが大切です。
本記事ではスキミングの手口、被害事例や被害件数を紹介するとともに、被害を防止する具体的な方法や、被害に遭った場合の対処法を説明します。

目次

スキミングとは?その手口を紹介

スキミングはクレジットカード不正利用の手口の一種です。昔からある手法ですが、近年は手口が巧妙化し、一般的な接触型カードだけでなく、非接触型カードも被害に遭うリスクがあります。適切に対策を講じることができるよう本コラムの内容をチェックしておきましょう。ここではスキミングの主な手口、被害事例、カード偽造に関する被害件数の推移について解説します。

スキミングとは

スキミングとは、スキマーと呼ばれる端末を使って抜き取った情報を基に偽造カードを作製し、不正利用する手法です。カードそのものは持ち主の手元に残るため、情報の抜き取りが発覚しにくく、不正利用されて初めて被害に気付くというケースが大半を占めます。犯人がカード情報を取得してから被害者が不正利用に気付いて対処するまでのタイムラグ(時間差)が長くなると、カードを使ったショッピングやキャッシングが複数回にわたって行われたり、キャッシュカードを使って複数回にわたって上限金額かそれに近い金額を引き出されたりするリスクが高くなります。一人あたりの被害額が多額に上ることも多く、犯罪のなかでも特に注意が必要とされています。

スキミングの手口

スキミングでは、カードの磁気ストライプに記録されている情報を読み取る機能を持つスキマーを使用します。一般的なクレジットカードやキャッシュカード等の場合は、スキマーに差し込むことで情報を取得します。一方で、交通系ICカードやタッチ決済対応カードなどの非接触型カードに非接触型のスキマーを近付けて情報を読み取るようなケースもあります。

スキミングの被害事例

スキミングの被害事例はさまざまな場所で複数報告されています。例えば、コンビニATMに仕掛けられたスキマーと小型カメラでカード情報と暗証番号を同時に窃取するケース、警察官などになりすまして本人の目の前で堂々と情報を抜き取るケースなどです。
また、非接触型カードの場合は直接スキマーに差し込む必要がないため、満員電車やエレベーターの中など、人が密集した場所を狙って犯行に及ぶ事例も報告されています。

スキミングを含むカード偽造に関する被害件数の推移

スキミングを含むカード偽造に関する被害件数の推移

出典:『犯罪統計資料 令和5年1~11月分』p12

警視庁の資料によると、スキミングを含むカード偽造に関する被害件数は、2022年1~11月はわずか1件でしたが、翌年2023年1~11月は17件に増加しています。なお、検挙件数は2022年は0件、2023年は4件です。これは刑法犯として認知された件数であり、実際にはこれよりも多くの被害が発生しているものと思われます。

スキミング被害を防止する方法

スキミング

スキミングの手口は以前に比べてかなり巧妙化しており、今や誰もが被害に遭うリスクがあります。特に普段からキャッシュレス決済を活用している方は被害に遭うリスクがより高いので、然るべき防止策を講じておくことが大切です。
ここではスキミング被害を防止する具体的な方法を5つご紹介します。一つだけの対策を実行するのではなく、なるべく複数の対策を併用するのがリスクをより低減させるポイントです。

ICチップ搭載クレジットカードに変更する

近年は不正利用対策として、従来の磁気ストライプの代わりにICチップを搭載したカードが増えています。ICチップは磁気ストライプよりも多くの情報を記録できる上、情報の暗号化が可能であることから、高いセキュリティを期待できます。
ICチップはカード表面に搭載されており、大きさは1cm角、色はゴールドまたはシルバーです。手持ちのカードにICチップが搭載されていない場合は、ICチップ搭載タイプに変更することをおすすめします。

不要なカードを持ち歩かない

不要なカードを何枚も持ち歩いていると、スキミングの被害に遭うリスクが高くなります。ポイントカードを兼ねているなど、理由があって複数枚所持している方も多いと思いますが、利用頻度が少ないものはなるべく持ち歩かないようにした方が無難です。
自宅に保管していても、空き巣などの被害に遭ってカードを悪用される可能性があります。カードを金庫に入れて施錠するようにしたり、ホームセキュリティシステムで防犯を強化したりして自宅での保管方法を見直すようにしましょう。使用しないカードについては思い切って解約も検討してみましょう。

スマートフォンの電話番号などを暗証番号にするのは避ける

実店舗でのカード決済には、暗証番号が必要となるケースがあります。決済に必要な暗証番号は4桁と短いため、身近なところから推測される可能性が高い番号を利用すると、簡単に不正利用されてしまいます。推測しやすい番号を使用するとスキミングからの不正利用リスクが高くなるので、スマートフォンの電話番号や車のナンバーなどを使用するのは控えた方がよいでしょう。
暗証番号を決める際は、好きな著名人の誕生日や自分の出生時の体重といった推測されにくい番号を設定すると良いでしょう。なお、好きな著名人のポスターを部屋に貼っているような場合などは推測される可能性もありますので他の番号にしましょう。

暗証番号入力時は周囲に注意する

自宅以外の場所で暗証番号を入力する際は、番号を盗み見られないよう、必ず周囲を確認しましょう。最近は小型のミラーを設置し、背後を確認できるようになっているATMなどもあるので、チェックする習慣を付けることをおすすめします。その上で、暗証番号を入力する手とは反対側の手でひさしを作り、キーパッドが周囲の目に触れないよう配慮するとより安全度が増します。

定期的に利用明細を確認する

どれほど対策していても、スキミング被害のリスクをゼロにすることはできません。万一の場合に備え、カードの利用明細は定期的に確認し、身に覚えのない利用がないかどうかチェックしましょう。
ただ、普段からカード決済を利用している方は、いつ・どこで・何の決済に使ったか、細かい内容を忘れてしまいがちです。日頃から家計簿を付けておけば、自分が決済したものかどうか確認しやすくなり、不正利用をすばやく発見できるでしょう。

万が一、スキミング被害に遭ったときの対処方法

カードをショッピングに利用している以上、スキミングを完全に防止するのは困難です。万一の場合を考慮し、被害に遭ったときの正しい対処方法も覚えておきましょう。主な対処方法は2つありますが、いずれも被害が発覚した時点で速やかに実行することが大切です。時間が経過するほど被害が拡大するおそれがあるので注意しましょう。

スキミングされたらすぐにカード会社へ連絡する

被害に気付いたら、まずカード会社へ連絡し、すぐに利用停止手続きを行いましょう。連絡先はカードの裏面に記載されています。紛失・盗難に関する連絡は24時間365日受け付けているので、曜日や時間に関係なく、発覚した時点ですぐに電話を掛けましょう。
また、スキミングは犯罪行為なので、カード会社への連絡を済ませたら管轄の警察に被害届を提出します。なお、被害届が受理された際に発行される受理番号は、後述する盗難紛失保険に必要な情報になるので、大切に保管しておきましょう。

盗難紛失保険を適用する

カードの種類によっては盗難紛失保険が付帯されている場合があります。保険が付帯されている場合、カード会社に連絡して所定の手続きを行えば、被害金額を補償してもらえることがあります。保険適用には前述した被害届の受理番号が必要になる他、カード会社の調査に協力したり、必要書類を提出したりする必要があります。手続き方法はカード会社によって異なるので、被害を連絡した際に尋ねておくとよいでしょう。
なお、保険には補償期間が設けられている場合もあるので、被害に気付いたら早急に手続きすることが大切です。

スキミング被害に遭わないようにしっかりと対策しよう!

ICチップ搭載タイプのカードに変更したり、不要なカードを持ち歩かないようにしたりすることで、スキミングの被害に遭うリスクを低減させることができます。
また、空き巣被害に遭ってカードを悪用されるリスクも考えられることから、万一の場合も想定し、空き巣被害対策としてホームセキュリティサービスの利用も検討することをおすすめします。

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