車のスマートキーの仕組みは?電池交換の方法や盗難防止策について
従来、車のロック解除やエンジン始動の際は、キーを鍵穴に入れてひねる動作が必要でした。平成初期ころから、キーに付いたスイッチを操作してドアロックの開閉を行う「キーレスエントリー」が普及します。そして現在では、エンジンの始動・停止もキーを使用せず行える「スマートキー」が普及しつつあります。
この記事では、車のスマートキーがどのような仕組みで動作するかをご説明し、電池交換の方法やインロック時の対処法、スマートキー搭載車の盗難対策などをご紹介します。
車のスマートキーの仕組み
スマートキーは常に微弱電波を発生させており、最新式のものは、スマートキーをポケットやカバンの中にいれたまま車に近づくまたはドアハンドルに触れるだけで、ドアロックの開け閉め、エンジンのON・OFFが操作可能です。
スマートキーと車の距離は、車種やメーカーによっても異なりますが、一般的には80cm~1mくらいが目安です。スマートキーにはボタンがついているため、キーレスキーと同じようにリモコン操作で解錠・施錠することも可能です。
エンジンの始動・停止については、スマートキーが車内にあれば、ブレーキを踏みながらエンジンスタートボタンを押してエンジンON、停止する際はギアをパーキングに入れエンジンスタートボタンを押すだけです。
運転手はスマートキーをバッグやポケットに入れたままで上記の操作を行えます。
その他、両手に荷物を持っていてもドア開閉ができることがスマートキーのメリットです。
その一方で、通常の鍵と同様に紛失や、スマートキーを車内に置いたまま鍵が掛ってしまうインロック(車内閉じ込み)のリスクがある点や、電池切れで操作ができなくなるなどのデメリットもあります。
電池切れのときにエンジンはかかる?
スマートキーが電池切れを起こしたときはどうすれば良いのでしょうか。
電池切れの場合もエンジンを始動できますが、いざ電池切れを起こして慌てないようにエンジン始動の手順を押さえておきましょう。
【スマートキー電池切れ時の乗車方法とエンジンのかけ方】
まず、スマートキー本体のカバーを開け、内蔵されているメカニカルキー(従来の鍵)を取り出します。メカニカルキーでドアの鍵穴からロックを解除し、車に乗りましょう。
エンジンの始動は、以下の手順で行ってください。
- シフトが「P(パーキング)」に入っていることを確認の上、ブレーキを踏む
- スマートキーのエンブレムが描かれた箇所、もしくはキーの裏面をエンジンスタートボタンに当てる
- スイッチやインジケーターが点滅し、音でも合図がされるので、各メーカーで指定された時間内にエンジンスイッチを押すことで、エンジンを始動できる
メカニカルキーをスマートキー本体から取り出したり、エンジンを始動させたりするための具体的な手順は、メーカーや車種により違う場合もあります。上記はあくまで代表的な手順のため、車の取扱説明書を必ず確認して正確な手順を把握しておきましょう。
最近では防犯上の観点から鍵穴がない(見えない)車種も多くあります。そういった場合は、ドアノブの部分をずらしたり、ドアノブカバーを外したりすると鍵穴が見える作りになっている場合が多く、事前に確認しておくと良いでしょう。
スマートキーの電池交換の方法
スマートキーの電池は、一定期間経過したら切れる前に交換しておくことが無難です。近年では、スマートキーの電池残量が少なくなると運転席のパネルに警告灯が表示される車が多くなっています。警告灯が表示されたら、早めに電池交換を行うようにしましょう。
スマートキーの電池交換の方法は車の取扱説明書にも書かれていますが、以下の手順で行う場合が一般的です。精密ドライバーでネジを回してキー本体のカバーを開ける必要がありますが、それほど複雑で難しい作業はともないません。
- スマートキー本体のカバー部分の小さいネジを外し、電池収納部からボタン電池を取り出す
- 古いボタン電池を取り出し、ボタン電池本体の記載を見て電池の種類を確認する
- ホームセンターなどで同種の新しいボタン電池を入手し、正しい入れ方で交換してカバーを閉じる
スマートキーをインロック(車内閉じ込み)した場合
スマートキーが車内に置いたままになっている場合、基本的にはインロック(車内閉じ込み)は起こりません。しかし、状況によってはスマートキーでもインロックしてしまう場合があります。
スマートキーがインロックされる原因
以下のケースでは、スマートキーでもインロックされることがあります。この場合、自力でドアを開けることが困難なため注意しましょう。
- スマートキー本体の電池が減っている場合
- 何らかの要因でスマートキーの電波が遮断されている場合
- 車内に置いたスマートキーの施錠ボタンが押された場合
スマートキーの電池が切れかかっていると、キー本体と車両の距離を誤認識してドアをロックしてしまう場合があります。また、子どもやペットを車に乗せたまま外に出た際に、車内に残したスマートキーが誤って操作され、インロックされる可能性もあります。
スマートキー付き車両の一部には、車内にキーを置いたまま外に出てドアを閉めた場合に警告を出す機能が備わっており、警報でインロックの危険性を知らせてくれます。警報が鳴ったら速やかにとりましょう。
特に、子どもの車内閉じ込めは命の危険があります。車外に出るときはスマートキーを常に持参し、なおかつお子さまは短い時間でも車内に残さないようにしましょう。
スマートキーインロックの予防策
インロックの予防策として以下のことを意識しておきましょう。
- スマートキーと運転者は「一緒に乗車、一緒に降車」を基本にする
- スマートキーの電池は常に確認する
- スペアキーを持ち歩く
前述の原因でドアを開けられなくなった場合は、ご家族などにスペアキーを持参してもらうか、業者へ依頼して解錠してもらいましょう。万が一に備え、常にスペアキーを携帯しておくことも予防になります。
また、メーカーの販売店に依頼すれば確実に対応してもらえますが、この場合は有料の対応となります。加入している自動車保険の特約で無料ロードサービスが付帯しているなら、そちらを利用した方がお得になることもあります。
スマートキー搭載車の盗難防止対策
スマートキーが付いた車は、盗難防止機能も備えている場合が一般的です。しかし、開かない鍵はないともいわれ、スマートキー搭載車すら巧妙な手口で簡単に盗まれてしまうこともあると報じられています。ここでは、スマートキー搭載車の盗難対策についてご紹介します。
スマートキー本体の紛失防止
スマートキー本体を失くしたりしないためには、シンプルですがキーの置き場所を決めておくことが効果的です。家の中ではもちろんのこと、持ち歩く際はカバンのどこに入れておく、ケースにいれて持ち歩くなど決めておきましょう。
また、紛失防止のスマートタグを取り付ける対策も効果的です。スマートタグ(忘れ物防止タグ)はさまざまな種類がありますので、持ち運びやすさ・機能などを考えて選ぶと良いでしょう。
スマートキーの仕組みの悪用による盗難を防止
スマートキーの優れた機能を、悪用して車を盗む手口もあります。それらを防ぐための対策も同時に行っておくと良いでしょう。
リレーアタック
リレーアタックとは、スマートキーから出ている微弱電波を中継してドアを解錠し、車両を盗む手口です。リレーアタックによる盗難への対策は、以下の記事をご確認ください。
コードグラバー
コードグラバーとは、本来は鍵業者がスマートキーの複製を行うために用いる機器です。これを不正入手して悪用し、盗難を図る手口が横行しています。スマートキーの微弱電波から、キーのIDコードや解錠コードをコードグラバーで読み取り、犯人はコードグラバーをスペアキーとして使い、そのまま車を盗んでしまうのです。
リレーアタックは複数名の犯人によって実行されますが、コードグラバーによる盗難は単独犯でも行えるため、より対策が難しいといわれています。
ご自身でコードグラバーによる盗難から車を守る対策には、キー本体から発する電波を遮断することで第三者に読み取らせない方法があります。自宅では、電波を遮断する金属の特性を利用し、蓋付きの金属製容器(缶など)にキーをしまっておくだけと手軽です。
キー携行中の盗難対策としては、電波を遮断できる盗難対策用のスマートキーケースが販売されているため、そちらを使用すると良いでしょう。しかしながら、ロック時の電波を受信するコードグラバーは電波遮断キーケースでは防げませんので、ロック時には周辺に不審人物がいないか注意する必要があります。
いずれの方法においても、電波が遮断されているか、実際にスマートキーを内包してロックの開錠操作をしても開錠されないか、確認することをお勧めします。これらは100%安心というわけにはいかないものの、有効性が見込まれる方法です。
大切な愛車を盗難から守ろう
車両盗難被害は、優れた盗難防止機能を備えたスマートキー搭載車でも頻発しています。
自宅での駐車中も犯人を警戒させ、犯行に及ばせないための対策として、駐車場に防犯カメラを設置しておくことは有効な手段の1つでしょう。
ハンドルロックやタイヤロックなど、物理的に車を盗ませない対策も有効ですが、防犯カメラがあると万一の盗難発生時も、早期の対処や犯人特定などにつながる場合があります。
ALSOKでは、セキュリティシステムと連動したカメラなどさまざまな機能を備えた防犯カメラをご提供しています。愛車の盗難対策に、ぜひお役立てください。
まとめ
車のスマートキーは、とても便利な機能で、私たちのカーライフを快適にしてくれます。一方で、電池切れやインロックが起こることもあり、車の盗難にも対策が必須です。大切な愛車が盗難被害に遭わないためにも、日ごろから盗難防止対策を徹底するようにしましょう。