突然車が燃える?車両火災の原因・消火方法を覚えておこう
交通情報で「○○高速道路で車両火災のため通行止め」などのお知らせを見聞きしたことがあるのではないでしょうか。とはいえどのような理由で車両火災が起こるのか、わからないという方も多いでしょう。
この記事では、意外と頻繁に発生している車両火災事故の実態とその原因、車両火災の予防法や万一車両火災に立ち会った際の消火方法などをご紹介します。
目次
突然車が燃える!車両火災は頻繁に起きている?
「令和4年版 消防白書」によると、2021年(令和3年)中に発生した車両火災の件数は、全国で3,512件。1日あたり約9件の頻度で車両火災が起こっていることになります。また、それによる死者数は71名にも上り、損害額も21億5,290万円と甚大です。
実際の原因や経緯はさまざまですが、自動車が燃える車両火災事故は思ったよりも多数起こっていると感じた方も少なくないでしょう。特定できている原因のなかには放火など事件性のあるケースも含まれており、いつどこで車両火災に立ち会うか分からない状況がうかがえます。
車両火災事故は他人事や対岸の火事ではないと意識し、1人ひとり予防に努める必要があるのです。
車両火災の原因はなに?
「令和4年版 消防白書」による、2021年に発生した車両火災の原因を以下の表にまとめました。
主要な原因 (件数) |
排気管 | 交通機関内配線 | 電気機器 | 総数 | |||
---|---|---|---|---|---|---|---|
531 | 316 | 254 | 3,512 | ||||
経過や火元 | 着火物の漏れ | 144 | 配線の短絡 | 107 | 配線の短絡 | 67 | |
高温物の接触 | 108 | スパーク | 53 | スパーク | 53 | ||
可燃物の接触 | 103 | スパークで引火 | 34 | 高温物の接触 | 19 | ||
他 | 176 | 他 | 122 | 他 | 115 | ||
主要な原因 (件数) |
放火とその疑い | たばこ | 不明・調査中 | ||||
235 | 152 | 2,024 | |||||
経過や火元 | ライター | 89 | 吸い殻の 投げ捨て |
69 | |||
たばこやマッチでの放火 | 17 | 吸い殻の接触や落下 | 55 | ||||
火のついた紙 | 7 | 吸い殻の再燃 | 9 | ||||
他 | 122 | 他 | 19 |
参照:令和4年版 消防白書
もっとも原因として多く報告されているものは「排気系からの出火」です。燃料やオイルなど着火物が漏れたり、可燃物が接触したりすることで、高温になる排気系で引火火災が発生するケースなどが想定されます。次いで「内部配線からの出火」となっており、こちらは漏電・スパークといった電気系火災にあたります。
しかし、車両火災の原因は、必ずしも車の故障などによるものとは限りません。運転手や同乗者の行動も大きな原因となる可能性があります。以下のようなケースが多く報告されているため、日頃車に乗る方は十分に留意する必要があるでしょう。
- エンジンの空ぶかし
- タバコの投げ捨てや不始末
- ライター、スプレー缶などの車内放置
また、稀ではありますが、上記以外にペットボトルが原因の「収れん火災」も報告されています。収れん火災とは、レンズ等により光を集めて熱を発生させ、付近にある紙などの可燃物に引火し発生する火災です。水の入ったペットボトルが車内に放置され、直射日光でレンズと同様に作用し、近くの紙類や車のシートに着火してしまう状況が想定されます。
車両火災を予防するには
車両火災は、運転手の不注意や不備によって起こっているケースも少なくありません。タバコやライターなど、火の取り扱いに注意することはもちろんですが、以下のようなことにも日頃から気をつけておきましょう。
車内に火災の原因となるものを置かない
マッチやライターなどの可燃物や油脂・ガスなどの燃料類をはじめ、缶スプレーやペットボトルも車内に置いたままにしないよう気をつけましょう。ペットボトルを車内に置く場合、日光が直接当たらないよう布などで覆ったり、バッグや小物入れの中に一時収納したりする方法も効果的です。
定期点検・日常点検を必ず行う
車検のほか、12カ月点検などの定期点検や日常点検をこまめに行いましょう。車の故障が原因とされる車両火災は、走行距離の多い車や年式の古い車で起こるケースが多いことが指摘されています。特に走行距離の長い車は整備を入念に行いましょう。
日々のメンテナンスを怠らない
バッテリーが古くなったら新しいものに換える、エンジンオイルなどの油脂類や消耗部品を定められた時期に交換するなど、推奨されているメンテナンスは怠らずに実施しましょう。
燃料漏れに気づいたら
引火性の高い燃料が車の燃料系部品から漏れると火災が発生し、大きな被害につながる場合があります。もし走行中や駐車中にガソリンなどの燃料漏れに気づいたら、以下のように対処し火災発生を未然に防ぎましょう。
走行中に燃料の匂いに気づいた場合
すぐに車両を安全な場所に停止させエンジンを停めます。乗っている人は全員車外に出て身の安全を確保し、車のディーラーや整備工場、ロードサービスなどへ連絡し対応を待ちましょう。
駐停車中に燃料の匂いに気づいた場合
駐車場や自宅などで車に乗ろうとした際に燃料臭を感じた場合も、基本的に対処法は同じです。絶対にエンジンは始動させず、ディーラーや整備工場などに連絡し対応してもらってください。
上記いずれのケースでも、静電気によって燃料に引火する可能性があるため、車の乗降時のドア開閉は十分注意して行ってください。降車の際、通常はドアノブを開けてまず地面に足を着ける方が多いと思いますが、静電気を発生させないためには、ドアを開けた際にまずドアの縁や外装の金属部分に手を触れます。金属部分に触れたまま、地面に足を着けて外に降りましょう。足を地面に着けてから金属部分から手を放すようにしてください。
車両火災が起こった際の対応策・消火方法
万一、ご自身が車に乗っているとき車両火災が起きてしまったら、以下の順に対応しましょう。
停車し119番に通報
異常発生を他車へ知らせるため、ハザードランプを点灯させながら車を停めます。ご自身と同乗者の方の身の安全を確保し、まずは119番に電話して火災発生を通報してください。
初期消火
可能な状況であれば、できる範囲で初期消火を行います。火が小さく引火の可能性が低ければ、着ている上着をかけることや、飲料水などで消し止められる場合もあります。自動車用消火器を積んで置く、もしくはカー用品店などにある緊急消火スプレーを携行することも有用でしょう。自動車用消火器はブラケット等の取り付け金具を使うことで固定した状態で設置できます。
初期消火の際はくれぐれも無理をせず、安全を最優先に行動してください。
避難
車から離れて安全な場所へ避難し、消防の対応を待ちましょう。車を降りて離れる際に、もし余裕があれば、車に関する書類(車検証や保険証券など)を持ち出しておくと事故後の手続きが容易になります。
もしも車両火災や交通事故が起こったら
ALSOKでは、セゾン自動車火災保険「おとなの自動車保険」のサービスとして交通事故や車両火災時に迅速な現場サポートを行う「ALSOK事故現場安心サポート」をご提供しています。車の事故時には警察へ、火災時には消防署へ必ず連絡をしますが、動揺している状況できちんと対応できるか不安を感じる方も多いでしょう。そんなとき、ALSOKのガードマンが現場に急行し、必要となる現場の記録や適切なアドバイスなどを行います。
車両火災は外出先だけでなく、ご自宅での駐車時に起こる可能性もあります。ご自宅における異常時の緊急通報機能を備えたALSOKのホームセキュリティサービスも、ぜひご活用ください。
まとめ
車両火災の様子を実際に目にする機会は多くないだけに、あまり縁のないものという認識の方もいると思います。しかし、年間発生件数や出火原因などを見る限り、身近に発生し得る事故だと再認識した方も多いでしょう。
車はいつも、燃料という大量の可燃物を載せて走っています。ご自宅と同様に、十分火の元への注意を払いながら、日々のカーライフを安心して過ごしましょう。