子どものSNSトラブルの原因や未然に防ぐ対策
SNSの普及により、さまざまな情報が簡単に手に入る一方で、ネットに関する知識が未熟な子どもたちがSNSを通して犯罪に巻き込まれるケースが増えています。
本コラムでは、子どものSNSトラブルの原因や利用時の注意点、対処法についてご紹介します。
目次
SNSの利用が原因で起こる子どものトラブルが増加中
警察庁のデータによると、SNSに起因する事犯の被害児童数(18歳未満)は、令和5年で1,665件となっています。
また、罪種については次の表の通りです。
表を見てみると、令和5年は不同意性交等、略取誘拐の被害状況が拡大していることがわかります。そのほか、児童買春や児童ポルノ、不同意わいせつなど、SNSを通してさまざまな犯罪に巻き込まれる可能性があります。
SNSトラブルを引き起こす主な原因
SNSで起こるトラブルは投稿者に原因があることがほとんどです。主な原因としては次のものが挙げられます。
- 配慮が足りない発信
- 安易な個人情報の流出
SNSは匿名で発信することが可能です。特にネット上だと相手の反応が見えないため、受け取る側へ配慮がない発言をしてしまうケースがあります。最近ではSNSによる誹謗中傷が問題となっており、取り返しのつかない事件へ発展する事例もあります。匿名だからといって、受け取る側が傷つくような発言をしないように意識しなければなりません。
また、写真や動画を投稿できるSNSが増えたことで、投稿した写真・動画から自宅が特定されてしまうケースがあります。誰が見ているか分からないSNSの場で、安易に個人情報が特定できるような投稿は控えましょう。
身近で起こる子どものSNSトラブル事例
身近で起こる子どものSNSトラブルには、次の事例が挙げられます。
- 誹謗中傷
- いじめ
- ストーカー被害
具体的には、グループチャットから特定の子を除外する、SNSに悪口やデマを書き込むなどの行為が該当します。ほかにも、SNSでの投稿がきっかけで学校でのいじめに発展するケースもあります。発信側に悪気がなくても、文字だけでは完全に意図を汲み取ることができないため、受け取る側が不快な気持ちになってしまうこともあるでしょう。
また、SNSに投稿した写真、動画から個人情報が特定され、ストーカー行為等の被害に遭うケースもあります。写真、動画に映っている文字や背景、制服などから容易に自宅の住所や学校が分かってしまうことがあるため、投稿する前に必ず確認するようにしましょう。
トラブルに巻き込まれないSNSの使い方
SNSの特徴のひとつが、多くの人と気軽にコミュニケーションを取れることです。しかし、気軽に他人と繋がってしまうことから思わぬトラブルに発展することも多くなっています。
コミュニケーション相手への配慮
友達同士のコミュニケーションであっても、ちょっとした言葉の使い方で大きな誤解を招くことがあります。
例えば、友達同士でコミュニケーションを取るときに語尾に「?」「!」をつけ忘れたりすると、言葉が意図した意味と違う意味に捉えられてしまいます。
【表現例①】
「この写真、かわいくない?」
「この写真、かわいくない」
「この写真、かわいくない?」は「かわいいよね?」と同じ意味で相手に共感を求めていますが、「この写真、かわいくない」は疑問符がないと、相手を否定する意味に捉えられてしまいます。
【表現例②】
「いいね!」
「いいね」
「いいね!」は感情を込めてポジティブに応援しているニュアンスに感じられますが、「いいね」は感情が伝わりにくく、相手に対して無関心、または皮肉っぽく受け取られることがあります。
このように、ちょっとした記号や表現の違いが誤解を生み、トラブルの原因になることがあるため、文章の表現に注意が必要です。
文字のコミュニケーションでは、送信前に文章を読み返し、相手がどう受け取るか考えるようにしましょう。
SNSで知り合った人との接し方
特に気をつけたいのが、SNSで出会った見ず知らずの人に実際に会うことです。連絡を取り合っているうちに実際に会うことになってしまい、そのまま連れ去られたり犯罪に巻き込まれたりするケースもあります。
顔の見えないSNSでは、相手が年齢や性別など素性を偽っていることがあります。コミュニケーションを多く取ることは大切かもしれませんが、知らない人と実際に会うことはしないようにしましょう。誘われても断ることが大切です。
儲け話や勧誘
SNSで大金を稼げるなどの話に誘われてから、犯罪に巻き込まれる人も増えてきています。投資や副業などでお金を稼げるという投稿やメッセージをきっかけにお金をだまし取られるケースや、SNS上にお金を稼げると掲載された求人に応募し、特殊詐欺に加担させられているケースもあります。
また、SNSをきっかけとした援助交際によるトラブルも起こっています。簡単にお金が稼げるといった儲け話や、理想の相手と出会えるなどの勧誘は詐欺の可能性があり、注意が必要です。
個人情報の取り扱い
X(旧Twitter)やLINEなどの拡散力のあるSNSに写真や動画を投稿し、それが拡散されてしまうと、全てを回収・削除することはほぼ不可能です。写真や動画に位置情報が含まれたまま投稿してしまったり、友達だけに限定公開したSNSの投稿が引用・拡散されたりして、個人情報の流出につながってしまうこともあります。個人が特定できる内容の投稿は、気軽にSNSに載せないよう注意しなければなりません。
特に気をつけたいのが個人間での写真・動画のやり取りです。性的な写真・動画を拡散されたり、それをもとに脅されたりすることがあります。他の人からは見えないはずだと思っても、受取人が流出させないとは限りません。流出したら困るものを共有するのは絶対にやめましょう。
著作権
他人が描いた絵を勝手に載せたり、漫画の写真を無断でアップしたりすると著作権侵害にあたることがあります。また、違法にアップロードされたものだと知りつつダウンロードするのも違反です。違法な配信サイトは利用せず、正しい方法で楽しむようにしましょう。
SNSでの発信内容
不適切な投稿により、大きなトラブルになることもあります。例えば、放課後に立ち入り禁止の場所で撮った写真を友達に向けてアップした後、その写真が拡散され警察沙汰に発展し、学校や名前があっという間に特定されてしまったということもあります。
悪ふざけや悪意のある投稿は、場合によっては罪に問われたり賠償請求をされたりすることがあります。実際に、SNS上での注目を浴びようとして、飲食店での不適切な行動(食品衛生の観点から問題がある行動など)を行って、その動画をSNSに投稿し、不適切行為をした学生に賠償請求がされた事例も発生しています。そのため、SNSへ投稿する際は不適切な内容ではないかを確認するようにしましょう。
SNSトラブルが起きてしまった時の対処法
もし、お子さまがSNSでトラブルに遭ってしまったとしても冷静に対処することが大切です。
トラブルに遭ったお子さまは心が傷ついていたり、ご家族に話すことをためらっていたりする場合も多いです。お子さまを怒ることはせず落ち着いて状況を把握するようにしましょう。
非表示設定を活用する
SNSには、相手の投稿自体が見えないように非表示にしたり、つながり自体をブロックしたりする機能が備わっています。SNS上で誹謗中傷を受けるなどのトラブルがあった場合は、事態が大きくなる前に非表示設定をうまく活用し、見えないようにしましょう。
人権侵害情報の削除を依頼する
個人情報が第三者に流出されている場合は、人権侵害情報を削除してもらうよう掲載元に依頼することができます。SNSのお問い合わせなどから依頼できるページを探し、そこから削除依頼を行いましょう。
証拠を残しておく
悪口などが書き込まれている投稿を見つけたら、スクリーンショットや画面録画などで記録に残しておきましょう。サイト管理者等への削除依頼や警察等への相談の際にも必要となるため、投稿者のアカウント名や投稿日時なども分かる状態で記録しておきます。トラブルを対処するときに、多くの場合は投稿が削除されてしまっている可能性があるため、証拠として活用することができます。
反応しない
インターネットの普及により、SNSでの書き込みは短期間で拡散されるようになりました。ネットいじめは、相手の反応が見えないため周りの人たちも面白半分で同調しやすく、エスカレートしてしまうのが特徴です。また、書き込みに対する反応を楽しんでいる投稿者も中にはいるため、「反応しない」ことも一つの自衛手段です。
SNS専用の相談窓口や警察に相談する
困ったときは、SNS専用の相談窓口や警察に相談できます。SNSによるトラブルに巻き込まれた際は、1人または家族内だけで解決しようとせずに信頼できる機関に相談するようにしましょう。
また、トラブルに遭ってからだけでなく、トラブルに遭っているかもしれないと感じた際も、相談してみることをおすすめします。
次の団体では、LINEなどのSNSやチャットで相談を受け付けています。
- 特定非営利活動法人 自殺対策支援センターライフリンク
- 特定非営利活動法人 あなたのいばしょ
- 特定非営利活動法人 チャイルドライン支援センター
- 特定非営利活動法人 東京メンタルヘルス・スクエア
- 特定非営利活動法人 BONDプロジェクト
また、警視庁の「犯罪被害者等施策ホームページ」では、インターネット・SNSの誹謗中傷に関する相談窓口が設置されています。
SNSだけでなく、インターネットトラブルの対策について知りたい方は、次の記事で詳しく解説していますのでぜひご覧ください。
家族でできるSNSトラブルを未然に防ぐ対策
子どもがSNSを使う際には、トラブルが起こり得ることを想定して、親子で対策を講じる必要があります。ここからは、お子さまがSNSでトラブルに巻き込まれてしまう前に、家族でできる対策をご紹介します。
SNSの注意点や危険性を話しておく
ネットいじめは保護者の目が届きにくいものです。お子さまがネットいじめに巻き込まれないよう、SNSの注意点や危険性を話しておきましょう。例えば、ネット利用時のルールを作って情報モラルについてしっかりと理解してもらい、お子さま自身でリスク回避できる力を身につけさせる必要があります。
具体的には次のようなことをお子さまとよく話し合っておきましょう。
- SNSに友だちの悪口を書き込まない
- 個人情報が分かる写真を投稿しない
- 知らない人とやりとりをしない
- プライバシー侵害について理解する
SNSの利用ルールを設ける
あらかじめSNSの使い方について、ルールを設けておくことが大切です。
具体的には次のようなルールを設けましょう。
- SNSの利用設定は保護者が行い、子どもが勝手に変更はしない
- 決められた場所・時間以外にSNSを利用しない
- SNSで知り合った人と直接会わない
- 個人情報はSNSに載せない
- 困ったことが起きた場合、必ず保護者に相談する
また、保護者はルールを設ける上でSNSの利用規約だけでなく、サービスそのものについての知識を深める必要もあります。
普段から家族間でコミュニケーションを取る
SNSによるトラブルは、お子さまの悩みが発端として起きるケースが多くあります。そのため、普段から親子間でコミュニケーションを取り、人間関係などの悩みを相談しやすい環境にしてあげることも大切です。
とはいえ、子どもからすると親に相談しにくいケースもあるかもしれません。その場合は1人で抱え込まず、第三者(信頼できる機関など)に相談できるよう各自治体などが設置している相談窓口を子どもに教えておくと良いでしょう。
年齢に合った設定にする
SNSは対象年齢を13歳以上としていることが多いです。子どもがSNSを利用する場合は、利用規約の年齢制限やほかの条件を満たしているか確認しましょう。子どもが年齢制限を満たしていても、利用するのに適切な理解力や判断力があるかを保護者が判断することも大切です。
また、国内の携帯電話事業者では、未成年による有害サイトへの接続の制限が法律で義務付けられています。しかし、契約者が両親である場合など十分な制限をせずにスマートフォンを渡してしまう場合もあります。子どもが使う携帯電話・スマートフォンの設定は必ず渡す前に確認するようにしましょう。
フィルタリングをかける
SNSに起因するトラブルの被害に遭った児童のほとんどがフィルタリングをしていなかったことが分かっています。フィルタリングとは、不適切なサイトやアプリへのアクセスやダウンロードを制限する機能のことです。フィルタリングは、年齢や家庭のルールに応じて設定することができます。お子さまをSNSのトラブルから守るにはフィルタリングを利用するようにしましょう。
子どもをトラブルから守るためのALSOKサービス
また、SNSによるトラブル以外でも、登下校中に連れ去りや事件に巻き込まれる可能性もあります。 そこで、外出中のお子さまの防犯対策として、ALSOKの「まもるっく」がおすすめです。
まもるっくはGPSを内蔵した小型の携帯端末で、GPS機能でいつでもお子さまの現在位置を確認することができ、スマートフォンと同様に保護者の連絡先を登録しておけば通話も可能です。
もしものときは、端末のストラップを引くことで「緊急通報+防犯ブザーの鳴動」を同時に行うことができます。緊急通報があると、保護者の方へすぐに通報現場の位置情報と状況を通知します。依頼があればガードマンの駆けつけ対応も行っております。
お子さまがSNSを利用している場合、トラブルに巻き込まれて個人情報が流出し、それが原因で空き巣やストーカー被害に遭うのではないかと不安に感じる方も多いでしょう。大切なお子さまを守るためにも、ホームセキュリティの導入をおすすめします
ALSOKのホームセキュリティ「HOME ALSOK Connect」は、「セルフセキュリティ」「オンラインセキュリティ」の2つから選択できます。セルフセキュリティでは、お手頃価格でホームセキュリティを実現でき、もしもの時にはガードマンの依頼駆けつけが利用可能です。オンラインセキュリティでは、火災や不審者侵入などの異常発生時には自動でガードマンが駆けつけます。スマートフォンを機器に近づけるだけで警備を自動解除し、外出先でもワンタッチで警備開始が可能です。
ALSOKでは2004年から社会貢献活動の一環として、小学生向けの防犯出前授業「ALSOKあんしん教室」を実施しています。守りのプロであるALSOKのガードマンを講師として小学校へ派遣し、子どもたちに日常生活に潜む危険や防犯について意識してもらうきっかけを提供している人気の防犯出前授業です。
インターネットの安全な利用をテーマとした授業もありますので、ぜひチェックしてみてください。
まとめ
今回は、SNS利用時の注意点とSNSによるトラブルの対処法についてご紹介しました。
SNSは身近で気軽に使えるツールだからこそ、誰でもトラブルに巻き込まれる可能性があります。お子さまがトラブルに遭わないよう、家族間でルールを設けたり、普段からコミュニケーションを取ったりすることが大切です。