訪問介護でヘルパーができること・できないこと一覧
近年、テレビやネットニュース、新聞記事などで、介護についての話題を見かける機会が多くなりました。高齢化の進行に伴い、介護のニーズはますます高まっています。中でもホームヘルパー(訪問介護員)は、利用する方がより人間らしく安心して生活できるよう、さまざまな面から手助けしてくれる、とても大切な存在です。また、利用者自身だけではなく、利用者の家族などにとってもその存在は大きなものとなっています。
この記事では、訪問介護のヘルパーができること・できないことを一覧にしてご紹介します。
目次
ホームヘルパーとは?
ホームへルパーとは、在宅で生活している方々のお宅に訪問し、介護や生活援助等の訪問介護サービスを提供してくれる人のことを指します。
ホームヘルパーの正式名称は「訪問介護員」といい、国が定めた「介護職員初任者研修課程」を修了した人が、介護保険法に基づく訪問介護を提供する専門職です。
以前は、「ホームヘルパー2級(訪問介護員養成研修2級)」という資格でしたが、2013年4月1日の介護保険法施行規則改正に伴い廃止され、新たに同資格に相当する「介護職員初任者研修課程」が導入されました。
訪問介護サービスの主な内容
訪問介護サービスの主な内容は、身体介護(食事、入浴、排せつなどの介助)や生活援助(食事の調理、買い物、掃除など)、乗車・移送・降車の介助サービス(通院など)です。
介護保険を利用して訪問介護を受けられるのは、要介護認定を受けた方です。要支援と判定された方は基本的に訪問介護を受けられませんが、市町村が主体となって実施する介護予防・日常生活支援総合事業(総合事業)の一環として訪問介護を利用できます。また、要支援/要介護認定を受けていない方も、厚生労働省が作成した基本チェックリストに基づく調査により、支援が必要と判断された場合は訪問介護を受けることが可能です。
要支援/要介護認定についてはこちらの記事をご覧ください。
基本チェックリストの詳細についてはこちらをご確認ください。
ホームヘルパーに頼めないこと
ホームヘルパーには、できないこと(やってはいけないこと)が介護保険制度によって決められています。
ここでは、ホームヘルパーに頼めないことについて解説します。
利用者本人が自分でできること
訪問介護は、利用者本人ができないことを援助して、生活をサポートいくものです。そのため、利用者本人ができることは基本的にホームヘルパーが行うことはありません。例えば、料理や掃除が苦手だからといって、ホームヘルパーに頼むことはできないため注意が必要です。
本人以外の援助となる行為
利用者が使用する居室以外の掃除や来客の対応、家族分の買い物や調理、洗濯など、利用者以外を援助する行為は行うことはできません。訪問介護は利用者本人の自立を目的とした支援サービスであるためです。同居家族がいる場合、障害や病気といった理由がない限りは生活援助をすることも不可となります。
最低限の日常生活に必要のないこと
酒やタバコなど嗜好品の買い出しや来客用の買い物、お歳暮の購入など、日常生活を送るのに特に支障がないと判断される行為は行うことができません。
時間がかかりすぎること
特別行事の料理(おせち料理など)や引っ越し準備や大きな荷物の移動、庭木の手入れや大がかりな掃除など、日常的な家事の範疇を超える行為は行うことができません。
ケアプランに記載のないサービス
訪問介護のサービスは、ケアプラン(※)に沿って提供されます。ケアプランに記載されていないサービスの提供はできませんので注意しましょう。ケアプランは、ケアマネジャーと利用者本人、家族で相談し、身体の状況や環境などにより決定するものです。もし、利用したいサービスがある場合は、ケアマネジャーに相談しましょう。
※ケアプラン:利用者がどのような介護サービスを受ければ、その人らしく自立した生活が送ることができるのか考え、提供する介護サービスを組み合わせた計画書のこと。ケアマネジャーが利用者と面接して、問題点や課題などを把握し、家族や介護サービス事業者を含めた話し合いを行って作成します。
市区町村によってルールに違いがある場合も
ホームヘルパーができる介護支援の範囲は、市区町村ごとに独自のルールが定められています。支援が必要な項目が見つかったら、市区町村が定める訪問介護のルール内でサービスを受けられるかどうか、ケアマネジャーなどに確認しましょう。
ホームヘルパーができること・できないこと一覧
ここからはヘルパーができる範囲とできない範囲を一覧にしてご説明します。
身体介護
身体介護は、利用者が食事や入浴などの日常生活動作が一人でできず、介助を必要とする場合にヘルパーが行う直接的介助です。世帯や家族の状況に関わらず、ケアマネジャーの作成するケアプランに記載されたサービスを利用できます。
身体介護でできること
介護の内容 | ホームヘルパーができること |
---|---|
排せつ |
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食事 |
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入浴 |
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身体整容 |
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体位変換 移動・移乗 |
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通院・外出 |
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起床・就寝 |
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服薬 |
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身体介護は、トイレの介助や食事の介助など、日常生活の中で必要となる身体的なサポートを行います。自立支援が目的であれば、入浴を見守ったり一緒に調理を行ったりなどの見守り的援助も可能です。
身体介護でできないこと
介護内容 | ホームヘルパーができないこと |
---|---|
身体整容 |
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マッサージ |
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通院・外出 |
|
またホームヘルパーは、利用者の趣味趣向に関わる外出(カラオケ、パチンコ、観劇、老人会への参加、お墓参りなど)の同行はできません。
生活援助
生活援助は、利用者が一人暮らしの場合で、身体状況などにより自力では家事が困難な場合や、同居する家族等が障害や疾病等、または同様のやむをえない事情により家事が行えないケースで利用できます。
生活援助でできること
介護の内容 | ホームヘルパーができること |
---|---|
掃除 |
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洗濯 |
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ベッドメイク |
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衣服の整理・被服の補修 |
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調理 |
|
買い物 |
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外出支援 |
|
外出支援 |
|
その他 |
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基本的に利用者本人が主に利用する居室の清掃、利用者本人の衣類洗濯、利用者本人のための調理などの日常生活に対する援助が可能です。なお郵便局、ポストへの郵便物の持ち込み・投函は市区町村によってできる・できないの判断が分かれているため、確認が必要です。
生活援助でできないこと
介護内容 | ホームヘルパーができないこと |
---|---|
掃除 |
|
洗濯 |
|
ベッドメイク |
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衣服の整理・被服の補修 |
|
調理 |
|
買い物 |
|
外出支援 |
|
その他 |
|
利用者以外の方のための家事は、ホームヘルパーの仕事の範囲外となります。
また預貯金の引き出しなど、金銭や貴重品の取り扱いをヘルパーに頼むことはトラブル防止のため、基本的にはできません。金銭管理のサービスのご利用を考える場合は「日常生活自立支援事業」や「成年後見制度」がありますので相談してみると良いでしょう。
参考:厚生労働省「日常生活自立支援事業」
法務省「成年後見制度について」
通院時の乗車・降車等介助
利用者に対して、通院のためにホームヘルパーが自ら運転する車両への乗車や降車の介助を行うことができます。併せて、乗車前や降車後の屋内外における移動等の介助、通院先での受診手続きなどの介助も可能です。
通院時の乗車・降車等介助でできること
介護内容 | ホームヘルパーができること |
---|---|
移動前の準備 |
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乗降介助 |
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薬の受け取り |
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外出目的 |
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ホームヘルパーは、通院に関する付き添いができます。また、通院介助後の買い物等も可能です。
通院時の乗車・降車等介助でできないこと
介護内容 | ホームヘルパーができないこと |
---|---|
院内介助 |
|
外出目的 |
|
病院内での介助は、ホームヘルパーではなく、病院のスタッフが対応するのが基本です。しかし、院内の人手不足や認知症といった理由からホームヘルパーの対応が必要な場合は、ケアマネジャーや病院と相談した上でケアプランに入れることが可能です。
医療行為となるケア
医師や歯科医師、看護師など医療従事者以外の者の医療行為は禁止されているため、ホームヘルパーが行うことはできません。ただし、医療行為にならない範囲や規制の対象外となるケアはホームヘルパーでも行うことができます。医療行為ではないとされる医療関連行為について、ヘルパーができることを表にまとめました。
医療行為でできること
介護の内容 | ホームヘルパーができること |
---|---|
爪切り |
|
耳掃除 |
|
口腔ケア |
|
薬 |
|
処置 |
|
測定 |
|
医療行為に関連することでホームヘルパーが対応できるのは、専門的な判断を必要としない場合のみです。なお、たんの吸引や経管栄養は医療行為ですが、介護福祉士および一定の研修を受けた介護職員は、定められた条件下において実施できる場合があります。
医療行為でできないこと
介護内容 | ホームヘルパーができないこと |
---|---|
爪切り |
|
耳掃除 |
|
口腔ケア |
|
薬 |
|
処置 |
|
測定 |
|
上述のとおり、一定条件を満たしたたんの吸引や経管栄養といった医療行為は可能ですが、
それ以外の医療行為については行えません。そのため、自宅で医療行為が必要な場合は、訪問診療などを利用する必要があります。
在宅介護の大変さは以下の記事で解説しています。
経験豊富なホームヘルパーに依頼できるALSOKの介護サービス
ホームヘルパーは、訪問介護の利用者本人が自立し満ち足りた生活を送るためのサポートと、家族の身体的・精神的負担を減らし、そのご家族らしい暮らしができるようサポートする心強い存在です。ALSOKでは日常生活を支えるさまざまな介護サービスを提供しており、訪問介護サービスも経験豊富なホームヘルパーが対応します。介護保険で受けられないサービスであっても、内容によっては有償支援としてご希望にお応えすることも可能です。
介護サービスをご利用の際には、ALSOK介護サービスの活用をご検討ください。
また、ALSOKでは在宅介護を受けていない時間帯でも、ご高齢の方が安心して暮らせるよう支援するサービスを提供しています。
「HOME ALSOKみまもりサポート」は、緊急ボタン・相談ボタンといったボタンが付いていて、いつでも緊急通報や相談ができるようになっています。相談ボタンは、押すだけで看護師資格を持つスタッフにつながり、24時間いつでも健康相談が可能です。万が一の体調不良等のときには、緊急ボタンを押すことでガードマンが駆けつけます。
他にも、熱中症の注意喚起や緊急速報メールの受信・読み上げも可能です。みまもりサポートは、ALSOKが24時間365日見守ってくれるという安心感があるサービスです。
ホームヘルパーのサポートを通じて自分らしい生活を実現しよう
ホームヘルパーは単に利用者の手伝いを行う人ではなく、利用者本人がより自立した生活を送るための介護サービスを提供する重要な役割を担っています。介護ニーズが高まっている現代では、利用者の状況やニーズに合わせたさまざまなサービスが登場しています。ホームヘルパーのサポートはもちろん、見守りサービスなども活用してより自分らしい生活を実現しましょう。