悪質商法に注意しよう!種類や手口、クーリング・オフ制度について
世の中には、都合の良い言葉や甘い言葉を使い、お金をだまし取る悪質商法が存在します。すぐに悪質商法だと気付くことができれば良いのですが、「ここで商品を買えばお得だ」「簡単に収入を得られそうだ」などと思ってしまい、実際にだまされてしまう方は少なくありません。
この記事では、悪質商法の種類や手口、だまされたと思ったときに利用したいクーリング・オフ制度などについて説明します。どのような手口があるのかを知り、悪質業者の口車に乗せられないよう知識と警戒心を高めておきましょう。
悪質商法に気を付けて!
独立行政法人国民生活センターには、日々さまざまな消費者トラブルや苦情などが報告されています。2022年度における「商品・役務等別相談件数」の上位10位は以下のとおりです。
順位 | 商品・役務等 | 件数(件) | 割合(%) |
---|---|---|---|
1 | 商品一般 | 80,587 | 9.0 |
2 | 化粧品 | 79,793 | 8.9 |
3 | 賃貸アパート・マンション | 31,657 | 3.5 |
4 | 健康食品 | 30,615 | 3.4 |
5 | エステティックサービス | 22,284 | 2.5 |
6 | 移動通信サービス | 20,712 | 2.3 |
7 | 他の役務サービス | 20,080 | 2.2 |
8 | フリーローン・サラ金 | 18,660 | 2.1 |
9 | 紳士・婦人洋服 | 18,297 | 2.0 |
10 | インターネット接続回線 | 17,983 | 2.0 |
※相談件数の総数 895,606件
上の表からもわかるように、相談件数が最も多いのは「商品一般」という項目です。
「購入したものが賞味期限切れだった」など、単なる店側のミスと思われるケースも含まれますが、なかには悪質商法で半ば無理やり購入させられたトラブルの相談もあります。
4位の健康食品に関しては、定期購入契約を条件に解約や返品を受け付けてもらえないケースが多いようです。解約できると記載があったにもかかわらず、高額な解約料を請求されるなどの事例があります。購入の際は、定期購入が条件となっていないか、支払総額はいくらになるのか、解約・返品はできるのかなどをきちんと確認するようにしましょう。万が一トラブルが起きたときのために、事業者に連絡した記録を残しておくことも有効です。
悪質商法の種類・手口事例
現在確認されている悪質商法には、さまざまな種類があります。その手口の事例をご紹介します。高齢者を狙った悪質商法が多く見られるため、高齢者の方や高齢のご家族がいる方は特に注意が必要です。
訪問リフォーム
おもにお年寄りの家を突然訪問し、「お宅の屋根やお風呂には問題があります」などと勝手に診断し、相場よりも高い値段でリフォームを無理やり契約させる手口です。
「ケガの危険性があるので早く修理したほうが良い」「キャンペーン中なので今なら特別に200万のところを100万円にします」とさまざまな理由をつけ、契約を迫ってきます。
催眠商法
催眠商法は、まるで催眠術をかけているかのように高いものを安いと錯覚させ、売りつける悪質商法です。例えば、「有名化粧品を無料でお配りします」などと書かれたチラシを配り、会場に人を集めます。そして、来場者に初めは無料で商品を配っておき、次第に高額商品を売りつけるようになります。まるで、早いもの勝ちだと思わせるような雰囲気をつくることで、購買意欲を刺激する手口です。
内職商法
「簡単な内職です!一日数時間で月10万円!」などと、いかにも誰でも楽に稼げそうな印象を与えて、内職をさせる商法です。
内職に必要な道具(数万円分)を購入することになるうえ、商品を何千個つくっても、「完成品の質が悪いから合格したのはわずか」などと言われ、10万円はおろか、数千円にしかならないケースもあります。
先物取引商法
先物取引とは、決められた日に商品や対価の授受を行うことを約束する、合法的なやり取りです。しかし、なかには契約をさせてから追加で費用を支払わせたり、実際には対価や利益を渡さなかったりする業者もいます。
「ここだけの話です」「今契約しておけば将来必ず利益が出ます」などの、甘い言葉には十分気を付けましょう。
マルチ商法
マルチ商法とは、自分が買った商品を誰かに売ったり、会員を増やしたりすることで、自分に利益が還元されるという商法です。消費者がそのまま販売員になるというシステムで、多くの利益を得ようとすると友人・知人にまで売りつけることになるでしょう。
ネガティブ・オプション(送り付け商法)
ネガティブ・オプションは、商品を勝手に送り付け、代金を請求するという悪質商法です。注文をした覚えのない魚介類が届いた、断ったにも関わらずサプリメントの試供品と請求書が届いた、などのケースが報告されています。
点検商法
突然家を訪問し、「法律上、点検しなければならない」「無料で行います」などと言い、正規の業者を装ってトイレやシロアリ、水道管などの点検を行います。最終的に、不要な商品を売りつけたり、高額な修理費用を請求する手口です。悪質商法の場合、その日のうちに契約を迫ってくることが多いといわれています。
有料の点検や修理が法律上推奨されている事実はないため、点検と称して訪問してきた業者は一度怪しんでみることをおすすめします。
かたり商法
役所や消防署など、公的立場にある人物のような外見と語り口で、消火器や警報機などを売りつける商法です。身分証明書や所属を確認できない場合は、「規則で消火器の設置が必要です」「役所の者ですが、ガスの警報機を交換します」などと言われても信じないようにしてください。
霊感商法
霊感商法とは、家にある骨董品や何の変哲もない印鑑などに、「ここには悪霊が宿っています」「とりついた悪霊を祓わないと不幸になります」などと不安を煽り、不当なお金をだまし取る手口です。
言葉巧みに霊力があると思いこませてきますが、いきなり訪問してきて「悪霊」について語る時点で怪しんだほうがよいでしょう。
就職活動につけこむ資格商法
社会経験の乏しい大学生をターゲットにし、「就職活動をスムーズに進められる国家資格を簡単に取れます。テキスト代30万円を振り込んでください」などと迫る商法です。初めて電話で話す相手なのに、こちらの電話番号や大学生という属性を知っているなど、不審な点があれば勇気を持って電話を切りましょう。
利殖商法
利殖とは、配当金などによって利益を得て、財産を増やすことです。利殖商法では、未公開株・ファンド・外国通貨などの取引において、「必ず利益が出る」「確実に値上がりする」と言って勧誘し、資金をだまし取ります。
金融庁などの公的機関の人間だと名乗ってくるケースも報告されていますが、そのような公的機関が儲け話を斡旋することはありません。儲け話が来たら、一度落ち着いて考えてみてください。
クーリング・オフ制度を利用しよう
悪質商法でだまされて、つい商品を購入したりサービスの契約をしてしまった場合でも、クーリング・オフを利用すればキャンセルできることがあります。ただし、すべての契約に対して有効なわけではないので、クーリング・オフについてよく理解することが大切です。
クーリング・オフとは?
クーリング・オフとは、商品の購入・契約をしてから一定期間内であれば、キャンセル・解約ができる制度のことです。ただし、クーリング・オフが有効な期限は、契約書面を受け取った日から数えて8日以内(マルチ商法の場合は20日以内)と決められています。
クーリング・オフを利用すれば、違約金などを支払う必要はなく、さらに支払い済みの代金も全額返金されます。
クーリング・オフの手順
クーリング・オフは、書面にて以下の手順で行います。
- クーリング・オフを通知する書面をハガキなどで作成する。送る日付(消印)が、クーリング・オフの有効期限内か確認する(契約書面を受け取ってから8日以内)
- 内容証明郵便もしくは書留郵便にて、「解約」の旨を販売者に通知する
- 返品する商品の分も含めて、発送費用をすべて「料金受取人払い」にして発送する
なお、クーリング・オフを利用する際は契約書面や郵便局の領収書が証明となるため、必ず保管しておきましょう。
クーリング・オフができないケース
クーリング・オフは購入者の負担なしに、キャンセル・解約できる便利な制度ですが、なかには適用されないケースもあります。具体的に、次のような場合はクーリング・オフができないので、注意してください。
- 特定商取引法で定められた販売方法(訪問販売・電話勧誘販売・連鎖販売取引・業務提供誘引販売取引・特定継続的役務提供・訪問購入)以外で購入した商品
- 通信販売で購入した商品
- 使用済みの消耗品
- 乗用車
- 受け取る際に全額支払っている、3,000円未満の商品
悪質商法の被害にあわないためには?
悪質商法の被害を予防するには、どのようなことを意識すれば良いのでしょうか。
警視庁をはじめ、各県警などが発表している悪質商法撃退10箇条をご紹介します。ポイントが端的にまとめられているので、ぜひ参考にしてください。
- 何の用? しっかり聞こう 身分と要件!
- おかしいと 思ったときは ドア閉めて!
- 「儲かります」 そんな言葉に ご用心!
- 怪しいぞ 人のフトコロ聞く業者
- 勇気出し ハッキリ言おう 「いりません!」
- しつこいな そんな相手は 110番
- 迷ったら 一人で悩まず まず相談
- サインした 後でしまった もう遅い
- 契約は してもお金は 後払い
- あなたです! 自分の財産 守るのは
悪質商法の被害に特に遭いやすいのが、65歳以上の高齢者です。高齢のご家族が心配な場合は、日頃からご家族が悪質商法の手口について説明し、もしも判断ができないことがあれば、必ず家族に相談するよう伝えておくことをおすすめします。
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まとめ
悪質商法の種類や手口は実にさまざまで、冷静に考えれば「あり得ない」と思うような手口でも、実際にだまされてしまう被害者の方は少なくありません。いきなり訪問してきて、何かの契約や金銭に関わることを話してくる者がいたら、基本的に怪しいと思ってよいでしょう。家族が悪質商法の被害に遭わないよう、日頃から話し合っておくことも大切です。