【警視庁インタビュー】サイバー犯罪③高齢者を狙った詐欺行為にご用心!サイバー犯罪の情勢とサポート詐欺について
気軽にインターネットにアクセスできるスマートフォンは、ビジネスだけでなく日常生活を送る上でも欠かせない存在になりつつあります。そんな生活様式から危惧されるのはサイバー(インターネット)犯罪です。
今回は「警視庁のサイバーセキュリティ対策本部(敬称略)」に取材協力いただき、最近のサイバー犯罪の情勢、コロナ禍と関連するサポート詐欺についてのインタビューを実施しました。
最近のサイバー犯罪の情勢について
――最近のサイバー犯罪の情勢について教えてください。
警視庁担当者:
サイバー空間(インターネット空間)においての犯罪は企業などを狙ったインターネット利用犯罪など様々あるのですが、その中でも詐欺被害が一般の方も巻き込まれやすく、警視庁にも多く相談が寄せられています。
特に注意していただきたいのが「フィッシング詐欺」です。スマートフォンがどんどん普及しているだけにインターネット利用率も増加し、誰もがフィッシング詐欺の危険にさらされています。一人ひとりで対策をとる必要があると考えています。
高齢者の詐欺被害が増加する?スマホ社会への移行に伴う懸念
――現在、警視庁で懸念していることはありますか?またその理由は?
警視庁担当者:
警視庁で懸念していることの1つは、ご高齢の方々の詐欺被害の増加です。というのも、大手通信事業者が3G携帯電話向けのサービス(主にスマートフォン以外の携帯電話で通信するために必要なサービスのこと)を順次終了すると発表しています。早い事業者だと、今年(2022年)の3月末に終了予定です。
加えて国のDX(デジタルトランスフォーメーション)の推進に伴って、あらゆる行政サービスのデジタル化が進んでいくことが考えられます。マイナンバーのデジタル化検討であったりとか、身近な例でいうと処方箋アプリであったりとか、スマートフォンの利用を推奨する生活様式に移行しつつあります。
これらのことからご高齢の方々を含む多くの方が3G携帯からスマートフォンへ乗り換えることが想定されるので、インターネットやスマートフォンの扱いに不慣れな方、特にご高齢の方々を狙った詐欺行為が増加し、被害件数も増えていくのではと危惧しています。
スマートフォン依存度の高まりに伴って「サポート詐欺」も危険視している
――その他のサイバー犯罪について教えてください。
警視庁担当者:
警視庁にも相談が寄せられているのが、「サポート詐欺」とも呼ばれる架空料金請求詐欺です。
これはインターネット閲覧中に、突然「お使いのコンピュータはウイルスに感染しています」や「注意!システムの問題が見つかりました」などの利用者の不安を煽るような偽の警告画面を表示させて、ウイルス駆除のソフトウェアを購入させたりする手口のことです。
また警告画面に記載されている連絡先に電話をかけさせ「詳しくパソコンを調べます」などと偽り、サポート料と称した金銭を騙し取る事例もあります。クレジットカード会社を経由すると悪事が判明してしまうので、コンビニでAmazonギフト券などの電子マネー(電子ギフト券)などを購入させて番号を送らせるなど、巧妙なやり口が特徴です。
巧妙化するサイバー犯罪に警鐘!ご相談は最寄りの警察署へ
――最後に警視庁から皆様にお伝えしたいことはありますか?
警視庁担当者:
一人一人がインターネット空間における防犯意識を高める心のセキュリティを強化していくことが必要です。
フィッシング詐欺、サポート詐欺をはじめサイバー犯罪は年々巧妙化しています。被害に遭わないためにも、まずはサイバー犯罪の手口を知っていただき、詐欺を疑うことが大切です。もしもおかしなメールが来たり、万が一被害に遭ってしまった場合は最寄りの警察署へすぐにご相談ください。
また警視庁のホームページや警視庁サイバーセキュリティ対策本部のTwitterでは、最新の事例や対策などを紹介しているので参考にしてください。
【警視庁:情報セキュリティ広場】
サイバーセキュリティ対策に必要な情報を幅広く公開しています。
【警察庁:サイバー犯罪対策プロジェクト】
全国のサイバー犯罪の発生状況や各県警の取り組みなど公開しています。
取材日時:2022/02/01
取材協力:警視庁 サイバーセキュリティ対策本部 ご担当者様