【警視庁インタビュー】特殊詐欺② 特殊詐欺被害を食い止めた周囲の行動とは?|特殊詐欺の未然防止事例
特殊詐欺被害が発生する一方で、被害を未然に防いだ事例もニュース等で報道されています。警察官による防止もありますが、その場に居合わせた一般の方々の行動により被害を防ぐことができた事例もあります。では被害を瀬戸際で食い止めた周りの方々は、どのような行動をしたのでしょうか?
今回は「警視庁 犯罪抑止対策本部(敬称略)」に取材協力いただき、特殊詐欺被害を未然に防止した事例についてインタビューしました。未然防止例を、ぜひ周囲のサポートのためにお役立てください。
特殊詐欺の情勢について|令和3年の被害金額は66億円を超える
――直近の特殊詐欺の情勢や具体的な被害件数・被害金額について教えてください。
警視庁担当者:
2021年の東京都内における特殊詐欺の認知件数は3,319件でした。そのうち、最多は「還付金詐欺」で、次に「オレオレ詐欺」「預貯金詐欺」が多く報告されています。
全体の被害金額は約66億円を越えるほか、前年の2020年と比較すると認知件数も被害金額も増加しているため予断を許さない状況です。
特殊詐欺の未然防止事例|被害を食い止めた周囲の行動とは?
――被害を未然に防ぐことができたケースはどのくらいあるのでしょうか?
警視庁担当者:
特殊詐欺の未然防止件数は2021年では約2千件、金額に換算すると約8億円もの被害相当になります。前年の2020年の件数と比較しても、未然防止件数は増えましたが、それだけ詐欺被害に遭う危険性が身近にあると言えます。お金の出金・入金のためにATMに来られた方が、「ストップ!ATMでの携帯電話」のポスターを見て、携帯電話で通話している人に、勇気を出してお声掛けをして被害を未然に防いだケースもあります。
――未然防止の具体的な事例を教えてください。
警視庁担当者:
銀行のATMに来られた住民の方(80代・女性)による還付金詐欺の未然防止の事例があります。
その方はATMを利用しようと並んで順番待ちをしていたところ、ATMコーナーに携帯電話で通話しながら入ってきた被害者(70代・女性)に気がつきました。被害者が小声で「今着きました。二人ATMに並んでいます。」などと話していたため、還付金詐欺ではないかと思い、「振込みじゃないの」「最初、なんて電話がきたの」と声をかけたのです。
被害者ははじめ電話内容を信じ込んでしまっていましたが、女性の熱心な問いかけなどにより警察に通報し、事なきを得たケースとなります。
――その他の未然防止の事例を教えてください。
警視庁担当者:
ある会社の部下社員による架空料金請求詐欺の未然防止の事例があります。
社内において被害者(50代・男性)が「通信事業者から未払いの料金がある」といった内容の電話をしていました。それを近くで聞いていた被害者の部下にあたる方が、架空の料金を請求する詐欺である可能性が高いと判断し被害者に声をかけました。被害者は電話内容を信じ込んでしまっていましたが、部下の熱心な説得により警察に通報し、事なきを得たケースとなります。
また、キャッシュカードが狙われたケースでは、配送業者による防止事例があります。
配送業者が被害者(60代・女性)の自宅を配達で訪問した際に、玄関先に慌てた様子の被害者がいました。防止者が事情を尋ねると「キャッシュカードを犯罪に使われていて、もうすぐ警察の人がカードを取りに来る」と話したことから、配送業者は詐欺と見破り、警察に通報した事例があります。
特殊詐欺の未然防止にご協力を!相談は警察相談専用電話の『#9110』へ!
――最後に警視庁から皆様にお伝えしたいことはありますか?
警視庁担当者:
特殊詐欺はご家族だけでなく、周囲の方々の機転の利いた行動とお声掛けなどの冷静な第三者の皆様の気づき・ご協力によって防止できることをぜひ知っていただきたいです。
また、日頃から特殊詐欺の被害のニュースに関心を寄せたり、ご家族とのコミュニケーションを通じてお互いに注意喚起をすることも大切です。
もしもご自宅にお金やキャッシュカードを要求するような電話があった場合は、一度電話を切って、地元の警察署、交番、家族に相談してください。警察相談専用電話の『#9110』もあるのでぜひ活用してください。
取材日時:2022/02/10
取材協力:警視庁 犯罪抑止対策本部 ご担当者様