防災のためのマイ・タイムラインとは?作り方・情報収集のポイント
災害時に慌てることなく、自分の身を自分で守るための行動ができるように、「マイ・タイムライン」をあらかじめ作成しておく動きが活発化しています。マイ・タイムラインに関するワークショップに参加したり、Webで情報を集めたりしている人も多いのではないでしょうか。
そこで本記事では、マイ・タイムラインについて、具体的な作成方法や情報収集のポイントを解説していきます。もしもの時に慌てずに行動できるよう、ご家族で日ごろから準備しておきましょう。
マイ・タイムラインとは
マイ・タイムラインとは、洪水のような進行型災害が発生した場合に「いつ」、「何をするのか」を整理した個人の防災計画です。
台風の接近などによって河川の水位が上昇した場合などに「個人がどのように行動すれば良いか」を時系列で整理し、災害発生時のチェックリストとしても活用できます。
マイ・タイムラインはなぜ必要なのか
マイ・タイムラインはなぜ必要なのでしょうか。
実際に災害が起きた時、事前準備なしでその場を冷静に行動できる人は恐らく少ないでしょう。各地で毎年のように大規模な洪水が発生し、すでに異常気象が日常になりつつある今、「自分の命も、家族の命も自ら守る」という意識を持つことが必要になってきました。
そこで、災害時の適切な行動を知るために、マイ・タイムラインを作成するのです。マイ・タイムラインを作成すれば、想定される災害に対してどのような行動をとるべきか知ることができ、防災意識が高まります。避難先の確認や物資の確保をしておくことで、災害時にいち早く行動することができます。
また、災害時に必要な情報源をあらかじめ確認しておけば、正しい情報を早く得ることもできるのです。
マイ・タイムライン検討のステージ
マイ・タイムラインには次の3つのステージを検討して作成します。
- 「知る」
- 「気づく」
- 「考える」
1.「知る」ステージ
まず、自分が住んでいる地域で想定される災害を確認しましょう。
地震、津波、台風、豪雨、火災など、地域によって発生しやすい災害が異なるため、発生し得る災害をリストアップし、避難経路など現状の課題を洗い出します。
2.「気づく」ステージ
次に、想定される災害に対して、どのような対策をとるべきかを検討します。
例えば、地震に備えるためには、家具の固定や非常用持ち出し袋の用意などが考えられます。また、避難場所や緊急連絡先の確認も重要です。
水害時に発令される警報などの種類を知り、それぞれの情報の取得方法や読み解き方を理解しましょう。
3.「考える」ステージ
最後に、具体的な行動をシミュレーションします。
1で知った地域の災害リスクと2の避難場所や発令情報を元に、自分や家族が取るべき行動を落とし込みます。
このように、災害について「知る」「気づく」「考える」ことで、いざという時スムーズに行動できるよう、個人や家族で一緒に考えることが重要です。
マイ・タイムラインの作り方
それでは実際にマイ・タイムラインを作ってみましょう。ハザードマップを確認する過程、必要な行動を考える、行動計画を立てる3段階があります。ここでは水害対策についてご紹介します。
住んでいる地域のハザードマップを確認する
まずは地域の「ハザードマップ」を入手し、地域の水害リスクについて確認しましょう。
平成30年7月豪雨時の大雨特別警報発表地区(一部)の在住者を対象に、国土交通省が災害リスクの調査を行ったところ、洪水の可能性がある「低地」居住者の約7割が、居住地の洪水危険性を楽観視していたことが分かりました。また、別の調査ではハザードマップの内容を理解している住民は全体のわずか2割程度という結果も出ています。住民一人ひとりが水害リスクについてリアリティを持って「じぶんごと化」することが大切でしょう。
ハザードマップは、自治体のホームページや防災アプリ、消防署などで入手できます。
必要な行動を考える
水害の場合には早めに避難するなど、水害時に発令される警報などの種類を知り、適切な行動を時系列で考えます。
以下は、5段階警戒レベルに応じて発表される防災気象情報とその活用例です。
警戒レベル | 気象庁等の情報 | 避難行動(とるべき行動) |
---|---|---|
レベル1 |
|
災害への心構えを高める |
レベル2 |
|
ハザードマップ等で避難行動を確認 |
レベル3 |
|
土砂災害警戒区域や急激な水位上昇のおそれがある河川沿いにお住いの方は、避難準備が整い次第、避難開始。高齢者等は速やかに避難 |
レベル4 |
|
速やかに避難 避難完了 |
レベル5 |
|
災害がすでに発生しており、命をまもるための最善の行動をとる |
また、災害時に必要な物品も考慮し、備蓄品を整備することも大切です。
行動計画を立てる
最後に、自分が暮らす地域の水害リスクと、水位の上昇に伴い発信される情報を基に、具体的な行動計画を立てます。安全に避難するためにどのような順序で防災行動を行うべきか、マイ・タイムラインに落とし込みましょう。
また、避難場所や避難経路、携帯が使えなくなった時の連絡方法なども計画に含めます。
マイ・タイムライン作成に必要な情報収集のポイント
マイ・タイムラインで個人の具体的な行動計画を作るためには「ハザードマップ」が必要です。現在はWeb上やアプリで確認する方法が主流ですが、地域によっては紙で配布しているところもあるので、詳しくはお住まいの市役所や役場などに聞いてみると良いでしょう。
また、情報収集のポイントとして、「いつ」「何をする」といった観点で、洪水時の具体的なシミュレーションをしておくことも大切です。実際に考えられるシミュレーションを書き出し、想定したシミュレーションに必要な情報を確認するようにしましょう。
例えば、洪水時には以下のようなシミュレーションが考えられます。
いつ |
など |
---|---|
何を |
など |
多くの人は「避難」と聞くと、自治体が指定している避難所に避難することを想像してしまいがちですが、「避難」とは、安全を確保することです。そのため、洪水時は地震とは異なり、洪水ハザードマップを確認し、浸水しない場所を避難先と考えます。そのため、必ずしも市区町村が指定する避難場所だけではなく、浸水しない地域に住む親戚や友人宅への移動も避難方法の1つです。
ハザードマップの確認方法
ハザードマップは自治体のホームページや防災アプリ、国土交通省が提供する「ハザードマップポータルサイト」などから入手できます。防災アプリでは今いる場所の住所を入力すれば、避難経路の確認や災害発生時に必要な情報や行動指示を受け取ることも可能です。
ハザードマップでは、次のような災害に対するリスクが確認できます。
- 地震
- 津波
- 高潮
- 内水
- 土砂災害
自治体が作成している「わがまちハザードマップ」は、市町村単位で災害に関する情報や避難場所の詳細などをより詳しく記載されているのでぜひ入手しましょう。
スマホを使って閲覧することもできますが、災害時にはネットが使えない可能性もあります。事前にダウンロードしたりスクリーンショットを撮ったり、紙に印刷することで、インターネットが使えない状態でも確認できるようにしておきましょう。
各地域のマイ・タイムラインの取り組み
マイ・タイムラインを誰でも作成できるように、独自の取り組みを行っている地域もあります。ここではその一例として、東京都の取り組みを紹介します。
東京都の取り組み「東京マイ・タイムライン」
東京都では、「東京マイ・タイムライン」というマイ・タイムライン専用のサイトページを作成し、独自の取り組みを行っています。
東京マイ・タイムラインでは、独自の「マイ・タイムラインシート」を用意し、子供から大人まで、風水害からの避難に必要な知識を習得しながら、家族で話し合ってマイ・タイムラインシートを作成することにより、適切な避難行動を事前に整理できるようになっています。
マイ・タイムラインの作成方法は、東京都が運営するYouTubeチャンネル内で学べるようになっています。その他、手書きのシートの他にアプリ版も提供しており、シートの作成や災害時に取るべき行動を、あらかじめ整理しやすくなっています。アプリでは、リアルタイムの水害予測や浸水の深さが、アニメーションで分かりやすく表示されています。
また、チャットボット機能で質問を送ると、避難のタイミングや具体的な行動をナビゲートしてくれる機能もあります。
東京マイ・タイムライン作成ナビについてはこちら
https://www.bousai.metro.tokyo.lg.jp/mytimeline/1008172/index.html
マイ・タイムラインの各地域の取り組み事例はこちら
https://www.mlit.go.jp/river/bousai/main/saigai/tisiki/syozaiti/mytimeline/pdf/torikumi_jirei.pdf
ALSOKの防災グッズでいざという時の備えを
マイ・タイムラインを作成し、自分がとるべき災害発生後の行動を理解したら、次に「防災グッズ」も準備しておきましょう。防災グッズに関しては、日頃から無理のない範囲で準備しておくといざという時安心です。
以下は一人当たり最低限必要なグッズとなります。家族の人数に合わせて用意しておきましょう。
【最低限必要なグッズ】
- 3日分の食料・飲料水
- 携帯ラジオ
- 懐中電灯
- 救急用具
- 軍手
- 携帯トイレ
- マルチツールナイフ
- 衣類・毛布
- 電池(ポータブルバッテリー)
この他にも、小さなお子さまにはミルクやおむつ、女性なら生理用品などが必要です。
リュックに入れてすぐに持ち出せるようなところに保管しましょう。
しかし、これらを1つひとつそろえるとなると、それなりに時間がかかります。
そこでALSOKでは、非常食や簡易トイレなど、もしもの時に必要な防災グッズを販売しています。非常用飲料水、非常食等の必要なものをまとめてセットにした「緊急キット」もあるので、家庭に一つ持っておくと安心です。
また、大雨が降ると洪水が予想される地域では「止水板(防水板)」を家の玄関やマンションのエントランスに設置しておけば、中に水が流れ込むのを防ぐことがます。
土のうを使って水を止めることもできますが、ALSOKの「組み合わせ式簡易止水板」は簡単に組み立てられて、省スペースで保管できるので、万一の備えとして持っておくと良いでしょう。この他にも多数の防犯グッズを取り扱っているので、お探しの方は「防犯・防災グッズ通販ショップ」をぜひご覧ください。
マイ・タイムラインでもしもの時の行動計画を策定し冷静な対応を
地域に起こりうる災害を知り、一人ひとりが事前に準備することは、逃げ遅れなどの二次災害を防ぎ、被害の拡大を抑えられます。特に急な判断が迫られる水害は、避難経路やタイミングをあらかじめ知っておけば、パニックにならずに落ち着いて行動できるのです。
職場や家族でマイタイムラインを考えると共に、防災グッズや簡単に設置できる防災設備を取り入れ、もしもの時に備えましょう。