知って対策!火山災害への備え
2023年現在、日本では111の活火山があります。そのうち50の活火山は「火山防災のために監視・観測体制の充実等が必要な火山」として位置づけられています。火山災害と聞くとあまりなじみがないかと思いますが、火山の周辺に住んでいる場合は火山災害の危険性を正しく理解し、備えをしておく必要があります。
ALSOKでは、火山災害などさまざまな自然災害への備えについて広く知っていただくため、内閣府(防災担当)のリーフレットを参考に「みんなで減災~教えて!わたしにもできる減災~」動画を制作いたしました。
火山災害、風水害、雪害への備えについてわかりやすくまとめています。ぜひお子さまと一緒にチェックしてみてください。
この記事では、火山噴火の種類や警報レベル、日頃の火山災害への備えについて解説します。
目次
火山災害とはなに?
火山災害は、噴火の種類によって想定される被害が異なります。種類ごとにどのような被害が発生し、どのような行動が必要なのか知っておきましょう。
噴石(ふんせき)
火山が噴火すると、岩石が吹き飛ばされることがあります。火口から噴き上げられた岩石は高温で、大きなものでは50cm以上になります。多くは火口の周辺に落下しますが、小さな噴石は風下側の数km~10数km程度まで飛散することがあります。
小さな噴石でも、体に直接当たると大けがをする危険性があるため、噴火口から2㎞以上離れるか、頑丈な建物への避難が必要です。
溶岩流(ようがんりゅう)
高温の溶岩(マグマ)が斜面を流れくだる現象を、「溶岩流」といいます。溶岩流が沼地や川に流れ込むと激しい二次爆発を引き起こす可能性があります。
流れる速度は地形や溶岩の温度などにもよりますが、時速1~2kmほどです。比較的ゆっくりとした流れであるため避難が可能な場合があります。
しかし、温度は1,000℃にも達するため、住宅地や農地まで流れ着いた場合は壊滅的被害を受けます。避難に備え、貴重品や非常持ち出し品、防災グッズなどをいつでも持ち出せるような準備をしておきましょう。
火砕流(かさいりゅう)
「火砕流」とは、火山灰や岩石、火山ガスが一体となって急速に山の斜面を流れ下る現象のことです。火砕流は時速100km以上のスピードがあり、温度は数100℃にも達するため、破壊力が大きく非常に危険です。火砕流が発生する前の避難が重要となります。
火山灰・火山泥流(かざんでいりゅう)
噴火によって細かく砕けた岩石(直径2mm未満)が火山灰となり、火口から離れた場所まで風によって飛散します。火山灰は、農作物や水質、航空機などの交通機関、建造物などに影響を与えます。
また、火山灰は人が吸い込むと空気と一緒に肺まで入り、呼吸器障害を引き起こします。鼻水やたんが増え、鼻やのどの奥の痛みなどの症状が出る場合もあります。
さらには目に入ると結膜炎になる可能性もある他、皮膚に触れると炎症を起こすことがあるため、外に出る際は長袖の衣服で身体を覆う、マスクやゴーグルを着用するなどの対策が重要です。
そして降り積もった火山灰の上に雨が降り、土石流(※)のようになった状態が「火山泥流」です。流木などを巻き込みながら、下流に流れていくことがあります。
火砕流によって山肌に積もっていた雪が解けて火山泥流となる場合や、熱水の噴出や火口湖の決壊により発生する場合もあります。
火山泥流は秒速40mで速度があり、人間の移動速度は陸上選手であっても秒速10m程度であるため、発生してからでは逃げ切れません。到達距離も長くなるため、大規模な被害を引き起こします。火山泥流が発生した際は泥流の流れに対して直角方向に、高台や2階以上の頑丈な建物を目指して避難しましょう。
※気象庁では、降雨によって発生する火山泥流を「土石流」と表現しています。
火山ガス
火口やふもとでは、地面から火山ガスが噴き出すことがあります。火山ガスは吸引すると二酸化硫黄による気管支などの障害、硫化水素による中毒などを発生する可能性があり、大変危険です。
また、火山ガスは目に見えない上においがないものもあるため、認識しにくい現象です。火山ガスが放出する恐れのある区域には立ち入らないようにして、決められたルートに沿って避難しましょう。
火山ガスが溜まりやすい低地などには注意看板などが設置されています。看板を見かけたら、近づかないようにしましょう。
【火山ガス画像例】
火山噴火の情報
火山の周辺に住んでいる場合は、日頃から噴火警報や噴火警戒レベルに注意して生活しなければなりません。有事の際に慌てないよう、警報の種類や取るべき行動を知っておきましょう。
噴火警報
気象庁は、全国111の活火山を対象として噴火警報を発表しています。生命に危険を及ぼす火山災害の発生、拡大が予想される場合に「警戒が必要な範囲」を明示の上発表されます。
警戒が必要な範囲が居住地域まで及ぶ場合の警報は「噴火警報(居住地域)」(または「噴火警報」)、警戒が必要な範囲が火口周辺に限られる場合は「噴火警報(火口周辺)」(または「火口周辺警報」)として発表されます。
なお、噴火警報はテレビやラジオ、気象庁のホームページや、携帯端末のプッシュ通知・アプリなどから情報を得ることができます。
噴火警戒レベル
噴火警戒レベルは、気象庁から火山噴火予知連絡会(※)によって選定された全国49の活火山に対して発表されます。
※気象庁の噴火など火山現象について総合的判断を行う機関
レベル5:避難
噴火によって居住地域にまで危険が及ぶ、もしくは危険が迫っている状況のため、一刻も早い避難が必要です。想定される現象は火山によって異なりますが、火砕流や火山泥流が居住地域にまで到達する可能性があります。
レベル4:高齢者等避難
大規模な噴火の発生が予想されている状況です。高齢者など避難に時間がかかる方の優先的な避難が必要です。その他の住民の方も避難準備を始めましょう。
レベル3:入山規制
居住地域近くまで影響を及ぼす噴火が発生、もしくは予想されるレベルです。山への立ち入り規制に従いましょう。状況によっては、高齢者や配慮が必要な方の避難準備を始めておく段階です。
レベル2:火口周辺規制
山頂の火口から小規模の噴火が発生・もしくは予想されるなどの状況から、火口周辺への立ち入りが規制されます。登山中の方は火口から離れ、規制外のエリアに避難しましょう。
レベル1:活火山であることに留意
火山活動は落ち着いている状態ですが、活火山である以上いつ状況が変わってもおかしくありません。登山中の方は、安全なルートや最新の噴火情報を確認できるようにしておきましょう。
噴火速報
噴火速報は、登山者や周辺の住民に対して、噴火の発生をいち早く知らせるための情報です。噴火速報は気象庁のホームページ、テレビ、ラジオ、端末などで知ることができます。最新の発表状況は気象庁サイトの噴火警報・速報のページから確認できます。
一刻も早く身を守る行動を取ってもらうため、火山噴火について端的に気象庁から発表されます。
噴火速報も、噴火警報と同じくテレビやラジオ、気象庁ホームページ、携帯端末のプッシュ通知・アプリなどを通じて発表されます。すぐに知ることができるよう、アプリの通知やアラートが鳴るように設定しておきましょう。
なお、噴火速報は噴火警報が発表されていない火山や常時観測火山の対象ではない火山においても、噴火の発生が確認できた場合に発表されます。
火山噴火時の行動について
火山噴火の際には、噴火警報や噴火速報に注意を払い、避難指示に従いましょう。
火口には絶対に近づかないようにしてください。
また噴火の恐れがあるエリアを登山中の場合は、事前の避難が大切です。
そして避難の際に市町村の指示があった場合は、それに従いましょう。
日頃の火山噴火対策と押さえておきたいポイント
ここでは火山が噴火した際の対策と押さえておきたいポイントをご紹介します。
噴火警戒レベルを確認し、最新情報をチェックする
火山周辺にお住まいの場合は、噴火警戒レベルや噴火警報を日頃から確認するようにしましょう。
なお、「噴火警報(火口周辺)」が発表された際や、噴火警戒レベルがレベル3(入山規制)である場合でも、対象範囲は「火口から居住地域近くまでの広い範囲の火口周辺」です。居住地域への被害はまだないからと安心せず、状況を注視して避難計画を立てましょう。
火山噴火の状況によって警報レベルは変化するため、最新情報をチェックするようにしてください。
ハザードマップの確認
国や市町村が発行しているハザードマップ(火山防災マップ)を確認の上、火山噴火において危険が及ぶエリアを確認しておきましょう。
国土交通省ハザードマップポータルサイトでは、全国の地域における危険情報を検索することができます。
リンク:ハザードマップポータルサイト https://disaportal.gsi.go.jp/
火山灰に注意する
火山噴火が発生した際、居住地から活火山までは距離があるため危険は及ばないと感じるかもしれませんが、火山から距離がある場所にいても注意するべきなのが、火山灰です。
火山灰は、火口から離れた場所まで風によって飛んでくる場合があります。外出時や除灰作業時にはマスクやゴーグルを着用し、火山灰が体や目の中に入らないように注意しなければなりません。
呼吸が荒くなると火山灰が肺に入り込みやすくなるため、激しい動きや運動は控えるようにしましょう。
また、火山灰が降り積もっている場合は視界が悪くなり路面が滑りやすくなるため、交通事故にも注意が必要です。
そして火山灰が降っているときは、なるべく家の中から出ないようにしましょう。洗濯物の取り込みや、ドアや窓の開け閉めの際にも、火山灰が家の中に入らないように注意してください。
火山に面したガラスに注意する
火山の噴火などの影響で、空気の振動(空震)が発生することがあります。窓ガラスが割れる可能性があるため、火山側に面している窓ガラスからは離れるようにしましょう。
そのため、普段から飛散防止用フィルムを貼って窓ガラスを補強したり、カーテンの設置をしたりするなど対策を行っておくと良いでしょう。
防災グッズや備蓄品を整える
火山噴火の事態に備え、ゴーグルやマスクなどの防災グッズを準備しておきましょう。
また、火山灰が発生しているときは自宅からはなるべく出ず屋内で待機する必要がありますが、インフラに影響があれば断水や停電になる可能性もあります。
火山に近い場所であれば噴石が落下する可能性があり、救助が来るまでに時間がかかることもあるでしょう。万が一の事態に備えて、以下記載のチェック表(災害共通)を用いて、水や非常食などの備蓄品を準備しておくことをおすすめします。
いざという時に備えて自宅の防犯・防災対策を強化しよう
ALSOKでは、火山災害や地震、火災等のもしもの時の備蓄品をご用意しております。
長期保存が可能で持ち運びにも便利な非常食や、保管場所に困らないコンパクトなタイプの災害用簡易トイレなど各種用品をそろえています。
ご自宅での災害備蓄品の準備の際にぜひご利用ください。
また、ALSOKではご自宅の防犯・防災対策をさらに強化できる個人住宅用のホームセキュリティもご提供しています。不審者や侵入者に備えた防犯対策や火災時の緊急通報など、お子さまの留守番時にも役立ちます。
まとめ
日本は多くの活火山を有しており、火山災害にいつ見舞われてもおかしくありません。また、大地震が起こった際に火山噴火が誘発される可能性もあります。火山の身近に住む私たちは火山警報などに注意を払い、日頃から火山噴火対策を行っておくことが重要です。
火山などの自然災害に備え、もしものときのために非常食や水、防災用品などの災害備蓄品も準備しておきましょう。