知って対策!豪雨や竜巻、土砂災害などの風水害への備え
日本では、季節の変わり目に梅雨前線や秋雨前線が停滞し、大雨が降りやすくなります。最近では、線状降水帯による集中豪雨も増加しています。線状降水帯とは、列をなすように積乱雲が次々に発生し、線状に伸びた雨域のことです。線状降水帯が発生すると強い降水をともなうため、土砂災害などの甚大な被害をもたらす可能性があります。
また7月から10月にかけては日本に接近・上陸する台風が多くなり、大雨、洪水、暴風、高潮などをもたらします。近年では、平成29年(2017年)7月の九州北部豪雨、令和元年(2019年)房総半島台風、令和元年(2019年)東日本台風、令和2年(2020年)7月豪雨などいくつも風水害が発生しています。
風水害が発生した際は身を守る行動が必要です。被害をできるだけ小さくする「減災」への取り組みを行い、事前に備えておきましょう。
ALSOKでは、さまざまな災害への備えを広く知っていただくために内閣府(防災担当)のリーフレットを参考に「みんなで減災~教えて!わたしにもできる減災~」動画を制作いたしました。風水害、火山災害、雪害への備えについてわかりやすくまとめていますので、是非ご家族と一緒にご覧ください。
この記事では、集中豪雨や竜巻、土砂災害などが発生した際の備えについてご紹介します。
目次
集中豪雨が発生する時期は?
集中豪雨は、日本付近に前線が停滞しているとき(梅雨が終わる頃)や、台風が日本に接近または上陸したとき、大気の不安定な状態が続き次々と雷雲が発生しているときなどに発生します。
そのため集中豪雨が発生する時期は、6月上旬から9月末頃が多くなっています。
令和5年(2023年)に発生した線状降水帯の事例は、6月2日から9月21日まで記録されています。
出典:気象庁 線状降水帯の事例 今年度の事例一覧
集中豪雨が発生した場合はどうなる?
集中豪雨の特徴は、限られた地域で短時間に大量の雨が降ることです。特に、線状降水帯の場合は何時間も同じ場所にとどまる特徴があることから、豪雨災害発生のリスクが高いといわれています。
そのため、集中豪雨によって一次災害(転んで怪我を負う、家屋が破損するなどの直接的な被害)が発生します。さらにはさまざまな二次災害にもつながる恐れがあります。
例えば、大雨により川の水かさが急に増え、氾濫する可能性があります。川の氾濫だけではなく道路も冠水するため、床下床上浸水が起こる可能性があるでしょう。
また、排水溝や下水管で処理できない水が地下街や地下室へ流れ込むことがあります。大雨により地盤がゆるむため、土石流の発生やがけ崩れ、地すべりなどの危険性もあります。
集中豪雨が発生した際は、指定の避難場所や建物の2階以上等といった安全な場所に避難する必要があります。また、河川やがけなど危険な場所に近づかないことも大切です。
豪雨や竜巻など風水害が起こった時の対応
集中豪雨や竜巻といった風水害が起こった場合は、被害が発生する前に避難する必要があります。まずは、最新の情報を手に入れることが大切です。
避難情報(警戒レベル)を確認
豪雨や竜巻などにより災害が発生する可能性があると、市区町村から避難情報が発令されます。避難情報は、警戒レベルによって対応が異なります。
警戒レベル3が発令された場合、避難に時間のかかる高齢者等は危険な場所から避難する必要があります。警戒レベル4が発令されると、危険な場所から全員避難しなければなりません。
警戒レベル5は「緊急安全確保」となり、災害がすでに発生しているか切迫している状況です。警戒レベル5が発令されてからの避難では遅い可能性があるため、警戒レベル4までに必ず安全な場所に避難しておく必要があります。
河川水位や雨の情報(防災気象情報)を確認
家の近くに河川がある方は、氾濫の恐れがあるため川の状況を知ることも大切です。
気象庁から、防災気象情報と呼ばれる河川水位や雨の情報が出されます。市区町村は、防災気象情報や地域の土地利用、災害の実績を踏まえて総合的に避難情報(警戒レベル)を判断します。近所の河川に警戒レベルが発令されたら、早めに自主避難するようにしましょう。
避難するときの注意点
必ず危険が迫る前に避難しましょう。警戒レベル4が発令されたらすぐに安全な場所へと避難します。特に土砂災害の可能性がある地域に住んでいる方や、高齢者等で避難に時間がかかる方は避難指示が出ていなくても、自主的に避難しておくと安心です。
また、一人で避難することが不安な方もいるでしょう。近隣同士で避難を呼びかけ合うことも大切です。避難時は安全な場所へ避難することを親族等にも連絡しておきます。
避難をする際、サンダルや長靴はかえって危険なこともあるため、靴を履くようにしてください。持ち物はリュックに入れ、いざというときに両手を使えるようにしましょう。お子さんがいる場合は、子どもから目を離さず、手をつなぎましょう。ロープで子どもと体を結ぶことで、はぐれにくくなります。
道路が冠水している場合、側溝やマンホールのフタが外れている可能性があります。
しかし、泥水で足元がよく見えずフタが外れているのか確認できないかもしれません。そのため、水の中を歩くときは側溝やマンホールなどにはまらないよう、長い棒で足元を確認するなどして、危険がないかチェックしながら歩きましょう(下図を参照)。
風が強く水の深さが膝上まである場合は、無理して避難所に行くよりも建物の2階以上の高い場所にとどまるほうが安全なこともあります。家の中などにいる場合は、高さのある安全な場所で待機するようにしましょう。
豪雨や竜巻など風水害への事前の備え
豪雨や竜巻などはある程度予測することができます。本格的に雨風が強くなる前に、風水害へ備えておくと安心です。
ハザードマップと一緒に避難行動判定フローを確認しておく
避難をする際は、避難場所に到着するまでの避難ルートが安全かどうかも確認する必要があります。海岸や増水した川、がけなど危険な場所には近づかないようにしなければなりません。
しかし、避難をする直前にハザードマップを調べる余裕がないこともあるでしょう。そのため、いつでも避難ができるように、ハザードマップの見方や避難場所を平時に確認しておきましょう。
災害時に一人ひとりが取るべき避難行動については、「避難行動判定フロー」を確認します。避難行動判定フローとは、ハザードマップと併せて確認することにより、とるべき避難行動や適切な避難先を判断できるようにしたものです。
また、災害発生時に家族が一緒にいるとは限りません。普段から家族で避難場所や連絡方法を話しあっておきましょう。
本格的に雨風が強くなった場合:家の外の備え
雨風が強くなると外に出ること自体が難しくなるため、事前に窓や雨戸はしっかりと鍵をかけておきます。必要に応じて補強するようにしましょう。
また、水はけが良くなるように、側溝や排水溝はきちんと掃除しておくと安心です。
ベランダや庭にあるサンダルや植木鉢、プロパンガスなど風で飛ばされそうな物は飛ばないように固定したり、家の中(玄関など)に収納しておきます。
本格的に雨風が強くなった場合:家の中の備え
避難が必要になったときのことを考えて、非常持ち出し品を準備しておきましょう。懐中電灯や携帯用ラジオ、救急用品、衣類、非常用食品などが用意されているかチェックしておきます。
また、家の中の備えとして、飛散防止フィルムを窓に貼る、万一の飛来物の飛び込みに備え、カーテンやブラインドをおろすなど安全対策を行いましょう。
豪雨の際は断水の恐れもあります。事前に浴槽に水を張るなど、飲料水の他に生活用水も確保しておきましょう。
豪雨が発生したときには土砂災害にも注意
集中豪雨や長雨などで地盤がゆるむと、土石流や地すべり、がけ崩れなどの土砂災害が発生しやすくなります。土砂災害の前ぶれのような異変を感じた場合は、自治体や周囲の人に知らせた上で、安全な場所へと避難してください。
土砂災害の前ぶれ(前兆現象)
土砂災害には、「土石流」「地すべり」「がけ崩れ」の3つの種類があります。
ここからはそれぞれの前兆現象についてご紹介します。
土石流の前兆現象と対策
土石流は、大量の岩石や土砂が川の水に運ばれて発生します。ものすごい速度で下流を襲い、住宅や畑などに甚大な被害をもたらします。土石流の前ぶれとして、川の流れがにごり流木が混じりはじめたり、雨が降り続いているのにも関わらず川の水位が下がったりといったことが起こります。
地すべりの前兆現象と対策
地すべりも、甚大な被害をもたらす土砂災害の1つです。地すべりは、斜面の一部または全部が地下水と重力の影響によって、ゆっくりと斜面下方に移動することです。地すべりが起こることで、住宅の崩壊や農作物へのダメージなどが発生します。地すべりの前ぶれとして、地割れができてきたり斜面から水が噴き出したりといった現象が起こります。
がけ崩れの前兆現象と対策
がけ崩れとは、地中に染み込んだ水分が抵抗力を弱め、雨や地震などが影響して急激に斜面が崩れ落ちることをいいます。がけ崩れは突然起こることから逃げ遅れてしまう方も多く、死者の割合も高い災害です。
がけから小石がパラパラ落ちてくる、がけから水が湧き出ている、がけに割れ目が見える場合は、がけ崩れが起こる前兆です。これらの前兆が見られる場合は、がけには近づかないようにし、安全な場所へと避難しましょう。
出典:内閣府防災情報 リーフレットみんなで減災(風水害の備えp11)
以下のチェックリストを参考に、必要な行動を確認しておきましょう。
いざという時に備えて自宅の防犯・防災対策を強化しよう
豪雨や竜巻といった風水害の備えは、事前の用意が大切です。
断水や停電が起こると水や電気が使えません。そのため、簡易トイレやブランケットなどを準備しておきましょう。生活用水確保のために、お風呂に水を貯めておくのも必要です。
また、土砂災害の影響により物流が滞り、なかなか飲料や食料が手に入らないことも想定されるため、飲料水や非常食も用意しておくと安心です。農林水産省発表の「災害時に備えた食品ストックガイド」では、最低3日分から1週間分を想定した備蓄品が必要とされています。
ALSOKの防犯・防犯グッズ通販ショップでは、災害備蓄用品をご用意しております。ぜひ、ご活用ください。
また、ALSOKではご自宅の防犯・防災対策をさらに強化できる個人住宅用のホームセキュリティもご提供しています。不審者や侵入者に備えた防犯対策や火災時の緊急通報など、お子さまの留守番時にも役立ちます。
おわりに
年々、線状降水帯による集中豪雨の発生が増えています。豪雨の影響による土砂災害などの被害も増加しており、風水害への事前の備えが重要です。
非常時に安全に避難するため、平時にハザードマップや避難場所・避難ルートの確認をしておきましょう。また、飲料水や生活用水、非常食、懐中電灯などの災害備蓄品も用意しておき、災害発生時の備えも万全にしておきましょう。