雪害に備えよう!雪かきや雪下ろし中の事故など知っておきたい雪の事故と対策とは

防災 2023.11.30
雪害に備えよう!雪かきや雪下ろし中の事故など知っておきたい雪の事故と対策とは

降雪は早いところで11月から始まり、1~3月は積雪による事故が増えます。降雪地域では雪かきや雪下ろし中の事故も多くみられるため、除雪作業中の事故の危険を理解し、安全な対策を講じることが必要です。
その他降雪・積雪による路面凍結や、視程障害(吹雪等による視界不良)による車両走行中の事故、歩行中の事故も目立ちます。
また、普段雪が降らない都市部で突然雪が降ると転倒する人が続出します。突然の雪の備えや、日頃歩いている街中で滑りやすい場所を知っておきましょう。

ALSOKでは、雪害などの自然災害への備えについて広く知っていただくため、内閣府(防災担当)のリーフレットを参考に「みんなで減災~教えて!わたしにもできる減災~」動画を制作いたしました。

雪害や火山災害・風水害の備えについてわかりやすくまとめています。ぜひ家族で一緒にチェックしてみてください。

この記事では、雪かきや雪下ろし中の事故など知っておきたい雪害対策についてご紹介します。

目次

雪害の種類を知っておこう

日本では、豪雪地帯が国土の約51%という広大な面積を占めており、積雪時は雪かきや雪下ろしなど除雪中の事故や雪崩といった豪雪地帯特有の災害が発生します。
豪雪地帯以外の地域でも、路面凍結による交通事故や、歩行者の転倒事故などさまざまな災害が発生しやすくなります。

雪害には、以下のような種類があります。

  • 雪かきや雪下ろしなど除雪中の事故
  • 車による雪道での事故
  • 歩行中の雪道での事故
  • 雪崩による事故

状況によっては命に関わる重大な事故につながりかねないため、このような雪害に遭わないよう知識を深め、備えておく必要があります。

雪が降ったらどうする?降雪時の情報収集

雪が降ったときは、災害発生に備えて適切な対策をするために情報収集が重要です。では、どこで情報を集めれば良いのでしょうか。

気象庁「今後の雪」

気象庁のホームページでは、知りたい時間帯の積雪の深さと降雪量を、道路や鉄道等の地図情報と重ね合わせて確認することができます。
出かける前に今後の雪の状態について情報を得ることで、時間帯や移動ルート、日程を変更するなどより安全な選択肢をとることができるでしょう。

気象庁「今後の雪」イメージ

出典:気象庁「今後の雪」

気象庁では、雪に関して以下のような情報を提供しています。

  • 3日先までの降雪量予想の提供
  • 数十年に一度の降雪量となる大雪に関する気象情報
  • 大雪による災害のおそれに関する気象情報
  • なだれ注意報などの気象情報の確認

また、積雪の状況や危険度に合わせて注意報・警報・特別警報を発表しています。
大雪の際は、お住まいの地域における災害情報をいち早く入手して、対策を検討しましょう。

ハザードマップ

ハザードマップとは、大雪などの自然災害による被害を予測し、危険と思われる区域や避難場所、避難経路などを地図化したものです。
国土交通省が運営する「わがまちハザードマップ」では日本各地の災害想定箇所の情報を確認することが可能なため、大雪の避難に備えて行動することができます。

ハザードマップイメージ

出典:国土交通省「わがまちハザードマップ」

降雪時に起こる事故と対策

降雪時には、除雪中の転落事故や路面凍結などによる交通事故・転倒事故といった雪害が発生する可能性があります。このような事故に遭わないためにも、雪害と対策について正しい知識を深めておくことが大切です。
ここからは、先ほどご紹介した4つの雪害について、降雪時に起こりやすい事故と対策を解説します。

  1. 雪かきや雪下ろしなど除雪中の事故と対策
  2. 車による雪道での事故と対策
  3. 歩行中の雪道での事故と対策
  4. 雪崩による事故と対策

雪かきや雪下ろしなど除雪中の事故と対策

雪かきや雪下ろしなどの除雪中は、家の屋根からの転落事故や落雪、転倒事故などが起きやすくなります。令和2年(2020年)度冬期に発生した雪害による死亡事故のうち、約86%は除雪作業中の事故が原因でした。

雪害での死亡事故についてのグラフ

参照:内閣府(防災担当)リーフレット「みんなで減災」

除雪中の事故を防ぐため、国土交通省では安全対策における10箇条を掲げています。

除雪中の10箇条

  1. 安全な装備で行う
  2. はしごは固定する
  3. 作業は2人以上で行う
  4. 足場の確認を行う
  5. 雪下ろしのときは周りに雪を残す
  6. 屋根から雪が落ちてこないか注意する
  7. 除雪道具や安全対策用具の手入れ点検を行う
  8. 除雪機の雪詰まりはエンジンを切ってから棒などで取り除く
  9. 携帯電話を身につける
  10. 無理はしない
除雪中の注意喚起イメージ

出典:内閣府(防災担当)リーフレット「みんなで減災」

特に高齢者による事故の割合は非常に高く、令和4年(2022年)度中の雪による死亡事故の約8割が65歳以上の高齢者です。
雪かきや雪おろしは毎年のことで、安全対策を行わなくても今まで事故に遭わなかったから大丈夫、と考えるのはとても危険です。何かあった際に対応できるよう、一人だけで作業をせず複数人で行うようにしましょう。

なお、除雪機の死亡事故は7割が誤使用・不注意です。作業時は安全対策を意識し、デッドマンクラッチ(安全機能)を無効化しない、状況に応じてエンジンを切るなどの対策を行うことで事故を防止できます。
除雪作業中の安全対策が疎かになっている場合は周囲の方が声がけをするなど、地域全体で安全対策を行うことも重要です。

車による雪道での事故と対策

雪道の運転をしている時にスリップして、ヒヤッとした経験がある方もいらっしゃるのではないでしょうか。雪道では、路面の凍結や雪・吹雪による視程障害で起こる事故に十分注意して車を運転しなければなりません。
雪道での運転のポイントや運転前の必要な準備について、正しい知識を得ておきましょう。

雪道での運転のポイント

雪道では路面が凍結している部分が多く、走行中にスリップして衝突事故を招く危険があるため、いつもより慎重に運転を行う必要があります。
坂道ではアクセルを一定にし、下り坂ではエンジンブレーキを使用します。カーブでも十分に速度を落とし、ブレーキは手前から徐々に減速して止まるようにしましょう。

視界の悪いときの運転テクニック

運転中のライトの点灯は、夜間だけでなく雪がふぶいているときなどの視界の悪い状況でも有効です。また、衝突事故を防ぐためにスピードを落とし、前の車との車間距離を十分にとって走行することが重要です。
もしフロントガラスなどに雪がついたら、車を安全な場所に止めてしっかりと雪を落としてから走行を再開してください。運転中は無理をせず、目の疲れや危険を感じたら休憩をとるようにしましょう。

アクシデントに対応できる用具を車に用意しておく

雪道での運転はさまざまなアクシデントが想定されます。運転する際は、走行中の突然の事態にも対応できるように、必要な用具を車内に用意しておきましょう。

  • タイヤチェーン
  • ジャッキ
  • 牽引用ロープ
  • 工具
  • 防寒具
  • 長靴
  • 軍手
  • 毛布
  • スコップ
  • 懐中電灯
  • 非常用の食料や水 など

雪のない地域から積雪地域に行くときの注意点

普段から雪が降らない地域に住んでいると、雪を楽しみたいと感じる方も多いでしょう。しかし、雪道ではスピードを出したり危険な道を通ったりすると、重大な事故につながりかねません。慣れない雪道での運転の際は、道路情報を確認し、万全な準備をした上で安全な運転を行ってください。

歩行中の雪道での事故と対策

雪道は、歩行中の転倒にも注意が必要です。

雪道歩行で注意すべき場所

雪道で滑りやすい場所としては、雪が溶けて凍っている路面や車や人がよく通る場所、傾斜がある場所です。
たとえば、車の出入りのある歩道、バス・タクシー乗り場、地下鉄駅や地下街からの出入り口付近、下り坂などが挙げられます。
そして、特に注意したいのが横断歩道の白線です。普通の道路と異なり水がしみこまないようになっている白線部分は、溶けた雪によって凍りやすくなっているため滑って転倒する恐れがあります。

また、豪雪地帯では路面を温めて凍結を防ぐ「ロードヒーティング」が設置されている場合があります。ロードヒーティングの切れ目も滑りやすいため、注意して歩行しましょう。

雪道を安全に歩くポイント

雪道を安全に歩くポイント

雪道は滑りやすいため、転倒して怪我をする危険があります。外に出る際は、長靴を履く、靴底に絆創膏を貼るなどして滑り止め対策をしましょう。
歩くときのポイントとしては、小さな歩幅で歩くこと、靴の底全体をしっかりつけて歩く、すり足歩行をするといった対策を心がけてください。
万が一、転倒したときのために手袋を着用したり、両手を荷物でふさがないようにすることも大切です。

雪崩による事故と対策

雪崩(なだれ)とは、斜面上に積もった雪が重力によって崩れ落ちる現象のことです。
雪崩は大雪によって積雪の重さが加わり、重力で落ちようとする力が働くことによって発生します。また、人間や動物、車などが斜面を通って雪の表面に亀裂ができると、一気に雪が崩れ落ちることがあります。

雪崩は最大で時速200kmものスピードで崩れ落ちてきます。そのため、発生してから気づいても逃げ遅れてしまい、事故に巻き込まれるケースが多いです。
雪崩が発生する場所や条件、雪崩が起きる前兆などの知識を深めて、いざというときに身を守れるようにしましょう。

雪崩が発生しやすい場所と条件

雪崩は急傾斜の斜面に発生しやすく、過去に雪崩が発生した斜面や亀裂がある斜面は危険です。また、低木林、まばらな植生の斜面や「落石注意」という標識が設置されている場所も雪崩が発生する可能性が高いので注意してください。

その他、気温の低い日が続いて吹雪や強風を伴うとき、すでに積雪がある上に短期間で多量の降雪があったとき、春先や降雨後、フェーン現象などによる気温上昇といった条件が当てはまったときに、雪崩が発生しやすくなります。

雪崩が起きる前兆

雪崩が起きる前兆としては、以下のような現象が挙げられます。

  • 雪庇(せっぴ):山の尾根から雪が張り出している現象
  • 巻きだれ:雪崩予防柵から雪が張り出している現象
  • 斜面が平らになっている:元の地形が分からないほど平らに雪が積もっている
  • スノーボール:斜面を雪のかたまりが転がり落ちてくる現象
  • クラック:斜面にひっかき傷のような雪の裂け目が現れる現象
  • 雪しわ:ふやけた指先のようなシワ状の雪の模様が現れる現象

雪崩が起きる前兆を発見した際は決して近づかず、警察署や消防、最寄りの市町村役場に通報しましょう。

雪崩発生の場に遭遇したときの対策

雪崩が近くで起きた場合は、まずは自分自身が安全な場所にいることを確認しましょう。その上で、近くで流されている人がいたら目を離さないようにします。雪崩に巻き込まれた地点(遭難点)と、見えなくなった地点(消失点)を覚えておき、雪崩が止まったら見張りを立て、遭難点と消失点にポールや木などの目印を立てましょう。雪崩ビーコン(無線機)などで捜索し、見つかったらすぐに掘り起こして救急処置を行います。

その場にいる人による初動対応が難しい場合や、雪崩に流された人が怪我などを負っている可能性が高い場合は、速やかに通報しましょう。

もし自分が雪崩に巻き込まれた場合は、端の方へ逃げて身体から荷物を離します。雪の中を泳いでなるべく埋まらないように浮上し、雪崩が止まったら大きな声を出して助けを求めましょう。
事故発生時の対策についてしっかりと覚えておくと、自分自身や周囲の人を安全に守れる可能性が高まります。

雪の降る日は注意が必要!水道管凍結の予防と対策

雪の降る日は、水道管の凍結や破裂の恐れがあるため注意が必要です。水道管凍結を予防するための対策について把握しておきましょう。

水道管が凍結しやすい条件

そもそも雪を降らせる温度は、上空1500m付近の温度がマイナス6度以下であることが一つの目安です。かつ、地上付近の温度が3度以下の場合といわれています。
最低気温がマイナス4度を下回るような日には、水道管の凍結や破裂の可能性があるので要注意です。

水道管が凍結しやすい場所

水道管がむき出しになっているところや、水道管が北側の日陰・風があたる場所にあるところは凍結しやすい場所です。寒冷地では冷え込みが厳しいため、土中や屋内に水道管があっても凍結する可能性があります。

水道管を凍結させないための対策

水道管を凍結させないための対策

寒くなると水道管の凍結や破損による水漏れが起きる可能性があるため、ご家庭でできる範囲の対策をしておくと安心です。以下は凍結対策の一例です。

  • 毛布、布切れでむき出しになっている水道管から蛇口を包む
  • 少量の水を出しておく
  • 水抜き栓で水抜きをする(水落とし)

ただ、地域によってとるべき対策が異なる場合があるため、居住地の自治体ホームページなどで情報を集めておきましょう。

雪に備えて水や食料を準備しておこう

大雪が降ると積雪や凍結によって道がふさがれてしまい、外へ出ることが困難となるケースが想定されます。外出できないと買い物へ行けず、生活に必要な物や食料を手に入れることが難しいでしょう。
また、積雪の重さで電線が切れ、電気が止まってしまうこともあるかもしれません。このような非常時に備え、前もって水や食料、懐中電灯などを準備しておくことが大切です。準備の際には、以下記載のチェック表(災害共通)を活用してください。

チェックリスト(災害共通)

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まとめ

雪が降り積もると冬らしい景色やレジャーなどが楽しめる反面、危険な事故に巻き込まれる可能性もあります。日頃から雪害についての知識を深め、対策をたてておくことが重要です。
自分だけでなく大切な家族や友人を守れるように、雪害に備えて非常食や水、防災用品などの災害備蓄品も準備しておきましょう。

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