特定空き家とは?基準や固定資産税、空き家を放置しないための方法

空き家管理 2024.01.29
特定空き家とは?基準や固定資産税、空き家を放置しないための方法

近年、放置されている空き家が問題になっています。空き家が放置されるとごみの不法投棄や火災(放火などによる)の発生が懸念され、放置が長期間に及ぶ場合には、建物の倒壊のリスクも考えられます。
放置された空き家は「特定空き家」に指定されることがあり、そうなった場合には持ち主にとっていろいろな不利益が発生します。
本コラムでは、特定空き家の基準や空き家を放置しないための方法などをご紹介します。

目次

増加する空き家問題

一般的には、長期間居住者のいない家屋のことを「空き家」と言います。
日本経済新聞サイト掲載記事(2015年2月18日)に、「国土交通省と総務省は荒れはてた空き家撤去を促すための指針案をまとめた。空き家かどうかを判定する目安として、建物が1年間にわたって使われていないことを挙げた」とあり、このことから、「1年以上住んでいない、または使われていない」かどうかということが空き家かどうかを判断するための目安であることが分かります。

年々空き家は増えているといわれていますが、どのくらいの推移で増えているのでしょうか。

空き家数の推移

※単位は「万戸」

出典:総務省統計局「平成30年住宅・土地統計調査 住宅数概数集計 調査の結果(p.7付表1-1 居住世帯の有無別住宅数-全国(昭和38年~平成30年))

空き家の分類

二次的住宅 別荘 週末や休暇時に避暑・避寒・保養などの目的で使用される住宅で、ふだんは人が住んでいない住宅
その他 ふだん住んでいる住宅とは別に、残業で遅くなったときに寝泊まりするなど、たまに寝泊まりしている人がいる住宅
賃貸用の住宅 新築・中古を問わず、賃貸のために空き家になっている住宅
売却用の住宅 新築・中古を問わず、売却のための空き家になっている住宅
その他の住宅 上記以外の人が住んでいない住宅(空き家の区分の判断が困難な住宅を含む)
例1:転勤・入院などのため居住世帯が長期にわたって不在の住宅
例2:建て替えなどのために取り壊すこととなっている住宅

空き家の分類における「その他の住宅」の戸数を見てみますと、1988年には131万戸だったのが2018年には347万戸と約2.6倍に増えています。
また、その他の住宅の347万戸のうち、「腐朽・破損あり」の住宅が100万戸となっています(総務省統計局「平成30年住宅・土地統計調査 住宅数概数集計 調査の結果」)。管理の行き届いてない可能性のある住宅が全体の3分の1も占めていることがわかります。

空き家の管理を怠ることで起こり得るトラブル

管理が行き届いていない空き家は、放置することで、以下のようなトラブルに発展する可能性があります。

【空き家の管理を怠ることで起こり得るトラブル】

  • 家の倒壊や火災
  • 災害時の屋根材などの飛散
  • 害虫や雑草、異臭の発生
  • ゴミの不法投棄
  • 不法侵入、不法侵入者によるさらなる犯罪行為(薬物、暴行、性犯罪など)
  • 野生生物(ハクビシン、アライグマなど)の侵入
  • 近隣住民からの苦情や損害賠償請求
  • 特定空き家に指定されることによる税金の増加

放置していた期間が短期間であっても、トラブルにつながる可能性があるため、注意が必要です。

「特定空き家」について

空家等対策の推進に関する特別措置法では、「そのまま放置すれば倒壊等著しく保安上危険となるおそれのある状態又は著しく衛生上有害となるおそれのある状態、適切な管理が行われていないことにより著しく景観を損なっている状態、その他周辺の生活環境の保全を図るために放置することが不適切である状態にあると認められる空家等」を「特定空家等」として定義しています。法の条文では「特定空家」と表記されていますが、本コラムでは、以降、「特定空き家」と表記します。

特定空き家の基準

空き家が次のいずれか1つ以上の状態にあると認められる場合に、特定空き家となります。

  • そのまま放置すれば、倒壊等著しく保安上危険となるおそれのある状態
  • そのまま放置すれば、著しく衛生上有害となるおそれのある状態
  • 適切な管理が行われないことにより著しく景観を損なっている状態
  • その他周辺の生活環境の保全を図るために放置することが不適切である状態

例えば、ゴミが放置され蚊などの害虫が発生し地域住民の日常生活に支障を及ぼしている空き家、老朽化によって隣家に倒壊のおそれのある空き家などが当てはまります。

特定空き家の固定資産税

不動産には、固定資産税と地域によっては都市計画税が課されます。
住宅用地には特例措置が設けられており、下表のとおり税負担が軽減されます。「特定空き家」に指定されるとこの特例措置を受けることができず、場合によっては固定資産税が6倍になることもあります。

固定資産税額 都市計画税
小規模
住宅用地
評価額:6分の1に減額 評価額:3分の1に減額
一般
住宅用地
評価額:3分の1に減額 評価額:3分の2に減額

※小規模住宅用地=住宅用地のうち一戸あたりの面積が200㎡までの住宅用地
※一般住宅用地=小規模住宅用地以外の住宅用地(200㎡超の部分)
※固定資産税・都市計画税の税額は、評価額をもとに決められた課税標準額に税率をかけて計算されます。

また、特定空き家に指定された後、地方自治体からの助言・指導、勧告、命令に従わずにいると、地方自治体から文書で戒告をされます。戒告にも従わない場合には、行政代執行(※)により空き家が取り壊され、かかった費用は所有者に請求されます。

※行政代執行=所有者に代わり、行政が適正管理に向けた取り組みを行うこと。

特定空き家に指定されてしまうとどうなる?

適正管理の助言・指導、勧告、命令

特定空き家に指定されると、地方自治体から助言・指導が行われたり、勧告や命令が出されたりすることがあります。空家等対策の推進に関する特別措置法では、「同法第14条第3項の規定による地方自治体の長の命令に違反した者は50万円以下の過料に処せられる」とされています。

特定空き家に指定された場合には、次のような経済的損失を被る場合があります。

  • 税金(固定資産税、都市計画税)の特例措置の対象から外れる。
  • 地方自治体の長の命令に違反すると、50万円以下の過料に処せられる。
  • 行政代執行により空き家が解体された場合、かかった費用が請求される。

空き家を放置しないための方法

空き家について相談・選択肢を知る

空き家について相談・選択肢を知る

空き家を所持しているものの、管理が難しいと感じるなら、まずは空き家に関する専門家に相談するのがおすすめです。売却する、あるいは、リフォームして賃貸物件として活用するなど、さまざまな選択肢を検討してみると良いでしょう。

空家バンクに登録する

空き家バンクに登録するのも1つの手段です。空き家バンクとは、地方自治体又は地方自治体から委託された団体が、空き家の情報を募り、空き家の利用を希望する人に物件情報を提供する制度です。空き家バンクを通じて、空き家を買いたいという方や借りたいという方、譲り受けたいという方が見つかる可能性があります。

空き家をリフォームする

空き家をリフォームして活用するのも一つの方法です。リフォーム後、賃貸やシェアハウス、民宿として活用することで収入が得られる可能性があります。また、売りに出す場合も、リフォームすることで高く売れることがあります。

空き家の管理サービスを利用する

管理が難しい場合は、管理サービスを使うのもおすすめです。管理サービスは、持ち主に変わって空き家の管理をしてくれるサービスのこと。遠くに住んでいて空き家の管理が難しい場合は、空き家の管理サービスを使ってみてはいかがでしょうか。

空き家の活用サービスを利用する

空き家を賃貸やシェアハウスなどに活用したい場合でも、実際に活用するための事務手続きなどを面倒に思う方もいらっしゃることでしょう。不動産業者などが提供する空き家の活用サービスを活用するのも1つの方法です。活用サービスは、空き家を預けることで、賃貸やシェアハウスなどに適切に運用してくれます。

空き家を解体する

空き家が古く、管理が難しいと判断した場合は、空き家を解体するのも1つの手段です。
一般的に、更地の場合、固定資産税・都市計画税が非常に高くなります。解体する場合は、解体後速やかに土地を売却するか、または、新たに建物を建てるなどの対応をおすすめします。

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空き家を放置しておくとトラブルも起こりやすいため、転勤で一時的に空き家になるといった短期間の場合でも管理が必要です。管理が難しいと感じている方は、ALSOKの「HOME ALSOK るすたくサービス」にお任せください。ポスト投函物の回収、換気・通水、建物外観などの確認などのサービスを提供しています。空き家の管理にお困りの方は、ぜひALSOKにご相談ください。

まとめ

今回は、空き家と特定空き家について解説しました。
空き家の所有者は適切な管理を行う必要がありますが、遠い場所に住んでいる場合は管理が難しいケースもあるでしょう。管理が難しい場合は、管理サービスの利用を検討してみてはいかがでしょうか。

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