家族葬とは?家族葬が選ばれる理由や流れ、費用について解説
最近は、家族や親しい知人など少人数だけで葬儀を行う「家族葬」の需要が高まっています。故人との最後の時間をゆっくり過ごすことができ、接待の手間が減ることから希望者が増えているといわれています。家族葬を検討している場合、費用はどのくらいかかるのか、声がけをする際にどの人まで呼べばいいのかなど気になることも多いでしょう。
そこでこの記事では、家族葬の範囲や費用相場、選ばれる理由などを解説します。
目次
家族葬とは?
家族葬とは、家族や親しい親族、知人だけで故人をお見送りする、小規模なお葬式のことです。
基本的に必要なことや式の流れは一般的なお葬式とほぼ同じですが、参列者の人数の平均は10~30名程です。
なお、家族葬と似た形式の葬儀で「密葬(みっそう)」があります。ご家族や親しい方だけで行うという点では家族葬と同じですが、密葬の場合は後日、一般の参列者のために本葬やお別れ会が行われます。
家族葬が広まった背景
家族葬が広まった背景には、少子高齢化や核家族化、価値観の変化等があげられます。少子高齢化・核家族化の影響により子どもの人数が少なくなっており、葬儀を行う側の負担が増えてしまっています。理由として経済的に小規模でしかお葬式ができない場合もあるでしょう。
また、故郷を離れて就職する人も多く、日常的に接するコミュニティーが変化することで、お葬式に呼ぶ人が少なくなっていることも考えられます。
家族葬の範囲
家族葬の範囲については、明確に定義が決められているわけではありません。親戚の方や故人との関わりが深い方、ご友人などご家族以外の方が参列しても問題はなく、故人をどのように送りたいかということを一番に考えて、声をかける範囲を決めるとよいでしょう。
家族葬が選ばれる理由やメリット
家族葬が選ばれる主な理由やメリットとして、以下の3つがあげられます。
参列する人数が少ない
家族葬が選ばれている理由として、現代の価値観に合っていることがあげられます。親戚との付き合いの希薄化、地域のコミュニティーでの交流が減っているという背景から、葬儀に参列する人数が少ないケースが多くなっています。
家族や親しい人だけで限られた時間を過ごせる
一般葬の場合、多くの参列者に気を配りながら対応しなければならないため、落ち着いて故人とお別れすることや、充実した時間を過ごすことはできない可能性があります。
家族葬の場合は、親しい人だけで執り行われることから落ちついて故人を見送ることができます。事前の手配や当日の対応を減らし、家族で限られた時間を過ごすことで、遺族の気持ちの負担を軽くすることもできるでしょう。
自由な葬儀が可能
家族葬は、親しい人のみで執り行われるため、世間体にとらわれず自由に葬儀内容を決めることが可能です。たとえば、自由にデザインができる花祭壇や音楽葬などがあげられます。
花祭壇は従来の白木祭壇とは異なり、花の種類やデザインに決まりがなく自由に飾ることができます。花を飾る以外に、故人との思い出の品や写真を並べたコーナーや家族からの贈り物をお供えするスペースなども設置可能です。
音楽葬は、無宗教葬・自由葬と呼ばれる葬儀形式で、読経などを行わない音楽を中心とした葬儀のことです。選曲は家族が主体となって決めることが多いため、家族の手で故人を送り出すという意識が強くなります。故人や家族の思いを尊重した葬儀にすることができるでしょう。
家族葬のデメリットと注意点
次に家族葬のデメリットと注意点について説明します。
トラブルに発展する可能性がある
家族葬は限られた人数で故人を送り出すため、声がけする人の線引きが難しいです。
そのため、「なぜ呼んでくれなかったのか」といった不満を訴える方が出てくることもあり、トラブルに発展する可能性があります。
トラブルを防ぐために、参列いただかない場合でも故人と関わりの深い方には事前に知らせておく必要があります。電話や手紙で訃報を知らせ、「故人の意向により」など家族葬を執り行う理由を伝えておきましょう。
故人と関わりが深い方への電話での一報を例に記載します。
「突然申し訳ありません。〇〇の娘の□□と申します。昨日、父が息を引き取りました。
葬儀に関しましては、父の生前の遺志を尊重して、家族葬を執り行います。
失礼ですが、香典・弔電・供花・供物などはお断り申し上げます。
生前は父がお世話になり、ご厚情に深く感謝申し上げます。
なにかありましたら、娘の私にまで連絡くださるようお願い申し上げます。」
葬儀に参列できなかった方への対応が必要になる
家族葬を行うと、葬儀当日に参列できなかった方が後日、弔問に訪れる可能性があります。弔問に訪れる人が多い場合、対応が予想以上に長引く可能性もあり、遺族の負担となるケースも考えられます。その場合は訃報を知らせる挨拶状を送る際、弔問は辞退する旨を記載するとよいでしょう。
香典収入が減る
家族葬は一般的なお葬式と比べて参列者の数が少なく、香典の総額が少なくなります。
そのため、葬儀費用の実質負担が大きくなることもあり、注意が必要です。香典収入が減ってしまうことを考慮し、葬儀の内容を調整するとよいでしょう。
家族葬の流れ
家族葬の流れは、基本一般的なお葬式と同じで、通夜の翌日に告別式、火葬を行います。参列者が少ないため、通夜や告別式の所要時間は一般的なお葬式より短いのが特徴です。火葬については工程が同じなため、一般的なお葬式と同様の所要時間となります。
ご逝去、ご安置
ご危篤を告げられたら、その旨を知らせるべき方に伝えましょう。病院や介護施設などでご逝去された場合は、退院や退所の準備に取りかかる前に葬儀会社へ連絡しましょう。葬儀の諸条件をしっかり考えた上で適切な葬儀会社に依頼することが大切です。
ご安置先としては、自宅や葬儀施設、火葬場などがあげられますが、それぞれ受入れの条件が異なります。故人がご安置先で数日間過ごすことを踏まえ、面会や納棺についても必ず確認しましょう。
家族葬の打ち合わせ
家族葬の日程や内容について、葬儀会社と相談しながら具体的に決めていきます。火葬場や霊柩車などの空き状況もあるので、希望日程で行えるように調整する必要があります。喪主の担当や式場内のレイアウト、会食の有無、料理の内容などを打ち合わせで決めます。葬儀の打合せの時は、印鑑や遺影用の写真などを持参するとよいでしょう。
お通夜
主に故人と関わりが深い方が参列する儀式のことで、開式してから僧侶による読経が行われ、弔辞・弔電が紹介された後、焼香に移るのが一般的です。
当日の進行については葬儀会社が行うため、いただいた供花・弔電の送り主にお礼をスムーズに伝えられるようにしておくことが大切です。
葬儀・告別式
葬儀・告別式は、故人と最後のお別れをする大切な場です。当日の流れをあらかじめ確認しておき、故人との時間をしっかりと持てるようにするとよいでしょう。家族葬の場合も、告別式のおおよその流れは一般的なお葬式とあまり変わりません。一般的なお葬式は、弔辞・弔電の読み上げ、最後のお別れ・喪主挨拶、出棺、火葬、会食という流れで進行しますが、家族葬の場合は割愛するところもあります。
家族葬の費用相場
「小さなお葬式」を運営する株式会社ユニクエストが2022年に実施した、過去1年以内に喪主経験のある方を対象にしたアンケート調査結果によると、家族葬の費用平均は約110万円でした。一般的なお葬式の費用平均が約190万円であることと比べると、家族葬は負担が少ないケースが多いといえます。
家族葬は参列人数が少ないため小規模の式場でも葬儀をすることができ、注文する料理や返礼品が少なくなるため、費用相場が安価になります。ただし、香典などの収入面が少なくなる影響から、トータルでみると一般的な葬儀費用と変わらないこともあります。
家族葬費用の内訳としては、葬儀そのものにかかった費用が75万3,971円、飲食費11万4,408円、お布施や宗教者手配の費用が22万8,607円となっています。
同調査によると家族葬の費用総額が100万円未満だったのは全体の70.8%で、30万円未満の割合が10.5%でした。一方で100万円以上の費用がかかっている方の割合も29.2%で、参列する人数や葬儀の内容によって値段の幅が広くなっているようです。
参考:2022年版 全国エリア別葬儀費用に関する調査|最新の葬儀費用に関する調査を「小さなお葬式」が実施
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ご自身の終活についてご家族と話し合う際には、毎日の見守りについても考えてみませんか。また、ご家族やご親族の葬儀をきっかけに、離れて暮らす親が心配になったという方も多いのではないでしょうか。
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まとめ
家族葬は一般的なお葬式より参列者が少なく規模も小さいため、自由な葬儀が可能となっています。しかし、故人と関わりがあったが葬儀に呼ばれていない、といった不満を訴えられる可能性もあるため、家族葬を行う際はあらゆることを想定しながらご家族やご親族と話し合い準備を行うとよいでしょう。