無縁仏とは?無縁仏にしないための費用や手続きを解説
お墓参りをした際、管理がされていない古びたお墓を見かけたことがあるかもしれません。供養・管理をされないまま放置されている「無縁仏」は、現代社会の環境の変化にともない年々増加しています。自身や家族のお墓が無縁仏とならないためには、どのような対策をすれば良いのでしょうか。
本記事では、無縁仏とは何か、また無縁仏にしないための具体的な費用や手続きを解説します。
目次
無縁仏とは
無縁仏とは、供養してくれる親族や管理者がいないお墓や故人のことを指します。近年は、無縁仏の数が増加しているといわれています。
無縁仏が増加している要因としては、少子高齢化などの社会の変化、人間関係の希薄化などが考えられます。現代社会では、核家族化が進んで家族関係が薄れ、友人や親戚との交流も一昔前よりも減っているとされています。そのため、亡くなったあとに故人の遺骨やお墓の管理を担う人がいないというケースが増えているのです。
総務省による「墓地行政に関する調査」(令和5年9月通知)では、公営墓地・納骨堂で無縁墳墓等(死亡者の縁故者がない墳墓または納骨堂)が発生しているのは58.2%で、8割の市町村が縁故者情報の把握率20%未満という結果が出ており、今後も継承者がいない無縁仏の増加が懸念されています。
参考:総務省 墓地行政に関する調査-公営墓地における無縁墳墓を中心として-
また、高齢者の孤独死が増えていることも、無縁仏の増加と密接に関係しています。高齢者が一人暮らしをしていた場合、亡くなったあとに遺族が見つからない、もしくは遺族が故人のご遺体やお墓の引き取り自体を拒否するというケースが見られます。また相続人がいても、その相続人が引き取りを拒むことも少なくありません。このような場合、最終的に遺骨やお墓は無縁仏となってしまいます。
無縁仏を防ぐためには、生前からの準備が重要です。例えば、自分の遺骨やお墓の管理を誰に任せるかを事前に決めておく、永代供養を選択する、墓じまいをするなどが考えられます。これにより、亡くなったあとも適切な供養が行われるでしょう。
無縁仏と無縁墓、永代供養、墓じまいの違い
無縁仏と混同しやすい言葉に、無縁墓、永代供養、墓じまいなどがあります。それぞれとの違いについて見ていきましょう。
無縁仏と無縁墓の違い
無縁仏と無縁墓はほぼ同じ意味を持ちますが、無縁仏は継承者がいない故人やお墓を指すのに対し、無縁墓はお墓のみを指します。つまり、無縁仏は故人とそのお墓の両方を含む概念であるのに対し、無縁墓はお墓そのものを指す言葉です。
無縁仏と永代供養の違い
永代供養とは寺院や霊園が遺族に代わって遺骨を管理し、供養を行うことです。つまり永代供養ではお墓の管理者が寺院や霊園になるので、無縁仏とは異なります。なお、永代供養には合祀型と個別型があり、他の方の遺骨と一緒に埋葬されるか、一定期間は個別に埋葬されるのかの違いがあります。
永代供養については、以下の記事で詳しく説明しているのでぜひ参考にしてください。
無縁仏と墓じまいの違い
墓じまいとは、お墓を撤去し更地にしたあと、使用権を墓地管理者に返還することです。無縁仏とは異なり親族や管理者自体は存在するものの、何らかの理由でお墓の管理や維持が困難になった場合などに行われます。
墓じまいについては、以下の記事で詳しく説明しているのでぜひ参考にしてください。
無縁仏になるとどうなる?
無縁仏になると、具体的にどのような流れで手続きが進むのでしょうか。ご遺体の引き取り手がいない場合と、無縁墓となった場合の2種類に分けてご説明します。
ご遺体の引き取り手がいない場合
身寄りのない方が亡くなった場合、自治体はまず遺族などご遺体を引き取ってくれる人を探します。しかし、引き取り手が見つからない場合、遺体や遺品は市区町村などの自治体が引き取り、火葬や埋葬を行います。
そして、ある程度の期間は行政や墓地の管理者が遺骨やお墓を管理することになります。ただし一定期間を過ぎると、合祀や合葬というかたちでまとめて供養されることが一般的です。無縁仏の保管期間は法律によって定められてはおらず、自治体によって異なります。
無縁墓となった場合
お墓の継承者がいなくなり、管理料の滞納などが起こった場合、お墓は墓地の管理者によって改葬されます。この際、故人とお墓の所有者の氏名、本籍などが官報で告知され、お墓には立て札が設置されます。そして1年以内に申し出がなければ、無縁墓として処分されるという流れです。
無縁墓として処理されたあと遺骨は合祀され、それまでお墓があった場所は別の家の墓地スペースとして使用されます。仮に合祀後に相続人や親族が現れ、遺骨を取り出したいと思った場合でも、特定の個人の遺骨だけを取り出すのはほぼ不可能となってしまいます。
なお、無縁仏となり火葬や埋葬などにかかった費用は自治体が一時的に負担しますが、後に相続人などが現れた場合、その相続人が負担することになります。近年は、無縁仏の増加にともない保管スペースが不足している課題もあり、自治体の負担は増え続けているといえるでしょう。
無縁仏は適切な管理・供養をしてもらえない
無縁仏となったお墓は、適切な管理が行われず供養もしてもらえません。無縁仏になるとお墓の管理をしてくれる親族がいないため、行政によって各手続きが進められますが、あくまでも事務的に処理されます。上述したように保管スペースの不足や行政の負担増が課題となっているため、遺骨が粉砕されたり、一部は産業廃棄物として処理されたりするなど、決して丁重に扱われるわけではありません。また合祀・改葬が進まないことも多く、無縁仏のまま長い期間放置される場合もあるのです。
無縁仏にならないためには
ご自身や大切なご家族が将来無縁仏にならない方法としては、生前に永代供養の手配やお墓じまいをしておくことが考えられます。適切な手続きをしておくことで、遺族の負担を減らしつつ無縁仏になるのを防ぐことが可能です。
なお、なかには自発的に無縁仏になることを希望する方もいるかもしれません。しかし、無縁仏とは「親族や縁者がいなくなった故人やお墓のこと」を指すため、本人の考えだけでなれるものではないでしょう。もし結婚相手の家のお墓に入りたくない、家族と一緒のお墓に入りたくない、などの理由がある場合は生前に永代供養を契約しておく方法もあります。
永代供養の費用や手続き
永代供養の費用は、合祀墓の場合約5万~30万円が相場です。
生前予約が可能な寺院や霊園、納骨堂などの施設を探し、契約を結んでおくとスムーズに手続きが進むでしょう。永代供養は寺院や霊園にお墓の管理を任せる方法なので、故人のお墓を管理できる親族がいなくなったとしても安心できます。永代供養の契約時には、施設の信頼性や供養方法、契約内容をしっかりと確認するようにしましょう。
墓じまいの費用や手続き
墓じまいの総費用は、約30万円~75万円が相場です。墓じまいをするには、墓地の管理者から埋葬証明書を発行してもらい、改葬許可申請書と一緒に役所に提出して埋葬許可証を取得する必要があります。その後閉眼供養を行い、墓石の撤去などが行われます。
生前にお墓や供養方法を決める際は、家族とのコミュニケーションを密にし、遺骨やお墓の管理について事前に話し合っておくことが大切です。家族と話し合ったうえで決めた内容は、エンディングノートや遺言書に記載しておくことが重要です。遺族がその内容を尊重し、適切に対応することで、無縁仏になるリスクを減らすことができます。
一人暮らしの親や家族の暮らしを見守るには、「みまもりサポート」を活用しよう
一人暮らしをしている場合、急な体調不良や発作が起きないか不安に感じている、という方もいるでしょう。また、ご高齢の親と離れて暮らしている場合、体調の悪化や火災、熱中症など、万が一の事態が心配ですよね。そんな時の安心につながるのがALSOKの見守りサービス「HOME ALSOK みまもりサポート」です。
みまもりサポートは、体調が悪いときに緊急ボタンを押すだけでガードマンが現場に急行し、関係機関への通報などの対応を行います。もしもの時に迅速に対応できるだけでなく、看護師資格を持つスタッフにいつでも相談することも可能です。また、熱中症の危険がある際の警告や災害時の緊急速報メールを自動で読み上げる機能もあり、ご本人への注意喚起が行えます。
ALSOKのみまもりサポートは、高齢者の暮らしを見守り、安全を守るための多彩なオプションを用意しています。ぜひ、家族の安心と安全のために活用してみてはいかがでしょうか。
まとめ
無縁仏とは、親族や縁者がいなくなった故人やお墓のことです。近年は家族の在り方や社会の変化などにより、無縁仏になる方が増えているといわれています。
無縁仏になるとお墓の管理をしてくれる親族がいないまま、行政によって各手続きが進められますが、あくまでも事務的に処理されるため決して丁重に扱われるわけではありません。
無縁仏になるのを避けるには、生前に永代供養を契約しておく、墓じまいをするなどの方法が考えられます。永代供養や墓じまいを行う際は、どの程度費用がかかるのか、どのような手続きが必要なのかなどをよく確認しておきましょう。