お墓がいらない場合の供養方法はどうするの?墓じまいの方法や注意点を解説

高齢者・介護 2024.08.26更新(2024.08.23公開)
お墓がいらない場合の供養方法はどうするの?墓じまいの方法や注意点を解説

近年は、少子高齢化や核家族化、地方における過疎化などの理由で、お墓を引き継ぐ方がいないというケースも少なくありません。こうした理由から「お墓はいらない」「お墓に入らない」という考え方が増え、お墓への価値観が変化しています。

そこで本記事では、お墓がいらない場合の供養方法についてご紹介します。墓じまいの方法や注意点なども合わせて解説いたしますので、これからお墓をどうするべきか悩む方はぜひ参考にしてください。

目次

お墓がいらないという考えが増えてきた理由

近年は社会構造の変化や維持・管理などに伴い、お墓はいらないと考える人が増えてきています。お墓を必要としない考えが増えた理由には次のものがあります。

お墓に対する価値観が変わった

これまでは先祖代々のお墓を家族や親族が継承し、守っていくのが一般的でした。しかし、近年では、「自分が亡くなってから周りに迷惑をかけたくない」「子ども世帯に負担をかけたくない」といった考えを持つ方が増えており、お墓に対する価値観が変化しています。

金銭的に負担になる

お墓の維持管理には、年間管理費や檀家料、修繕費といった費用がかかります。
また、墓石のメンテナンスにも費用がかかるほか、遠方であればお墓参りの交通費も考えなければなりません。金銭的な負担からお墓はいらないと考える方もいます。

お墓を継げる人がいない

少子高齢化や核家族化、地方における過疎化、都市部への転居といった理由でお墓を継承し、管理し続けることが難しくなっている家が増えています。お墓を手放すつもりがなくてもお墓を継げる人がいなければ、お墓の管理はできません。
自分たちがお墓を継承できる最後の代であれば、どこかのタイミングで墓じまいが必要になるでしょう。

次にお墓を持つことのメリット・デメリットを見ていきましょう。

お墓を持つことのメリット

ここではお墓を持つことの意義や価値についてご紹介します。

故人を偲ぶ場所となる

お墓は家族や親族が故人を偲ぶ場所です。定期的に訪れることで故人を身近に感じ、思い出を共有する機会が生まれます。また、お墓参りを通じて家族や親族が集まるなど、家族のよりどころにもなるでしょう。

遺骨を埋葬することができる

遺骨は行政に許可された墓地に埋葬しなければなりません。そのため、お墓があれば埋葬場所を探す必要がなくなります。

お墓を持つことのデメリット

ここからはお墓を持つことのデメリットについてご紹介します。

費用が高額である

お墓は墓地の永代使用料や建設費用などさまざまな費用がかかります。具体的には墓石代、永代使用料、墓石建設費などです。他にもお墓の維持管理費やお寺へのお布施といった費用も負担することになります。

お墓や墓地の選び方に悩んでいる方はこちらの記事もおすすめです。

承継者が必要になる

お墓は代々引き継いでいくことが前提となるため、承継者がいない場合はお墓の管理をすることができなくなります。

年間管理費用がかかる

お墓は建てるだけでなく維持していく必要があり、年間管理費用がかかります。長年屋外で雨風にもさらされるため、修繕費がかかる可能性もあります。

掃除などの手入れが必要になる

お墓を持つ場合、各自の区画や墓石の定期的なメンテナンスを行わなければなりません。遠方に住んでいる場合は、通うのに時間がとられるだけでなく、交通費も負担になります。

お墓を持たない人におすすめの供養方法

お墓を持たない人におすすめの供養方法

上記で紹介した理由から、近年は永代供養という供養の方法が選ばれることが増えています。永代供養とは、お寺や霊園が遺族に代わって遺骨を管理し、長期間にわたって供養を行うことです。永代供養を選択することで、先祖代々のお墓の管理を継承する必要がなくなります。

ここではお墓を持たない人におすすめの供養方法として永代供養墓、納骨堂、樹木葬をご紹介します。

永代供養墓(合祀墓・個別墓)

永代供養墓には合祀墓(最初から他のご遺骨と一緒に埋葬される形)と個別墓(一定期間は個別供養、その後合祀)があります。

合祀墓(ごうしぼ)

合祀墓は骨壺からご遺骨を出して、他の方のご遺骨と一緒に埋葬する方法です。一度合祀すると他の方のご遺骨と混ざってしまうため、ご遺骨を取り出すことはできません。
費用相場は約5万~30万円となっており、最もリーズナブルな価格の供養方法となります。

個別墓(単独墓)

個別墓は、故人や家族だけで個別に埋葬・納骨できる形式の供養方法です。墓石を立てる墓石型と樹木を植える樹木葬型があります。個別墓であっても一定の期間が経過すると合祀墓に移されます。
費用相場は、約50万~150万となります。合祀墓や樹木葬よりも高い傾向にあります。

永代供養について詳しくは次の記事で紹介していますので、参考にしてみてください。

納骨堂

納骨堂とは、納骨する専用のスペース・建物に遺骨を安置する施設のことをいいます。3年、7年、33年など利用期間が決まっており、期間が経過すると他人と共同のお墓へご遺骨をまとめて合祀することが一般的です。
ロッカー型、仏壇型、可動型、墓石型、位牌型などさまざまな納骨堂の種類があります。
納骨堂の種類によって必要な費用も異なり、それぞれの費用相場は次の通りです。

ロッカー型 約20万円
仏壇型 約30万円~100万円
可動型 約100万円
墓石型 約100万円以上
位牌型 約10万円

樹木葬

樹木葬とは、「墓地、埋葬等に関する法律」による許可を得た区画(墓所)に遺骨を埋葬し、樹木や草花を墓標として故人を弔う方法です。樹木葬は、「ガーデニング型」「都市型・公園型」「里山型」の3種類となります。

それぞれ特徴があるため、詳しくは次の関連記事を参考にしてください。

出典:厚生労働省「墓地、埋葬等に関する法律の概要」

上記でご紹介した永代供養をする場合には、永代にわたる遺骨の供養・管理費用として「永代供養料」を支払うことになります。この他、「納骨料」「刻字料(墓誌に氏名を彫るための費用)」が必要な場合があります。

墓じまいを行う流れ

お墓はいらないと考える場合は、「墓じまい」をする必要があります。墓じまいは、現在のお墓を撤去し、更地にしたあと、お墓の使用権を墓地管理者に返還することを指します。
ここからは墓じまいを行う手順についてご紹介します。

墓じまいの流れは次の通りです。

  • 親族間で相談する
  • 必要な手続きや書類を確認する
  • 遺骨の埋葬先を決める
  • 墓地管理者に墓じまいすることを伝える
  • 自治体に改葬許可証の手続きをする
  • 閉眼供養(魂抜き)を行う
  • 墓石を解体して遺骨を移転する

親族間で相談し、同意を得る

墓じまいを選択する場合、トラブルに発展しないように、親族間であらかじめ同意を得ておくことが重要です。墓じまいの費用負担や墓じまい後の遺骨の供養方法についてなど、相談しておかないとトラブルにつながることもあります。

必要な手続きや書類を確認する

墓じまいの手続きは自治体ごとに異なります。そのため、住んでいる自治体のホームページで必要な手続きや書類を確認しましょう。なかには、墓じまいにかかる費用の一部を助成してくれる自治体もあります。事前に居住地域の自治体情報はチェックしておきましょう。

遺骨の埋葬先を決める

墓じまい後は永代供養を選択するのが一般的となっています。合祀墓、個別墓、納骨堂、樹木葬など永代供養の方法をあらかじめ決めておく必要があります。

墓地管理者に墓じまいすることを伝える

必要な書類を確認し、遺骨の埋葬先が決まったら、墓地管理者に墓じまいの旨を伝えます。その後、埋葬証明書を発行してもらいましょう。埋葬証明書は墓地に遺骨が納められていることを証明するものです。

墓地管理は寺院墓地、公営・民間霊園、共同墓地で管理者が異なります。

寺院墓地 住職
公営・民間霊園 霊園管理事務所
共同墓地 管理組合や地域の代表、役所 など

墓地管理者がわからない場合は、自治体に問い合わせましょう。

また寺院墓地にお墓がある場合、菩提寺に対して離檀料の支払いが発生します。離檀料は「これまでお世話になったことへの感謝の気持ち」を表す費用です。お寺やお墓の規模によっても金額が変わります。法律的な取り決めはないため、トラブルに発展することも少なくありません。
離檀料については次の記事でも紹介しているため、ぜひ参考にしてください。

自治体に改葬許可証の手続きをする

墓じまいにあたって改葬許可証が必要です。改葬許可証を取得するためには、改葬許可申請書と埋葬証明書、受入証明書を用意し墓地の所在地である自治体に提出する必要があります。

改葬許可証 遺骨を現在埋葬している墓地から他の墓地へ移す際に必要となる書類 改葬申請書、埋葬証明書、受入証明書を墓地所在の役所へ提出すると発行される
改葬許可申請書 市区町村に提出する改葬の申請書 ・自治体の窓口で直接入手する
・ホームページからのダウンロード
・郵送で取り寄せる
埋葬証明書 現在の菩提寺から発行される「どこに遺骨が埋葬されている」の証明書 現在の墓地管理者に発行を依頼する
受入証明書 遺骨の次の埋葬先から発行される使用許可証 改葬先(新しい納骨先)の墓地管理者に発行を依頼する

閉眼供養を行う

墓じまいを行う際には「閉眼供養」という儀式を執り行います。閉眼供養は、お墓から遺骨を取り出す際にお墓に宿っている故人の魂を抜き取るための儀式です。宗派によっては脱魂式や抜魂式とも呼ばれます。
故人の魂は、墓石の一番上にある棹石(○○家之墓、〇〇家先祖代々之墓などの文字が書かれている部分)に宿るとされています。墓じまいだけでなく、戒名の追加彫刻など棹石を動かさなければならないときにも閉眼供養が必要です。

墓石を解体して遺骨を移転する

石材店に墓石の解体・撤去を依頼するのが一般的です。寺院墓地によっては石材店が指定されている場合もあるため、事前に住職に確認しておきましょう。お墓を更地に戻したら墓地管理者に使用権を返還します。

墓じまいが終わったら新しい受け入れ先へ遺骨を納骨します。納骨時に、墓地管理者に改葬許可証を提出します。

お墓を持たない場合に考えておきたい注意点

お墓を持たない場合に考えておきたい注意点

ここからは、将来的に墓じまいを検討している人が考慮すべき注意点をご紹介します。

親族の理解を得る必要がある

先祖代々のお墓がある場合、墓じまいをする必要があります。親族の中にはお墓での埋葬にこだわる人もいるため、親族同士で考えを話し合っておく必要があります。
また、お墓は生前契約も可能です。お墓がいらないと前もって家族に伝えたり、生前契約していることを事前伝え、理解を得ておくことが大切です。

墓じまいには費用がかかる

墓じまいは一般的に数十万の費用が発生します。檀家になっている場合は離檀料がかかり、費用が高額になることもあります。費用の負担をどうするか、事前に話し合う必要があります。

慎重に移転先を選ぶ

移転先が期待していたものと異なる場合はトラブルに発展しやすいです。後悔がないように費用や埋葬の方法などを事前によく確認しておきましょう。

家族の安全安心には見守りサービスの導入がおすすめ

親が高齢に差し掛かると将来を考え、お墓のことや供養方法など親の終活を意識する方も多いのではないでしょうか。特に、高齢の親と離れて暮らしている場合、急な体調不良や発作、熱中症など、もしもの時の対応が心配という方は多いでしょう。そんなときにおすすめなのが見守りサービスの導入です。

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まとめ

お墓は故人を偲ぶための大切な場所ではありますが、近年ではお墓に対しての価値観が徐々に変わってきています。さまざまな理由から墓じまいを考えている場合は、家族や親族としっかりと話し合うことが大切です。故人の供養方法に正解があるわけではありません。それぞれのご家庭にあった供養方法を選択すると良いでしょう。

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