葬式をしない選択肢はある?直葬(火葬式)のメリット・デメリットを解説

高齢者・介護 2024.08.23
葬式をしない選択肢はある?直葬(火葬式)のメリット・デメリットを解説

葬式は、故人との別れや遺族が気持ちを整理するための儀式であり、日本では現代でも広く実施されています。しかし、近年は社会構造の変化や費用などの影響により、葬式をしない選択をするケースも増えています。
本記事では、葬式をしないことの可否や、葬式を実施しない場合に行われる直葬(火葬式)のメリット・デメリットなどをお伝えします。

目次

葬式をしないという選択

近年では、少子高齢化や核家族化などの社会構造の変化にともない、「葬式をしないという選択」が増えています。特に、一人暮らし(家族や親戚がいない)の場合や、遺族に葬儀費用の負担をかけたくない方が、葬式をしない選択をしています。中には、葬式をしない意思を生前に家族に伝えていたり、遺言書に残したりする方もいます。

直葬(火葬式)とは

人が亡くなった後は通夜や葬儀を行ったのちに火葬する流れが一般的ですが、通夜や葬儀自体は法律で義務付けられていません。これらの通夜や葬式といった儀式を省き、火葬のみを行う葬式の形を「直葬(じきそう、ちょくそう)」と呼びます。また、火葬のみであることから「火葬式」とも呼ばれます。

2016年の公正取引委員会の調査では、葬儀業者の約4分の1にあたる26.2%が「直近5年間で増加傾向にある葬儀形式は直葬」と回答しています。その後、新型コロナウイルスの感染拡大などがあり、直葬は葬式の形態として広まってきました。

出典:「葬儀の取引に関する実態調査報告書」(公正取引委員会)

葬式をしない場合に必要なこと

葬式をしない場合に必要なこと

葬式を行わず、直葬で済ませたい場合、まずは家族や親族などの理解・納得が必要です。近年は、葬式を行わない直葬が増えていますが、人が亡くなった後は依然として葬式を実施するのが主流です。通夜や葬儀は故人の姿を拝める最後の機会であるため、家族や親族の中には葬式をしないことに抵抗を感じる方がいるかもしれません。葬式をしない場合は家族や親族と事前に話し合っておきましょう。

必要な法的手続き

故人が逝去した場合には、死亡届の提出と土葬または火葬を実施しなければなりません。死亡届の提出は、死亡を知った日から7日以内に、故人の死亡地や届出人の所在地などの役所で行います。病院で「死亡診断書」を受け取ったら、死亡届に必要事項を記入し、「火葬許可申請書」と一緒に提出しましょう。書類に不備がなければ、役所から「火葬許可証」が発行されます。
なお、正当な理由がないにも関わらず死亡届の提出が遅れてしまった場合、5万円以下の過料が科される可能性があります。

故人が亡くなった後の手続きや流れについて確認したい場合は、以下の記事もご覧ください。

葬式をしない場合に必要な準備は

葬式をしない場合に必要な準備は

ここでは、葬式をしない場合に必要な準備をご紹介します。

葬式をしたくないことを周りに伝えておく

葬式をしたくないと考えている場合は、周りにその意思を伝えておきましょう。あらかじめ自分の意思を明確にしておくことで、遺族も本人の意思を尊重しやすくなります。口頭だけでなく、遺言書や家族への手紙、エンディングノートなど、文章でも残しておくと良いでしょう。

直葬(火葬式)の手配をする

葬式をしない場合、遺族は直葬により故人を見送ることになります。通夜や葬儀などは行わないものの、遺体の搬送や納棺、火葬場の手配などが必要になることから、事前に準備をしておくと安心です。かかる費用も葬儀社によって異なるため、見積もりを取って依頼先の候補を出しておくのがおすすめです。

故人が亡くなってからは忙しい中でさまざまな手続きや準備を進めなければなりません。いざと言うときにどのように対応しなければならないのか、日ごろから確認しておくことをおすすめします。

直葬(火葬式)のメリット

こちらでは、直葬のメリットをご紹介します。

費用を抑えられる

直葬の場合、通夜や葬儀などにかかる費用を抑えられます。また、僧侶に渡すお布施や参列者への飲食費なども発生しません。
葬式を行う場合にかかる費用などは次の記事でも紹介しているため、ぜひ参考にしてください。

時間や体力的にも負担が少ない

直葬では通夜や葬儀を行わないため、一般的な葬式よりも時間や体力的な負担が少ないです。従来の葬式は、一連の儀式を2~3日に分けて実施する必要があり、多くの方の手助けと体力を要します。特に、遺族が高齢の場合や家族が病気を患っているケースなどでは、負担を抑えるために直葬を選ぶ方もいます。

参列者への対応がほぼない

一般的な葬式の場合、参列者は家族や親族だけではなく、故人が勤めていた会社の社員や近隣住民などが訪れることもあります。遺族や喪主は、参列してくれた弔問客に対応する必要があり、大きな負担となることも珍しくありません。
一方、直葬では弔問客の数が少ないことから、遺族や喪主の負担を最小限に抑えることができます。

直葬(火葬式)のデメリット

直葬(火葬式)のデメリット

直葬を検討する場合は、次のようなデメリットに注意しましょう。

家族や親族の理解を得にくい

直葬はシンプルな葬儀の形であり、呼べる参列者の数も限られることから、故人との別れが淡泊になりがちです。葬儀は残された人が故人への気持ちの整理をつけるための儀式でもあり、家族や親族の中には、直葬での簡素な別れに抵抗を感じる方もいるでしょう。生前の故人の意思や費用面など、直葬を選ぶ事情も踏まえて、事前に親族間での話し合いを行い、理解を得る必要があります。

当日以外の弔問客への対応に追われる

直葬の場合、式に出席できる人の数は限られるため、後日弔問に訪れる方が増える可能性があります。一組ずつ個別に対応する必要があり、葬儀でまとめて対応するより手間や時間がかかることもあります。

菩提寺がある場合は事前に相談が必要

遺骨を菩提寺に納骨してもらいたい場合は、事前に菩提寺に直葬を実施する旨の了承を得ておく必要があります。一般的に、菩提寺は檀家の一連の葬送儀礼を執り行っており、葬儀の簡略化には反対する可能性が高いです。直葬が故人の意思で、遺族全員が理解・納得している場合でも、必ず菩提寺に相談しておきましょう。

葬式を行わない場合の注意点

葬式ではなく直葬を行うと決めた場合は次のポイントに注意しましょう。

直葬に対応していない場合がある

故人や遺族が直葬に賛成をしていても、葬儀社が対応していない場合は直葬を行えません。また、菩提寺が納骨を断った場合は、新たな納骨先を探す必要があります。故人が亡くなってから慌てないためにも、直葬を決めた場合は、早いうちに葬儀社と菩提寺の両方に相談しましょう。

遺族が気持ちの整理を行う時間が減る

葬式は故人を見送るだけでなく、遺族や生前親しかった方が故人の死を受け入れるための儀式でもあります。そのため葬式を行わない場合は、残された人が気持ちを整理する時間が短くなります。直葬を行う場合も、その前に自宅で故人と過ごす時間を作るなど、後悔しない見送り方を検討しましょう。

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まとめ

本記事では、葬式をしない場合に行う、直葬のメリットやデメリット、注意点を解説しました。直葬は、葬式を行わず役所に届け出を出して火葬を行うことであり、費用や体力面での負担が少なく、参列者への対応を減らせるなどのメリットがあります。一方で、家族や親族の理解や菩提寺への相談など重要となるため、葬式をしない選択をした場合は事前に準備しておきましょう。

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