密葬とは?家族葬との違いや費用、参列マナー、注意点についてご紹介

高齢者・介護 2024.08.29
葬儀

近年の葬儀では、家族や親族に加えて多くの関係者が参列する従来の形だけでなく、近親者のみで故人を送り出す「密葬」や「家族葬」を選ぶケースが増えています。
本記事では、少人数で行う密葬について、家族葬との違いや費用、参列マナー、注意点などをご紹介します。

目次

密葬とは

手を合わせる参列者

密葬とは、家族や親族、近しい間柄の知人のみで行う葬儀のことです。生前、故人と特に親しかった方が少人数で集まり、通夜、葬儀、火葬を行います。参列者が増えすぎて故人との時間を十分に取れなくなるのを防ぐために、密葬の参列者には葬式の開催を秘密にすることが求められます。通常、密葬のあとには本葬やお別れの会が行われるため、一般の参列者はそこで故人とお別れすることになります。

密葬が用いられるケース

密葬は、故人が著名人や企業の社長など、社会的地位が高い方の場合に執り行われることが多いです。例えば、芸能人が逝去した際、近親者だけで密葬を行うケースはよくあります。その後、ファンや関係者が参列する本葬やお別れの会が実施されます。
また、故人の生前の交友関係が広く、一般的な葬儀場に収容できないほどの人が参列する可能性がある場合にも、先に密葬が行われます。

本葬やお別れの会について

本葬とは、遺族や近親者などの身内だけで密葬を行ったあとに、改めて大規模な葬儀を行うこと指します。本葬では、火葬が済んだ故人の遺骨で葬儀を執り行います。また、お別れの会は密葬に参列できなかった友人や知人が集まって執り行われる会のことです。企業が主催する社葬も本葬やお別れの会の一種とされます。
本葬やお別れの会に明確な定義はないため、主催者が進行や演出などを自由に決めることができます。ただし、友人や知人が主催する場合は、事前に遺族に了承を得たうえで、遺族の意向に沿う形で開催するようにしましょう。

密葬と家族葬の違い

密葬と混同されがちな言葉に「家族葬」があります。家族葬とは、一般的に参列者を家族や親族、親しい友人などに絞り、少人数で行う葬儀を指します。葬儀の内容や流れは、一般的な葬式と大きな違いはありません。参列者が少ない分、飲食接待費などがかかりにくい一方で、香典も集まりにくいため、最終的な費用負担は大きくなる傾向にあります。

密葬と家族葬は、どちらも少人数で行われる葬儀である点は共通しています。しかし、密葬は後日改めて本葬やお別れの会を行うことを前提としているのに対し、家族葬は1度しか行われません。また、密葬については参列者に葬儀を開催することを秘密にしてもらう必要がある点も家族葬との違いです。

密葬のメリット・デメリット

こちらでは、密葬のメリット・デメリットをご紹介します。

密葬のメリット

密葬には、次のようなメリットがあります。

  • 近親者だけで故人とお別れの時間を過ごせる
  • 参列者応対や接待が少なく、喪主や遺族の負担になりにくい
  • 本葬までの時間に余裕ができる

密葬は、限られた人数で小規模に実施するため、遺族の体力的・精神的な負担を減らすことができます。故人との別れをゆっくりと惜しむことができ、後悔なく送り出せるでしょう。また、宗教や慣習などに縛られず、故人や遺族の希望に沿った葬儀を行える点もメリットです。

密葬のデメリット

一方、密葬を行うと次のようなデメリットが発生する点に注意が必要です。

  • 葬儀を2回行う必要がある
  • 経済的な負担が増える
  • 本葬の準備や実施が負担となる可能性がある

密葬では、密葬と本葬で葬儀を2回行う必要があるため、経済的な負担が増える可能性があります。参列者が少ない分、香典の金額も少なくなります。また、大規模に本葬を実施しようとすると、その準備や実施が遺族の負担となるケースもあります。

密葬の費用と香典について

香典

密葬の費用は葬儀の演出や会場の規模で変動しますが、一般的には50万円~150万円前後が相場とされています。ただし、上記は密葬のみの料金であり、本葬やお別れの会を開く場合には別途費用が発生します。本葬やお別れの会の費用は参加者の人数で変わりますが、相場は80万円前後であり、密葬は総額で200万円ほどかかります。

香典について

密葬に際して、主催者や遺族から香典を辞退する旨があらかじめ伝えられている場合は、用意する必要はありません。辞退の旨が伝えられていない場合は、故人との関係に応じて下記の金額を用意しておくと安心です。

  • 子:5万円から10万円程度
  • 兄弟・姉妹:3万円から5万円程度
  • いとこなど、それ以外の親族:1万円から2万円程度
  • 友人・知人:5千円程度

密葬における遺族マナーと参列マナー

密葬にて故人を見送る場合に、遺族や参列者が守るべきマナーをご紹介します。

密葬の遺族のマナー

密葬を実施する際、遺族に求められるマナーを次の表でご紹介します。

密葬 一般的な葬式
死亡通知 広く伝える 広く伝える
案内 近親者など限られた方にのみ行う 故人の関係者などに広く伝える
弔辞 依頼の必要なし(本葬の際に依頼) 必要であれば依頼
服装 喪服 喪服

密葬の参列者のマナー

また、密葬の参列者は次のマナーを守りましょう。

  • 密葬のお知らせを口外しない
  • 案内されてない場合、参列は控える
  • 供物や弔電は控える

密葬は、親族や家族をはじめとした少人数で行われるプライベートな葬儀です。故人や遺族の意思を尊重するためにも、密葬の案内が届いた場合には口外しないようにしましょう。また、何らかの形で知人の密葬が行われることを知った場合も、参列や弔電などは控えるのがマナーです。

密葬を行う際の注意点

密葬を執り行う際には、次のポイントに注意しましょう。

密葬の情報が漏えいしないようにする

密葬を行う際は、参列してもらう方のみに案内を出しましょう。同時に密葬であることを伝え、外部に情報が漏れないようにする必要があります。

近親者から密葬への理解を得る

密葬は、必ず近親者からの理解を得たうえで行いましょう。密葬では、本葬前に火葬が行われるため、本葬のみに参列する方は故人と対面する機会がありません。そのため、家族や親族のなかには、多くの方に故人とのお別れの時間を作りたいとの思いから、密葬に反対する方もいるでしょう。全員が納得した状態で故人を送り出せるよう、しっかりと話し合いを行うことが大切です。

故人の勤務先に連絡する

故人が逝去した際、勤務先には早い段階で逝去した事実を連絡しましょう。特に参列を依頼する場合は、連絡が遅くなるほどスケジュールの調整が難しくなってしまうため、遅くとも葬儀の日程などが決まった時点で連絡するのがマナーです。
また、連絡の際には密葬で執り行う旨を併せて伝え、第三者に情報が漏れるのを防ぎましょう。香典や供物などを辞退する場合もこのタイミングで伝えます。

密葬に慣れている葬儀社を選ぶ

密葬を選ぶ際は密葬に慣れている葬儀社を選定しましょう。密葬の実績が豊富な葬儀社であれば、故人や遺族の意向にも丁寧に対応してもらうことができ、スムーズな密葬の実施が期待できます。

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まとめ

少人数で行う密葬は、故人や遺族の意思を反映しやすい葬儀のスタイルです。家族葬と共通する点もあるものの、本葬やお別れの会を前提としている点や参列者に葬儀の開催を秘密にしてもらう点など違いもあります。近親者のなかには、密葬に抵抗を感じる方がいる可能性もあるため、事前に話し合いをしておくことが重要です。
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