夫婦墓とは?選べる墓の種類と費用、管理から納骨までの流れをご紹介
子どもや孫にお墓の管理・維持で負担をかけたくない、実家のお墓に入りたくないなど、自分が亡くなった後のお墓について不安や悩みがある方は多いのではないでしょうか。そこで、お墓を継承せず一世代限りのお墓が建てられる、夫婦墓が近年注目されています。
今回は、夫婦墓について、その種類や費用、管理から納骨までの流れについて紹介します。
目次
夫婦墓とは?
夫と妻2人だけで入れるお墓を夫婦墓(ふうふはか・めおとばか)といいます。夫婦墓は、夫婦だけの使用を前提としたお墓です。夫婦一世代限りのお墓のため、夫婦以外がそのお墓に入ることはできません。墓石には一般的に、夫婦の名前が連名で彫刻されます。
夫婦墓には個別墓、納骨堂、樹木葬などの種類があり、基本的には「永代供養」として霊園側が管理や供養を担ってくれるため、お墓を継承する子どもがいない夫婦でも利用することが可能です。
夫婦墓が選ばれる理由
夫婦墓が選ばれる理由としては、以下が挙げられます。
- 子どもがいない
- お墓を継承する必要がない
- 夫もしくは妻の実家の墓に入りたくない
- 夫婦だけの特別な場所がほしい
- ゆかりの地に埋葬してほしい
自分たちが亡くなった後の不安を解消できるお墓のスタイルで、多様化する現代のニーズにこたえられるのも夫婦墓の特徴となっています。
家族墓との違い
家族墓は、家族が眠るお墓のことをいいます。墓地で見る一般的なお墓の多くが、家族墓に該当します。夫婦墓は永代供養のため、お墓の管理や手入れは必要ありませんが、一般的な家族墓は、自分たちで管理・維持をしなければなりません。
ただし、家族墓の形式も多様化しており、先祖代々のお墓を家族で使用する形だけでなく、親と子の二世代のみ入ることが可能な家族墓や、永代供養つきの家族墓などもあります。
夫婦墓として使用できるお墓の種類と費用
ここでは、夫婦墓として使用できるお墓の種類と費用について解説します。
個別墓
個別墓とは、従来のお墓と同じように個別の区画を購入し、専用の墓石を建てるお墓のことを指します。
夫婦連名で墓石に彫刻することができ、一定期間は夫婦だけで供養が行われます。契約期間が過ぎると墓石は解体され、夫婦の遺骨は墓石から取り出され合祀墓に移されることが一般的です。個別墓の費用相場は80万~150万円程度となっています。
納骨堂
納骨堂は、建物内に設けられた遺骨を安置するスペースを提供する施設です。遺骨を骨壺でそのまま収蔵する点や、1つの建物の中に多くの納骨スペースがある点が従来のお墓と仕様が異なります。3年、13年、33年など利用期間が決まっており、利用期間が過ぎると他の人と共同のお墓へ合祀されるのが一般的となっています。お墓を持たない方や遠方に住んでおり頻繁にお墓参りに行けない方などに利用されています。
納骨堂には、ロッカー型や仏壇型、自動搬送型、墓石型、位牌型などさまざまな種類があります。費用相場は60万~180万円程度となっており、種類によって費用が異なります。
樹木葬
樹木葬は、「墓地、埋葬等に関する法律」による許可を得た区画(墓所)に遺骨を埋葬し、樹木や草花を墓標として故人を弔う方法です。基本的に永代供養の形式がとられ、霊園などの管理者がお墓を管理してくれるため、納骨期限に定めがない場合は、継承者がいなくても安心です。樹木葬の費用相場は5万~150万円程度と幅があり、費用相場は他の人とシンボルツリーを共有する合葬方式と、夫婦だけのために植木する個別埋葬方式のどちらかを選択するかによって変わってきます。また、樹木葬の場合は宗教的な制約はないことが多いので、宗教や宗派などを気にする必要はありません。
夫婦墓のメリット・デメリット
お墓を購入する際は、慎重に選択しなければなりません。事前に夫婦墓のメリット・デメリットについて理解しておきましょう。
夫婦墓のメリット
子どもや孫などの負担が減る
管理費などのお墓に関する費用を生前に一括で支払うことが可能なため、子どもや孫など継承者への負担を減らすことができます。一般的なお墓は管理・維持が必要となり、継承者に負担がかかるケースも少なくありません。永代供養の夫婦墓にする場合、お墓の管理は霊園側が行うため、遠方に住む子どもや孫を気にせずに済みます。また、夫婦墓は子どもがいない夫婦でも利用できるため、安心してお墓を持つことができます。
お墓の場所・デザインを自分たちで決められる
夫婦墓は、新しくお墓を建てることになるため、お墓の場所やデザインを自分たちで決めることになります。2人だけのお墓なので、墓石の素材やデザイン、彫刻の文字などを自分たちの好みで選ぶことができます。また、夫婦の思い出の地や実際に住んでいた土地に夫婦墓を設けることで、夫婦の絆や思い出を残せます。
夫婦墓のデメリット
埋葬後は遺骨の取り出しや移動ができない
夫婦墓の遺骨は、一定期間は個別のお墓に供養されますが、期間が終了すると遺骨は合祀墓に移されます。一度合祀されると、遺骨を個別に取り出したり、移動したりすることはできなくなります。子どもや孫が家族一緒のお墓を建てたいと思っても、遺骨を取り出せないので注意が必要です。夫婦の意思だけで決めず、子どもや親族としっかり話し合って決めましょう。
一般墓よりも費用がかかることがある
夫婦墓を建てる場合、墓石だけでなく永代供養のための管理費なども支払う必要があるため、そのぶん一般的なお墓を建てるよりも費用がかかることがあります。契約時の費用をしっかり確認した上で、夫婦墓にするか選択しましょう。
お墓参りの手間が増えることもある
先祖のお墓を残した上で夫婦墓を建ててしまうと、子どもや孫の世代は2つのお墓を管理することになります。夫婦墓は、霊園側が管理してくれるものが多いですが、一般的なお墓は維持・管理や法要を続けなければならず、お墓参りの手間などが増えてしまいます。夫婦墓を建てる場合は、先祖のお墓の墓じまいをしておくことで負担を解消できます。
夫婦墓を希望する際に事前にやっておくこと
夫婦墓を希望する際に事前にやっておくことを紹介します。
先祖の墓じまいをする
墓じまいは、現在のお墓を撤去し更地にした後に、使用権を墓地管理者に返還することをいいます。夫婦墓を建てる際は、子どもや孫などが複数のお墓を管理しなければならない事態を避けるため、事前に先祖の墓じまいをしましょう。墓じまいをした後は、先祖の遺骨が残るため、合祀や散骨などの納骨方法で供養する必要があります。
子どもや親戚などに話す
夫婦墓を建てる際や墓じまいを検討する際、事前に子どもや親戚などに話すことが大切です。お墓は故人が眠る大切なもののため、しっかり話し合いをしないとトラブルの元となってしまいます。
納骨方法を決めておく
夫婦墓を希望する際、子どもがいない場合は、誰かに納骨を依頼しなければなりません。夫婦墓は夫婦のどちらかが亡くなった際、遺された方が納骨を行います。どちらが先に逝去するかわからないので、自身が亡くなった後の葬儀やお墓、相続といった手続きを事前に行っておく方法もあります。亡くなった後の葬儀やお墓の管理、行政への届け出などさまざまな手続きを行ってくれる死後事務委任契約を交わす方法もあります。死後事務委任契約を取り扱っている行政書士や司法書士、弁護士、NPO法人などと契約を交わしておくと、納骨に関する不安もないためおすすめです。
夫婦墓の契約から納骨までの手順
夫婦墓を契約してから納骨までどのような手順なのでしょうか。夫婦の遺された1人が亡くなったとき、遺骨はどのように納骨されるのか気になる方は多いと思います。ここでは、夫婦墓を契約して実際に納骨するまでの手順について簡単に紹介します。
契約時に建立費用や管理費、改葬の費用などを支払う
夫婦墓を建てる際は、供養の期間を決めて霊園と生前契約を結びます。遺族の負担を減らすために、お墓の建立費用や契約期間の管理費、改葬の費用などを契約時に払っておきます。霊園によっては料金の支払い方法が異なりますが、一般的に永代供養つきの夫婦墓は、契約時に一括で支払うことが多くなっています。
ただし、2人とも存命の場合、1人目が納骨されるまでの費用の一部しか支払えないこともあるため注意が必要です。自身が契約する霊園がどのような支払い方法なのか、しっかりと確認することが大切です。
亡くなった配偶者が納骨する
夫婦のどちらかが先に逝去した場合、遺された1人が納骨を行います。支払い方法に分割払いを選択した場合や契約時に前金だけを支払っている場合など、残っている支払金があるときはこのタイミングで支払います。事前に、支払う金額を確認して準備しておきましょう。契約の際、霊園としっかりと相談した上で、どのタイミングでどのように支払うのかを決めると良いです。
委任された方が納骨する
残った1人が逝去したら、子どもか委任された方(死後事務委任契約)が納骨を行います。そのため、死後事務委任契約を交わし委任された方が、残った1人の死亡を確認できる体制を整えなければなりません。介護施設や病院で手続きを行う際に、死後事務委任契約を交わした専門家を身元引受人として選ぶと、スムーズに事を進めることができます。
また、費用を支払い終えていない場合は支払いが生じてしまうので、子どもや委任された方の負担にならないように事前に支払いを終えておきましょう。納骨先への支払い方法や契約に関する情報を、生前に子どもへ伝えておくと安心です。
お墓や終活について考え始めたら見守りサービスを活用しよう
自身のお墓や終活について考えたり話し合ったりするようになった際、もしものときに備えた対策があると安心です。
ALSOKの見守りサービス「HOME ALSOKみまもりサポート」は、ご自宅で急に体調が悪化した際、緊急ボタンを押すだけでガードマンが現場に急行し、関係機関への通報などの対応を行います。看護師資格を持つスタッフにいつでも健康相談が可能で、熱中症の危険がある際の警告や災害時の緊急速報メールを自動で読み上げる機能もあり、ご本人への注意喚起が行えます。
また、コントローラーは大きな文字やボタンで、聞き取りやすい音声・警報音など、ご高齢の方でも使いやすいユニバーサルデザインです。あらかじめ持病やかかりつけの病院などの救急情報を登録しておくと、救急車による搬送が必要になったときも安心です。ご家族と離れて暮らしている方は、ALSOKの見守りサービスを活用してみてはいかがでしょうか。
まとめ
夫婦墓は一世代限りのお墓で、子どもがいない夫婦や子ども・孫にお墓の管理で負担をかけたくない方などに選ばれることが多いお墓です。夫婦墓を建てる際は、子どもや親族としっかりと話し合い、夫婦にあった形を見つけることが大切です。