一日葬とは?家族葬との違いや費用の比較、一日葬の流れを解説

高齢者・介護 2024.08.23
一日葬とは?家族葬との違いや費用の比較、一日葬の流れを解説

従来の葬儀では、通夜式と葬儀・告別式、火葬を二日間に分けて執り行われる形式が一般的でした。しかし、時代の変化とともにお葬式の形式が多様化しており、ご遺族の負担を抑えつつ故人のお見送りができる葬儀形式を選ぶことが増えています。
本記事では、一日葬について、家族葬との違いや費用、一日の流れなどをご紹介します。

目次

一日葬とは

一日葬とは、通夜式を行わずに、告別式から火葬・お骨上げまでを一日で行う葬儀のことです。
一般的な葬儀では通夜式、葬儀・告別式、火葬を二日間かけて行いますが、一日葬では通夜式を行いません。一日で葬儀を終えることができるため、葬儀の準備を行う遺族の負担を抑えることが可能です。また、仕事や家庭で忙しくても比較的参列しやすいという特徴があります。

一日葬と家族葬の違い

一日葬と混同されがちな言葉に「家族葬」がありますが、これらには明確な違いがあります。

家族葬とは

家族葬とは、家族や親族、親しい友人など参列者を限定し、小規模で執り行われるお葬式のことです。参列者が少人数のため、ゆっくりと落ち着いて故人をお見送りすることができます。告別式から火葬・お骨上げまでを一日で行う一日葬と違い、家族葬は一般的なお葬式と同じ流れで二日間の日程で行われます。

一日葬と家族葬の費用の違い

葬儀相談依頼サイト「いい葬儀」が2024年に実施したお葬式に関する全国調査によると、家族葬にかかる費用が105.7万円であるのに対し、一日葬にかかる費用は87.5万円となっています。参列者の人数などで費用は変わりますが、どちらも一般葬と比較すると費用負担が減る傾向です。
一日葬の場合は、お通夜がないことから「通夜ぶるまい」がなくなるため、費用負担が減る可能性があります。また家族葬の場合は、小規模で執り行われるため飲食接待費などは少なくなりますが、参列者が少ない分、香典も集まりにくいことから一日葬よりも実質的な費用負担が大きいと考えられます。

出典:いい葬儀「第6回お葬式に関する全国調査(2024年)」

一日葬の流れ

一日葬の流れ

こちらでは、亡くなってから一日葬が実施されるまでの流れについて一例をご紹介します。

一日葬実施の流れ

【ご逝去日】

1. 葬儀社に依頼
2. ご遺体の搬送・安置
3. 葬儀の打ち合わせ

【葬儀当日】

4. 納棺
5. 告別式
6. 出棺
7. 火葬
8. お骨上げ

一日葬実施の流れは基本的に上記のとおりです。法律上、亡くなってから24時間を経過しないと火葬できないため、ご逝去から火葬までは実質二日間を要することになります。それでは、一日葬の具体的な内容を見ていきましょう。

1. 葬儀社に依頼

ご逝去後、葬儀会社に連絡してご遺体の搬送・安置を依頼します。
病院で亡くなった場合、ご遺体は霊安室に移されますが、霊安室に安置できる時間は限られているため、なるべく早く葬儀会社を決めて手配しなければなりません。

2. ご遺体の搬送・安置

迎えの車が到着したら、自宅や斎場、葬儀会社にある安置場所へご遺体を搬送してもらいます。ご逝去後24時間は火葬を行えないため、一日葬まで安置場所にてご遺体を安置しておきます。

3. 葬儀の打ち合わせ

ご遺体を搬送・安置したら、葬儀会社の担当者と葬儀の打ち合わせを行います。葬儀の日程や会場、プラン、費用、喪主、参列者数など、故人や遺族の希望を伝えながら葬儀の段取りを決めましょう。
一日葬の日程が決まったら、参列者に葬儀の日時や会場を伝えます。

4. 納棺

葬儀当日にご遺体を棺に納めます。遺族が行う場合と葬儀業者が行う場合がありますが、近年は葬儀業者や納棺師に依頼するケースが多いです。湯灌や化粧を施し、死装束を着せます。副葬品とともに納めたら、葬儀会場まで搬送します。

5. 告別式

告別式は、故人との最後のお別れをする大切な儀式です。一般的な告別式は、僧侶による読経、弔辞弔電、お焼香、喪主挨拶、出棺、火葬という流れになっています。

6. 出棺

告別式を終えたら棺を閉じて霊柩車へ運び、火葬場へ出棺します。喪主や遺族の代表は霊柩車に同乗し、他の参列者はマイクロバスやタクシー、自家用車などで火葬場まで移動します。会食(精進落とし)がない場合は、遺族以外の参列者は火葬場に行かず解散となることもあります。

7. 火葬

火葬場に到着したら、僧侶による読経の後に遺族の焼香を行い、棺を火葬します。火葬には2時間程度かかるためこの間に会食をする場合もあります。

8. 骨上げ

骨上げとは、火葬後に故人の骨を箸で拾って骨壺に納める儀式です。

一日葬のタイムスケジュール

一日葬の所要時間は、告別式で2時間、火葬で2時間、会食で1時間と考えると4~5時間程度です。一日葬が朝に執り行われる場合は、お昼過ぎに葬儀が終わります。
近年では、より多くの人が集まりやすい夕方から葬儀が執り行われる「夕刻一日葬」という葬儀形式もあります。仕事などの都合上一日葬に参列できないという場合を考慮し、火葬後の夕刻から告別式を行うものです。
一日葬は通夜がないため、告別式の前日や火葬前はご家族で故人と最期の時間を過ごすことが可能です。

一日葬のメリット・デメリット

一日葬のメリット・デメリット

ここからは、一日葬のメリット・デメリットをご紹介します。

【メリット】葬儀費用が抑えられる

一日葬では通夜式がないため、その分の会場利用料や通夜ぶるまいの費用は発生しません。また、食事や返礼品などは参列者の分のみ用意することになるため、葬儀全体の費用負担を抑えられます。一日で葬儀を終えられることから、遠方に住む親族や参列者の宿泊先を手配する必要もありません。

【メリット】遺族の精神面・体力面の負担を減らせる

一日葬は、二日間の葬儀となる一般葬と違って一日で終わるため、遺族や喪主の精神面・体力面の負担を減らせます。前日は故人との時間を過ごすこともでき、ゆっくりと故人との別れを惜しむことができるでしょう。

【メリット】忙しい人も参列しやすい

一日葬は、一日で告別式から火葬・お骨上げまでを行うため、遠方の方は宿泊する必要がなく、仕事などで忙しい人も参列しやすいことが特徴です。また、さまざまな事情で日中参列するのが難しいという人が多い場合、夕刻から執り行われるケースもあります。

【デメリット】親族や菩提寺への事前の相談が必要

遺族や親族に、一日葬という葬儀形式を理解してもらえない可能性があります。通夜式がないため、遠方に住む親族が参列できず不満を持つケースもあるかもしれません。また、お寺では通夜式の翌日に葬儀・告別式を行い、火葬するという仏式の葬儀を重視しています。遺族の意向だけで進めず、必ず親族や菩提寺へ事前に相談しておくことが必要です。

【デメリット】会場によっては二日分使用料が必要となる

先ほど葬儀費用が抑えられる点をメリットに挙げましたが、会場によっては二日分の会場使用料が必要となります。葬儀を行うのは一日ですが、前日に会場の安置場所へご遺体を運んで告別式まで安置しておくことがあります。その場合、料金について葬儀業者に事前に確認しておきましょう。

【デメリット】葬儀後の弔問が増えてしまう可能性がある

一日葬は通夜式がないため、仕事などの都合で参列できない方も出てきます。そのため、葬儀が終わってから後日弔問に訪れてくれる方もいることでしょう。しかし、弔問の人数が多いと遺族は負担になってしまうかもしれません。

一日葬にかかる費用の相場

一日葬にかかる費用には葬儀社に支払う葬儀費用のほか、宗教者に支払うお布施、火葬料、食事や返礼品の費用などがあります。葬儀プランや参列者数などによって異なりますが、総額100万円以下と考えておくと良いでしょう。一般的に、葬儀社に支払う葬儀費用は30万円~50万円程、お布施は10万円~30万円程が相場となっています。火葬料は、葬儀費用一式に含まれている場合と含まれていない場合があるため、事前の打ち合わせの際に確認しておくと良いでしょう。

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まとめ

告別式から火葬・お骨上げまでを一日で行う一日葬は、仕事や家庭の事情で参列が難しいという方でも参加しやすい葬儀形式です。家族葬と同様に一般葬よりも費用を抑えられますが、二日間で行う家族葬と違って一日で執り行われるという違いがあります。一日葬を執り行う場合は、親族や親しい方には事前に話し合って理解を得ておくことが重要です。

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