仏壇の正しい配置は?仏壇の向き、仏具やお供えの配置や飾り方などを解説

高齢者・介護 2024.08.23
仏壇の正しい配置は?仏壇の向き、仏具やお供えの配置や飾り方などを解説

仏壇は、各家庭で仏様やご先祖様を祀っている大切な場所です。家を建てた時に新しく仏壇を購入する場合や、ご家族が亡くなったことをきっかけに仏壇を引き継ぐ際、仏壇の正しい配置や向き、飾り方やお供えの仕方などに悩む方は多いでしょう。この記事では、仏壇の正しい配置や向き、仏具やお供えの配置、飾り方などについて解説します。

目次

仏壇を置く目的

仏壇はご先祖様を祀り、故人を弔うためのものであるので、ご家族が亡くなったことをきっかけに仏壇を置く場合も多くなっています。
しかし、本来の仏壇の目的は各家庭が信仰する宗派のご本尊をお祀りすることです。
仏壇は各家庭でご本尊を祀る小さなお寺であるため、亡くなった人がいない場合でも、仏壇を購入して置くことは可能です。

仏壇の配置

仏壇を自宅内に置く際、どのような場所に配置するのが良いのでしょうか。

和室や仏間

和室や仏間(仏壇を設置するための部屋)、がある家であれば、そこに仏壇を置くのがもっとも適しています。昔は和室や仏間がある住宅が多く、そこに仏壇を置いていましたが、近年は和室のない住宅も増えています。
和室の壁面には床が一段高くなっているスペースが設けられている場合があり、そこを床の間といいます。床の間はご本尊やご先祖様を祀る場所(掛け軸や香炉が置かれていた場所)で、格式ある場所と考えられているため、床の間に仏壇を置いても問題ありません。

リビングルーム

和室や仏間がない家庭は、家族が集まるリビングルームに仏壇を置くと良いでしょう。家族みんなが集まる場所であり、毎日手を合わせやすいので、仏壇を置く場所に適しています。
仏壇を目立たせたくない場合は、ロールスクリーンなどで目隠しする方法もあり、洋室に合うようなモダンなデザインの仏壇も増えています。

寝室

寝室に仏壇を置く場合でも問題はありません。落ち着いて手を合わせることができるため、供養を行う方の寝室に仏壇を置く場合もあります。
寝室は限られたスペースである場合が多いため、仏壇を寝室に置く際は仏壇の扉を開いた状態で置けるスペースの確保が必要です。また、寝る時に足が向く方向に仏壇を置かないように注意しましょう。

宗派ごとに異なる仏壇の向き

仏壇を置く向きに明確な決まりはありませんが、宗派ごとに考え方が異なります。ここでは、3つの説について解説します。

東面西座説(とうめんせいざせつ)

仏壇を東向きに置き、西の方角を見て手を合わせることになる置き方です。この説はインドの考え方がもととなっており、日が昇る東は縁起の良い方角とされ、東向きに置くようになったといわれています。
その他にも、西のかなたに極楽浄土があるとする「西方浄土説(さいほうじょうどせつ)」の考え方においても、西に向かって拝めるように東向きに仏壇を配置します。

南面北座説(なんめんほくざせつ)

仏壇を南向きに置き、北の方角に向けて手を合わせることになる置き方です。古代中国では王をはじめとする高貴な人物は南向きに座る習慣があったことから、日本でも取り入れられた考え方です。また、一般的に浸透している「仏壇の北向きは縁起が悪い」という考え方にも通じています。

本山中心説

宗派の本山がある方角に向くように仏壇を置く置き方です。本山の方向を見て手を合わせることになる置き方で、住む場所によって各家庭での仏壇の向きが変わります。

宗派ごとの仏壇の向き

宗派 配置の考え方 仏壇の向き
浄土真宗・浄土宗・天台宗 東面西座(西方浄土)説 東向き
臨済宗・曹洞宗 南面北座説 南向き
真言宗 本山中心説 本山の位置により方角が変わる
日蓮宗 特に決まりはない 決まった向きはない

浄土真宗・浄土宗・天台宗はご本尊として阿弥陀如来を祀っており、阿弥陀如来は西方の極楽浄土にいるとされその方角に向かって拝むため、仏壇を東向きに置くことが多いです。臨済宗・曹洞宗では、南面北座説の考え方で仏壇を南向きに置くことが多く、真言宗は本山中心説の考え方で、本山との位置関係で置く方角が変わってきます。
日蓮宗は、決まった向きに置くというものはありません。特別な決まりはなく、仏壇を自由に置いても良いとされています。
このように、宗派によって考え方が異なり、仏壇を置く向きもそれぞれ異なります。

なお、仏壇は直射日光や冷暖房の風、湿気が傷みの原因になることがあります。配置の際にも考慮するようにしましょう。

仏壇の飾り方

仏壇の飾り方

仏壇の飾り方は、本来宗派によって配置が異なりますが、現在はそれぞれのご家庭に合った祀り方で良いという考えが浸透してきています。ここでは、一般的な飾り方をご紹介します。

仏壇で重要な仏具は、ご本尊と位牌です。仏壇の最上段中央にご本尊をお祀りし、左右に宗祖名号の描かれた掛軸(脇侍)を配置します。位牌はご本尊が隠れないよう、一段下の右端、2柱目は左端に安置します。
次の段では、中央に仏器膳(ご飯やお茶を供える際に下に置くお膳)を置き、仏飯器・茶湯器を配置。その左右に、高月(供物台)を配置します。
最下段には花立、線香差(線香立て)、マッチ消、香炉、火立、おりんとりん棒などを配置してお参りできるようにするのが一般的な仏壇の飾り方です。

宗派ごとのご本尊の飾り方

宗派ごとにご本尊、脇侍の種類が異なります。脇侍(わきじ)とは、ご本尊の両脇に置かれる仏像や掛軸のことです。宗派ごとの飾り方は以下の表の通りとなっています。

宗派 脇侍(左) ご本尊 脇侍(右)
浄土真宗本願寺派 蓮如上人 阿弥陀如来 親鸞聖人
真宗大谷派 九字名号 阿弥陀如来 十字名号
浄土宗 法然上人 阿弥陀如来 善導大師
天台宗 伝教大師 阿弥陀如来 釈迦如来 天台大師
臨済宗 普賢菩薩 観世音菩薩 釈迦如来 文殊菩薩 達磨大師
曹洞宗 常済大師 釈迦如来 承陽大師
真言宗 不動明王 大日如来 弘法大師
日蓮宗 大黒天 御曼茶羅・三宝尊・日蓮聖人 鬼子母神

それぞれの宗派でご本尊として祀っているものが異なり、脇侍の配置も異なります。日蓮宗の脇侍は、お寺や地域によって左右の配置が異なる場合があるため、注意が必要です。また、上記表以外のご本尊や掛軸でも良いとされる場合もあります。

仏壇のサイズやデザインによっても内部の空間が異なり、置ける仏具の数が変わることもあります。ご本尊や脇侍の配置がわからない場合は、事前にお寺などに相談すると良いでしょう。

お膳の配置とお供えの仕方

お盆や命日・法事・法要などの際、仏壇にお供えするお膳のことを「御霊供膳」といい、精進料理をお供えします。精進料理とは、仏教の教えに沿った野菜や穀物中心の伝統料理です。食べ物や飲み物を仏壇にお供えすることで、感謝と供養の気持ちを示すことができます。
御霊供膳の基本は、白米と一汁三菜を基本とした汁物、煮物、和え物、香の物を小さな5つの器にお供えします。基本の並べ方は、お膳の左上に平椀、右上に壺椀、中央に高杯(たかつき)、左下に飯椀、右下に汁椀を並べ、手前に箸を置きます。仏壇や祭壇などにお供えする際は、箸の置いてある方を仏様に向けるのが一般的です。

宗派ごとに異なるお供え(お膳)の配置方法

天台宗・真言宗・日蓮宗の場合は、お供え(お膳)の配置方法は基本の並べ方と同じです。浄土宗は左上に壺椀、右上に平椀、中央に高杯を配置する点が、基本の並べ方と異なり、臨済宗・曹洞宗は左上に平椀、右上に高杯、中央に壺椀を配置する点が、基本の並べ方と異なります。浄土真宗では、一般的に仏壇にお膳をお供えしません。

毎日のお供えの仕方

仏壇に対する毎日のお供えは、ご先祖様や故人への感謝を伝え、供養を行うために欠かせないもので、お供え物は「五供(ごくう)」と呼ばれる考え方に基づいています。「香・灯燭(とうしょく)・花・飲食(おんじき)・浄水」の5つが基本とされています。

  • 香…お線香
  • 灯燭…ローソク
  • 花…生花や造花
  • 飲食…ご飯
  • 浄水…水やお茶

お線香は、水やご飯などのお供えをした後に焚きます。宗派によっては本数や立て方が異なる場合もあるので確認しましょう。花は基本的には生花をお供えしますが、頻繁な取り換えが必要なため造花をお供えするという方も増えてきています。
ご飯は炊きたてのものを自分たちが食べる前にお供えして、冷めて湯気が出なくなったら下げましょう。水やお茶は毎朝取り換えるようにします。

ご飯やお茶以外の食べ物や飲み物を仏壇にお供えする場合は、常温保存可能な季節の果物や日持ちする個包装のお菓子などをお供えしましょう。

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まとめ

仏壇を置く場所は、床の間や仏間がもっとも適しており、置く向きは宗派によってそれぞれ異なります。また、仏壇の飾り方やお供えの仕方には基本的な飾り方やお供えの仕方がありますが、その配置も宗派によって異なるため、自身の宗派を確認して行うと良いでしょう。
仏壇の配置や飾り方を覚えて、毎日のお参りに役立ててみてはいかがでしょうか。

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