ショートステイとは?短期入所できる施設や必要な費用、利用可能な期間について
ショートステイとは対象の施設に短期入所しながら、食事や入浴介助などの介護サービスを受けられる制度です。自宅で介護を受けている方やご家族は、ショートステイを検討したいと考える方は多いでしょう。
本記事では在宅介護支援として活用されるショートステイについて、料金の目安や利用可能な期間などを詳しく解説しています。ショートステイの利用を検討している方は、ぜひチェックしてください。
目次
ショートステイとは?
ショートステイとは、要支援または要介護認定された65歳以上の方が、短期間(最長30日間)施設に入所し、食事や入浴などの介護サービスを受けられる制度です。
他の利用者との交流を通して心身のリフレッシュを図れますし、介護職員による機能訓練などを受けることもできます。また、介護者の負担軽減を目的に利用される場合もあります。
ショートステイのサービス内容
ショートステイで利用できるサービスは主に次の6つです。
- 個別食への対応や食事介助、栄養バランスを考えた食事の提供
- 全身浴や部分浴など利用者に合わせた入浴介助
- 排せつ介助(施設によっては排せつ訓練や失禁対策が行われる場合もある)
- 血圧測定や体温測定などの健康管理
- 体力維持や回復を目的とした運動やリハビリテーション
- 他の利用者との交流を深めるレクリエーション
上記の他、利用者の方の状況に応じて医師や看護師による薬の服用管理や、傷の処置といった医療処置も行われます。
ショートステイの種類
ショートステイには「短期入所生活介護」と「短期入所療養介護」の2種類があり、それぞれで提供されるサービスや対象となる利用者が異なります。
短期入所生活介護
「短期入所生活介護」は介護者の負担を軽減し、利用者の心身の機能維持・回復を図ることを目的とした入所方法です。
- 対象となる利用者
要支援1・2、要介護1~5の方 - サービスが利用できる施設
特別養護老人ホーム(特養)
介護老人保健施設(老健)
グループホームなど - 利用できるサービス
日常生活支援(食事・入浴・排せつ介助)
機能訓練(リハビリテーション)
レクリエーション(歩行訓練など)
日常生活に焦点を当てた支援を行うことで利用者の心身のリフレッシュと、介護者の方の負担軽減を両立できます。
短期入所療養介護
「短期入所療養介護」は先述した「短期入所生活介護」のサービスに加えて、利用者への医療的ケアを含むサービスであり、下記の点が異なります。
- 対象となる利用者
要介護1~5の方のみ - サービスが利用できる施設
介護医療院
介護老人保健施設(老健)
療養病床のある病院や診療所など - 利用できるサービス
短期入所生活介護で行われる日常生活支援や機能訓練
医療的ケア(点滴、胃ろう、褥瘡の処置など)
認知症のケア(集団レクリエーション、徘徊対策など)
ターミナルケア(余命がわずかになった方に対して行う医療ケア)
寝たきりや認知症などにより自宅での介護が困難と感じている方は、利用を検討してみてください。
介護保険適用外のショートステイ
「短期入所生活介護」と「短期入所療養介護」は介護保険が適用されますが、次のように自費で利用可能なショートステイサービスもあります。
- 有料老人ホーム
- サービス付き高齢者向け住宅
利用者側のメリットとしては、要介護認定を受けていない方でも利用可能な場合があることです。デメリットは施設によってサービス内容や料金が異なる点で、介護保険適用外のため全額自己負担となり、1日数万円程度と費用が高額になる場合があります。
レスパイト入院とショートステイの違い
レスパイト入院は、通常のショートステイでは難しい医療的ケアを要する方を対象とした、短期入院サービスです。
- 対象となる利用者
胃ろうや酸素吸入、インシュリン注射など、通常のショートステイでは対応が難しい医療的ケアが必要な方
レスパイト入院は介護保険ではなく医療保険が適用されるため、利用に際して介護度の制限はありません。
特に在宅で人工呼吸器や経管栄養(チューブやカテーテルを用いた栄養補給)など、医療サポートが必要な方に向けて提供されている点が特徴といえるでしょう。
ショートステイの費用
ショートステイにおける基本的な介護サービス(食事の介助、入浴・排せつ介助など)の他にも、施設側が提供するサービス(レクリエーションやリハビリなど)には介護保険が適用されます。
なお、療養食の提供や医療処置、認知症ケア、送迎などの特別サービスは介護保険サービスに含まれますが、加算料金が発生します。
食費や日用品代など以下のサービスや物品には介護保険が適用されないため、かかった料金は利用者負担となります。
【自己負担となる費用】
- 食費
- 施設滞在費
- 日用品代
- おむつ代
- 理美容代
- レクリエーションの経費など
ショートステイ1泊の料金はどれくらい?
ショートステイの1泊料金は、要介護度の他に施設の種類や居室によっても異なります。
中でも居室は「従来型個室」と「多床室」、「ユニット型」の3種類に分けられ、次のような特徴があります。
- 従来型個室
1人部屋。費用は高めだが、プライバシーが保たれる。 - 多床室
4人程度で1部屋を利用する。比較的安価だが、プライバシーを保ちにくい。 - ユニット型
共有リビングを中心に10人程度が各々の個室で過ごせる。
費用は高めだが、プライバシーを確保しつつも他の利用者と交流できるメリットがある。
以下に、利用施設の種類ごとの1泊料金(食事や入浴、排せつ介助などの介護サービス費用の自己負担分)を紹介します。この金額は厚生労働省の定める算定料金の目安で、市区町村や施設の体制、加算の有無によっても異なってきます。
また、実際には食費・施設滞在費、日用品代なども加算されます。
単独型:ショートステイのサービスに特化した施設
併設型:特別養護老人ホームや介護老人保健施設などに併設されている施設
【短期入所生活介護】
食事や入浴、排せつ介助などの介護サービス費用の自己負担分/1泊当たり
・単独型(料金は自己負担割合1割で計算。以下同じ)
介護度 | 従来個室型・多床室 | ユニット型 |
---|---|---|
要介護1 | 645円 | 746円 |
要介護2 | 715円 | 815円 |
要介護3 | 787円 | 891円 |
要介護4 | 856円 | 959円 |
要介護5 | 926円 | 1,028円 |
・併設型
介護度 | 従来個室型・多床室 | ユニット型 |
---|---|---|
要介護1 | 603円 | 704円 |
要介護2 | 672円 | 772円 |
要介護3 | 745円 | 847円 |
要介護4 | 815円 | 918円 |
要介護5 | 884円 | 987円 |
【短期入所療養介護(介護老人保健施設)】
食事や入浴、排せつ介助などの介護サービス、療養介護費用の自己負担分/1泊当たり
介護度 | 従来型個室 | 多床室 | ユニット型 |
---|---|---|---|
要介護1 | 753円 | 830円 | 836円 |
要介護2 | 801円 | 880円 | 883円 |
要介護3 | 864円 | 944円 | 948円 |
要介護4 | 918円 | 997円 | 1,003円 |
要介護5 | 971円 | 1,052円 | 1,056円 |
参考:厚生労働省「介護報酬の算定構造」
ショートステイを1カ月利用した場合の料金は?
1泊の料金を元に、次の条件にあてはまる利用者がショートステイを1カ月(30日間)利用した場合の料金をご紹介します。
- 要介護度:3
- 自己負担割合:1割
- 利用施設:特別養護老人ホーム(併設型)
- 部屋のタイプ:ユニット型(1ユニット10人程度に専任の職員が配置される)
ショートステイ1カ月利用の料金目安と内訳
項目 | 料金目安 | |
---|---|---|
介護保険適用 | 基本料金 | 2万5,410円 |
サービス加算料金 | 3,000円 | |
介護保険適用外 | 食費 | 5万4,000円 |
滞在費 | 9万円 | |
日用品代 | 1万5,000円 | |
合計 | 18万7,410円 |
上記料金は目安であり、実際の利用価格は要介護度や自己負担割合、利用施設、お住まいの地域、加算の有無など、さまざまな要素で変動します。利用前に、施設やケアマネージャーに具体的な金額を問い合わせてみてください。
ショートステイが利用できる期間
ショートステイは最短1泊2日から最長30日を上限として利用できます。しかし、次に紹介する事例のように、やむを得ない事情ができた場合は日数上限を超えて利用可能です。
ロングショートステイとは
介護者の体調不良や特別養護老人ホームの空室待ちなど、やむを得ない理由で自宅での介護ができない場合に限り、利用上限である30日を超えてショートステイを利用できます。
しかし、ショートステイは短期間の利用を想定したサービスであるため、日数上限を超えて利用する場合は、次のルールを守らなければいけません。
- ケアマネージャーによるケアプランが必要
- 30日を超えた分は全額自己負担となる
- 介護認定の認定有効期間の半数を超えてはならない(例:認定期間が180日の場合は90日が最長期限)
万が一、ロングショートステイを利用しなければならなくなった場合は、担当のケアマネージャーに連絡し、利用日数などを相談しましょう。
ショートステイを利用するシーン
一般的にショートステイの利用が推奨されるシーンは次の通りです。
- 介護者が体調を崩したとき
体調不良や通院などにより、一時的に介護が難しい状況で利用する - 介護者が仕事や冠婚葬祭で家を空けるとき
出張や結婚式、法事などで不在となる際の介護を任せられる - 介護者がリフレッシュをしたいとき
心身の疲れを癒やし、介護の質を維持するための休養として活用できる - 在宅の介護サービスが一時的に利用できないとき
通常利用しているサービスの代替手段としての利用も可能 - 介護施設に体験入所したいとき
施設の雰囲気やサービス内容を実際に体験でき、将来、施設入所する際の検討材料になる
上記以外にも、利用者にとっても他の方との交流機会が生まれたり、新しい環境での刺激を得られたりするなど、日常とは異なる楽しみを見つけられるメリットがあります。
ショートステイは介護者の休養や一時的支援に役立ちますが、在宅中の介護負担は大きなものです。介護者の負担軽減のために、見守りサービスなどの導入も検討することをおすすめします。
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まとめ
ショートステイは、介護者の急な用事や体調不良時の対応だけでなく、リフレッシュにも活用できる大変便利なサービスです。しかし、利用期間や料金体系が細かく設定されているため、効果的に活用するためには専門的な知識が必要となります。サービスの利用を検討する際はぜひ担当のケアマネージャーに相談し、利用者と介護者の両方にとって最適な方法を探してみてください。