老老介護とは?増加する老老介護の問題点と課題への解決策
老老介護は、介護をする側と介護を受ける側の双方が65歳以上の高齢者であることをいいます。少子高齢化が進む中、老老介護は増加しており社会問題化している状況です。自分や家族の介護について考えたとき、老老介護の解決策を知りたいという方は多いのではないでしょうか。
本記事では、増加する老老介護の原因や課題に対する解決策・支援策について解説します。
目次
老老介護とは
まずは、老老介護とはどのような意味なのかを理解し、日本における老老介護の現状について見ていきましょう。
老老介護とは
老老介護とは、65歳以上の高齢者が高齢者の介護をしている状況のことをいいます。高齢の夫婦や兄弟姉妹、親子などさまざまなケースがあり、どちらかが介護をする側で、もう一方が介護される側となります。「認認介護」も同様に、認知症の高齢者が、認知症を発症している高齢者の介護をしている状況のことです。老老介護は介護者自身の負担も大きく、外出機会が減りストレスが続くことで認知機能が低下し、「認認介護」の状態になってしまうというケースも少なくありません。
老老介護の現状
厚生労働省による国民生活基礎調査の結果から、「要介護者等と同居の主な介護者の年齢組合せ別の割合」を見ると、2001年では60歳以上同士は54.4%、65歳以上同士は40.6%、75歳以上同士は18.7%でした。しかし、2022年になると60歳以上同士は77.1%、65歳以上同士は63.5%、75歳以上同士は35.7%と、全体的に2割近く増加傾向にあることが分かります。
今後も老老介護の割合は、ますます増加していくことが予想されるでしょう。
老老介護が増加している原因
老老介護が増加している原因としては、以下が挙げられます。
健康寿命と平均寿命
老老介護が増加している原因の一つに、日本の医療技術の進歩等による平均寿命の延伸が挙げられます。厚生労働省の発表によると、2019年の男性の平均寿命は81.41歳、健康寿命(健康に日常生活が送れる期間)は72.68歳で、女性の平均寿命は87.45歳、健康寿命は75.38歳となっています。つまり、健康寿命と平均寿命には男性が8.73歳、女性が12.07歳の差があるということになり、この期間は介護を要する可能性が高いです。日本人の平均寿命が延びているために健康寿命との差が拡大し、老老介護が増加している現状となっています。
出典:厚生労働省 令和4年版 厚生労働白書 図表2-1-1 平均寿命と健康寿命の推移
核家族化の進行
近年は二世帯で住むのではなく、子ども世帯が独立して暮らす「核家族化」が進んでいます。核家族の場合、親は夫婦のみの世帯になるため、そのまま年齢が上がっていくことで老老介護の状態へとつながると考えられます。
子ども世帯が遠方に住んでいる場合は特に助けを求めることが難しく、老老介護となっている状況も増えています。
高齢者世帯の増加
少子高齢化が進み、団塊の世代の方々が75歳となる2025年には全人口の約18%が75歳以上、2040年には全人口の約35%が65歳以上となると推測されています。このまま増加した場合将来的には国民の5人に1人が75歳以上の後期高齢者となり、医療や介護のニーズが高まるといわれています。介護業界での人材不足も問題視されているため、今後も高齢者世帯の増加に伴い、老老介護となる世帯の増加が予想されます。
経済的な問題
要介護認定を受けると、介護保険制度による介護サービスを利用できます。介護サービスを利用した場合は介護費用の給付を受けられますが、サービス費用の1割(一定以上所得者の場合は2割または3割)を自己負担することが定められています。また、老人ホームなどへ入居する場合はサービス費用の1割負担のほか、居住費・食費・日常生活費も負担しなければなりません。そのため、金銭的な理由で介護サービスの利用が難しいと感じ、老老介護をしているという方も多くいるでしょう。
老老介護が抱える問題とは
自分たちだけで生活ができているうちは大丈夫と考える方もいるかもしれませんが、老老介護を続けることにはさまざまな問題が生じます。どのような問題点があるのか、以下にご紹介します。
介護者の体力・精神的負担
老老介護においてもっとも挙げられる課題は、介護者の体力・精神的負担が大きい点です。要介護者の介護度が高くなると、入浴介助や排せつ介助、更衣・移乗介助など介護にかかる労力が増えます。介護者も年齢とともに身体が衰えていくため、高齢での介護は体力的な負担が非常に大きくなるでしょう。介護中の転倒や足腰を痛めるリスクも高く、要介護者と共倒れとなる可能性があります。
また、要介護度によっては24時間の介護が必要になる場合もあり、一人でやらなければならないというプレッシャーや精神的なストレスにつながります。
社会的孤立
介護中は、一日の大半を介護に要するため日常生活が制限され、社会とのつながりがどんどん希薄になってしまう傾向にあります。特に老老介護では、一つひとつの介助に時間や体力が奪われてしまいます。外出や地域の人と交流を持つ機会が減ることで周囲に相談できる人がおらず、社会的孤立に陥りやすくなるのです。
老老介護の課題に対する解決策や支援策
老老介護が抱える課題に対する解決策・支援策は、以下が挙げられます。
公的支援の活用
国や地方自治体といった公的機関が実施している支援を活用しましょう。例えば、各市区町村に設置されている地域包括支援センターは、保健・福祉・医療・介護の専門職のチームアプローチにより地域住民の生活を包括的にサポートしている施設です。全国どこでも無料で相談でき、必要な介護サービスの紹介や介護に関するさまざまな支援を受けることができます。
介護サービスの活用
介護サービスには、「介護保険サービス」と「介護保険適用外サービス」の2種類があります。
介護保険サービス
介護保険サービスは、介護認定の条件を満たした方を対象とし、費用の1割(一定以上所得者の場合は2割または3割)のみ負担で利用することができます。
全26種類・54のサービスがあり、自宅での身体介護・リハビリ、デイサービス、短期間施設に入所するショートステイ、訪問・通い・宿泊を組み合わせて受けられるサービス、福祉用具の購入補助や貸し出しなどさまざまです。介護サービスを活用することで在宅介護をする方の負担を軽減でき、社会とのつながりやリハビリによる身体機能の向上も期待できます。
介護サービスを利用する際は、担当のケアマネジャーがケアプランと呼ばれる介護サービスの利用計画書を作成します。ケアプランは、要介護者ご本人の状況や希望、家族の希望やご家庭の状況なども考慮されます。介護者の介護負担を減らし、経済的負担を抑えられるよう、よく相談の上で作成すると良いでしょう。
介護保険適用外サービス
介護保険適用外サービスは、介護認定の有無に関わらず誰でも利用できるサービスです。費用は全額負担となりますが、介護保険の適用内にはないサービス(同居家族の家事援助、配食サービス、寝具衛生加工、散髪、見守りサービスなど)を受けられます。
自治体や自治体の委託事業者が提供するサービスの場合は、全額実費ではなく一部自己負担で利用できることもあるため、確認すると良いでしょう。
老人ホームなどの施設サービスの利用
老人ホームは、有料老人ホームや特別養護老人ホーム、介護老人保健施設、介護医療院などさまざまな種類があります。デイサービスや訪問介護と違い、生活の拠点を施設にうつし、要介護者の状態に適した介護ケアを受けることが可能です。老人ホームに入居することでプロの介護士に安心して任せられるため、介護者の労力や負担も軽減され、老老介護による共倒れのリスクを防ぐことができます。
老人ホームは施設によって入居条件や費用が異なるため、利用を検討する場合は事前に調べておくと良いでしょう。
事前に家族と相談し備えておく
高齢になると、病気や怪我などで突然介護が必要な状態になるケースは少なくありません。いざ介護が必要となったときに備えて、事前に家族と相談して介護者側と要介護者側の共通認識を持っておくのがおすすめです。
また、介護について相談したいときに家族以外にも頼れる相手を見つけておくことが重要です。介護を経験したことのある友人、地域包括支援センターや自治体の相談窓口といった公的機関など、何かあったときの相談先を決めておきましょう。
介護が必要なご家族をサポートするALSOKのサービス
ここからは、介護が必要なご家族をサポートするALSOKのサービスについてご紹介します。
みまもりサポート
高齢の方の在宅介護をしている場合、家族が留守となる間に突然の体調の悪化や怪我が心配というケースは多いのではないでしょうか。そこでおすすめなのが、もしものときの駆けつけが可能な「HOME ALSOKみまもりサポート」です。
体調が悪くなったときなど緊急時には「緊急ボタン」を押すことで、ガードマンがすぐに駆けつけます。ヘルスセンターへつながる相談ボタンもあり、看護師資格を持つスタッフに健康や体調に関するお悩みを気軽に相談できるので、介護者にとっても安心につながります。
さらに火災感知を行うオプションサービスがあり、火災や煙を感知した場合もガードマンが駆けつけます。
ALSOKの介護
ALSOKグループでは、利用者の状況にあった介護サービスを展開しています。デイサービスや訪問介護のほか、設備の整った有料老人ホームやグループホームのご紹介も可能です。施設の感染対策はもちろん、ALSOKならではの防犯対策や防災訓練にも積極的に取り組んでいます。
介護に関して不安なことやご要望等あれば、お気軽にお問い合わせください。