実家の空き家を民泊にするには?民泊の始め方や民泊運営のメリット、デメリットを知ろう

空き家管理 2024.12.26
空き家

「実家が現在空き家だが、放っておいても維持費がかかるので何かに役立てたい」と考えられている方も多いのではないでしょうか。空き家の活用法はさまざまにありますが、近年注目されているもののひとつに「民泊」が挙げられます。
この記事では、空き家になった実家を民泊として活用する方法について、民泊の条件や始め方、民泊運営のメリット・デメリットなどをご紹介します。

目次

空き家活用のひとつ、民泊とは?

民泊の概要について簡単にご説明し、その種類などについてもご紹介します。

民泊とは

国土交通省の「民泊制度ポータルサイト」によると、民泊の定義は「住宅(戸建住宅やマンションなどの共同住宅等)の全部又は一部を活用して、旅行者等に宿泊サービスを提供すること」となっています。
つまり、本来は住宅である物件を観光客・ビジネス客などに向けた宿泊場所とすることを「民泊」と呼ぶと考えると分かりやすいでしょう。

出典:民泊制度ポータルサイト

民泊の種類

民泊は以下に挙げる3種類に細分化され、それぞれの制度に則って実施する必要があります。

旅館業民泊

住宅物件を、旅館業法に基づいた「簡易宿所」として活用する方法です。簡易宿所とは、宿泊施設となる場所を複数人で共用するものです。代表的なものとして民宿、ペンション、登山時に泊まる山小屋などがあります。また、都市部に多く見られるカプセルホテルも簡易宿所に該当します。
旅館業民泊には宿泊日数制限と年間営業日数制限がなく、ずっと民泊を運営できるメリットがあります。しかし開業にあたっての申請の難易度は非常に高いため、始めるハードルも高くなっています。

特区民泊

特区民泊とは、国が定めた「国家戦略特区」の自治体内で、国家特別区域戦略法に基づき運営される民泊です。この場合の民泊運営は、自治体が定めた条例に則って行われることとなります。宿泊日数は2泊3日以上と制限があり、また宿泊所の最低床面積は25m²以上となっています。なお、年間営業日数制限はありません。
具体的な国家戦略特区としては東京圏や関西圏の他、北海道、愛知県、沖縄県などが挙げられます。

【空き家を民泊にする方法】新法民泊

3つめは住宅宿泊事業法(民泊新法)に基づいて運営される「新法民泊」です。実家の空き家を活用する場合は、新法民泊として運営する方法が該当します。
新法民泊は、住居専用地域での運営が可能です。他2種と比較し申請が容易で、開業のハードルが低くなっています。

【新法民泊の特徴】
  • オンライン申請で届出を行うことができ、審査通過すると運営を始められる
  • 空き家の老朽化が著しい場合でなければ、大規模なリフォーム工事をせずに民泊運営を開始できる
  • 最低床面積は1人当たり3.3㎡で、床面積の条件が緩い
  • 営業可能日数は年間180日以内と制限がある
  • 家主不在の場合(空き家を活用する場合)は住宅宿泊管理業者への業務委託が必須

空き家を民泊施設にする条件

民泊新法においては民泊運営をはじめやすくなってはいますが、一定のルールは定められています。ここでは、空き家を民泊にする条件について解説します。

都道府県等への「住宅宿泊事業届出書」の届出

「住宅宿泊事業届出書」の届出

民泊制度運営システムを利用し、オンラインで都道府県等へ住宅宿泊事業の届出を行う必要があります(郵送での届出も可)。

設備要件、居住要件を満たす住宅である

空き家を民泊として活用するには、以下の設備要件・居住要件を満たす必要があります。

設備要件

台所、洗面設備、浴室、トイレがあり、それらを問題なく使用できること

上記の4設備が1棟の建物内になく、複数の建物に設置されている場合も、それぞれが使用できれば届出可能です。

居住要件

  1. 誰かが実際に居住しており、継続的な生活のために使われている住宅
  2. 現在入居者を募集している住宅
  3. 継続的な生活の場として使用されていなくても、所有者などが別荘や別宅として一時居住のために利用している住宅

上記居住要件のいずれかに該当すれば、届出が可能です。
なお、実家が空き家の場合の居住要件は上記の2もしくは3に該当します。

衛生確保、宿泊者への騒音防止のための説明など

また、衛生確保や宿泊者への説明を適切に行うことも必要です。

衛生確保

  1. 居室の床面積は宿泊者1人当たり3.3m²以上を確保
  2. 清掃及び換気の実施

宿泊者への説明

宿泊者へは、下記について書面貼付などの方法により説明しなければならない

  1. 騒音防止のための配慮事項
  2. ごみの処理についての配慮事項
  3. 火災防止のための配慮事項

年間の営業日数は180日以内

年間営業日数は最大180日となっており、これを超える日数の営業はできません。なお、自治体によっては独自の実施制限期間を設けている場合もあるため、確認が必要です。

参考:観光庁 民泊の実施制限に関する地方公共団体の条例のとりまとめについて

空き家を民泊施設にするためのチェックシートを下記にご用意しましたので、実家の状況との照合にお役立てください。

■民泊として利用できる住宅の条件チェックシート

住宅宿泊事業法による要件
許認可について 届出が必要
住居専用地域での営業 可能(制限がある場合もあり)
営業日数 年間180日以内に制限あり
宿泊者名簿の作成・
保存義務
あり
床面積 最低3.3m²/人
衛生措置 除湿、定期的な換気・清掃等
寝具のシーツ、カバーの交換
浴槽や加湿器の洗浄によるレジオネラ症の予防
非常用照明等の
安全確保の措置義務
あり(家主が同居しており宿泊する部屋の面積が小さい場合は不要)
消防用設備等の設置 あり(家主が同居しており宿泊する部屋の面積が小さい場合は不要)
不在の場合の管理委託義務 あり
近隣とのトラブル防止措置 宿泊者への説明義務、近隣住民からの苦情・問い合わせ対応義務あり

民泊の始め方

ここでは、空き家で民泊を始めるにあたっての一連の流れについてご紹介します。

必要書類を準備して都道府県知事に届出をする

「住宅宿泊事業届出書」に必要事項を記入、その他必要書類を準備して当該の都道府県知事に届出を行いましょう。必要書類は、住宅の登記事項証明書や図面などが該当します。

管理業者・民泊運営代行業者と契約をする

民泊として使いたい住宅が空き家の場合、家主不在の状態にあたります。このため、管理業者や民泊運営代行業者に管理委託をしなければなりません。必ずこれらの業者と契約を行い、適切な管理を行えるようにしておきましょう。

リフォームやリノベーションを実施する

リフォーム、リノベーションされた洋室

空き家が老朽化している場合などは、リフォームやリノベーションで民泊に適した状態に整備を行いましょう。リフォームやリノベーションをする場合は、主に以下の助成金・補助金を活用できます。

国が設けている助成金制度

  1. 事業再構築補助金(成長枠)
  2. 事業再構築補助金(コロナ回復加速化枠)
  3. 小規模事業者持続化補助金(一般型)
  4. 宿泊施設サステナビリティ強化支援事業

地方自治体による補助金制度

※該当の自治体で助成金制度があるかご確認ください

民泊運営のための備品準備や環境整備をする

家電や寝具、インテリアを整え、アメニティなどの備品を揃えて気持ちよく宿泊できるための準備をします。Wi-Fi環境の整備なども行っておきましょう。

知っておきたい民泊運営のメリット・デメリット

空き家での民泊運営には多くのメリットがありますが、同時にデメリットも存在します。それらの両方を意識しておき、メリットを生かしデメリットを克服できる運営につなげていきましょう。

【民泊のメリット】民泊運営の収益を見込める

空き家は、放置しておいても税金や修繕・管理にともなう維持費がかかってしまうものです。空き家をそのままにせず民泊として活用することで、宿泊料金という形で収益を得ることが可能です。たとえば1泊1万円で運営した場合、年間180日制限の営業日数をすべて宿泊で埋めることができれば、最大180万円の収入となります。民泊運営が軌道に乗れば、空き家の維持・管理にともなう費用を民泊の収益によって賄うことも期待できるでしょう。

【民泊のメリット】空き家の老朽化を防げる

一般的に、人が暮らしていない家は傷むのも早いといわれます。その理由は、適切な空調管理がなされないことや、要所のチェック・清掃などが行き届かなくなることにあります。
空き家のままにせず民泊として活用することで、それにともない日常的な管理も適切に行えるようになるため、家の老朽化を防止することにもつながるでしょう。

【民泊のメリット】初期費用を抑えて始められる

本来、民泊を始めるには適した物件を確保することから始める必要があります。民泊運営開始にかかる初期費用の多くを、この物件費用が占めているといってもいいでしょう。
しかし、空き家となった実家を民泊として活用すれば、物件確保にともなう費用はかかりません。結果的に、少ない初期費用で民泊運営を始めることができます。

【民泊のデメリット】犯罪が発生するリスクがある

宿泊施設の運営には治安上のリスクがともないます。そのなかでも大きなものとして、利用者による傷害事件などの発生や、違法薬物の所持・使用、備品の持ち出しといった犯罪のリスクが挙げられるでしょう。
犯罪発生のリスクは、民泊を運営する際は必ず意識しておかなければならず、あらかじめルールや対策を講じておくことも必要です。

【民泊のデメリット】近隣住民とのトラブルになる可能性がある

民泊の利用状況によっては、騒音やルールを無視したゴミ出しなどによって近隣の住民へ迷惑をかけてしまう可能性もあります。トラブルを防ぐためにも、利用者へルールを周知徹底しましょう。民泊マッチングサイトの多くは、運営者・利用者双方が評価対象になるため、低評価の利用者による予約はキャンセルするなど、利用者を適切に選定することも大切です。

【民泊のデメリット】収益化が難しい場合がある

民泊は、ただ運営していれば簡単に利用者が見つかり、容易に収益化を実現できるものとは限りません。先に述べたように新法民泊で民泊を運営する場合、年間の営業日数は最大180日となっており、1年のほぼ半分しか民泊として稼働させることができないのです。地域の特性や需要などによっては、180日間の利用が埋まらない可能性もあります。さらに、空き家の維持管理費に加え、民泊の備品や清掃代、光熱費など運営コストを考えると、収益が確保できないおそれもあります。適切な料金設定や営業日の設定(繁忙期を含めるなど)、非営業日の民泊以外での活用など、さまざまな手段を講じて収益化に努めることも必要でしょう。

実家の空き家を民泊にする際に役立つALSOKのサービス

HOME ALSOKるすたくサービスロゴ

民泊運営までの準備期間や宿泊者がいない期間の管理におすすめなのが、ALSOKの「HOME ALSOKるすたくサービス」です。敷地内の見回りや、郵便物・配達物の回収・整頓など防災・防犯対策を代行いたします。オプションの「るすたくセキュリティ」に加入すれば、不審者の侵入時などには現場にALSOKが急行します。また一部離島や山間部を除き、全国にある空き家に対応可能です。

「民泊運営サポートソリューション」

民泊運営サポートソリューションは、民泊をこれから始めたいと考えている方に対し、より安全安心な民泊施設を実現するためにALSOKが提供しているサービスです。運営に必要な消防設備の設置や火災の遠隔監視をはじめとした防災対策、応急救護に必要となるAEDの販売などを行っています。
24時間受付コールセンターも完備しており、近隣住民や利用者からの問い合わせ対応を代行いたします。

まとめ

空き家となっている実家を活用して民泊を始めるには、さまざまな準備が必要です。必要な準備には法的な手続きだけではなく、空き家の適切な整備や管理も含まれます。空き家の安全管理についてお悩みがあれば、ぜひALSOKまでご相談ください。

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