親族の範囲はどこまで?親等の数え方や分類、法定相続人について

高齢者・介護 2024.12.24
親族の範囲イメージ

親族の範囲や、第1親等、第2親等といった数え方に迷ったことがある方も多いのではないでしょうか。普段の生活ではあまり必要ないかもしれませんが、相続や葬儀などの手続きの際には、親族・親等に関する知識が重要になってきます。
本記事では、親等の数え方や分類といった基礎知識から、法定相続人における相続人順位など、親族の範囲に関する事柄について詳しく解説します。

目次

親族の範囲はどこまで?

親族は民法第725条において、6親等内の血族、3親等以内の姻族、配偶者と範囲が定められています。血族は本人と血がつながっている人、姻族は本人の配偶者の血族にあたる人を指します。また、養子縁組によって法律上の血族になった人も含みます。

6親等内の血族

自分の6世代後の子どもである昆孫(こんそん ※曾孫(ひまご)のさらに曾孫)、自分の兄弟姉妹の4世代後の子どもである玄姪孫(げんてっそん)、自分の叔父(伯父)・叔母(伯母)の3世代後の子供である従姪孫(じゅうてっそん)などまでが該当します。
上の世代をさかのぼる場合も、自分の6世代前にあたる曾祖父母のさらに曽祖父母までが該当します。
一般的に親族の集まりなどで顔を合わせる機会が多い続柄は、下記に分類されます。

■主な1親等の血族・・・父母、子ども
■主な2親等の血族・・・祖父母、孫、兄弟姉妹
■主な3親等の血族・・・曾祖父母、曾孫、叔父(伯父)・叔母(伯母)、甥・姪
■主な4親等の血族・・・従兄弟・従姉妹

3親等内の姻族

配偶者の父母、祖父母、兄弟姉妹、曾祖父母、叔父(伯父)・叔母(伯母)、甥・姪などが該当します。

配偶者

自分自身と婚姻関係を結んだ配偶者は親族に該当します。ただし、自分自身と同列の扱いと考えるため、1親等・2親等などの数え方では表しません。

参考:民法 第七百二十五条
厚生労働省 6親等内の血族

親等の数え方と親等早見表

親等とは、親族関係における本人との距離の近さ・遠さを数字で表したものです。
本人の父母、子どもは一番近い親族のため1親等になります。その次に近い存在である祖父母や兄弟姉妹は2親等となり、さらにその次にあたる曾祖父母、兄弟姉妹の子ども、叔父(伯父)・叔母(伯母)は3親等というふうに数えていきます。
親等の数え方は、「世代を一つ越えるごとに1親等増えていく」と覚えるとわかりやすいでしょう。例えば、自分からみて父母は1親等ですが、父母を挟んでたどり着く世代の祖父母や兄弟姉妹は2親等です。自分からみた甥・姪が3親等となるのは、自分…父母(1親等)…兄弟姉妹(2親等)…甥・姪(3親等)と、関係性をたどっていくからです。
また、相続手続きなどの民法が関わるタイミングでは、親族の範囲や何親等であるかが問われますので、その際に答えられるように覚えておきましょう。

親等早見表

親等早見表

数え方を間違えやすい親等ケース

家族関係が複雑になっている場合は、親等を確認する際に数え方に迷うこともあるでしょう。数え方を間違えやすい親等についてご紹介します。

養子・養親の親等

養子・養親は1親等です。養子の場合、血のつながりはありませんが、養子縁組を行えば法定血族となり、血のつながった血族と同じ扱いになります。
自分が養子をとった場合は自分からみて養子が1親等になり、自分が養子に入った場合も自分からみた養親が1親等となります。

異母兄弟姉妹の親等

異母兄弟姉妹同士、異父兄弟姉妹同士は2親等に該当します。通常の兄弟姉妹と同じ2親等で、「世代を一つ越えるごとに1親等増えていく」という数え方で問題ありません。

連れ子の親等

自分の配偶者に連れ子がいた場合、自分からみて連れ子は1親等になります。ここも「世代を一つ越えるごとに1親等増えていく」という数え方で問題ありません。
ただし、養子縁組をしていない場合は姻族に該当し、養子縁組を行った場合は血族に該当します(※養子のため、法定血族という分類になります)。
自分にも配偶者にも連れ子がいた場合、連れ子同士は血族にも姻族にも該当せず、親等がない状態になります。養子縁組した場合には、連れ子同士は法定血族となるため、兄弟姉妹という分類と同じく2親等となります。

内縁関係の親等

内縁関係の夫婦の場合、夫婦の間に親等はありません。
内縁関係の夫婦に子どもがいる場合は、母と子どもは1親等となります。父と子は、父親が認知していれば1親等となり、認知していない場合に親等はありません。

離婚した場合の親等

両親が離婚した場合でも、親子同士は1親等のままです。
離婚や親権は親等と関係がないため、離婚しても親子同士の親等に影響はありません。

親族の4分類について

3世代の家族

親族は血族、姻族で分けられるほかに、直系・傍系(ぼうけい)・直系尊属・直系卑属という4つにも分類されます。

直系と傍系

■直系・・・家系図でみた際に縦のラインで結ばれる関係
本人からみて父母や祖父母など上に続いていく関係と、本人からみて子ども、孫、曾孫と下に続いていく関係です。

■傍系・・・家系図でみた際に横のラインで表される関係
本人からみて2親等にあたる兄弟姉妹など、横に続いていく関係です。また、兄弟姉妹の子どもである甥や姪(3親等)、父母の兄弟姉妹である叔父・叔母(3親等)、叔父・叔母の子どもであるいとこ(4親等)も傍系に該当します。

直系尊属と直系卑属

■直系尊属・・・父母・祖父母など、本人より上の世代で直通する系統の親族

直系尊属は、相続の際に大きく関わってきます。父母・祖父母といった血のつながっている縦のラインに加え、養父母も直系尊属です。

■直系卑属・・・子・孫など、本人より下の世代で直通する系統の親族
血のつながった子や孫の他、養子も直系卑属です。甥や姪、子・孫の配偶者は直系卑属には該当しません。

尊属・卑属の分類は直系血族のみに適用されるため、自分の配偶者の血族である姻族に対しては、尊属・卑属という分類は適用しません。

法定相続人になれるのは3親等まで

家系図

相続手続きなどの民法が関わるタイミングでは、親族の範囲や何親等であるかが問われます。法定相続人になれるのは、民法で基本的に3親等までと定められており、該当する親族は以下になります。

■法定相続人になれる親族

  • 本人の配偶者
  • 本人の子ども(代襲相続人の場合は孫)
  • 本人の父母(代襲相続の場合は祖父母)
  • 本人の兄弟姉妹

本人が死亡し配偶者がいる場合、配偶者は必ず法定相続人になります。ただし、内縁関係の場合は相続人になれません。配偶者以外の親族は、以下の順位に沿って配偶者とともに法定相続人になります。
配偶者がいない場合は、第一順位から順番に法定相続人になります。また、法定相続人になれる親族であっても、相続を放棄した場合は相続人から外れます。

■配偶者以外の親族の相続人順位

第一順位・・・死亡した本人の子ども
※子どもがすでに死亡している場合、その子どもの直系卑属(子ども、孫など)が相続人となります

第二順位・・・死亡した本人の父母
※父母が死亡しており、祖父母が存命の場合、祖父母が相続人となります

第三順位・・・死亡した本人の兄弟姉妹
※兄弟姉妹がすでに死亡している場合、その子どもが相続人となります

第一順位の親族がいない場合は第二順位の親族が法定相続人になる、第二順位の親族がいない場合は第三順位の親族が法定相続人になる、というように順位が高い親族が優先されます。

葬式に呼ぶ親族の範囲

葬儀の際などには、親族としてどこまで声をかけて参列してもらうのか、悩まれる方も多いのではないでしょうか。普段から親戚付き合いが親密で、故人とも仲が良かった親族であれば問題ありませんが、疎遠になっている親族や遠い土地に住んでいる親族の場合は、判断が難しいものです。
葬式に呼ばなければいけない親族の範囲に明確な決まりはありませんが、「3親等までお声掛けする」「家族葬のような小規模な葬儀であれば、2親等までを目安に考える」というケースが、一般的には多いようです。
ただ、故人との関係性によってもお声掛けする範囲は変わってきます。そのあたりは生前のお付き合いを踏まえて考えましょう。

どこまで呼ぶか迷った場合は

お声掛けの範囲に迷う場合は、まずは故人の希望を第一に考えることが大切です。生前に「あの人には参列してほしい」などの希望があった方は、優先してお声掛けしましょう。
また、葬儀の規模によって判断するというのも1つの方法です。大きな斎場などを使った規模の葬儀であれば、多少遠い親族であってもできるだけ広くお声掛けしても良いかもしれません。逆に、家族葬などの小規模な葬儀であれば、2親等までと、本当に親しかった方のみにお声掛けするという形で良いでしょう。

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まとめ

親族の範囲や親等の数え方などは、普段の日常生活ではあまり意識することがありませんが、相続や葬儀といった場面では重要になります。特に、法定相続人の順位などについて正しく知っておくことは、相続の際に親族同士が諍いを起こさないためにも大切です。
いざというときのためにも、本記事を参考に、ぜひご自身の親族・親等の関係を一度整理して把握しておくことをおすすめします。

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