空き家の維持費はいくら必要?空き家や土地を維持するための費用・注意点
空き家となった実家を相続する場合や、長期の海外赴任が決まり自宅を長期間空ける場合などには、空き家の維持・管理のため費用が必要になります。本記事では、空き家や土地の維持費、管理費用についてご紹介します。空き家を相続する予定の方や、転居や家族構成の変化などで空き家を持つことになった方は、ぜひご参考にしてください。
目次
空き家の維持費は何にいくらかかる?
最初に、空き家を維持する場合にかかる費用を、項目ごとにご紹介します。
固定資産税・都市計画税
固定資産税とは、建物や土地を所有している人すべてに課される税金です。住宅に人が住んでおらず空き家となっていても課税されます。毎年1月1日に建物や土地を所有していると、その年の課税の対象となります。
また都市計画税とは、所有している建物や土地が市街化区域にある場合にかかる税金です。
固定資産税・都市計画税は住宅用地に対して軽減措置が設けられており、空き家の場合も適切な管理が行われていれば減免の対象となります。
水道光熱費
空き家でも維持管理のためには電気・水道の契約を続ける必要があります。
地域やインフラ会社によって詳細な料金は異なりますが、ほぼ利用がない場合でも年間3万円程度を見積もっておきましょう(電気の基本料金40~50A、水道の口径13mmの場合)。詳しく知りたい方は、契約している電力会社や自治体の水道局に問い合わることをおすすめします。なお、ガスは管理に使用する用途があまりないため解約を検討しても良いでしょう。
火災保険料
だれも住んでいない家であっても、火災や自然災害に遭うリスクはあるため、空き家も必ず火災保険に加入しなければなりません。火災保険料は料率や想定リスクによって異なりますが、年間1万円~6万円が相場です。
修繕・メンテナンス代
家は人が住まなくなると老朽化が進みます。適切な修繕や手入れを行い、空き家を維持する必要があるでしょう。具体的には外壁や内装の修繕費、水回り関連の管理・修理費用、外構や庭部分の草刈りなどの費用がかかります。壁材や設備、広さなどによってかかる費用の詳細は異なります。
空き家管理サービス費用
所有する空き家が近所にない限り、定期的な見回りや管理は難しいでしょう。そのため、見回りや防犯管理を依頼できる空き家管理サービスの利用も視野に入れる必要があります。
管理サービスを利用せずご自身で見回り・管理も可能ですが、自宅から空き家までの距離次第で交通費も発生します。
空き家管理サービスは、依頼する会社によって金額やサービス内容が異なります。月々7,700円(税込)からはじめられるALSOKの「るすたくサービス」であれば、見回りや郵便物の整頓などのサービスが年間9万2,300円で利用できます。
空き家維持費の年間総額
ここで、上記でご紹介した空き家の各種維持費を表にまとめ、年間の総額目安をご紹介します。
空き家の維持費用項目 | 費用の目安 |
---|---|
固定資産税 | 年間8~15万円 |
都市計画税 | 年間1万5,000円~3万円 |
水道光熱費 | 年間2~4万円 |
火災保険料 | 年間1~6万円 |
修繕・メンテナンス費 | 年間1~50万円 |
空き家管理サービス費 | 年間6万6,000円~17万円 |
上記の総額目安 | 年間20万1,000円~95万円 |
空き家を維持するためにかかる年間費用の概算は20万1,000円~95万円が目安となります。
固定資産税は、地方よりも地価が高い都市部の方が高額になる傾向があり、土地や建物の広さによっても大きく変動します。また都市計画税は、面積によって変動するため広い物件ほど高くなると考えて良いでしょう。参考として、過去に東京都が実施した調査では、東京23区での固定資産税・都市計画税の負担額合計は約22万円でした。
電気料金に関しては契約プランや利用量によって金額が異なります。また水道の場合、自治体によっても料金が変わります。
出典:東京都主税局「東京都特別区と他都市との固定資産税負担等の実態比較調査」
土地のみの場合の維持費は?
空き家を解体して、更地のみにした場合も維持費は発生します。
主にかかる費用は固定資産税・都市計画税の2項目です。
固定資産税・都市計画税の軽減措置は住宅用地のみの適用となり、更地にした場合は標準税率での算出となるため、注意が必要です。「空き家を更地にすると税金が高くなる」といわれるのはそのためです。
課税評価額3,000万円の土地を例に挙げた場合、建物があれば土地の税率は評価額(課税標準額)の1/6まで軽減され7万円となります。しかし更地にするとこの減税措置がなくなるため、土地だけでも年間42万円ほどの課税が生じてしまうのです。
また、建物がないため火災保険料はかかりませんが、草刈りなどの管理費用や草刈り作業にともなう水道光熱費がかかるケースもあります。
空き家の適切な維持管理が必要な理由
「空き家なのだから、税金はかかるにせよ他は放置しても良いのでは」と考える方もいるかもしれません。しかし維持管理を適切に行わないと、さらに多くの費用が発生する場合もあります。ここでは、空き家の維持管理を怠ることで発生が想定される各種トラブルについてご紹介します。
近隣の住民に迷惑をかける
空き家の放置は、近所の方に迷惑をかけることにもなりかねません。たとえば、雑草や伸びた枝の放置、害虫の発生などにより景観が損なわれ、衛生面・治安の悪化にもつながります。また、老朽化が進んだ家屋は損傷しやすくなり、災害時に屋根材や外壁が落下して近隣の住宅に損害を与える場合もあります。さらに、放置された空き家の敷地内にごみが不法投棄され、処分費用がかかるケースも考えられます。
特定空き家になると固定資産税が最大6倍になる
空き家であっても、土地または建物を所有していれば固定資産税がかかりますが、空き家を放置していると、この固定資産税が最大6倍になる可能性があります。
適切な管理がされておらず、倒壊などの危険性が高い空き家は、空き家法の定める「特定空き家」に指定され、固定資産税の軽減措置が適用されなくなるためです。また、2023年の空き家法の改正以降、「特定空き家」になるおそれがあるとして「管理不全空き家」に指定された場合も軽減措置の適用外となっています。
空き家の資産価値が下がる
将来的に、空き家の売却を考えている方も多いでしょう。しかし、いざ売却するときに維持管理が適切になされておらず老朽化が進んでいれば、その分売却価格が下がってしまいます。空き家の適切な管理は、住宅としての資産価値を下げないためにも重要です。
空き家を維持する際の注意点
空き家は所有しているだけでさまざまな費用がかかりますが、「いずれ住むかもしれない」「活用用途が生まれるかもしれない」といった理由で維持を考えている方もいるでしょう。
ここでは、空き家維持における注意点をご紹介します。
空き家維持には費用だけでなく労力もかかる
空き家の管理には一定の維持費がかかりますが、それだけでなく持ち主の労力も必要となります。税金や保険の手続きなどの事務処理に加え、修繕・メンテナンスの対応などの手間もかかります。
このため、場合によっては売却や賃貸に出すなど、維持以外の選択肢も検討すると良いでしょう。
空き家の修繕には補助金を活用できる
空き家を改修・修繕しようと見積もりを取ったところ、思いのほか高額で悩んでいる方もいるでしょう。場合によっては、空き家の改修・修繕には補助金を活用できることがあります。補助金を活用して空き家を改修することで、ほかの活用方法も考えられるかもしれません。
空き家改修に関する補助金制度には、以下のようなものがあります。
- セーフティネット登録住宅の改修費支援
- 空家等適正管理支援事業(リフォーム)
- 空家利活用改修補助制度
- 空き家バンク賃貸登録物件リフォーム補助
- 空き家利活用流通促進事業 など
補助金・助成金制度は自治体ごとに異なるため、詳しくは、空き家のある自治体に問い合わせてみると良いでしょう。
空き家維持管理に役立つALSOKのサービス
空き家の維持管理においては、「空き家管理サービス」のご利用が便利です。ALSOKでは、空き家や留守宅の管理を代行するサービスをご用意しています。
「HOME ALSOKるすたくサービス」は、お客様に代わって敷地内の見回りや郵便受けの整頓・回収を行い、犯罪が起こりやすい空き家・長期留守宅をしっかり管理します。費用も月々7,700円(税込)からとリーズナブルなので、ご自身での見回り・管理が難しい方におすすめです。オプションサービスで室内の換気・通水も代行するため、空き家の老朽化防止にも役立ちます。
さらに防犯面を強化したい方は不審者の侵入時にALSOKが駆けつける「るすたくセキュリティ」もご加入いただけます。また一部離島や山間部を除き、全国にある空き家に対応。
空き家管理にお困りの方は、ぜひALSOKにご相談ください。
まとめ
空き家は税金のほか水道光熱費や保険、修繕費などさまざまな費用が発生します。空き家を維持する場合は適切な管理を行う必要があり、費用だけでなく労力もかかります。
ご自身での維持管理に不安がある場合は、「HOME ALSOKるすたくサービス」のような空き家管理サービスを利用してみることをおすすめします。