今や、安価に高性能な盗聴器が買えてしまえる時代。盗聴の被害は、身近なトラブルになりつつあります。そこで今回は、ALSOKの「盗聴器・盗撮器探索サービス」を使って、とある賃貸マンションの物件で、部屋内に盗聴器や盗撮器が仕掛けられていないかを調査しました!
今回、駆けつけてくれたのは、「HOME ALSOK 盗聴器・盗撮器探索サービス」を請け負っている、ALSOKグループ会社東心綜合警備保障(株)のベテランスタッフさん!
作業着ではなくフォーマルなスーツを着用しているのは、一般家庭で盗聴の調査が入っていることを知られたくないというニーズに対応するため。
「では、さっそく調査を始めましょう。まず、これが盗聴器を調査する探査器機です」
盗聴の仕組みはとてもシンプル。無線式の盗聴器は、発信機(送信機)に仕込まれた小型マイクで音声を拾い、受信機で聞くというメカニズムです。その際、遠くまで電波を飛ばすために強い電波が出ます。
スタッフさんが黒い機械を操作すると、画面に数字が映りはじめました! これで怪しい電波がないかを探ります。
続いて、パソコンのソフトを使った電波状況の解析へ。ヘッドホンで電波の音を聞き分けていたスタッフさんは、顔をあげると……。
「大丈夫! こちらの自宅に盗聴器はないようです! さらに、周辺50m以内でも怪しい反応はありませんでした。ご近所さんのお宅も問題ないですよ」
「この電波の解析は、およそ10~20分程度で終了します。東京は電波が多いため、少し長くかかることもありますが、電波の少ない地方ならもっと短時間で終わりますよ」
「盗聴器と思われる怪しい電波をキャッチすると、画面上に黄色の帯が現れます。これが『ある』時の反応です」
「次は、このレシーバーをかざして具体的に仕掛けられた場所を特定します。盗聴器の近くに来ると、レシーバーがハウリングするのです。ほら、こんな風に……」
「テレビで報道されているのを見ると非常に多いように感じますが、実際に仕掛けられていることはめったにありません。でも、盗聴器や盗撮器は今やカンタンに入手できるので油断は禁物です」
特に注意したいのは、賃貸物件。一軒家に比べて住人が頻繁に変わるため、前の住人が仕掛けられた盗聴器がそのまま残っているケースもあるのだそう。
「主なものは、『コンセントタップ型』と『電池型』の2つです」とスタッフさん。
●コンセントタップ型
「コンセントタップの中は、普通は銅版しかないのですが……。ごらんのとおり、盗聴器になっているタップは、電子部品がぎっしり。右上には小型マイクが仕掛けられています」
●電池型
「これは単3電池を使っているので大型に見えますが、ボタン電池の1センチ四方の小型の盗聴器もあります。ほかにも、USB型やペン型など、さまざまな盗聴器のタイプがありますが、いずれも直接電源がとれないものは電池式と思ってよいでしょう」
「その通り! では、次は仕掛けられやすい場所を一緒に目視確認しましょう!」
●目視ポイント1:照明の上
●目視ポイント2:ローテーブルの下
●目視ポイント3:ソファのスキマ&下
●目視ポイント4:エアコンの上
ほか、ダイニングテーブルの下や花瓶の中など、普段見えないところにそっと忍ばせることが多いそう。なかには、2人だけの秘密や重要なことを話すことも多い寝室のベッド下に仕掛けられるケースも。
「いいえ、残念ながら“家の外”から仕掛けられることもたまにあるんです。たとえば、玄関ドアについている郵便受けに手を入れて、両面テープで小型の盗聴器を張り付けるケース。この場合、室内の音は筒抜けに……。郵便受けは特に注意しましょう」
また、なかには応募した覚えのない懸賞のプレゼントが届き、調べたらそのプレゼントに盗聴器が仕掛けられていたというケースも。
「たとえば、ぬいぐるみやクッションなどです。綿の中に仕込むので盲点になりがちですが、変だなと思ったら硬い物が入ってないか、ギュッとしっかり触ってみましょう」
「特に服を着たぬいぐるみの場合は、縫い目をほどいて盗聴器を仕込み、あらためて縫い直して服で隠す巧妙な手口もありますから、慎重に調べてください」
一方、やっかいなのがコンセントの“内部”に仕掛けられた盗聴器。
「外側のケースを外し、さらに中のネジを外し、内部まで調べてようやくわかります。しかも、コンセントタップタイプと同じく、直接電気をとれるので半永久的に動き続けるから、早く見つけないと盗聴被害に遭い続けてしまうのです」
「盗聴器同様、映像を電波に乗せて飛ばし、離れたところで受信する“盗撮”の探査も行っています。盗撮器も一見しただけではなかなかわからないのです」
というのも、使用されるレンズ直径はなんと1伉度。これをインテリアの内部に埋め込んだり、陰に潜ませたりして撮影することが多いからなんだとか。
「確かに公衆浴場やトイレ、海の家などではしばしば見つかりますが、普通のお宅に仕掛けられる可能性は低いといっていいでしょう。ただし、パソコンについているカメラが悪意あるウイルスのプログラムによって勝手に起動し、室内の模様を写して外部へと送信してしまうことがあるので要注意です」
その場合、パソコン上でのウイルス対策はもちろん、「無線LAN」のセキュリティ対策も肝心。野良電波を使用したことで、いつのまにか自分の通信内容を誰かに盗み見られたり、パソコン上のウイルス配布に悪用されたりするケースがあるのです。