生活スタイルが変わる18歳。行動範囲が広がり、青春を謳歌できる世代である反面、危険な目に遭う恐れも……。そこで、女性のなかでも女子学生を主な対象にした無料の「女性向け防犯セミナー」が10月1日からスタートしました。さっそく、プロが教えるセミナーに潜入!
街路樹も色づきはじめた10月2日。八王子にある東京工科大学・日本工学院八王子専門学校の女子学生の皆さんを対象にALSOKの新サービス「女性向け防犯セミナー」の第1回が開催されました。
本日のセミナー講師を務めるのは、ALSOK広報部の百橋奈穂子さん。
「今年5月から7月にかけて、5回にわたる試行を行いました。試行後のアンケートで、受講生たちから『(授業の内容が)良かった』『(防犯意識が)高まった』といった項目の割合が95%以上を占めたことから、今回のサービスの提供を決定しました」
強姦や強制わいせつなど、女性を対象にした犯罪を扱うことから、講師陣は女性に限定。今日は、各支社から今後講師として活躍する予定の女性スタッフが集結しました。
時刻は17:10。
いよいよレッスンのはじまりです。
40人を超える女子学生たちが注目する中、百橋さんがマイクを握ります。
「みなさん、こんにちは。みなさんの世代は、女性の中でも犯罪に遭う確率の高い年代です。私たちは、女性を狙った犯罪からみなさんを守るためにここに来ました」
ここで本日のカリキュラム(1時間程度)をご紹介しましょう。
<「女性向け防犯セミナー」内容>
1 |
データで見る女性を狙う「犯罪の情勢」についての勉強 |
2 |
「自分の身を守るためには」シチュエーション別解説 |
3 |
「自分の身を守るためには(実践)」実技を体験 |
「まずは、女性が被害に遭う犯罪について見てみましょう」と百橋さん。
警察庁の資料によれば、平成25年中の刑法犯にかかる女性の被害件数は35万491件。女性が被害者となる犯罪のうち、もっとも多いのは窃盗(73.2%)。女性の被害者が多い犯罪は「強姦」「強制わいせつ」「公然わいせつ」「略取・誘拐」「詐欺」です。
強姦事件や強制わいせつ事件など、実際に遭った数々の事件が事例として語られると、会場はシンと静まり返ります。
「強姦などの被害は、その時だけでは終わりません。ことあるごとに思い出したり、裁判で繰り返し当時の状況を聞かれたり、心無い人から『あなたも悪いのでは?』と責められたり……。長年にわたって苦しまれ、自殺を選んでしまう方もいらっしゃいます」
「でも、どうか覚えておいてください。どういう状況であっても、悪いのは100%加害者です。被害者は何も悪くないのです。そして、本日集まっていただいた方には、絶対にそんな思いをしてほしくない。自分の未来のために、被害を未然に防ぐ方法を知ってください」
百橋さんはそう話します。
「では、被害に遭わないようにするにはどうすればいいのでしょうか? そう、自分で自分の身を守る“護身術”を知っておくことです」
「護身術というと、不審者をやっつける、撃退する、逮捕するというイメージがあるのでは? でも、護身術とは『相手を倒す』ことではなく、『自分が安全に逃れるための手段』のこと。普段から心構えをして、「危険な目に遭わない」ことこそ護身術の極意なのです」
こうして講義はシチュエーション別の「護身術」の解説へ。
女子学生たちが外出しているときにありがちな状況を具体的に示しながら、それぞれの対応策を教えます。
たとえば、「電車に乗るとき」のシチュエーションでは、犯罪者は狙っているターゲットのすぐ後ろに行きたがることから、「女性が多い列を選んで並ぶ」こと。また、乗り込んだ電車の中では、逃げ場がなくなる「ドアの脇にはなるべく立たない」こと、隙を見せないように「ドアに背を向けて立つ」ことなどの具体例を紹介します。
外出中の被害を未然に防ぐため、絶対に持っておきたいのが防犯ブザーです。会場にも、ALSOKの女性向け防犯ブザーがズラリ。アクセサリー感覚で持てるチャーミングなものがそろっています。
次に、講義は実践したい「SNSを使用するとき」のコーナーへ。
フェイスブックを具体例に、不用意な投稿で自宅の位置やプライバシーが晒される危険性があるとの説明では、学生から「へえ!」「そうそう」とザワザワ。百橋さんの講義にも熱が入ります。
「さて、どんなに気を付けても危ない目に遭ってしまうことはあります。たとえば、腕をつかまれたとき。振り払って逃げる方法をご紹介しましょう!」
「その場合は、大きめのコップを持って、牛乳を飲み干すんです!」
そのココロは、手をパーにすると力が入りやすくなり、手首も太くなって相手の手から逃れやすくなるため。さらに、コップを飲み干すジェスチャーは、身体の中心にコップを持ってきて、ひじを上げ、手首を手前に返します。これが、振り払う行動とよく似ているというわけです。
女子学生たちも二人一組になって実践! 「わあ、ほんとだ!」「外れる!!!」と驚きの声があがります。
「ヒートアップしてきたところで、もう一つ。今度は、抱きつかれた場合の対処法をお教えしましょう!」
まず、後ろから不審者役のALSOK社員がソロ~リと近づいて……。
女性役の百橋さんは、いったんしゃがんで……お菓子メーカー「江崎グリコ」のゴールインマークのポージング! 一度体を沈みこませて相手を油断させたところで、両腕を万歳して振り払い、後ろに蹴りだした足で相手を遠ざけて逃げる術です。
「でも基本的には、まず手首をつかまれない、抱きつかれないのが大前提です。大切なことは、被害に遭わないようにする普段からの心構え。ちょっとした予防が、みなさんを守ります。もしお友だちからこうした被害の相談を受けたら、お友だちを守るためにも『一緒に警察に行こう』と言ってあげてください」
被害に遭いそうになったら、先んじて逃げる!! 何かあれば、警察や身近な大人に相談する、さらに、何もなくても少しでも不安なことがあれば、遠慮せずその場で110番してほしいと百橋さんは言います。
18:10。大きな拍手の中、セミナーは幕を閉じました。
今回、セミナーを開くことにしたきっかけについて、本校総務部の高橋一夫さんにもお話を伺いました。
「こうしたお話は、私たち学校関係者が話すのと、その道のプロが話してくださるのとでは、学生たちへのインパクトが全然違うのです。私たちは、科目の授業だけではなく、放課後のこうしたレッスンも大切な教育の一つだと考えています。ですから、ALSOKからセミナーのお話をいただいたときは『ぜひ!』と申し上げました。学生たちの反応もとてもよかったと思いますよ」
百橋さんも、「一人でも多く犯罪被害者が減るように、できる限りたくさんの人に聞いていただけたら。今後も、すぐ実践できるように具体的な内容を心がけます。いざという時にパッと思い出せるような、心に残る講座をしていきたいですね」とのこと。
実施地域は、一部県を除く全国にて。料金は無料。申込みは、お近くの事業所まで。
★商品紹介
「ALSOK女性向け防犯セミナー」プレスリリース
http://www.alsok.co.jp/company/news/news_release_details.htm?alpc_news.news_detail%5Bid%5D=2657