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秋に多い食中毒を予防するには?ウェルシュ菌など原因菌の発生を防ぐ方法

2018.09.13

食中毒は湿度が高い夏に多く発生するイメージがあるかもしれませんが、秋も多いことをご存知でしょうか。行楽シーズンの秋はお弁当を食べたり、あるいはキャンプやバーベキューなど野外で料理を作って食べる方が増えます。実はそこに食中毒の原因が潜んでいるケースも……。今回は、食中毒を引き起こす原因菌の発生を防ぐ方法についてご紹介します。

食中毒の発生は夏だけとは限らない

厚生労働省の『平成29年 病因物質別月別食中毒発生状況』によると、食中毒は夏以外の季節にも発生していることが分かります。
例えば、春や秋はキノコやフグなど自然毒による食中毒、夏は細菌性の食中毒、冬はノロウイルスを原因とする食中毒が多い傾向にあります。

秋に気をつけたい食中毒の原因菌

真夏と比べると暑さが和らぐものの、9~10月も細菌を原因とする食中毒発生件数が高い季節といえます。比較的名前が知られている“サルモネラ菌”のほか、“ウェルシュ菌”と“カンピロバクター”を原因とする食中毒の発生件数は多い傾向にあるため、調理の際は注意が必要です。

ウェルシュ菌は熱に強い

ウェルシュ菌は自然界に広く存在し、酸素を嫌う嫌気性の菌です。牛や豚、鶏の肉などに付いていることが多く、感染すると下痢を引き起こします。

この菌がやっかいなのは、高温でも死滅しないこと。細菌は加熱調理すればたいてい死滅しますが、ウェルシュ菌の芽胞(がほう)は高温でも生き残ります。
芽胞とは、増殖に適さない環境で生き残るための殻のようなもの。ウェルシュ菌は芽胞の状態で生き残り、食品の温度が下がると急速に増殖するという特徴があります。

カレーやスープ、シチューなどは大量に調理すると鍋底が酸素の少ない状態になり、そのため嫌気性のウェルシュ菌が増殖しやすくなるのです。

カンピロバクターは二次感染に注意

カンピロバクターは家畜や家禽、野生動物の腸内に生息しており、主に鶏肉に多いといわれています。
カンピロバクターは好気性でも嫌気性でもなく、酸素が5~15%ほど含まれる微好気的な条件で発育します。100個前後の少量の菌で感染し、潜伏期間が1~7日と長いのも特徴です。

食肉から調理器具やサラダなどへの二次感染によって食中毒を引き起こすことが多く、感染すると腹痛、下痢、発熱などの症状を引き起こします。

カンピロバクターは秋だけに多いというわけではなく、年間を通してその感染が報告されています。時期的な思い込みがあると、調理時に衛生管理への配慮が疎かになりがちです。
カンピロバクターのような二次感染の菌もあるため、季節を問わず食中毒対策を心がけておくと安心でしょう。

食中毒を防ぐ3つのポイント

食中毒を防ぐには「菌をつけない」「菌を増やさない」「菌を撃退する」といった、3つのポイントをしっかり守ることが大切です。

菌をつけない:調理器具や手を洗う

調理に使用したまな板や包丁などはその都度きれいに洗い、熱湯消毒するなどして二次感染を防ぎましょう。肉や野菜など食材ごとに調理器具を使い分けることも、二次感染を防ぐ方法として有効です。
さらに、手にはたくさんの雑菌がついているため、調理や食事をする前、生肉や魚を扱った後、残った食品を扱う際には、ていねいに洗う習慣をつけるとより安心でしょう。

菌を増やさない:冷蔵庫で保存

多くの細菌は高温多湿な場所を好み、10℃以上の環境で急激に成長を始めます。逆に10℃以下の環境では増殖が遅くなり、マイナス15℃以下になると菌の増殖はストップします。
食品についた細菌が増えないようにするためには、できるだけ早く冷蔵庫に入れ、低温で保存してください。

菌を撃退:しっかり加熱する

また、多くの細菌は加熱することで死滅させることができます。食中毒を防ぐためには、肉や魚はもちろん、野菜もなるべく加熱して食べるようにしましょう。

肉類は中心部を75℃で1分以上加熱すると安心です。ただし、ウェルシュ菌は一度芽胞ができると加熱しても死滅しません。そのため、カレーを大量に作るときなどはよくかき混ぜて鍋底に空気を送り込み、嫌気性のウェルシュ菌が芽胞をつくらないようにすることが大切です。

安全な調理法で食欲の秋を楽しみましょう!

秋はレジャーが楽しいとともに、食べ物がおいしい季節。しかし外出先で食中毒が起きてしまっては、楽しいレジャーも台無しです。
そうならないよう、食中毒を防ぐ3つのポイントを守り、食中毒対策を怠らないようにしましょう。安全な調理法で食欲の秋を楽しんでくださいね!