ALSOK 安全安心コラム

カラス、ハクビシン、イノシシなど鳥獣被害への対策に関する意識調査

2018.10.18

近年、鳥獣被害が増加傾向にあります。鳥獣の数が増加しただけではなく、山に住んでいた動物が人の住む場所へ出没するようになった、あるいはペットとして飼っていた動物が野生化して被害が起きている場合もあります。

今回は、東京都(23区外)と埼玉県、千葉県、群馬県、栃木県、福島県在住の男女217人を対象に、鳥獣被害の影響に関する調査を行いました。
アンケート結果をもとに、鳥獣被害の現状と対策について考えてみます。

人里に下りて来た動物たち

ご自宅近辺や近隣の街で「見たことがある」、または「見たことはないが身近にいることを知っている」動物について質問しました。
「カラス」「ハト」「ムクドリ」の鳥類についてはやはり「見たことがある」という方が多く、獣類では「ハクビシン」「イタチ」などの目撃例が多いという結果になりました。

「イノシシ」についてはご自身が目撃した方は少ないものの、近隣にいるらしいという話を聞いたことがある方の数はイタチとほぼ同数。また、少数ながらも「イノシシ」「サル」「シカ」「アライグマ」「クマ」などの野生動物を自宅近辺などで見たことがあるという方もいました。

アンケート回答者の半数以上の地元で鳥獣被害が発生

鳥獣被害が起きているかどうか質問したところ、38.2%の方が「起きている」と回答していました。「周りでは起きていないが、地元の新聞やニュースで見聞きしている」の18.0%と合わせると56.2%となり、今回のアンケートに回答いただいた方の半数以上の地元で、何らかの鳥獣被害が発生していることになります。

カラスに次いで被害例が多いのはハクビシン、イノシシ

鳥獣被害が「起きている」「地元の新聞やニュースで見聞きしている」と回答された方に対してどの動物による被害なのか質問したところ、最も多いのは「カラス」、次いで「ハクビシン」「イノシシ」でした。

ハクビシンは近年、市街地での目撃例や被害例が急増している野生動物です。
東京都環境局の資料でも、ハクビシンの捕獲数は年々増加傾向にあり、山間部から都心へと広い範囲で捕獲されていることが分かります。

ハクビシンは、「白鼻芯」という字の通り、鼻に白い筋があるのが特徴。タヌキやアナグマに似た外見をしており、体長は成体で60cm前後です。
ハクビシンは頭が小さく関節が柔らかいため、小さな通風口やわずかな隙間から住宅内へ侵入し、一戸建て住宅だけでなくマンションの壁の隙間にも住み着くことがあります。また、果物が好物のため、庭に果実の木を植えている家は狙われやすいようです。
住宅内にハクビシンが住み着くと、糞尿による悪臭や家屋の汚損・破損などの被害がみられます。

ハクビシンに次いで回答数が多かったのは「イノシシ」です。
イノシシの生息数は1990年には約26万頭と推定されていたのに対し、2015年末の時点での推定生息数は約94万頭となっており、4倍近くにまで増加しています。急激なイノシシ増加の背景には、温暖化によるイノシシの生息域の拡大や、ハンターの減少による狩猟捕獲量の減少などの要因が関係しているといわれています。

ゴミを荒らすカラス、農作物を荒らすイノシシやハクビシン

さらに、どのような被害が心配か質問したところ、「ゴミが荒らされる」ことが心配と答えた方が70.5%で最多となりました。次いで、「農作物が荒らされる」「住居や敷地内に侵入される」「ベランダなどが汚される」「人に危害を加える」と続きます。

鳥獣の種類別に見てみると、カラスによる被害を受けている方や被害情報を見聞きしている方は、全体と同じく「ゴミが荒らされる」という回答が最も多くなっています。 また、糞害などによって「車が汚される」「鳴き声がうるさい」というコメントも寄せられました。

  • 自動車の糞害(福島県/57歳/専業主婦(主夫)/男性)
  • 鳴き声がうるさい、糞害(福島県/60歳/公務員/男性)
  • 軒下に巣を作られる(千葉県/44歳/会社員(技術系)/男性)
  • 野鳥(サギ系)に池の鯉が食べられた(千葉県/60歳/パート・アルバイト/女性)

また、イノシシとハクビシンによる被害のある地域にお住まいの方は「農作物が荒らされる」という回答を選んだ方が多い傾向にありました。

鳥獣被害への対策

鳥獣被害に対して行っている対策について質問したところ、「ゴミは当日の朝に出す」と答えた方が61.5%、次いで「鳥獣が出没する場所に物を置かない」が32.0%という結果になりました。個人レベルで行う対策としては、鳥獣が好むものを出没場所へ放置しない、といった対策が現実的なようです。

その他の回答コメントでは、ゴミ対策のほか、網を使用して鳥獣の侵入を防いでいる方もみられました。

  • ゴミはバケツに蓋をして出している。(東京都/49歳/パート・アルバイト/女性)
  • 生ゴミは出さない(東京都/62歳/自営業/男性)
  • ゴミに網を掛ける(茨城県/60歳/会社員(技術系)/男性)
  • ネットで侵入を防ぐ(東京都/46歳/会社員(事務系)/女性)
  • 池に植物ネットを張り渡した。(千葉県/60歳/パート・アルバイト/女性)

ゴミ捨て場や畑などに出没する鳥獣については上記のような対策が一般的ですが、ハクビシンのような住居内に住み着くことのある野生動物については、別アプローチの対策が必要です。床下の通風口や屋根と壁の隙間などを金網などでふさぎ、侵入を防ぐことが、一番の対策といわれています。

また、イノシシなど農作物への被害が深刻な野生動物に対しては、ハンターによる狩猟・捕獲のほか、わなや電気柵を仕掛けるといった対策が行われています。近年は畑や農作物への被害にとどまらず、人の多い駅前や住宅街での目撃例も出ているようです。

まとめ

今回のアンケート結果では、多くの地域に生息しているカラスのほか、ハクビシンやイノシシなどの鳥獣被害を心配する方が多いことが分かりました。

このように野生鳥獣による被害が深刻化・広域化しているため、2008年に「鳥獣による農林水産業等に係る被害防止のための特別措置に関する法律」が施行され、農林水産省による地方自治体への支援が進められています。

個人で鳥獣対策を行う場合、わなの設置や野生動物の捕獲をするためには、狩猟免許の取得や自治体への申請が必要なため、各地方自治体や農林水産省が提供する鳥獣被害対策の情報をご確認ください。

ALSOKでは、認定鳥獣捕獲等事業者の認定を受けており、鳥獣わなの設置・管理から駆除まで一括して行うサービスをご提供しています。

調査概要

調査区域
東京都23区外、埼玉県、千葉県、茨城県、群馬県、栃木県、福島県
調査方法
インターネットリサーチ
実施期間
2018年08月2日~2018年08月10日
有効サンプル数
217(自宅近辺で対象鳥獣を見たことがある、もしくは見たという話を聞いたことがある、20歳以上の男女)