ALSOK セキュリティコラム
火災による悲劇をなくすために ご自宅の火災対策
<2024年5月1日更新(2019年4月15日公開)>
さて、今回のテーマは、「火災対策」です。
乾燥している季節は、火災が発生する確率も必然的に高まるため、いつも以上に注意が必要です。今回はとりわけ、ご自宅における火災予防の留意点についてお話したいと思います。
火災からご自宅やご家族を守るには、とにもかくにも、火を出さないことが肝要です。そこで、まずは出火原因から、防火対策を考えることに致します。最近の主な出火原因をみてみると、第1位 たばこ、第2位 たき火、第3位 こんろ、第4位 放火の順となっています(総務省消防庁刊行「令和5年版 消防白書」より)。まずはたばこによる出火は、どのような点に留意したら予防できるのか考えてみましょう。
1. たばこ
たばこ税の引き上げによる小売価格の値上げ、社会的な分煙傾向の高まりなど、愛煙家にとって、「たばこを吸う」という行為自体、以前のように自由が利かない風潮となった昨今。ご自宅に戻ってから、ゆっくりと煙をくゆらすのがなによりの楽しみといった方もいらっしゃると思います。しかし、就寝時の一服は禁物です。たばこの火をつけたときには、眠り込むつもりなどなくとも、うっかり一眠りしてしまったため、取り返しのつかない事態を引き起こしてしまった例は枚挙にいとまがありません。また、普段の生活の中でも、喫煙中に他の事に気をとられて火のついたたばこを置きっぱなしにしたため、火が燃え移り、火災が発生してしまったケースもあります。
加えて灰皿のお掃除もこまめにしましょう。灰皿に予め水分を含ませておくことも効果的です。たばこの吸殻を直接ゴミ箱に捨てたため、火災になってしまったケースもあります。十分注意しましょう。
続いて、3位の「こんろ」と4位の「放火」による出火の対策について考えてみましょう。
2. こんろ
最近は、「電気こんろ(IHクッキングヒーター)」、「ガスこんろ(センサー付きガスこんろ)」とも、以前と比べ機器性能が格段に向上しています。
IHクッキングヒーターには、センサーが温度を自動的に感知して、温度調整したり、電源を切ったりする機能が付加されているタイプの機器も数多く見受けられます。一般的には、取扱説明書どおりに使用していれば、火災は起らないと考えられます。しかし、取扱説明書で禁止されている方法(例:鍋底がうすい、鍋底が変形していて鉄板に接触していない、油の量が少ないなど)で使用した場合に温度が正しく測れず出火してしまうことがあります。機器の性能に頼らず、ご自分の目で確認する習慣をつけておきましょう。また、こんろのそばを離れるときには、必ず火を消しましょう。
一方、ガスこんろを使用する際には、火の出しすぎ(あふれ火)による「着衣着火」に気をつけましょう。ガスこんろを操作した際に袖口に着火すると、その火がそのまま衣服の表面を移動するように燃焼が進行する「表面フラッシュ」という現象が起こることがあります。そのため全身大火傷を負う危険性があり、死亡に至ったケースも少なからず存在します。セーター、フリース、寝巻き、バスローブなど、手触りを良くするために起毛させてある素材の衣服を着用しているときは、特に注意が必要です。
また、鍋物をするときなどに手軽に利用される「カセットこんろ」は、しっかりとこんろ本体にカートリッジを取り付けてから使用して下さい。取り付けが甘いと、ガス漏れによる引火爆発を誘発します。そのほか、大きな鉄板などでこんろの上部を過度に覆ってしまうと、熱の逃げ口がないためにこんろ本体が加熱され、爆発する恐れもありますので、注意してください。
3. 放火対策
【(1)敷地内に他人が侵入しにくする】
ご自宅の周りで見知らぬ人がうろうろしているのを見かけた記憶はありませんか?不審者が敷地内に容易に侵入できるかどうかは建物の造り、立地条件に多くを依存しているといえますが、ちょっとした配慮で侵入されづらくすることが可能です。放火は深夜に発生することが多いため、特に就寝前に以下のような点に気をつけて、放火を防ぎましょう。
- 門扉、車庫、物置等々の屋外施設の施錠をする。
- 屋外の玄関灯、門灯を点灯する。
- 敷地内に設置した威嚇設備(センサー付きライト等)の動作確認をおこなう。
【(2)建物の周りや共用部に燃えやすいものを置かない】
放火犯に目を付けられないためにも、家の周りには不要なものを放置しないように心掛けることが大切です。具体的には次のようなことに留意しましょう。
- ごみは決められた回収日、時間帯に出す。
- 自転車、バイクのカゴに燃えやすいものを放置しない。
- 車両のボディカバーを使用する場合は、防炎製品を選ぶ。
- 郵便受けに郵便物や新聞を溜めておかない。
【(3)地域住民の目を活かす】
近隣の人たちと協力することは、非常に有効な対策となります。1人だけでなく、みんなの力をうまく結集して、より多くの「目」で放火犯を撃退しましょう。
- 街路に防犯カメラを設置する。
- 自治会の寄り合いで不審火の防止策について話し合ってみる。
- 消防署と協力して火災予防講習会や防災訓練を開催する。
4. 最後に
今回は火災の主な出火原因からその対策方法を考えてみました。いかがでしたでしょうか。
消防法施行令の改正(平成16年10月)をきっかけに、新築住宅については平成18年6月1日から、既存住宅については概ね平成20年6月から平成23年6月までの各市町村条例で定める日から住宅用火災警報器の設置が義務付けられました。これは、火災による死亡事故原因の多くを占める「逃げ遅れ」を防止するためものです。設置基準は各地方自治体により定められておりますので、皆さんのお住まいの地域にあわせて、早めに設置されることをお勧めします。
火災の発生は、何気ない行動、ちょっとした油断がきっかけとなります。大きな惨事を招くことにならないよう、普段からの心掛けを忘れずに、火災予防に努めましょう。