ALSOKあんしん通信
身近な製品にひそむ火災の危険
○「火の用心」は冬に限りません!
だんだんと日が長くなり、いよいよ春が近づいてきました。さて今回の「あんしん通信」は「火災予防」がテーマです。 ・・・おや?何かおかしいと感じた方はいらっしゃいますか?火災といえば、「冬」というイメージを持たれている方が多いのではないでしょうか。冬場は暖房を使う、地域によっては空気が乾燥して火の回りが早い、などの理由から、「火の用心」はとくに冬に心がけるものと思われがちです。 しかし実際は、季節を問わず火災はコンスタントに発生しています。また私たちがふだん何気なく使用しているさまざまな製品が、重大な火災を引きおこす可能性もあるのです。いくつかのケースをご紹介しましょう。
○身近な危険その①:12歳以下の子どもの火遊びによる火災の多くは、ライターを触ってしまったことが原因です!
火災は一瞬にして住まいや家財道具、人命までも奪ってしまう恐ろしいものです。とくに高齢者や幼い子どもが火災に巻き込まれると、逃げ遅れて命を落とす危険性が高まるといえます。ここでは、子どもが関係する代表的な火災として「火遊び」を取り上げます。
東京都の調査によれば、12歳以下の子どもの火遊びから発生した火災の6割以上はライターが原因になっています。
【たとえばこんな事故です】
- 両親の外出中、2歳の男児がライターを用いて室内に干された洗濯物に火をつけたため出火。発見した近隣の男性が119番通報し消火器で消火したが手遅れとなり、男児と弟が死亡した。
- 5歳の男児がテーブルの上に置いてあったライターで紙くずに火をつけて遊んでいたところ炎が拡大。事態に気づいた母親でも消火できなくなり、避難した。ライターには男児の好きな漫画のキャラクターが印刷されていた。
(東京都商品等安全対策協議会『子どもに対するライターの安全対策報告書』より引用)
過去には東京都で火災が発生し、3歳と2歳の二児が死亡するという悲しい事故がありました。焼け跡からライターが発見され、火遊びの疑いが持たれています。 ライターは身近な雑貨であり、またお菓子や楽器、鉄砲など、子どもの興味をひく玩具のような形状をしているものがあります。事故例のように、子どもが好む絵柄が印刷されている場合もあります。子どもが玩具ではないかと誤解しやすいライターが多く流通しているのは、大きな問題です。 また1〜2歳の幼い子どもであっても、触っているうちに点火できてしまう可能性があるのがライターの恐ろしさです。あたかも玩具と同じ感覚で、ライターで遊んでいるうちに発火し、大きな事故が引き起こされているのです。
このような事態を受け、国内のライターには子どもの安全を守るための機能を施すよう、平成23年から義務化されています。
○身近な危険その②:電源コードの扱いは慎重に!
家庭のどこにでもあり、毎日利用している電化製品の周辺にも、火災の危険は潜んでいます。たとえばコンセント。家具の裏など掃除しにくい位置にあるコンセントは、ほこりが溜まりやすくなっています。このほこりが原因となり、発熱・発火するおそれ(トラッキング火災といいます)があるので気をつけましょう。
また最近は、電源コードを繰り返し折り曲げる・ねじる、家具などで踏みつける、ドアに挟み込むなどの行為をきっかけにコードが断線し、火災につながるケースがあります。
【たとえばこんな事故です】
- 電気毛布の電源コードをベッドの脚で踏んだまま使用していたため、ベッドの重みでコードが断線し、ショートして発火した。住宅が全焼し、家人の男性がやけどを負った。
- 女性が就寝中、使用していた電気あんかが突然熱くなり布団がこげた。あんかを使用するたびに電源コードを本体に巻きつけて収納していたためコードがねじれ、断線してショートしたと思われる。
(NITE製品安全センター公表資料より引用)
電源コードはビニールカバーの中に、電気を流す芯線が通っています。コードを曲げたり力を加えたりする事でこの芯線が断線すると、異常な発熱が起こり出火することがあります。
では、どんな製品で電源コード断線による事故が起こりやすいのでしょうか。図表を見ると、ドライヤーによる事故が多くなっています。ドライヤーは、使用中にコードがねじれたり、コードを本体に巻きつけて片付けたりすることが多いため、断線をおこしやすいといえます。
【普段から以下の点に気をつけましょう】
- 電源コードを何度も曲げたり、ねじったりしない。片付けるときなどは製品本体にコード巻きつけない。また、長いコードを束ねておくのも熱がこもり危険です。
- 電源コードの上に重いものを載せない、ドアやふすまなどに挟み込まない。
- 電源プラグを抜くときは、コードを引っ張るのではなくプラグを持って引き抜く。
○古い家電製品にはコード以外にも危険が!
とくに長期間使用した家電製品は、電源コードだけではなく、内部部品に劣化が生じ出火する場合もあります。2007年の夏には、30年以上使用した扇風機の経年劣化により火災が起こり、寝ていた夫婦2名が死亡するという痛ましい事故がありました。
製品を長く使うのは大切なことです。しかし、異常な音や振動がする、焦げ臭いにおいがする、動作がおかしいなど気付いた場合は、ただちに使用をやめて専門業者に相談しましょう。
以上