ALSOKあんしん通信

気をつけて!高齢者を狙った悪質商法

★悪質商法で高齢者が被害に遭うケースが増えています。最近目立っている被害事例や、対策についてご紹介します。

○手を変え品を変え・・・なくならない悪質商法

マルチ、デート、点検、催眠・・・これらのキーワードの共通点はなんだと思いますか?
実はすべて、悪質商法の手口を示しています。巧妙な誘いで消費者に不利益をもたらす悪質商法は、 名前や手口を変えつつも、残念ながら無くなることがありません。
警察庁のデータによれば、令和2年に検挙された悪質商法(注)の事件数は170件でした。事件に巻き込まれた被害者数は74,991人、被害総額は約4,707億円にものぼります。
(注)ここでの悪徳商法の事件数は「利殖勧誘事犯」「特定商取引等事犯」による事件数の合計
利殖勧誘事犯………出資の受入れ、預り金及び金利等の取締りに関する法律(以下「出資法」という。)違反(預り金の禁止等)、金融商品取引法違反、無限連鎖講の防止に関する法律違反等に係る事犯をいう。捜査の結果、詐欺に当たるものも含まれる。
特定商取引等事犯………訪問販売、電話勧誘販売等で不実を告知するなどして商品の販売や役務の提供を行う悪質商法。特定商取引に関する法律(以下「特定商取引法」という。)違反及び特定商取引に関連する詐欺、恐喝等に係る事犯をいう。
引用:警察庁生活安全局生活経済対策管理官「令和2年における生活経済事犯の検挙状況等について」

○狙われやすいのはお年寄りです!

お年寄りが悪質商法のターゲットとされた場合、興味をひきやすい健康や趣味にまつわる誘い、老後の経済的な不安に付け込んだもうけ話など、高齢者の生活のあらゆる場面を狙っています。
また、高齢者は自宅にいることが多いことから、訪問販売や電話勧誘によるトラブルに巻き込まれやすいのも特徴です。孤独感から話し相手を求める高齢者に巧みに近づき、さまざまな物を売りつけようとします。なかには長時間居座ったり、大声で怒鳴りつけたりして強引に契約を迫るケースもあります。
それでは、最近増えている悪質商法にはどのようなものがあるか、みてみましょう。

【たとえばこんなケースです】

  • 俳句を雑誌に投稿したことをきっかけに、80歳代女性のもとに「素晴らしい作品ですね。新聞にも作品を載せませんか」と電話がかかってきた。代金が20万円と高額であり迷ったが、強引に勧められ断りきれず契約した。3日後、やはり高いと思って断ったが、すでに新聞を印刷しており解約できないと言われた。

最近急増しているのが、電話で「あなたの短歌や俳句を新聞(雑誌)に掲載しませんか」と勧誘し、高額な掲載料を請求する例です。当初は無料と話を持ちかけておきながら、後から高額な料金を請求するパターンが多くなっています。断ろうとしても「すでに印刷してしまった」「掲載枠を取ってしまった」と理由をつけて解約を拒んだり、断っているのに勝手に掲載して代金を請求したりします。

【ほかにはこんなケースも・・・】

  • 「値上がりが確実です、貴方にだけこっそりお教えしますよ」と今年の秋に上場する予定の未公開株の購入を勧められた70歳代の男性。買付代金を支払ったが、株券は手元に届かなかった。不審に思い発行会社に確認したら、上場予定など全くないと言われた。
  • 60歳代の女性は、「当社はアフリカでダイヤを採掘し、収益をアフリカ難民支援のために学校や病院の建設に使っています。元本保証で損はしないので、株式転換社債を購入しませんか」と勧められ数百万円の契約をしてしまった。その後、友人から注意され解約を申し出たが、応じてくれない。

「元本保証」「高配当」などを誘い文句に架空の投資話をもちかけ、多額の金銭をだまし取る悪質ファンドの存在をご存知でしょうか?長引く不況や老後の経済的な不安に付け込み、素人には仕組みが分かりにくい海外の投資話や未公開株などの話を持ちかけてきます。こうした悪質ファンド(利殖勧誘事犯もしくは資産形成事犯といいます)による被害の増加は、近年とくに大きな問題となっており、警察庁と金融庁が対策チームを設置するなど、被害防止の取り組みも活発になっています。

利殖勧誘事犯の被害者数と東者金額

出典:令和2年における生活経済事犯の検挙状況等について(警察庁生活安全局)

【普段から以下の点に気をつけましょう】

  • うまい話や誘い文句にのらないで!
    悪質業者は、言葉巧みに相手の警戒心を解き、契約を迫ります。しかし、世の中そうそう「おいしい話」はないということを肝に銘じておきましょう。また、業者から親切にされても、安易に家族構成や財産の事などを口にしてはいけません。
  • 断るときは、きっぱり、はっきりと!
    あいまいな返答をすると、悪質業者はどんどん付け込んでくるので危険です。
  • すぐに相談しましょう
    不安を感じたら、すぐに家族や友人、専門機関(警察や消費者生活センターなど)に相談しましょう。購入してしまった後でも、クーリングオフなどで契約を解消できることがあるので、早めに相談することが大切です。
  • 普段からの情報収集が大切です
    気付かないうちに、ご近所のお年寄りやご家族がすでに被害に巻き込まれていることがあるかもしれません。普段からコミュニケーションをよく取り、様子が変だな・・・と思ったら一声かけ、相談にのってあげましょう。
    また悪質業者は、同一手口で多くの人々に声をかけています。最近流行している手口や問題となっている商法について、こまめに情報収集しているといざというときに役立ちます。

※各被害事例については、国民生活センター、警察庁の資料を参考にさせていただきました。