ALSOKアンケート

<空き家・民泊に関する意識調査>
「近所に空き家がある」人は31.0% 半数以上が「誰かに定住してほしい」
民泊の基準緩和 「ルールを作った上であれば賛成」42.6%
近所の民泊「安全安心が担保されたら賛成」43.6%
17.4%が清掃・防犯対策がしっかりしていて安価であれば民泊を利用したい

<2016年6月16日>

2013年の統計調査(平成25年住宅・土地統計調査)で全国の空き家は820万戸に達し、今年3月、国土交通省は2025年の空き家を400万戸に抑えるとしました。また、訪日外国人数が急増し、空き家の活用法の一つとして「民泊」が注目されていることを受けて、ALSOK(本社:東京都港区、社長:青山幸恭)は、近隣住民、不動産オーナー、利用者という3つの側面に立った「空き家・民泊に関する意識調査」を実施しました。
調査結果は、以下の通りです。

調査対象:東京・大阪在住の30歳以上の男女500人
調査期間:2016年5月13日~17日
調査方法:アンケート用紙に記入していただいたものを、ALSOKにて集計

自宅の近所や生活圏に空き家・空き部屋がある人は、31.0%
44.5%は空き家・空き部屋を快く思っていない

2013年の調査で、全国の空き家は820万戸(平成25年住宅・土地統計調査)と、過去最高を記録しました。

自宅の近所や生活圏にある空き家の有無について聞いたところ、31.0%の人が 「空き家・空き部屋がある」と回答しました。

「空き家・空き部屋がある」と回答した人は、自宅の近所や生活圏にある空き家・空き部屋について、「不安だ」(32.3%)、「迷惑だ」(7.7%)、「汚い」(12.9%)、「危険だ」(15.5%)と感じており、44.5%の人が快く思っていないことが分かりました。また、25.8%の人は「もったいない」と感じていることがわかりました。

「不安だ」「迷惑だ」「汚い」と思う理由は、それぞれ6割以上の人が「庭木が伸びたり、郵便受けからチラシが溢れるなど景観が悪化するから」と回答しました。

あなたの家の近所や生活圏に、空き家・空き部屋はありますか あなたの家の近所や生活圏にある空き家・空き部屋についてどう思いますか
そのように思った理由はなぜですか

半数以上の人が、空き家・空き部屋は売却・賃貸物件として「誰かに定住してほしい」

自宅の近所や生活圏にある空き家について、どうしてほしいと思うか聞いたところ、「売却して誰かに定住してほしい」(45.8%)、「賃貸物件として誰かに定住してほしい」(30.3%)と、56.8%が不特定多数が出入りするのではなく、誰かに定住してほしいと思っていることがわかりました。一方、レストランやギャラリー、オフィス、民泊など、不特定多数の人が出入りする施設として活用することは、望まれていないことが分かりました。

今年3月、国土交通省は新たな「住生活基本計画(全国計画)」を閣議決定し、人口減少などで今後も増加が見込まれる空き家を2025年度に400万戸程度に抑える目標を立て、既存住宅流通・リフォームの市場規模を倍増の20兆円市場にするとしました。また、国土交通省は、各自治体が個別に行っている「空き家バンク」の情報を一元化し、全国の空き家や空き地の情報をインターネット上で検索しやすくし、売買を容易にする試みを、早ければ2017年度に開始するとしています。

あなたの家の近所や生活圏にある空き家・空き部屋について、どうしてほしいと思いますか

「民泊」を知っている人は、61.8%

円安やビザの発給要件緩和などの観光施策の強化や、伊勢志摩サミットをはじめ、大規模な国際イベントの開催が決定したことなどによって、日本への関心が高まり、2015年の訪日外国人旅行客数は1,973 万7,000人に達しました。これを受けて政府は、「2020年に2,000万人、2030年に3,000万人」としてきた従来の目標を、「2020年に4,000万人、2030年に6,000万人」に拡大しました。
2015年の宿泊施設の客室稼働率は日本全体で60.5%、東京や大阪などの大都市や観光地のシティホテルでは 8割を超え、慢性的に宿泊施設が不足しています(宿泊旅行統計調査、平成27年・年間値/速報値)。 こうした状況の中、民家の空き家や空き部屋を宿泊場所として提供する「民泊」が、宿泊施設不足を解消する手段の一つとして注目されています。

空き家や空き部屋の活用法として、「民泊」が注目されていますが、民泊についてどの程度ご存じですか

「民泊」について質問したところ、意味を理解している人は61.8%で、「言葉のみ知っている」人を含めると82.0%に 達し、関心の高さが伺えました。

民泊の基準緩和、「ルールを作った上であれば賛成」が42.6%
必要なルールは、防犯・防災・騒音対策と、清掃

国内の民泊物件は3万件超とみられていますが、国家戦略特区に認定された東京都大田区の例などを除くほとんどが自治体の許可を得ておらず、無許可営業が横行しており、近隣住民とのトラブルも相次いでいます。

2016年4月、厚生労働省は旅館業法の施行令を改正し、民泊をカプセルホテルなどと同じ「簡易宿所」と位置付け、営業許可基準を緩和しました。しかし、簡易宿所は住宅地で営業できないため、住宅地で民泊を提供したいという人たちから改正を望む声が上がっていました。

厚生労働省と観光庁は、今年5月、現行法では営業が認められていない「住居専用地域」(住宅地)でも、営業日数などの要件を満たせば、民泊の実施を容認する新制度を導入する方針を決定し、旅館業法改正案や新法案を2017年の通常国会に提出する方針としています。

こうした状況を受け、民泊の基準緩和についてどう思うか聞いたところ、「緩和に賛成」(8.6%)、「ルールを作った上での緩和であれば賛成」(42.6%)で、賛成意見が「緩和に反対」(23.2%)を大きく上回りましたが、条件付きで賛成という声が多く聞かれました。

民泊の基準緩和についてどう思いますか

また、どのようなルールがあれば基準を緩和してもいいと思うか聞いたところ、「防犯対策」(70.9%)、「防災対策」(50.2%)という安全安心に関するルールや、「騒音対策」(63.8%)、「地域のごみ集積所にごみを出さない」(46.0%)といった近隣住民とのトラブルを回避するためのルールや、「宿泊者のチェックアウト後には清掃業者を入れて清潔に保つ」(54.0%)といった衛生面を気にする声が多いことがわかりました。

どのようなルールがあれば、基準の緩和に賛成ですか

近隣の家や部屋の民泊利用、「安全安心が担保されたら賛成」が43.6%安全安心を担保するには「ルールの順守を法律や条例で徹底」「罰則の強化」「防犯カメラや火災報知器の設置」

自分の近所の家や部屋が民泊に利用されることについて聞いたところ、「賛成」(7.6%)、「安全安心が担保されたら賛成」(43.6%)を足した賛成意見が「反対」(25.4%)を上回りましたが、基準緩和と同様に条件付きで賛成という人が多く見られました。

あなたの家の近所の家や部屋が民泊に利用されることについて賛成ですか、反対ですか

安全安心を担保するためにはどうしたらいいと思うか聞いたところ、「ルールの順守を法律や条例で徹底させる」(76.6%)、「罰則の強化」(44.5%)といった、ルールを守らせるために強制力を持たせることを希望する声が多く聞かれました。また、「防犯カメラや火災報知器の設置」(43.1%)を挙げた人も多く、設備面での安全安心の保障にも関心が高いことが分かりました。このほか、「民泊の運営会社の管理」(40.4%)、「緊急の際は警備会社や管理会社が駆けつける体制を整える」(39.4%)など、トラブルが起きた際に頼れる第三者のサポートを求める声が挙がりました。

どのようにすれば安全安心が担保されると思いますか

「民泊として貸し出したい」不動産オーナーが「貸し出したことがある」を上回る

不動産を持っていると回答した人(164人)に、自分の不動産を民泊として旅行者などに提供したことがあるか聞いたところ、経験のある人は4.9%に止まりました。
また、自分の不動産を民泊として貸し出したいと思うか聞いたところ、「貸し出したい」という人は、「貸し出したことがある」人(4.9%)を上回る28.1%でした。
このことから、不動産オーナーの中に不動産活用法の一つとして潜在的な民泊の提供ニーズがあり、今後の基準緩和によって民泊が拡大することが予想されます。

あなたは、不動産を持っていますか あなたは、自分の不動産を民泊として、旅行者などに提供したことがありますか あなたは、自分の持っている空き家・空き部屋を、民泊として貸し出したいと思いますか

民泊として貸し出したくない理由は「汚されそう」「近隣からの苦情」「防災面」の不安

民泊として貸し出したくない理由を聞いたところ、「物件を汚されそうだから」(59.3%)が最も多く、次いで「近隣住民からの苦情が心配だから」(45.8%)、「火の不始末などが心配だから」(45.8%)となりました。
ニュースやSNSを通じて、「チェックアウト後、掃除に入ったら汚かった」、「話し声がうるさい」、「夜中に間違えてインターホンを押された」などのトラブル話を耳にする機会が多いことから、敬遠する人が多いようです。また、「清掃や鍵の受け渡しなど、自分だけでは管理しきれないから」(41.5%)と運用面の手間を懸念する声もありました。

民泊として貸し出したくない理由はなぜですか

民泊利用経験者は3.8%
35.0%の人は「どんな物件だろうが民泊は利用したくない」
17.4%の人は「清掃」「防犯対策」がしっかりしていて「価格が安い」物件であれば民泊を利用してみたい

民泊を利用したことがあるか聞いたところ、利用経験者は3.8%に止まりました。
また、今後利用してみたいかどうか聞いたところ、「利用してみたい」(17.4%)が「利用したことがある」(3.8%)を上回り、物件を供給するオーナーだけでなく、利用するユーザー側にも関心があり、潜在的な需要があることがわかりました。

あなたは、民泊を利用したことがありますか あなたは、民泊を利用してみたいと思いますか

宿泊する立場で、どんな物件であれば利用したいか聞いたところ、35.0%は「どんな物件だろうが、民泊は利用したくない」と回答しました。しかし、65.0%の人は、条件が整っていれば利用したいと回答し、その条件は、「清掃が行き届いている」(38.2%)、「価格が安い」(36.6%)、 「防犯対策がしっかりしている」(36.2%)の順となりました。このほか、「管理者が明確になっている」(24.2%)、「防災対策がしっかりしている」(23.2%)を挙げた人も多くおり、「その国ならではの体験」や「デザイン性」といった情緒的な価値より、安全安心が重要視されていることがわかりました。

どんな物件であれば民泊を利用してみたいと思いますか

<参考>プレスリリース「民泊運営サポートソリューション」の提供開始について(2016.5.9)

http://www.alsok.co.jp/company/news/news_details.htm?cat=2&id2=792