世界でも有数の治安の良さを誇るといわれる日本。欧米諸国の主要犯罪の発生率は、日本の4~6倍に上ります。一方、殺人発生率を見比べると、米国は日本の約5倍です。
窃盗のケースで多いのは、ぶつかったり、話しかけたりしてターゲットの気をそらし、金品や荷物を盗んでいく「スリ」や「置き引き」。記念写真の撮影時やATMで現金を引き出す際のスキを突く手口も多く報告されています。
なかには、わざと標的にアイスをぶつけ、注意を引いている間に他の仲間が金品を持っていくなど、集団による犯行も。また、警官を装った男に、パスポートやクレジットカードの提示を求められ、財布を出した瞬間にひったくられるなどの被害も出ています。
財布はもちろん、カメラや携帯電話なども、かばんの中に隠すなどして十分注意しましょう。
●所持金・所持品が盗難にあったとき
大使館では、現地警察への届け出方法の案内や、家族や知人から送金が受けられるように助言を行っています。また、パスポート(旅券)を盗まれた場合は、新しく発給したり、帰国するための渡航書を発給したりすることも可能です。

●事故にあったとき、急病になったとき
被害やケガの状況によって現地での届け出や治療方法が異なるため、大使館が助言します。また、弁護士や通訳の情報を提供したり、日本人がよく行く病院や日本語が通じる医療機関などを紹介したりすることも可能です。

●海外で行方不明になった家族を探したい時
大使館は、現地の事情に合った捜索や現地警察へのデータ照会、捜索願を出すための助言などを行います。犯罪に巻き込まれている可能性がある場合は、現地警察に捜査の申し入れをする必要も出てきます。

とはいえ、大使館はトラブルの解決にかかる費用を負担してくれるわけではありません。渡航先で入院することになった際、十分な医療設備がない国では国外に緊急搬送するケースも……。そうなれば、個人で非常に高額な医療費を負担することになってしまいます。
そんな時、入っていると役に立つのが「海外旅行保険」。基本的に、貴重品の盗難、医療費、交通トラブルによる出費などを補償します。保険会社によってオプションなどが異なるため、内容をよく比較して、できるだけ充実した保険に加入しましょう。
日本国内で契約した通信のパケット定額サービスは、海外では対象外のケースがほとんど。うっかり利用すると、帰国後に数十万円クラスの請求が届くことも……。海外ローミングサイトと契約・提携していない場合は、自動的に通信を行う「メールチェック機能」や「アプリ更新機能」などをオフにしておきましょう。
海外でも、日本にいる時と同じように通信を利用したい場合は、「海外パケ・ホーダイ(NTTドコモ)」「海外ダブル定額(au)」「海外パケットし放題(ソフトバンクモバイル)」などのサービスを使いましょう。1日当たり最大3000円未満に抑えられます。