「生体リズムを整える」快眠・目ざめのお風呂術
生活リズムの乱れは、本来私たちに備わる
「生体リズム」も狂わせ体調不良を招くことも。
今回のお題は、メリハリの利いた生活に役立つ「生体リズムを整える」お風呂術です。
快眠いざなう「ぬる湯浴」
睡眠は私たちの「身体の再生を図る」重要な役割を担っています。日本人の5人に1人は睡眠に悩みを抱えているとされていますが、みなさんは、「ぐっすり眠れない」「寝つきがよくない」「夜中に何度も目が覚める」「日中眠くなってしまう」といった経験はありませんか?
近年の睡眠研究では、①眠りが促されるのは、体の表面体温と深部体温の差が小さくなるタイミングであること、②睡眠周期は約90分で一晩に数回繰り返しますが、特に重要なのは眠りについた最初のサイクルで、深い眠りにつけるかがポイントであること、が明らかになっています。
そこでおすすめしたいお風呂術が、カラダをリラクゼーションモードに導く「就寝1~2時間前のぬるめのお風呂」です。シャワーだと身体を芯まで温めることは困難ですし、熱めだと身体を興奮状態に導いてしまいます。ぬるめのお風呂は、スムーズな入眠を促し、最初の睡眠周期を深い眠りに導く知見も得られています。「スマホとテレビはスイッチオフ」もお忘れなく。
目ざめを促す熱シャワー
地球の1日は24時間ですが、私たちの体内時計周期は約24時間10分。これだと徐々に「生体リズム」はずれていきますよね。このズレの制御には「光」刺激と脳の視床下部にある「時計遺伝子」が大きく関与しています。朝、目から光の信号が視床下部に届くと、全身の細胞に情報が伝達され、体内時計がリセットされる仕組みです。「ぬる湯浴」でぐっすり眠った翌朝には、「朝日(光)を浴びる」をセットにしましょう。
お風呂術としておすすめしたいのは、「熱めの朝シャワー!」。忙しい朝にはお風呂にゆっくり…、なんて時間はありませんよね。短い時間でも熱めのシャワーを浴びると、カラダがリフレッシュモードに導かれ、活動のスイッチがオンに。朝のスタートダッシュに役立つはずです。しっかり朝食を摂ることも朝のパフォーマンスには重要です。
「規則正しい生活リズム」…なんて僕だって「無理!無理!」なわけで。毎日の義務やノルマにする必要はありません。そういえば?と思い出していただければうれしい限りです。
後藤 康彰(ごとう やすあき)
フロ(風呂)フェッサー、医学博士。一般財団法人日本健康開発財団・主席研究員。
入浴・温泉プログラムの開発や加齢を制御する生活行動としての入浴研究を行う。著書に『女子力UPのための最新入浴法』(虹有社)。