ALSOK TRIP vol.2

  • 次号
  • バックナンバー
  • 前号

海と山が織りなす景観、そして四季の彩り。すべてがそろう徳島県で、春の散歩に。
特産や名産を使った料理はもちろん、思わぬグルメとの出合いも楽しみ。
伝説の残る秘境まで足を延ばせば、その奥深さが改めて心に響く旅になります。
Photos :Naoto Shoji

※本記事に記載している情報は2019年3月時点のものです。ご利用の際は最新の情報をご確認ください。

鳴門

本州から四国への大動脈に架かる大鳴門橋。およそ2000mにわたる長さで淡路島と鳴門を結ぶつり橋の壮観な姿は、国立公園である一帯の景観とみごとに調和。もちろん、渦潮の存在も、ここが唯一無二の存在である理由のひとつです。
鳴門海峡からほど近い場所で創業した大塚グループ。創立75周年記念事業として、1998年に「大塚国際美術館」を地元に開館しました。最大の特徴は、世界の名画を特殊技術を使って陶板で原寸大に再現していること。
このプロジェクト、紀伊水道に面する海岸の白砂が安価に買い取られていたため、タイルにして価値を高めたいという案から陶板づくりがスタートし、オイルショックをきっかけに絵画を焼き付ける世界初の技術開発が進み美術館設立に至りました。熱い想いで実現した世界の名画、見逃せません。
1985年、徳島県と兵庫県を最初に結んだ大鳴門橋が完成。それを記念する施設が「大鳴門橋架橋記念館エディ」です。大鳴門橋建設の歴史や構造の資料が揃っています。昨年リニューアルされ、「4K360°シアターawa」が誕生、阿波踊りなど徳島文化を迫力の映像で見せます。また、大鳴門橋遊歩道「渦の道」へもすぐ近く、渦潮を存分に堪能できる立地となっています。

大塚国際美術館

古代壁画から現代絵画まで、世界26カ国190あまりの美術館が所蔵する西洋名画1,000点が展示されている。すべて原寸大で忠実に再現され、なんといっても一度にまとめて名画鑑賞ができるのは魅力。退色劣化がないので、オリジナルの作品性を保存する点からも貴重な存在となっている。

088-687-3737

鳴門市鳴門町 鳴門公園内

9:30~17:00(入館券の販売~16:00)

月曜日(祝日の場合は翌日)、1月は連続休館あり、その他特別休館あり、8月無休

一般3,240円、大学生2,160円、小中高生540円

『最後の晩餐』は修復前後の両方を再現。修復の成果が見比べられる。

凹凸まで再現されたゴッホの名画などに優しく触れることもできる。

人気が高まっているフェルメール作品もずらりと揃う。

景観を壊さないように外観を設計。

大鳴門橋架橋記念館 エディ

渦潮が発生するメカニズムや大鳴門橋の構造を、楽しく分かりやすい展示で解説している。3階では、投影された光と音が手足の動きに反応するアトラクション「Play the Eddy!」と徳島の観光体験もできるVRを設置。屋上はパノラマ展望台になっていて、大鳴門橋と渦潮の共演を楽しむことができる。

088-687-1330

鳴門市鳴門町 鳴門公園内

9:00~17:00、GW・お盆8:00~18:00、
夏休み9:00~18:00(最終入館は閉館の30分前まで)

無休

大人610円、中・高生410円、小学生250円

海の中のような「Play the Eddy!」。

鳴門海峡を望む建物。

屋上は展望パノラマに。

「awa」では阿波踊りの中心にいるような体験も。

徳島

徳島市とその周辺では、山海の恵みと文化に触れるさまざまな場所に出合えます。
紀伊水道を見渡すマリンピア沖洲に昨年4月にオープンしたのが「徳島新鮮なっとく市」。シーサイドのバーベキューコーナー、本格和食店、物産館、そして釣り堀という4施設が集合。夏期はシーカヤックが体験でき、イベントも盛りだくさん。手ぶらで向かえるので、思いついたらすぐに友人と誘い合いたいところ。
全国的にじわじわと認知度が上がっているのが徳島ラーメン。「岡本中華 小松島本店」は、豚骨と鶏ガラベースで丁寧に仕上げたスープがさらりとした口当たりで、旨味と甘みの絶妙なバランスが中太麺や自家製チャーシューと相性抜群。戦後、屋台からスタートした老舗で、代表の福井雅人さんで3代目。本来の徳島ラーメンは、いわゆる中華そばの味わいと語り、ここではそんなどこか懐かしさも感じさせる味に浸れます。

市街を歩いてよく目にするのが狸の像。民話「阿波狸合戦」をモチーフにした愛すべき存在です。その物語の主人公から名をとった「金長まんじゅう」は、徳島土産の代表格。長く愛される株式会社ハレルヤの銘菓で、工場に併設された「ハレルヤスイーツキッチン」では、洋菓子を含めた幅広い商品が買え、カフェも設置。工場の全長120mにわたる製造ラインは無料見学ができます。地産地消の豊富な商品の数々は、安心のスローフードでもあります。
サッカー日本代表のユニフォームで採用されているブルー。元となっているのは日本の伝統色であり〝勝色〟の藍、その発祥の地が徳島です。「藍住町歴史館 藍の館」は、平安時代から伝わるといわれる歴史と、文化5(1808)年建築の藍商屋敷を目にすることができます。また、昔ながらの手法による藍染体験も実施しているので、自分流の藍染をお土産にしてみてはいかがでしょう。

徳島新鮮なっとく市

徳島の水都としての魅力を集めた施設。バーベキューコーナーでは伊勢エビなどの他、阿波黒牛、阿波尾鶏も味わえる。釣り堀では徳島独自の「阿波釣法」を紹介、物産館の産地直送野菜も要チェック。

徳島市東沖洲2-14

レストラン 阿波の幸『和美彩美』

088-676-3335

平日11:00~15:00(L.O.14:30)、17:00~20:00(L.O.19:30)、
土日祝11:00~21:00(L.O.20:00)

シーサイドバーベキュー『AQUA TERRACE』

090-4973-1664

平日11:00~15:00(L.O.14:30)、17:00~20:00(L.O.19:30)、
土日祝11:00~21:00(L.O.20:00)

ファミリー釣り堀『釣ってみんでフィッシング』

080-2997-3679

平日10:00~18:00、土日祝10:00~19:00

物産館『阿波遊産』

088-676-2266

平日10:00~18:00、土日祝10:00~19:00

釣り堀でマダイや時にはメジロに挑戦。

物産館にはすだちを加工した商品などもある。

『和美彩美』の懐石コース「春の彩」3,000円(税別)。

新町川河口に面したシーサイドにある。

手ぶらでBBQができる。

岡本中華 小松島本店

昭和26年の創業から守られる秘伝のスープを使った中華そばは、地元民が通いつめる味。かえしのレシピは、三代にわたって受け継がれたもの。メニューは潔く中華そば一種類で、肉の量やサイズを選択することができる(玉子はトッピング)。何度も通いたくなるのは、この一品にすべて盛り込まれた深みが感じられるから。通販もあるので、自宅でも味わうことができる。

0885-32-0653

小松島市中田町奥林60-1

11:00~20:00(売り切れ次第終了)

木曜日

味を受け継ぐ代表の福井雅人さん。

中華そば(大) 味付玉子750円(税込)

1年前に改装した店舗。

ハレルヤスイーツキッチン

1930年創業の老舗はこだわりの地元産食材を使い、なると金時はスイートポテトやレアチーズポテトに、木頭柚子はショコラブラウニーへと、豊富な商品に生かされている。オリジナルのお菓子作りも親子での参加が可能。(要予約)

088-699-7611

板野郡松茂町広島北川向四ノ越30

9:30~17:30

無休、元旦を除く

金長まんじゅうなどの製造工程を見学。

上/なると金時スイートポテト160円、
下/プレミアムスイートポテト140円(共に税込)。

金長まんじゅう1コ108円(税込)。

カフェもある広々とした店舗。

藍住町歴史館 藍の館

日本最大の藍作地帯の歴史を、江戸時代の小紋や幕末の木綿染など、貴重な着物や染物などと共に紹介している。奥には藍商屋敷、旧奥村家の家屋が残っていて、江戸末期の建築部分もある。その一棟で藍染体験が行われ、当時を偲ぶ雰囲気も感じさせる。

088-692-6317

板野郡藍住町徳命字前須西172

9:00~17:00、藍染体験9:00~16:00

火曜日(祝日は開館)、12/28~1/1

大人300円、中高200円、小学150円、身障者手帳持参100円割引

藍汁の中に布を入れ絞る、染めの作業。

かつての豪商の佇まいを今に残している。

大正期の藍染も展示。

周りは静かな住宅街。

祖谷・日和佐

平家の落人が逃れた地、あるいは弘法大師が訪れた地など、伝説が残る秘境の祖谷。清らかな水を湛える渓谷はところどころで深い谷へと変化し、まさに人を拒絶するかのような森の表情にもなります。
その頃から食されていたともいわれるのが祖谷そば。昔ながらの味である田舎蕎麦で、つなぎは少なめ。独特の食感があるなかで、〝通〟にはそば本来の甘みが楽しめるはずです。
「祖谷そば もみじ亭」でもこの独特の味わいを提供、特産であるすだちを合わせた「祖谷そば すだち」などが人気。しっかりとした喉越しに爽やかな柑橘系の香りは、この地ならではの風味といえます。
ごぼうやなると金時などの地野菜天ぷら盛り合わせには、こんにゃくが入っているのも特徴。春は限定メニューがあるそう。
築200年の古民家を移築し改修した店内でいただくそばに、思わず和んでしまいます。

1900年代には13カ所で架けられていたという「かずら橋」は、祖谷に自生するシラクチカズラを編んで作ったもの。山間部の住民の生活には必要不可欠な存在でした。
「かずら橋夢舞台」は、祖谷のかずら橋から徒歩5分にある大型観光施設。広い空間を存分に使った物産コーナーは、そばや和菓子を始めとする食品や野菜の他、衣類、雑貨など、祖谷にゆかりのある品々が所狭しと並びます。
お土産で一番人気となっているのが「夢きんつば」。もちろんなると金時を使い、酸化防止剤は一切加えていません。日持ちが短くなりますが、自然志向を目指した商品提供が最優先。また、「吊るし秘境かずらそば」や「平家そば」など、生そばの種類も豊富です。
徳島のご当地グルメである祖谷そばと徳島ラーメンを味わえるのが食事処「かずら橋亭」。アマゴ天、鮎の塩焼き、でこまわしなどを販売する屋外フードコーナーも併設。

祖谷そば もみじ亭

「セイガイ造り」という古式の建築様式である建物は、急勾配の屋根に天井張りのないことが特徴で、開放感を演出する。祖谷そばには小鉢二品が付き、天ぷらセットの他アメゴなどとセットの御膳が豊富。吉野川の渓流を眺めながら、古くからの趣の中でそばをいただく贅沢。

0883-84-1117

三好市山城町西宇1468-1

11:00~17:00
(GW期間、7月3連休~11月以外は15:00まで)

水(GW期間、7月3連休~11月は無休)

200年前の風情が今に生きる。

森を借景にした佇まい。

店内の行灯は、作家の一点ものもある。

「祖谷そば すだち」1,240円(税込)。

地元で採れた新鮮な山菜も天ぷらに。

かずら橋夢舞台

祖谷のかずら橋を訪れる際には必ず立ち寄りたい物産館。建物から徒歩5分でかずら橋、大型駐車場をも完備している。地元に密着したお土産を多数扱っており、「夢きんつば」は自然志向である阿波の老舗、栗尾商店と開発した逸品。工芸品や地元産食材も豊富で時間に余裕をみて訪れたい。

0883-87-2200

三好市西祖谷山村今久保345-1

9:00~18:00(12月~3月は~17:00)

1回500円

無休

屋内には明るい光が差し込む。

レンジでチンすると、より美味しくなる「夢きんつば」650円(税込)。

ガラス張りの建物の奥にかずら橋。

食事処「かずら橋亭」。

祖谷のかずら橋

重要有形民俗文化財に指定され、年間30万人が訪れる。長さ45m、幅2m、水面からの高さは約14mでかなりの迫力。3年に一度、架け替えが行われ、約6tのかずらが調達され、伝統の技で編み上げられている。

三好市西祖谷山村善徳162-2

日の出~日没

無休

大人550円、小人350円

詳細は三好市公式観光サイトを参照

渡りきるにはかなりの勇気が必要。

受け継がれる編み上げの技術。

日和佐うみがめ博物館 カレッタ

世界でも類を見ないウミガメの施設。昭和25年、食糧難の時代に殺されたウミガメの保護を日和佐中学の生徒が訴え、博物館の設立へとつながった。ウミガメの基本知識から生体の秘密を、貴重な映像資料などでも紹介。5月20日~8月20日は産卵見学会を実施します。

0884-77-1110

海部郡美波町日和佐浦370-4

9:00~17:00

月曜日(祝日の場合は翌日)、12/29~12/31

大人600円、中高生500円、小学生300円

カメの進化を紹介する太古のフロア。

ウミガメの剥製でその大きさを確認。

ウミガメが空中散歩する展示。

3歳までの子ガメが泳ぐ姿を間近で確認できる。

ホテル 白い灯台

大浜海岸のある日和佐湾を望む高台に建つ、全室オーシャンビューのホテル。ウミガメ観察の宿にはぴったり。天然露天風呂はインフィニティプールのような眺望、日帰りでも入浴することができる。地元の魚介をふんだんに使った料理は絶品で、秋から伊勢海老のプランも用意される。

0884-77-1170

海部郡美波町日和佐浦455

海に突き出た岩の上で波の音も近い。

太平洋を眺めながらの入浴。

ALSOK TRIP vol.2

  • 次号
  • バックナンバー
  • 前号