
寒い時期にたくましく咲き誇り、いち早く春の訪れを知らせてくれる梅の花。「常陸野」の豊かな自然の恵みとひと足早い春を探しに出かけてみませんか?


水戸
日本三名園のひとつ「偕楽園」。水戸藩第九代藩主・徳川斉昭公によって造営され、梅の名所としても知られています。梅は花を愛でるとともに、実を梅干しにすれば軍事や飢饉の際の非常食にもなることから、〈実用〉を重視した斉昭公が自ら植樹を指示しました。水戸藩の領内には、多くの梅の木が植えられたといいます。
高台に静かに佇む「好文亭」にも立ち寄りました。かつて藩士や領民を集めて詩歌や養老の会が催された木造2層3階建ての別荘で、斉昭公が設計した建築意匠に目を奪われます。好文亭内にあるカフェ「樂」では、斉昭公も愛でたであろう千波湖や梅林の絶景を眺めながら、「領民と偕(とも)に楽しみたい」という願いに思いを馳せました。
あわせて訪れたいのが、水戸藩の藩校「弘道館」です。〈文武修業〉の場である弘道館は、〈余暇を楽しむ場〉である偕楽園と対の関係でした。「藩校とともに庭園を設けたのは独創的で、『一張一弛(いっちょういっし:時に厳しく、時にはゆるめて楽しむこと)』の思想を重んじた斉昭公の思いが体現されています」と、主任研究員の小圷さんが教えてくれました。
「好文木」という別名を持つ梅の木に、学問・教育への志を重ねた斉昭公。旅を通して、その思いに触れることができました。
偕楽園
徳川斉昭公が藩内随一の景勝地として場所を選定し、自ら造園構想を練り開園した。南に千波湖(せんばこ)や桜山・緑岡をのぞみ、筑波山や大洗の海を遠望できる高台に位置する。早咲き、中咲き、遅咲きの約100種、3000本の梅の花が咲き誇る梅の名所としても知られている。

029-244-5454
- 住所
- 水戸市常磐町1-3-3
- 開園時間
- 6:00~19:00(2月中旬~9/30)、7:00~18:00(10/1~2月中旬)
- 休
- 無休
- 入場料
- 大人320円、小人160円、満70歳以上160円
※小学生未満は無料、団体料金あり
https://ibaraki-kairakuen.jp/


弘道館
徳川斉昭公により藩政改革の一つとして開設された藩校。科目は儒学や歴史、武芸の他、医学、天文など多岐にわたり、総合大学のような施設で、藩校としては最大の規模を誇った。斉昭公の七男である徳川慶喜公も幼少期に学んでいる。

029-231-4725
- 住所
- 水戸市三の丸1-6-29
- 開館時間
- 9:00~17:00(2月中旬~9/30)、9:00~16:30(10/1~2月中旬)
- 休
- 12/29~31
- 入館料
- 大人420円、小人210円、満70歳以上210円
※小学生未満は無料、団体料金あり
https://kodokan-ibaraki.jp/

水戸を代表する蔵元のひとつ、「吉久保酒造」。仕込み水には徳川光圀ゆかりの笠原水源を使っています。1790年創業、200年以上の老舗酒造ですが、職人の経験や勘だけに頼らない、データに基づいた酒造りが特徴です。「再現性を実現することで、解析しやすくなります」と、十二代目社長の吉久保博之さん。平均年齢34歳の若き蔵人たちと共に、全国クラスの漁獲量を誇る〈サバ〉や、那珂川を遡上する〈サケ〉に合うユニークな酒も開発しています。
昼食は「畑のGOCHISO」へ。地元産の採れたて野菜をメインに使ったメニューを提供しているカフェレストランです。この日の「季節のプレート」は、茨城産〈美明豚〉と蓮根のハンバーグ。とろけるような甘みが口いっぱいに広がりました。
吉久保酒造
1790年創業。日本酒のほか、リキュールの醸造、販売なども広く手がける。造る酒の成分を分析して数値化し、データに基づいて行う酒造りは、海外でも評価の高い製品を生み出している。なかでも純米大吟醸は、アメリカ・ロサンゼルスにあるドジャースタジアムのVIPルームで提供されている。
029-224-4111
- 住所
- 水戸市本町3-9-5
- 営業時間
- 8:30~17:30
- 休
- 土曜、日曜、祝日(11~12月は土曜も営業)
https://www.ippin.co.jp/



畑のGOCHISOU
「おいしい野菜をおいしくいただく」がコンセプト。地元産の採れたて野菜や、全国各地の旬の野菜を使ったランチセット、季節のプレート、ドルチェなどを、自然のぬくもりを感じさせる空間で楽しめる。
029-357-0815
- 住所
- 水戸市米沢町280
- 営業時間
- 11:00~15:00(L.O.14:30)、18:00~21:00(L.O.20:00)
※月曜はランチ営業のみ - 休
- 火曜、第1水曜
https://hatakenogochiso.com/


日替わりの肉料理に、たっぷりの旬野菜とスープを添えたお得なランチセット。

ひたちなか
水戸市の北東にはひたちなか市が隣接しています。「国営ひたち海浜公園」にも立ち寄ってみました。開園面積約215ヘクタールもの広大な敷地を四季折々の草花が彩り、冬でも色鮮やかな花を楽しめます。アイスチューリップやロウバイ、福寿草など、中には、春を告げる花々も見ることができました。
国営ひたち海浜公園
太平洋に面し、砂丘、樹林、草地、湧水池などの自然環境を生かした都市公園。広大な園内では、四季を通じて彩り豊かな花や草木が目を楽しませる。

029-265-9001
- 住所
- ひたちなか市馬渡字大沼605-4
- 開園時間
- 9:30~17:00(※季節により異なる)
- 休
- 火曜(祝日の場合は直後の平日)、12/31~1/1、2月第1火曜の前日~直後の金曜
- 入園料
- 高校生以上450円、65歳以上210円
※中学生以下無料、団体料金、季節料金あり
https://hitachikaihin.jp/


那珂(なか)
豊かな水源に恵まれた茨城には、さらに個性豊かな酒造が軒を連ねます。「常陸野ネストビール」で知られる「木内酒造」も1823年創業の老舗です。清酒造りの経験を生かし、ビールやウィスキー、梅酒など、幅広い酒造りを行っています。「常陸野」の風土を伝える個性的な逸品をおいしく飲んでもらうために、2025年1月には、敷地内の母屋を改装した日本酒レストランがオープンする予定です。
木内酒造 本店
1823 年創業。那珂市鴻巣の本店には「酒蔵」「店舗」「きき酒処」「手造りビール工房」「蔵+蕎麦 な嘉屋」が併設。日本酒の他、ビール、ウィスキー、梅酒なども手がける。

029-270-7955
- 住所
- 那珂市鴻巣1257
- 開園時間
- 10:00~18:30
- 休
- 無休
https://www.kodawari.cc/


1823年創業 木内酒造
つくば
多数の研究機関が林立する国内最大の学術・研究都市、つくば市。なかでも「つくばエキスポセンター」は、科学技術を見て・触れて・楽しめる科学館です。「たつまき発生装置」や「シャボン玉のかべ」など、大人もワクワクするような体験型展示が並びます。世界最大級のプラネタリウムは、充実したプログラムで子供たちにも大人気でした。
関東の名峰「筑波山」も、つくば市を象徴するスポットです。その周辺地域に2023年秋にオープンしたのが、「筑波山ゲートパーク」。筑波山地域ジオパークの中核「つくばジオミュージアム」と、自転車拠点「サイクルパークつくば」を備えた複合施設です。地域の魅力や歴史、文化などを再発見する入口(ゲート)として、筑波山周辺地域の魅力を発信しています。
ミュージアムを覗いてみると、体験型の展示が並んでいました。触れる模型やミニゲームなど、興味の扉を開けてくれる仕掛けがいっぱい! 遊んでいるうちに、雄大な筑波山を不思議と身近に感じられました。
つくばエキスポセンター
研究機関の集まるつくばの中心で、科学技術を見て・触れて・楽しむことができる科学館。1985年に開催されたつくば万博を記念する恒久施設として建設され、万博終了後に再オープンした。体験型の展示物のほか、世界最大級のプラネタリウムも。

029-858-1100
- 住所
- つくば市吾妻2-9
- 開館時間
- 9:50~17:00(最終入館16:30)
- 休
- 月曜(祝日の場合は翌日)、年末年始、臨時休館あり
- 入館料
- 大人500円、子ども(4歳~高校生)250円
※3歳以下無料、団体料金あり(要予約)
https://www.expocenter.or.jp/



見て、触って、楽しく学ぶ! つくばエキスポセンター
筑波山ゲートパーク
旧筑波東中学校の跡地に2023年11月にオープンした複合施設。「筑波山地域ジオパーク中核拠点」と、自転車競技のBMXレーシングのコースを備えた「自転車拠点」からなる。筑波山麓の自然を感じながら、世代を超えた交流の場となることを目指す。

つくばジオミュージアム:029-883-0013
サイクルパークつくば:029-883-0035
- 住所
- つくば市北条4160
- 営業時間
- 9:00~16:30
- 休
- つくばジオミュージアム:火曜(祝日の場合は翌日)
サイクルパークつくば:火曜、水曜、木曜
※ともに12/29~1/3、振替休日あり - 入館料
- 入場無料
※施設使用料の詳細は各施設のHPをご参照ください
https://www.city.tsukuba.lg.jp/tourism/tsukubasanngatepark/16438.html

常総(じょうそう)
さらに足を延ばして、「道の駅常総」へ。地元産はもちろん、食の宝庫である茨城県全域の食材が集まる〈食のテーマパーク〉です。
「ここを目的に訪れる人をもっと増やしていけたら」と話してくれたのは、駅長の須田裕次郎さん。店内には茨城の名物が並び、平日にもかかわらず大盛況です。
「常陸国風土記」が編纂された奈良時代から、「常世の国(理想郷)」と謳われてきた豊かな地・茨城。その恵みは、いまもなお健在でした。
道の駅常総
茨城県内16番目の道の駅として2023年4月にオープンした「体験型食のテーマパーク」。常総産・茨城県産の農作物、畜産物、水産物の他、地域の特産品を活かした食事やスイーツ、加工品を取りそろえる。

0297-38-7570
- 住所
- 常総市むすびまち1番地
- 営業時間
- 9:00~17:00
- 休
- 無休
※各店舗の営業時間、休業日はHPをご参照ください
https://www.michinoeki-joso.com/

写真は「ぼくのクリームメロンパン」(350円)