鍵の複製に使う
ブランクキー
鍵屋に玄関の鍵の複製を頼むと、すぐできるけれど、どうしてあんなに早くできるのかな?
Photo:Naoto Shoji
Illustration :Naomi Masuda
形が類似するブランクキーの例
ブランクキーにはギザギザのカギ山がなく、一見、同じように見える。上の3つも長さや幅は同じ。しかし溝の位置が少しずつ違う別の鍵。
よく使われている鍵にはブランクキーがある
玄関に使われている鍵は、他人の家の鍵と見比べても、だいたい同じ形、大きさに見えますね。鍵屋さんにも、似たような鍵がズラーッと並んでいます。あれは鍵の元「ブランクキー」です。ブランクとは空白という意味。これにカギ山を削ることで、自分の家だけの鍵ができるのです。
ブランクキーは鍵メーカーではなく、専門のメーカーが作っています。日本には鍵メーカーが何十社とあり、たくさんの鍵があります。その中でも流通が多く、鍵の複製の注文が多くなりそうな鍵を選んで、ブランクキーは作られているのです。
溝の位置が類似するブランクキーの例
全体で見ると分かりづらいが、拡大すると、溝の位置や幅、深さ、角度、丸みなど形が違う。すべて複製元の鍵と同じでなければ鍵穴に入らず、もちろん錠は開かない。
鍵を複製するなら純正鍵を専門店へ
鍵屋さんは複製する鍵を見て、何百と並んだブランクキーの中から、溝の位置や形が同じものを探し当てます。ここが鍵屋の腕の見せ所。経験のある人ほど、サッと探し当てられるのです。
鍵の溝は、右の写真のように幅、深さ、角度などの形がすべて異なります。「板厚」といって鍵の厚さも0・1ミリ単位で違います。これらすべてが元の鍵とピタッと合って、初めて複製鍵は完成です。ちょっとでもずれると、玄関のドアは開きませんよ。
複製元にするのは、鍵メーカーの刻印が入っている純正がベスト。複製を何回も繰り返した鍵を使うと、わずかな狂いが生じる可能性があるからです。また、鍵屋さんに複製したい鍵のブランクキーがないこともあります。その場合は、品ぞろえ豊富な鍵の専門店をたずねてみましょう。
取材協力
金庫と鍵の博物館館長 杉山泰史[すぎやま・やすし]
金庫と鍵の博物館
東京都墨田区千歳3-4-1 03-3633-9151