睡眠術
「睡眠負債」を解消する3つの生活習慣
「睡眠負債」をご存じですか? これは、意識しない程度に毎日少しずつ積み重なる睡眠不足のこと。睡眠研究の第一人者である枝川義邦さんに、「睡眠負債」の解消法を伺いました。
睡眠負債の正体は?
睡眠不足の場合、「寝つきが悪くてあまり眠れなかった」「眠いのは、夜中に目が覚めたから」のように眠い原因が「十分寝ていない」ためだと自覚できます。 一方、睡眠負債は、本人は気付かない程度の睡眠の不足が積み重なり、本質的には睡眠時間が足りていない状態だと枝川さん。「睡眠負債は自覚がないことが多く、知らず知らずのうちに体調を崩しやすくなる、イライラする、集中力が続かないなど、さまざまな不調や病気のリスクが高まります」
睡眠負債を蓄積し続けると、肥満や高血圧、免疫力の低下などを招くことも。まずは、睡眠負債がたまっていないか、下記の表を参考にチェックしましょう。
こんな人は睡眠負債がたまっています!
- 朝起きたときにスッキリ感がない
- 午前中に眠たくなる
- 布団に入るとすぐ眠りに落ちる
まずは1時間長く眠る
睡眠負債がたまっていると分かったら、まずは「現在の睡眠時間+1時間」を目指してください。枝川さんのおすすめは、「30分の早寝&30分の遅起き」。毎日続けることで、少しずつ睡眠負債を解消できます。+1時間の睡眠を確保できない場合は、プチ昼寝もいいそうです。 「30分以上の睡眠は、深い眠りのゾーンに入ってしまうため起きてからも数時間、脳が十分に働くことができません。15~20分程度のお昼寝がベストです」
朝の光を浴びる
睡眠時間を増やすことが難しい人は、質の向上に努めましょう。「起床後、できるだけすぐに日光を浴びてください。カーテンを開けて窓辺に立ち、15秒ほど朝日を浴びる習慣をつけるのがおすすめです」
睡眠ホルモン・メラトニンは、強い光を浴びることで分泌が止まり、その14~16時間後に再び分泌が始まるよう作用する性質があります。そのため、朝にしっかり日を浴びると、夜の眠りがスムーズになります。
昼夜のメリハリが大切
昼夜の生活にメリハリをつけることも欠かせません。
「夜の運動は交感神経を優位にするだけでなく、体の深部の体温を上げることで眠りにつきにくくなります。また、スマホはなるべく早く手放すことも快眠の秘訣。寝る前にスマホを見るなら、好きな動画や心が落ち着くものを。夢中になり過ぎるものは避けてください」
監修 枝川義邦
立命館大学大学院テクノロジー・マネジメント研究科 教授。東京大学大学院薬学系研究科を修了し薬学の博士号、早稲田大学ビジネススクールを修了してMBAを取得。早稲田大学理工学術院教授など経て2024年より現職。