いざというとき役に立つ
自宅でできる浸水対策
夏になると毎年のように訪れる、台風や豪雨。昨年は九州地方を中心に、各地に大きな被害をもたらしました。日頃からできる対策を知って、大事な家族と自宅を守りましょう。
深刻な浸水被害が増加している
九州地方を中心に甚大な被害を及ぼした昨年の「令和2年7月豪雨(熊本豪雨)」。過去最大の水害被害額となった2019年の「令和元年東日本台風」。温暖化や地球規模の気候変動を背景に、近年日本各地で台風や豪雨による浸水被害が多発しています。これまでの日本の水害は河川の氾濫による外水氾濫が主でしたが、下水などの排水能力を上回る雨量による内水氾濫も頻発するようになり、住宅地や都市部が被害を受けるケースも増えてきました。これまで被害の少なかった地域でも、ハザードマップの見直しや排水設備の拡充などが進められています。
自然災害を完全に防ぐことはできませんが、日頃の備えや少しの工夫で被害を減らすことはできるはず。台風や豪雨のシーズンがやってくる前に、自宅でできる浸水対策をしっかりチェックし、準備しておきましょう。
外水氾濫
長雨や豪雨によって河川が氾濫したり、堤防が決壊したりすることで、土砂を含んだ大量の水が市街地に勢いよく流れ込みます。住宅や車が押し流されたり、住民が逃げ遅れたりなど、深刻な事態を招き、復旧に時間がかかるのも特徴です。
内水氾濫
短期間に大量の雨が降るなど、市街地の持つ排水能力が雨量に追いつかなくなったときに発生します。用水路や排水路があふれたり、下水が逆流したりするため、感染症にも注意する必要があります。
近年増えている都市型水害
都市部は地表のほとんどが舗装されているため排水能力が低く、河川も直線で整備されていることが多いため、集中豪雨などで大量の水が流入すると一気に氾濫してしまいます。また地下鉄や地下街などの地下構造物がある都市も多く、水害発生時に地下へ大量の水が流れ込み、被害が拡大する恐れがあります。これら都市特有の原因や被害を持つ「都市型水害」は、日本を含む世界中の都市で増加傾向にあります。
避難指示の前にできること
天気予報や災害情報を確認し、事前にしっかり準備しましょう
1 簡易水のうを作る
40リットル程の容量のゴミ袋を二重にし、半分くらいまで水を注いでしっかりと口を閉じたものを複数作って段ボールなどに入れ、家の出入口を塞ぐように並べます。レジャーシートなどで包むとより効果的。
2 下水の逆流を防ぐ
下水が逆流し、トイレや浴室からあふれ出すことがあります。悪臭や感染症の原因になるため、簡易水のうで排水溝をふさぎましょう。浸水中は、トイレの使用はNGです。
3 側溝や雨水ますの清掃
落ち葉やゴミが道路の側溝や雨水ますをふさぐと、用水路の氾濫を招きます。ただし豪雨のさなかの外出は危険。前日や、まだ雨の少ないうちに、家の周辺の用水路をきれいにしておきましょう。
4 貴重品はまとめておく
通帳やクレジットカードなどの貴重品は1つにまとめ、できれば2階など、高いところに移しておくと安心です。避難の際は人命を最優先に、余裕がある場合のみ持ち出してください。
もしも避難が必要になったら…
薄着での避難はケガや感染症を招きます。
しっかり準備して、安全に避難しましょう。
長袖長ズボン、レインコートで
木の枝や傘などが飛んできたり、流されてきたりする危険があるため、必ず長袖長ズボンで避難します。服が濡れると体温の低下を引き起こすので、レインコートなどで対策しましょう。
ヘルメットなどで頭をガード
木の枝や傘、看板など、強風下では何が飛ばされるかわかりません。飛来物を避けるために、必ずヘルメットや防災頭巾を身につけてください。
足元を確認しながら進む
側溝のふたが外れていたり、壊れたコンクリートブロックなどが堆積していたりする恐れがあります。棒状のもので足元の安全を確認しながら避難しましょう。
ヒモなどで体をつなぐ
ひざ下程度の水位でも、子どもや高齢者は流される危険があります。ヒモでしっかり体をつないで移動してください。
足元はスニーカーなど厚底のものを
指や肌が出てしまうサンダルなどは避けて、足をしっかりと覆う厚底のものを選びます。ただし長靴はNG。水が入って動けなくなる恐れがあります。
あると便利な防災グッズ
簡易トイレ
下水の逆流や断水などによって、トイレが使えなくなってしまった場合に備え、家族全員が数日使えるぶんの簡易トイレを用意しておきましょう。
エマージェンシーボディキット
停電や断水により入浴ができない状況下でも、顔や体を清潔に保つことができます。衛生面はもちろん、ストレスを和らげ、少しでも快適に過ごすために用意しておきたいキットです。