岡山といえば、最近人気なのが“天空の山城”こと備中松山城です。
また、岡山は大正ロマンを代表する画家、竹久夢二のふるさとでもあります。歴史や文化が薫る岡山を訪れました。
Photos:Naoto Shoji
提供:高梁市教育委員会
雲海に浮かぶ「備中松山城」。雲海が発生するのは9月下旬~4月上旬の明け方から8時頃。
※新型コロナウイルス感染症の拡大防止のため、開業日や営業時間は変更の可能性があります。訪れる際は、事前にお電話にてお問い合わせください。
山々に囲まれ、高梁川(たかはしがわ)が流れる高梁市。標高約430mの「臥牛山(がぎゅうざん)」の頂上に名城「備中(びっちゅう)松山城」がそびえ立っています。日本には、この城を含めて天守が残る城が12城ありますが、そのうちの唯一の山城です。
「備中松山城」へは登城口である、ふいご峠から向かいます。杖をつきながら山道を登ること約15分、高くそびえる石垣群「大手門跡」が目の前に立ちはだかります。天然の岩盤の上に石垣が築かれており、苔が生えて木漏れ日がふりそそぐ姿は疲れを吹き飛ばす美しさです。そこからさらに5分ほど登っていくと、石垣と土塀にぐるりと囲まれた天守が見える二の丸へとたどり着きます。天守は二層二階ですが、三層に見えるようにデザインされています。高さは約11mと、現存する天守のなかでは最も低いですが、重厚感や力強さを感じます。一階には籠城に備えて囲炉裏や装束の間が設けられています。二階の窓からは山並みや麓に広がる城下町を眺められ、山城の標高の高さを実感します。
雲海に浮かぶ「備中松山城」の姿は、向かいの山にある「雲海展望台」から眺められます。晩秋から春にかけての早朝に、運がよければ見ることができます。ただし、雲海は昼と夜の寒暖差が大きいことや無風などの気象条件がそろわないと発生しないので、訪れる際は事前に天気予報を確認しておくとよいでしょう。
備中松山城
現存の城郭は天和3(1683)年に、藩主水谷勝宗(みずのやかつむね)が3年がかりで大改修した。天守と二重櫓、土塀の一部が国の重要文化財に指定されている。
0866-22-1487
高梁市内山下1
10~3月は9:00~16:30、4~9月は9:00~17:30
(いずれも最終の入城は30分前まで)
12月29日~1月3日
大人500円、小中学生200円
猫城主のさんじゅーろー。
天守二階にある御社壇(神棚)では、「三振の宝剣」を御神体として祀っていたといわれる。
最初に現れる巨大な石垣「大手門跡」。
「三の平櫓東土塀」。一部は江戸期のもの。
総社市(そうじゃし)の北部には、さらに古い時代の山城が残されています。それが、標高約400mの鬼城山(きのじょうざん)に建つ古代の山城「鬼ノ城(きのじょう)」です。7世紀後半、大和朝廷によって国土防衛のために築かれたとされています。じつはここが昔話「桃太郎」の舞台だともいわれています。山中深くに温羅(うら)と呼ばれる鬼が住み、物資や婦女子を略奪していましたが、吉備津彦命(きびつひこのみこと)が温羅を退治したという物語(温羅伝承)が残されています。その温羅が住んだといわれるのが「鬼ノ城」です。
「鬼ノ城」へは、総社市鬼城山ビジターセンターから向かいます。遊歩道を歩いて約10分で到着する「学習広場」(展望デッキ)から「西門」を眺めると、長さ約2.8kmの城壁が万里の長城のように巡る様子を一望できます。さらに10分ほど歩くと、崖のギリギリに建つ「西門」に到着。雨水から城壁を守る敷石や、攻撃に備える「角楼」が現れて、防衛の城だった痕跡を辿れます。
鬼ノ城
「西門跡」は平成8年度の調査で新たに発見・復元された。特徴的なデザインの盾が並び、どことなく異国の雰囲気が漂う。
鬼城山ビジターセンター
0866-99-8566
総社市黒尾1101-2
9:00~17:00
月曜(祝日の場合は翌平日)、12月29日~1月3日
無料
城内の広さは約30haにも及び、4つの城門や6か所の水門などが築かれている。ハイキングコースとしても人気で、1周約2時間かかる。上は「学習広場」から「西門」を眺めた様子。
画家の竹久夢二は瀬戸内市邑久町(おくちょう)本庄(当時は邑久郡本庄村)で生まれ育ちました。名勝後楽園の外苑に建つ「夢二郷土美術館 本館」では、夢二の作品を数多く展示しています。年に4回の企画展では夢二が作詞をし、表紙を描いたセノオ楽譜「宵待草」など、詩人やデザイナーとしての仕事も見られます。さらに面白い展示が「港屋絵草紙店」。夢二デザインの千代紙や版画、帯などを販売していたお店を再現しており、夢二のデザインが庶民の生活に寄り添っていたことを感じられます。第6展示室&ミュージアムショップ&カフェ「art café夢二」では、岡山市出身のデザイナー、水戸岡鋭治氏がデザインした家具に囲まれ、夢二の木版画を眺めながら食事やお茶を楽しめます。 瀬戸内市には、夢二が暮らした茅葺屋根の生家「夢二生家記念館」や夢二が設計したアトリエ兼住居「少年山荘」もあるので、足をのばしてみるのもおすすめです。
夢二郷土美術館 本館
写真は企画展示室。企画展は年4回開催し、テーマに合わせて100点以上もの作品を展示している。随一のコレクションの屏風や掛軸、油彩を見ることができる。
086-271-1000
岡山市中区浜2-1-32
9:00~17:00(入館は16:30まで) カフェ9:00~16:00、ミュージアムショップ9:00~17:00
月曜(祝日や振替休日の場合はその翌日、12月28日~1月1日)
大人800円、中高大学生は400円、小学生は300円、カフェとミュージアムショップは無料
「夢二のきびだんごセット」(660円、税込)。
「café夢二」。マスキングテープなどオリジナル夢二グッズも販売している。
建物は岡山県出身の建築家、浦辺鎮太郎による設計。
「港屋絵草紙店」。
お庭番の黑の助は、夢二が描いた黒ねこにそっくり。
岡山市内を歩いていると、レトロな路面電車「岡電」(岡山電気軌道)に出会います。そのなかでも目を引くのが「おかでんチャギントン電車」。イギリスのアニメ「チャギントン」を実車化した路面電車です。車内は水戸岡鋭治氏がデザインしました。壁も椅子もカラフルで、いたるところに「チャギントン」のキャラクターが描かれており、大人でも思わず心が躍ります。「チャギントン」に乗れるのは世界中でここだけなので、貴重な体験ができます。「おかでんチャギントン電車」の最終駅、東山電停には「おかでんチャギントンミュージアム」があります。岡電の工場の一角を水戸岡氏がリノベーションした施設です。木のぬくもりあふれる空間で、「チャギントン」のアニメを見たり、プラレールを操縦したりと、子供たちが自由に遊べます。隣には岡電の車庫があるので、整備士が路面電車を整備したり、塗装している様子を間近に見られます。
おかでんチャギントン電車
岡山駅前を発車する「おかでんチャギントン電車」
©チャギントン
カラフルな車内では、電車ナビゲーターのお姉さんがダンスやクイズで子供たちを楽しませる。
©チャギントン
運行ルート
岡山駅前発→清輝橋→岡山駅前→東山着
(時間は月によって異なる)
乗車料金
平日:大人3,400円、子供(1歳以上)1,900円
土日祝/春夏冬休み:大人3,500円、子供(1歳以上)2,000円
(おかでんチャギントン乗車料金(車内イベント料含む)+おかでんミュージアム入館料+乗車記念品+路面電車1日乗車券を含む)
チケットの購入方法
全国のローソン・ミニストップ店内設置Loppi、WEB ※詳細はHPをご確認ください。
https://okaden-chuggington.com/
おかでんチャギントンミュージアム
プラレールがたくさんあり、操縦したりレールをつなげたりして遊べる。「おかでんチャギントン」のプラレールなど、オリジナルグッズも販売している。
©チャギントン
岡山市中区東山2-3-33
平日10:00~16:00、土日祝・春夏冬休み10:00~16:00
火曜(お盆、年末年始)
大人1,000円、子供500円 (おかでんチャギントン電車に乗車の場合は無料)
岡山は、パフェが名物。「ホテルグランヴィア岡山 ルミエール」では2か月ごとに県産のフルーツを使ったパフェを提供しています。パティシエの南誠一氏のパフェは、2種のブドウのジュレなどで構成される層が美しく、食べ進めるごとに味や食感が変化します。また、岡山ご当地グルメの代表といえば「えびめし」。ご飯にエビや玉ねぎを加えて特製ソースで炒めたチャーハンです。「ホテルエクセル岡山レストラン ALOALO」の「えびめし」は、スパイシーな風味と玉ねぎの食感が特徴です。
ホテルグランヴィア岡山ルミエール
086-233-3138
岡山市北区駅元町1-5 ホテル内1階
9:00~19:00
(パフェは12:00~18:00)
無休
※営業時間は変更となる場合があります。
※売り切れの場合がございます。あらかじめご了承ください。
写真は2020年9月1日~10月31日に提供していた岡山県産「葡萄パフェ」(単品2,000円、税・サービス料込)。
岡山県産ピオーネとシャインマスカットを使用しており、ジュレやグラニテ、コンポートもブドウ尽くしで、ため息が出るおいしさ。
ホテルエクセル岡山レストラン ALOALO
「えびめし(サラダ・スープ付)」(792円、税込)。 真っ黒な見た目に驚く。
086-227-5566
岡山市北区石関町5-1
11:00~22:00(L.O.21:00)
無休