伊能忠敬で有名な北総の小江戸・佐原。房総半島の東端を走る銚子電鉄。 伊達巻鮨やジビエなどの海山の幸。千葉の注目スポットをめぐりました。
Photos:Naoto Shoji
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佐原は江戸時代から利根川水運の中継港として栄えた町です。利根川に注ぐ小野川沿いには、木造や蔵造りの商家が軒を連ね、小江戸と呼ばれる町並みが残っています。日本で初めて実測による全国地図を作成した伊能忠敬(いのうただたか)が暮らしていた地としても有名です。忠敬は17歳のときに、醸造業などを営む名家・伊能家に婿入りして当主となり、49歳で隠居するまで佐原の名主や村方後見も務めました。
小野川沿いには忠敬が当時過ごしていた「伊能忠敬旧宅」があり、当時の商家の面影を伝えています。旧宅前の小野川には樋橋(とよはし)、別名じゃあじゃあ橋が架かっています。農業用水を対岸へ渡すために作られた樋(とい)を復元したもので、いまも水が川へ30分ごとに流れ落ち、さわやかな水音を聞かせてくれます。
じゃあじゃあ橋を渡った先には「伊能忠敬記念館」があり、忠敬の足跡を知ることができます。忠敬は50歳のときに幕府天文方の高橋至時(よしとき)に弟子入りし、55歳で北海道南岸の測量を始め、71歳まで10回にわたって日本全国の測量を行ないました。その集大成である「大日本沿海輿地全図(だいにほんえんかいよちぜんず)」(通称・伊能図)は、忠敬の没後3年に完成しました。この伊能図を見ると、地名をはじめ、駅名や寺、神社、港まで詳しく描かれており、正確さだけでなくその細かさや美しさに目が離せなくなります。
伊能忠敬旧宅
伊能家の門や店舗、炊事場、書院、土蔵を見学できる。
0478-54-1118(伊能忠敬記念館)
香取市佐原イ1900-1
9:00~16:30
無料
12月29~1月1日
伊能忠敬記念館
伊能図や日記などを所蔵。2,345点が国宝に指定されている。
0478-54-1118
香取市佐原イ1722-1
9:00~16:30
大人500円、小・中学生250円
月曜(国民の祝日は開館)、12月29~1月1日
「佐原商家町ホテルNIPPONIA」は、佐原に残る古い商家や蔵をリノベーションした宿泊施設です。フロント・レストラン棟とカフェ棟のほか、4つの宿泊棟が町に点在しています。宿泊棟のひとつのYATA棟は製綿業を営む商家でした。明治時代に建てられた母屋、土蔵、倉庫を利用した3室が用意されています。「建物の歴史や文化を感じてもらいたい」という思いから、柱の傷や土壁もそのまま。懐かしさを感じられる宿です。
ランチは、佐原の中心地から少し離れたところにある「ごはんCafe laque」へ。メニューはピザやパスタ、パンケーキ、シフォンケーキなど、なんと200種以上あります。なかでも人気なのはパンケーキ。近隣の農家が育てた平飼い鶏の卵を使用し、オーブンで30分かけて焼き上げます。しっとりとした食感で、生クリームはほどよい甘さ。口に入れるたびに幸福感で満たされます。
佐原商家町ホテル NIPPONIA
フロントとレストランはKAGURA棟、カフェはGEISHO棟にある。宿泊棟はYATA棟、AOI棟、SEIGAKU棟、GOKO棟で計13室。ペットと泊まれる客室もある。日常を忘れてもらうため、すべての客室にテレビと時計を置いていない。
ごはんCafe Laque
2013年に開店し、4年前に現住所に移転。店内はブルーを基調とした壁に、アンティーク調の家具が置かれている。テーブル席のほか、半個室が3室、テラス席もある。店の外にシフォンケーキなどの自販機もあり、大人気。
0478-54-1135
香取市佐原イ2122-16
11:00~16:00
月曜
佐原の隣町、神崎には酒蔵をはじめ、味噌や醤油の蔵などが立ち並んでいます。そんな神崎を盛り上げようと2015年にオープンしたのが、全国で初めて「発酵」をテーマにした「道の駅 発酵の里こうざき」。全国から厳選した味噌や麹、酒粕などの発酵食品を揃えています。「しょうゆ糀DEスパイスカレー」や「こうざき納豆」など発酵食品を使用したオリジナル商品も数多く展開しています。
お土産選びなら、房総半島の東端を走る銚子電鉄もおすすめです。じつは売上の9割を食品事業が担っています。人口や観光客の減少によって経営状況が厳しくなっていた1995年に「銚子電鉄のぬれ煎餅」を開発したところ大ヒットし、廃業の危機を免れました。その後も「まずい棒」(経営状態がまずい)などのユニークな商品を発売しており、「銚子電鉄 ぬれ煎餅駅」でこれらの商品を購入できます。ぬれ煎餅の手焼き体験もでき、子どもにも大人気です。
道の駅 発酵の里こうざき
発酵食品を販売する「発酵市場」のほか、野菜などを販売する「新鮮市場」がある。「レストラン オリゼ」と「はっこう茶房」では発酵食品を使用した料理やパンを食べられる。
0478-70-1711
香取郡神崎町松崎855
「発酵市場」9:00~18:00
無休
銚子電鉄は銚子駅から外川駅までの6.4㎞を約20分で結びます。海の幸の食べ歩きや犬吠埼灯台の見学など、銚子エリアの散策に欠かせません。
銚子駅のそばには名店「鮨 大久保」があり、明治初期に考案した「伊達巻鮨」をいまも変わらぬ製法で作っています。まるでプリンのような見た目通りのなめらかな食感で、酢飯に合ったやさしい甘さと旨味はリピートしたくなるおいしさです。
銚子電鉄
大正11年設立。平日・休日ともに19往復。日中は約1時間に1本で運行している。1日乗車券「弧廻(こまわり)手形」(大人700円、小児350円)もおすすめ。
銚子電鉄 ぬれ煎餅駅
オリジナル商品の「銚子電鉄のぬれ煎餅」や「まずい棒」はもちろん、普通の煎餅やあられ、銚子の海の幸なども並ぶ。
鮨 大久保
創業は江戸後期。鮨や天ぷらなどの日本料理を提供する。「伊達巻鮨」は昼過ぎに売り切れてしまうこともある。写真下は「伊達巻鮨」が入った「並鮨」(1,200円)。握り寿司4貫に、かんぴょう巻とかっぱ巻2つ。
0479-22-0830
銚子市東芝町1-1
11:00~14:30(L.O.14:00)
月曜
千葉県は山の幸にも恵まれています。「日本料理 竹りん」ではジビエ料理を堪能できます。「猪肉は鉄分やビタミンが豊富でヘルシー。きちんと処理されたジビエは臭みがなく、脂身は甘味がありおいしいですよ」と代表の新沢敏夫さん。メニューはすき焼きからハンバーグ、餃子などバラエティ豊かです。
「日本料理 竹りん」に新鮮なジビエを届けているのが、ALSOK千葉が開設した「ジビエ工房茂原」です。農家が捕獲した猪や鹿を回収して食肉に加工しています。「安全・安心」に提供するため、最新の設備を取り入れ、徹底した衛生管理を行なっています。
千葉の魅力を再発見できる旅になりました。
日本料理 竹りん
猪肉や鹿肉を使用したジビエ料理や地元の旬の素材を生かした料理を提供している。
0475-24-5522
茂原市八千代3-13-9
11:00~14:00、17:00~21:00
月曜
※ジビエ肉はオンラインで購入可能。
https://gibier-japon.shop-pro.jp/
ALSOK千葉 ジビエ工房茂原
2020年に開設。猪や鹿は止め刺し後、30分以内に解体し、約1時間半以内に加工・冷凍保存するので新鮮。1日約13頭、年間約4,000頭を解体する。
0475-36-3701
[月曜~金曜(祝祭日以外)10:00~15:00]
茂原市本納2126-1
※一般の方向けの見学は行なっておりません。
亀山湖
千葉県君津市
房総半島の中心に位置する、亀山ダムのダム湖。面積は約139万m2で、湖面が複雑に入り組んでいるため、25の橋が架かっています。湖岸には豊かな自然が広がり、遊歩道や公園ではサイクリングやハイキングなどを楽しめます。新緑の時期も美しい景色を見られますが、一番は紅葉の季節。イチョウやカエデなどの落葉樹が色とりどりに深まって、湖面に映りこみ、まさに絶景です。見頃は関東ではもっとも遅い11月下旬~12月一週目頃。じつは関東有数の星空観測スポットでもあり、「天然のプラネタリウム」と呼ばれるほど星がきれいに輝きます。